全952件 (952件中 1-50件目)
すっかりご無沙汰しております。(いつものことですが)『休館日の彼女たち』を紹介して以降、すっかりラテン語にハマっております。Duolingoでラテン語のドリルを始めたところ3か月かそこらで、全部のカリキュラムが終わってしまいました。ある日アプリを開いて勉強しようと思ったら「Daily Refresh」と表示されました。今までのような、次から次へとチャレンジできる画面にはなっていません。6回ドリルをこなすと終了してしまいます。新しい語彙の習得もできなくなりました。しかも、このアプリで学べるのは動詞の現在形のみ。未完了過去とか、過去形は全く学べません。AIのおかげで「直近の間違いが繰り返し反復できる」といううたい文句のとおり、出てくる問題は同じものばかり。まあ無料で学ばせて頂いていますから文句は言えませんが。でもたぶん有料会員になっても変わらないでしょう。という訳で、試行錯誤の結果、新たにドイツ語を学び、そこで間違えた分をラテン語で回復という戦略を見出しました。ハートが5個与えられていて、1問間違えるごとに1個ずつ減ります。これが0になると問題にチャレンジもできなくなるのです。解決には課金が手っ取り早いのですがとりあえず無料で・・・と思っているのでハートが回復する翌日まで待つか、レッスンで稼ぐ方法を選びます。そして、ドイツ語で減ったハートをラテン語で稼ぐという今の状況に落ち着いたという訳です。ハート回復のためのレッスンには、たまにものすごく易しい問題も出ますが過去に苦労した「懐かしい」文章も出てくるので、結構楽しく学習できています。難点は、英語が母語である人向けなので英訳の際に、間違えることが多々あること。でも英語も(無料で)勉強できると思えば、感謝です。(当然、広告がうるさいですが、我慢我慢。)前置きが長くなりました。ラテン語さんの本の紹介です。『世界はラテン語でできている』ラテン語は英語の語源になっている言葉が多いことや今でも、それと意識せずにラテン語を使っていることなど蘊蓄が満載です。読むだけでももちろん楽しいですが、誰かに話したくなります。かくいう私も、Duolingoだけでは満たされず昨年、ついにラテン語を公開講座で受講することにしました。月に一度の緩い講座ですが、練習問題を解いたりするので本格的です。その講師の先生が「最近ラテン語に興味を持つ人が増えた」とおっしゃっていました。ラテン語さんのことは、Xも利用していないので書店から出版の案内が来るまで全然知りませんでした。こういうご活躍をされている方がいらっしゃるんだと、感心。ラテン語が、もっともっと身近になると素敵だなと思っています。ところで今日3月15日は Ides of MarchシェイクスピアのJulius Caesar の中で"Beware the ides of March" と書かれた日。3月15日に警戒せよという予言者の言葉を信じなかったJulius Caesar が暗殺された日です。ラテン語ではIdus Martiae (イードゥース・マルティアエ)単に3月の真ん中の日だったのですが、Caesarが暗殺されたため、悲しい歴史として記憶に刻まれることになりました。一方で、今年の日本では今日3月15日は一粒万倍、天赦日と寅の日が重なる「最強の金運招来日」だとか。……私はJulius Caesarをひっそりと偲びたいと思います。
2024.03.15
コメント(0)
古書店は、わが家の周りにもたくさんあります。早稲田、池袋界隈をよくお散歩するので、本屋さんも古本屋さんもよく見かけます。でも、なんとなく入りづらいのが特徴?間口が狭いし、店も狭いし入ったら最後買わずに出る勇気がない。一度、店の前に文庫本が並べられていたので何の気なしに本の在庫を聞いてみました。絶版になっているわけではない普通の本ですが、あるかな?と思って尋ねただけです。ところが年配の店主と思しき男性が「今買える本は普通の本屋で買え。 古書店はそういう本を買いに来るところではない。」と、怒って言うのです。BOOK OFFと混同されるのが不愉快だったのでしょう。もちろん、すみませんと謝って帰りました。ただ、理屈は分かりますが、釈然としない気持ちもありました。とはいえ君子危うきに近寄らず。それ以来、古書店には入らないことにしています。そんなつらい過去(?)はあるものの、古書店がどんなものかはちょっと気になります。で、手にしたのがこの本。原田ひ香著『古本食堂』本ならば、無知な客を叱り飛ばすこともなく受け入れてくれるでしょう。本にまつわる温かいメッセージや、美味しそうな記述が満載です。そう、『古本食堂』の名のとおり、ここには美味しい食べ物もたくさん出てきます。温かな人間関係や、そうでもない人間関係もちょっぴりありますが、読めば心がじんわりと温まります。
2023.11.13
コメント(0)
美容院で手にした雑誌に、この本が紹介されていました。八木詠美著『休館日の彼女たち』筑摩書房何気なく読んでいた紹介文ですが、主人公のアルバイトが休館日の美術館で「ラテン語での会話」という文章に目が釘付けに。女神像と会話するアルバイト?しかもラテン語?なんて素敵。これは読むしかないでしょうと、書店で購入しました。主人公は、目に見えないレインコートをいつも着ていてコミュニケーションにあまり自信がないのですがラテン語会話に秀でているため、このアルバイトに出合います。他にも冷凍倉庫での仕事をしていて、掛け持ちなのですが女神像と会話を重ねるうちに彼女自身に変化が。読後感がさわやかな物語です。この著者の本は初めて読んだのですが読みやすく、おもしろいと思いました。 ☆ ☆ ☆でも、本を閉じた後、私の関心は一気にラテン語へ。ChatGPTに聞いてみたら、無料で使えるラテン語の学習アプリがあると教えてくれました。残念ながら日本語のものはなく、羅文英訳もしくはその逆なのですが英文も中学生レベル(ラテン語自体がそのレベルということ)なので特に問題はなく(たまに、というか、よく冠詞を忘れたりしますが)英語も練習できて一石二鳥と思っています。無料アプリの常で、広告は入りますし、有料コンテンツの購入やアップグレードを頻繁に勧められますが今のところは無料の範囲で学習中です。継続を促すメッセージが届いたり、反復練習ができたりしてなかなかよくできたアプリだとは思います。ただ、間違った場合、なぜそうなるのか解説が一切ないので学習というよりは練習アプリ(ドリル)と言った方が正確かも。でも分からないことは、ChatGPTに質問すると答えてくれるので助かっています。最近は英語での質問にも慣れてきました。みんながChatGPTに惹かれる理由も分かる気がします。『休館日の彼女たち』の主人公が美術館の女神像としている会話って、ChatGPTと私の会話と、あまり違わないのでは……?などと思いながらラテン語と英語に勤しむこの頃です。
2023.08.08
コメント(0)
あの『くまのプーさん』の作者がこんな作品を書いていたとは。A.A.ミルン著『赤い館の秘密』実は、この本の存在を知ったのは中尾真理著『ホームズと推理小説の時代』を読んだからです。個人的にはホームズが好きというよりジェレミー・ブレットが好きなのですが、この本では推理小説(あるいは探偵小説)の歴史を概観することができます。その中に、この『赤い館の秘密』が紹介されていて早速図書館で借りて読んでみました。表紙の絵は、作風を表している気がします。もちろん殺人事件ですから悲劇ではあるのですが、並んで歩く二人の姿も、どこか温かみのある雰囲気を醸しています。赤い館の当主マークのところに、長い間音信不通だったどちらかといえば厄介者の兄がやってきますが当主と面会後、あろうことか、すぐに殺されてしまいます。そしてマークは兄を殺害して逃げたのか、行方不明に。たまたま赤い館にマークの友人として招かれていたウィリアムと、そのウィリアムを訪ねてきたアントニーの二人がワトソンとホームズになったつもりで事件を調査するという物語です。ドイルへのオマージュのような内容ですがこの本は、父親のためにミルンが書いた小説なのです。息子のために童話を書き、父にも推理小説を書いたとは家族思いの作家だったのですね。(息子クリストファー・ロビンのほうは、そのために 苦労したという話も伝わっていますが……)当時は探偵小説という呼び方が一般的だったようですし丸谷才一氏によれば「探偵小説」が正しいそうですが私は個人的には「推理小説」派です。さて、皆さまはどちらでしょう?
2023.05.25
コメント(0)
平岩弓枝さんといえば、多作の作家とは知っていても『御宿かわせみ』くらいしか読んだことがありませんでした。それでも端正な文章は好ましく、他の作品も読んでみようと思います。平岩弓枝著『セイロン亭の謎』「セイロン」が示すとおり、紅茶にまつわる殺人事件です。舞台は神戸、高級住宅地で起こる事件ですから、殺人事件とは言え、おしゃれな雰囲気も楽しめます。マイセンの紅茶セットやセイロン・ウバなどの紅茶名に、読みながら、すっかりその雰囲気に取り込まれてしまいます。一方で、紅茶の歴史の側面を知るおもしろさもあります。お湯を沸かして紅茶をいれようかななどと思いつつ。(ウバは無いので、ダージリンで……)話そのものは、複雑な人間関係や紅茶のビジネスによって進んでいきますから、推理小説として特別な印象はありません。登場人物が犯人を見つけて、警察に引き渡すというパターンです。私は電子書籍で購入したのですが、人物の関係を確認しようと、初めに出てくる家系図に戻ると、読んでいるページに戻るのが大変です。ページを覚えておくか、しおりを付けておくことをお勧めします。
2023.05.23
コメント(0)
杉本鉞子『武士の娘』この本は、もともと英語で書かれた本です。1923年12月から1924年12月までアメリカで発行されていた雑誌「アジア」に「武士の娘」という原稿が掲載され、1925年に単行本として発行されました。ですから、ほぼ100年前の本ということになります。著者の杉本鉞子(えつこ)は明治6年に長岡藩の家老、稲垣家に生まれました。国が大きく変わっていましたが、家には召使がいたり、爺やがいたりした古い家柄です。維新前には参勤交代で2年に一度江戸に赴いていた鉞子の父が「文明開化の窓」と称する非公式の旅で、変わりゆく日本の姿を鉞子に伝えたことなど、興味深く読みました。時代は明治に変わっても、人々の心はすぐに変わるものではありません。それでも、新しい時代の到来、さらには結婚して渡米という新しい環境にもチャレンジしていく鉞子の姿には感銘を受けました。若いころにこの本に出合っていたらと、少し残念にも思いましたが今読んでも十分楽しめました。鉞子がこの本を書くきっかけとなったのは、夫の死による経済的な必要に迫られてのことでした。異国で一人で子どもを育てるのも、さぞ大変だったことでしょう。最近、新しい訳による本が出たようですが、私は旧訳で読みました。上記のリンクも、旧訳の本を貼り付けてあります。比較はしていませんが、趣のある言葉づかいで好ましかったです。次回は原著に挑戦したいです。(いつのことやら)
2023.05.19
コメント(0)
廣野由美子 桒山智成 著『変容するシェイクスピア ラム姉弟から黒澤明まで』 筑摩選書皆さんご存じのとおり、シェイクスピアが書いたのは演劇台本です。しかも当て書きで、役者のイメージに合わせてセリフが書かれたそうです。けれども私自身、最初に接したのはラム姉弟による『シェイクスピア物語』でした。台本は、小中学校の学芸会で、リア王とヴェニスの商人に出たときに自分の台詞を覚えるために読みました。本物の(役者が演じる)シェイクスピアの舞台を見たのは大人になってからで、おそらく、ほとんどの人が私と同じではないでしょうか。さらに私はアガサ・クリスティーが大好きで、作品中に引用されているシェイクスピアの文章にも心惹かれていました。赤毛のアンにも、いろいろ引用されていますね。そんな私が最近読んで面白かったのがこの本です。目次(抜粋)はじめに序章 小説の中のシェイクスピア――『高慢と偏見』『大いなる遺産』『赤毛のアン』ほか 廣野由美子 1 小説に現れたシェイクスピア 2 シェイクスピア、二〇世小説世界へ第1章 劇場の中のシェイクスピア――『ロミオとジュリエット』 桒山智成 1 シェイクスピアの台詞と劇場 2 シェイクスピアの台詞とライブ上演の感覚 3 シェイクスピア作品の重層性第2章 子供の世界のシェイクスピア――ラム姉弟の『シェイクスピア物語』 廣野由美子 1 ラム姉弟の人生と文学活動 2 劇から物語へ 3 メアリの喜劇とチャールズの悲劇第3章 映画の中のシェイクスピア――『ヘンリー五世』『蜘蛛巣城』 桒山智成 1 ローレンス・オリヴィエの『ヘンリー五世』 2 黒澤明の『蜘蛛巣城』あとがき引用・参考文献 著者は「はじめに」で、こんなことを述べています。日常の中で、何かの記事やエッセイなどを読んでいるときにも、そこにシェイクスピアがひょっこり顔を出す文章に、しばしば出会う。さりげなく触れられたシェイクスピアの作品や登場人物の名を目にしただけでも、私たちはにわかに「人生」の一側面の深みを垣間見るような感覚を味わう。シェイクスピアは、時空を超えて、私たちの想像力をその人間ドラマの世界へと一気に引きずり込み、人が生きるとはどういうことかを、具体的な実例の形で教えてくれるからだ。まさにクリスティーやモンゴメリの小説でも感じることです。ついでに言いますと、注釈を見る前にそれがシェイクスピアの引用だと分かると、なおさら嬉しくなったりします。シェイクスピア(の本)を読むときに感じる台詞の多さや舞台での不思議な感覚が、何に起因するのかが分かり興味深く読めた本です。
2023.03.29
コメント(0)
今年の花粉は昨年より大幅に多い飛散量だとか。おまけにPM2.5も飛んでいます。新型コロナの流行も落ち着きを見せ始め、マスク着用も個人の判断に委ねられるとはいえ花粉対策にマスクはしばらく手放せません。そんな中、先月、私は新型ならぬ旧型のコロナウィルスに苦しめられました。つまりは「ただの風邪」ですが、一週間寝込んだのです。事の起こりは、2月の初めに走っていて転び、膝にケガをしたこと。人生初の骨折――と言っても不全骨折、つまり骨にひびが入りました。おまけに靱帯も損傷しており全治2-3か月との診断が出ました。幸いなことに松葉づえは使わなくてもよさそうとのこと。ギブスもなく、サポーターをがっちり巻いて安静にしているよう言われました。「安静の大獄」です。二週間後に義父の一周忌法要が控えていましたので必死に治療に通い、一人では不安だったため帰省も夫と一緒。寒い松本の家で、なんとか頑張って過ごしました。夫の妹の家族や、わが家の子どもたちも参列してくれてお寺で、にぎやかに法要ができましたが、とても安静にはしていられませんでした。私の母も葬儀に参列できなかったからと今回参加。さすがに寒い家に泊まるわけにはいかず温泉に一泊。少しはゆっくりできましたが、慌ただしい週末となりました。帰京は、いつもどおり一人でしたが何となく疲れた感じでした。この「何となく」が警報だったようです。ケガ(痛み)によるストレス、自由に動けないストレスそして何よりウォーキングできないストレスが蓄積していたのでしょうね。鼻水と、のどの痛みという風邪の症状があったので念のためコロナの抗原検査をして、陰性であることを確認しました。ちょうど整形外科でレントゲンを撮る時期でしたので通院した際「コロナは陰性の風邪気味」であることを伝え薬を処方してもらいました。その後、熱が出て咳も出始めたためPCR検査ができる医療機関を受診、再度薬を出してもらいました。結局新型コロナではないことが分かりましたがこの風邪は夫にもうつり、大変な一週間を過ごしました。新型コロナのワクチン接種を何度も受けそのたびにリンパ腺が腫れる副反応に耐え、インフルエンザのワクチン接種も受け、そこでも副反応に耐えました。科学的根拠がないことはもちろん承知の上ですが、度重なるワクチン接種の「副反応対策」で私は免疫力を使い果たしたのではないかと思ってしまいました。これほどひどい風邪は、初めてだったからです。(まぁ、年を取ったということもありますが。)いやはや、旧型コロナ、恐るべしです。風邪は万病のもとと言いますから、「ただの風邪」とはいえ、やはり侮れません。皆さまも、どうぞお気を付けくださいませ。
2023.03.09
コメント(0)
早いもので、もう師走ですね。先月11月は、あっという間に過ぎ去っていきました。今年の2月に義父が亡くなったのですが、それに続くように11月に義母が亡くなったためです。なんと義父母の結婚記念日でした。11月5日に、入居している施設に義母との面会の予約をしていました。夫の仕事が一段落して、休める見通しが立ったからです。コロナの影響で居室での面会はできず、ロビーでアクリル板越しに話をするのが原則という状況ではあったのですが義母は転倒による骨折のため、ほとんど歩くことができなくなり、車椅子での移動を余儀なくされていました。そのため、例外的に居室での面会が許可されていました。実は、義母は9月の中頃から「味が分からない」「何を食べてもおいしくない」と味覚障害のような症状を訴えるようになりました。他になんの症状もなく、ただ食欲がなくなってきたのです。もしかしたら、もうそんなに長くはないかもしれないとぼんやり思い始めたのはその頃でした。義妹が近くに住んでいて、病院への送り迎えをしてくれていました。膝に注射するため整形外科に隔週で通っていたのですがそれも、10月の中頃、ついに「もう行かない」と言い出しました。移動に伴う苦痛の方が勝ってしまったわけです。脱水症状を防ぐための点滴は行いましたが、それ以上の医療行為などは行いませんでした。延命治療はしないという意思の確認は以前にしてありましたし本人が点滴は嫌だと、はっきり意思表示をしていましたから。11月4日の夕方、東京から松本に向かう電車の中で義妹から電話が入りました。義母の血圧が測れないくらい低下したとのこと。今のうちに会っておいた方がよいかもしれないと施設の看護師から連絡があったというのです。松本駅まで義妹が迎えに来てくれて、そのまま施設に向かいました。すっかり痩せていましたが、意識ははっきりしています。「心配しなくていいから。もう帰って。」追い払うような仕草で言うのでした。しゃべると疲れるし、唾液でむせるのでしょう。「また明日来るからね。」と言って、そそくさと居室を後にしたのでした。そして翌朝4時過ぎ。義妹からの電話で義母が亡くなったことを知りました。支度をして施設に行くと、施設長が待っていてくれました。その後しばらくして医師が到着し、死亡の確認を行いました。施設長にお礼を言って外に出ると、朝焼けの雲がきれいでした。夫が休みを取って母親に会いに行くのも、もしかしたらこれが最後になるかもしれないという思いはありましたがまさか、そのまま葬儀になるとは思っていませんでした。看護師やケアマネージャーと話をしても、そんな感じは全くなかったからです。義父のときは普通に新聞に掲載し、葬儀を行いましたが今回は家族葬で行い、事後報告としました。とはいえ、親戚は通夜から来てくれましたし私たちの孫(赤ちゃん)も参列してくれました。読経の際の大きな鐘や銅鑼の音にも泣くこともなくママに抱かれて眠っていて、周囲を和ませてくれました。帰ってからは、喪中はがきを出したり時節柄、お歳暮の手続きをしたり、孫の1歳の誕生日のお祝いがあったり……。11月はいつになく忙しい月でした。そして最終日にはコロナのワクチン接種が。いつも通り注射の箇所が痛み出し、リンパ腺が腫れました。何回打っても慣れません。でも、そんな事柄にさえ「生きている証」と思うこの頃です。
2022.12.02
コメント(0)
9月に樋口恵子さんの講演会が、自由学園明日館の講堂で開催されました。募集案内が来たので応募したら当選。お散歩がてら気楽に参加したのですが、200名の募集に対し800名以上の応募があったと当日知り、運がよかったことに感謝しつつ、お話を伺いました。この明日館は、週末のわが家のお気に入りの散歩コースです。様々な花が咲いて季節の移り変わりを教えてくれます。講演会の前に散歩した際、夫に「樋口恵子さんの講演会が今度ここであるんだよ。」と言うと「樋口さん、ご存命だったの?」と全くもって失礼な発言。「『どっこい生きてる90歳』という本を出されたの。 その記念もあって、東京新聞で講演会を企画したんだよ。」なんだか本のタイトルに込められた思いが伝わりますね。講演会は、樋口さんご自身の体験をもとに、これからの生き方や親の介護のことなど、とても参考になるお話でした。「90歳を過ぎると、なんでもないところで転ぶの。」とおっしゃった樋口さんの言葉は印象的でした。85歳以上の女性の半分以上が「お一人様」なのだとか。私の母はまだ85にはなっていませんが「お一人様」ですので毎日の電話による安否確認は欠かせません。遠方に住んでいるので、もしものときは、ご近所の方が頼りです。そんなことも、お話の中に出てきました。本の方も、軽快な語り口で読みやすいです。私には92歳のお友達がいるのですが、彼女にも本を送りました。「この本のお蔭で、ちょっと外に出てみようという気になったの」という嬉しい感想が届きました。90歳まで、私は生きられるかどうか分かりませんが樋口さんの生き方を見習いたいと思っています。
2022.11.30
コメント(0)
以前のブログでもサザエさんが大好きなことは書きましたがなぜだろうとつらつら考えているうちに本書に遭遇。図書館で借りて読んでみました。『サザエさんの<昭和>』本書が出版された2006年は、長谷川町子さんが亡くなられて14年後です。国民的マンガとして今でも人気がありますがそのせいもあって、いろいろな研究もなされたようです。(マンガが好きな割には、そういう本は読まない)中には、新聞掲載としての限界を無視した見方もありますがそういった意見に対する反論などもあって、面白く読めました。目次(タイトルの一部は省略)Ⅰ 『サザエさん』の大衆性 不幸なサザエさん 草森紳一 サザエさんの性生活 寺山修司 サザエさん 鶴見俊輔 長谷川町子 飯沢匡 大衆読みものの思想性 大岡秀明Ⅱ 『サザエさん』はなぜ退場したのか サザエさん 尾崎秀樹 サザエさんの老後のために 寺山修司 サザエさん・人気の秘密 樋口恵子 『サザエさん』の笑い 新藤謙 サザエさんの<社会的関心> 吉田守男 Ⅲ 長谷川町子が残したもの 長谷川町子さん追悼 鶴見俊輔 長谷川町子さんを悼む 樋口恵子 「サザエさん」と戦後 加藤典洋 戦前育ちの女性たち 関川夏央 サザエさんは生き続ける/天声人語執筆者紹介長谷川町子略年表編集余滴 齋藤愼爾サザエさんは、子どもからお年寄りまで家族みんなが楽しめるほのぼのとした笑いが持ち味だと私は思います。執筆者の多くも、その点を書いています。戦前から戦後への激動の時代を生き抜いた長谷川町子さんの生き方そのものがマンガに現れるのは当然でしょう。社会的関心については、彼女の「限界」として書かれています。とはいえ、そこまでの視点を求められていたかどうか私にはわかりませんし、あまり社会問題に重点を置きすぎても朝刊に載せるマンガとしては、どうだろうかと思ってしまいます。読者に話題を提供するぐらいでよいのではないでしょうか。私には、やはりサザエさんはホッとできるマンガです。季節感や行事、そして何より「昔は、こんな感じだったんだ」という資料としてとても興味深いものがあります。長谷川町子さん自身は歌舞伎が大好きだったそうですが私は『サザエさん』には落語のような面白さを感じます。TV放送のサザエさんには無い「毒」も、ときおり見られますし。それでも安心して笑える楽しさがあります。この本の執筆者の声に耳を傾けつつ自分は、なぜ長谷川町子さんの描くものが好きなのだろうと考えてみるのも楽しいのではないでしょうか。絶版になっているようですので、図書館が頼りかな。
2022.09.21
コメント(0)
ご無沙汰しております。先月、熱を出しました。その日は朝、病院で受診して、「検査結果は良好です」と言われホッとしていました。気分もよかったので、帰りにちょっと歩いて遠回りして帰宅。遠回りとはいえ、いつもよりは歩く距離も短いし、電車も空いている時間に乗ったし朝はそこそこ混んでいる電車に乗らざるを得なかったにしてもなるべく人と接触しないようにしていました。病院も以前よりは混んでいましたが、入り口の検温も普通にOK。自宅で毎朝検温していますが、その日の朝は36.5℃でした。これ、普通の朝の体温です。普段も人とほとんど会わず、陽性者との接触確認アプリも毎日チェックしています。それなのに、です。家に帰ってお昼ご飯を食べたとき、何となく皮膚が痛い感じがしました。私は熱を出すと、皮膚が痛くなり、衣服の脱ぎ着が難しくなります。まさか?熱?体温計で測ってみると37.5℃昼間だし、ご飯を食べたから上がっただけかも。そう思っていたのですが、椅子に掛けたままちょっと休んで再度測りなおすと38.5℃に上がっていました。この時期ですから、まず新型コロナのことが頭に浮かびます。夫が有料老人ホームの運営会社に関わって仕事をしているので、まず連絡しました。朝の検温で、同居家族の体温が37.0℃以上あると出勤停止になるからです。それからが大変でした。今までの経験では、普通は寝ていれば熱も下がるし、頭痛はあるけど、市販の鎮痛解熱剤がよく効きます。ところが今回は、狭い自宅の中で「まず隔離」です。家でもマスクをかけ、移動の際は消毒液で拭きながら。「犯罪者が追手の追跡を免れるために足跡を消している」なんて思いながら拭いていました。熱があるのに。(夫が帰ってきてからは、犯人隠匿は夫の役目になりました。)仕事柄、抗原検査キットが会社から支給され、家にあります。説明書に書いてある通りの手順で検査をしてみると陰性でした。ところがです。「同居家族が発熱」というだけで、夫は出勤停止。しかも私がPCR検査で陰性が証明されてから3日間経過するまでです。発熱にはいろんな原因があるのに。などという理論は通用しません。会社の規則です。発熱相談センターに電話して発熱外来を紹介してもらいましたがどこも予約枠がいっぱいで予約できません。とりあえず、その日は薬を飲んで寝ていました。翌日には熱は下がりましたが、PCR検査が必要です。インターネットで、予約なしで受け入れてくれる診療所を探し夫の運転で連れて行ってもらうことにしました。受付開始直後に行ったのに、エレベーターを降りると行列が。受付はすぐにできましたが、診察は1時間待ちと言われ、承知して待っていました。若い人が多く、みな黙って整然と並んで待っています。こんなとき、スマホは暇つぶしにうってつけですね。私も電子書籍のおかげで助かりました。1時間待って問診2分程度でしょうか。風邪の症状があるので、保険適用でPCR検査をして終わり。市販薬をそのまま飲み続けてよいということで薬も無しでした。万が一陽性の場合は保健所から連絡が行きますとのこと。検査結果自体は、配布されたQRコードを読み込んで、パスワードを入力すると翌日の正午以降閲覧できます。待ちに待った結果は陰性。抗原検査キットの結果とも矛盾しませんでした。最近では、発症2日目から9日目までについて抗原検査キットの検査結果と、PCR検査の結果はほぼ一致すると言われています。私のような軽症者は、例えば抗原検査を複数回行うとかもう少し簡便な方法でもよいのではないかと思った次第です。夫も仕事に行かれたのではないかと思いました。ところがです。この出勤停止、思わぬ幸運でした。夫ももちろん抗原検査を家で行い、陰性でしたので喜んでいたときに電話が。なんと、松本の家のガス給湯器から水が漏れているというのです。普段留守をしていることを知っているので、ご近所の方が知らせてくださったのです。松本は連日、最低気温が-10℃を下回る寒さが続いていました。人が住んでいないと家は冷え切っています。しかも給湯器もかなり古いものでしたから、寒さで凍結、破裂したのでしょう。とりあえず、夫の妹に止水栓を止めるなどの処置をしてもらい翌日、急遽松本に行くことになりました。昼過ぎに着いたのですが、外にある給湯器からは「つらら」が下がっていました。家に入ると、温度計が0℃を表示しています。ガスストーブを点けても、すぐには温度が上がりません。給湯器が壊れているので水道からは氷のような水しか出ません……。ホテルに滞在して、今後の予定を設備屋さんと相談したりして一旦は帰京となりました。というような状態でしたから、夫が家にいて助かった次第なのです。なぜ熱が出たのか、よく分かりませんが軽い風邪だったのでしょう。むしろ一人で松本にいる間に給湯器が壊れたり発熱したりしていたら、きっともっと困ったことになっていたことでしょう。そう考えると、この発熱の顛末、幸運以外の何物でもない気がします。すべてに感謝です。読んでくださった皆さまにも幸運がありますように。
2022.02.04
コメント(0)
ブログをさぼっている間に、すっかり腰痛も治りました。でも(ここは逆接続が正しいのだろうか?)歩くことは続けています。お気に入りの場所は雑司ヶ谷霊園。最近は週2回は通っています。ここに行くまでに目白崖線と呼ばれる高台に向かって坂を上がります。なんと22%という急勾配です。ふつうは‰ですが100mで22mも高くなるのです。この坂が実はお気に入りの「のぞき坂」です。アニメ『天気の子』にも登場します。昨年の春頃はマスクをして普通の速度で上ると、心拍数が一気に上昇、最後は息も絶え絶えになるほどで、人がいないのを確認してからマスクを必ず外しました。でも今は、ちょっときついなと感じる程度。もちろん若干の息苦しさはありますが、信号待ちをしているうちに戻ります。今は速度を落とさず歩くのを目標にしています。目白通りに向かう上り坂は他にもいくつもあって、その日のコースや気分で「のぞき坂コース」「富士見坂コース」「その他」(名前を知らない坂を通る)をチョイス。こうして雑司ヶ谷霊園へと向かいます。最近は霊園を散歩する人も増えましたし、雑司ヶ谷霊園マップなどもあり著名人のお墓には「先客」がいることもあります。でも私は平日に行くことが多いので、結構のんびりお墓をめぐります。夏目漱石、小泉八雲、永井荷風、竹久夢二、大川橋蔵、荻野吟子、東郷青児、中浜万次郎(ジョン万次郎)ect.それに「ケーベル先生」と久保勉、羽仁もと子のお墓もあります。ここ雑司ヶ谷霊園にはキリル文字が刻まれた十字架の墓碑も多くあり異国の地で埋葬された彼/彼女たちは、どんな思いで最期を迎えたのだろうといつも考えていました。墓所は人生を考えさせてくれる場所でもあります。あるとき、ケーベル先生のお墓の近くに「久保勉」という名前を発見。しばらくは誰なのか分かりませんでしたが『ケーベル博士随筆集』の訳編者であることを思い出したのです。勉は「まさる」と読みます。『ケーベル博士随筆集』は、かつて持っていた本でしたが所在不明のため古書を購入。お墓参りをして昔読んだ本に再度会えるのは「不思議なご縁」などと勝手に思い込んで楽しんでいます。羽仁もと子のお墓参りをしてから、彼女が創設した自由学園明日館まで足を延ばすのもお気に入りコースです。戦火を奇跡的に免れたフランク・ロイド・ライトの建築を外から見学。貸し切りでなければ、有料で中の見学や喫茶も楽しめます。夫は今年で仕事を退職するつもりでいます。後任が見つからないのに、すでに松本に帰る気満々……。今年が東京暮らしも最後かもしれないので今のうちに、密を避けつつ、いろいろ楽しんでおこうと思います。
2021.04.05
コメント(0)
カズオ・イシグロの、ノーベル賞受賞後初の小説です。翻訳も出ていますが、私はkindleで(英語で)読みました。英語が得意というわけではありませんが、英語で読むのは好きなので苦労しながらも1週間ほどで読み終えました。電子書籍が便利なのは、分からない単語をすぐに調べられることです。この機能ゆえに電子書籍を購入していると言っても過言ではありません。(「読み終わるまで3時間」とか、いらぬお節介も焼いてきますが)主人公はKlaraという名前のAF(Artificial Friend つまりはAI)ですが、この物語は彼女が一人称で語る形式をとっていて、Klaraは外の世界を「見る」ことで「考え」、記憶し、学習していくわけです。最初に書いたとおり私は英語は好きですが決して得意ではありません。でも、苦労して読み終えたこの本に関して言えば英語で読んだほうがしっくりくるという極めて稀な経験をしました。翻訳が悪いわけでは、もちろんありません。ただ英語で読んだときに思い浮かべた情景が日本語だと「ちょっと違う」印象だったということです。この理由は自分でも分かりません。あえて表現するとしたら、英語と日本語では聞こえてくる声が違うというか……。英語と日本語の語順の違いから受ける単なる「印象の違い」なのかもしれません。とはいえ、私にとってはとてもおもしろい体験でした。(そういえば、映画って声だけで吹き替えかどうか 分かることがありますよね?あの感じに近いかも。)Klaraと、彼女をAFとして選んだJosieとの生活の中でいろいろなことが起ります。私たちが考えなくてはいけない様々な事柄です。健康、家族、人間関係、愛情、社会、環境……。さらには「生きる」ということそのもの。Klaraのピュアな思いや、Klaraの目を通して見える人間の表情、感情がストレートに伝わってくる作品だと感じました。英語が好きな方には、原文で読むことをお勧めします。カズオ・イシグロ著『クララとお日さま』
2021.03.24
コメント(0)
点滅する歩行者用青信号を見て、横断歩道を走って渡りました。走って渡るのは、何もこれが初めてではありません。ところが最後に、ズキンと腰に響く痛みが。かかとで着地してしまったのか、原因はよく分からないのですがともかくも整形外科のお世話になることになりました。なぜならその夜、普段はめったに起きないのに目が覚め、トイレに行こうとしたのですが、痛みのため立ち上がるのに5分はかかったからです。懸案事項はただ一つ。「次のバドミントンまでに治るかな」でした。レントゲン検査をして、下された診断は「年齢による脊椎の変形があり、いわゆる『すべり症』のなり始めですね。 仙腸関節にも炎症があるようです。 湿布と痛み止めを出します。 電気療法とリハビリをしましょう。」「スポーツはどうですか?」「痛みがなければ構いませんよ。」もちろん、その日からスポーツを再開したわけではありません。3日間薬を飲み、湿布の併用で痛みは治まりました。その間、リハビリで教わった体幹トレーニングをなんとか続けていましたが4日目からは、トレーニングも苦にならなくなりました。以前、「体を動かさないと腰痛は治らない」と聞いたのでストレッチや歩くこと(散歩程度)は続けていました。腰痛に関しては、様々な書籍が出ています。その中で信頼できると思ったのはこの本です。谷川浩隆著『腰痛は歩いて治す』谷川先生は松本市内でクリニックを開業されていて評判も良いので義母をそこへ通院させようかと思っていました。ただ、いつも混んでいるので他の医者に行っています。大まかな内容のはリンクでお読みいただけますが一番印象的だったのは「腰痛でしてはいけないことは 何をしてはいけないかを考えること」という言葉です。骨の変形については「誰しも少なからずあるもの」と言い切っています。それを理由に歩かないのは、かえって良くないとも。(緊急に手術が必要とか、そういう例はもちろん別です)とにかく一歩を踏み出すことが肝心です。「歩くのがいいと分かっているんだけどねぇ」「ほんとうに効果あるのかしら?」「時間がなくて」「寒くてねぇ」歩かない理由はたくさんあります。私も毎日元気いっぱいに「歩くぞ!」と出かける訳ではありません。「今日はどうしようかなぁ」と思うこともしょっちゅうです。歩かない日もあります。でも「とにかくちょっと出てみよう。」と、一歩出ると気持ちも変わります。アプリを使って歩数を確認すると、ゲーム感覚で楽しめたりします。他の人も頑張っているし、私ももう少しだけ歩こうかな、と励みにもなります。痛み止めの薬に懐疑的な人も多いかもしれません。でも、ずっと続けるわけではありませんし、本書では、そんな薬についての疑問にも答えてくれています。私自身、痛み止めが効いて、ほんとうに楽になりましたから。家での体幹トレーニングとストレッチ、それにウォーキングをリハビリと並行して実施しましたのでリハビリも3回行って「卒業」になりました。今では「月20万歩」を目標に歩いています。(インターバル速歩も併用中)バドミントンも再開しました。(間に合った!)特に原因が特定されず、長いこと腰痛にお悩みの皆さん、この本を読んで、一緒に一歩踏み出しませんか?
2020.12.20
コメント(0)
立秋を過ぎてますます暑くなったこの頃ですが皆さまお変わりなくお過ごしでいらっしゃいますか?「コロナ禍」が日常的に使われ、その日常も「新しい日常」と形容詞がつくようになりました。松本にいる義父母は施設に入居していますから私が松本に行かなくても心配はないのですが、実家の母には、毎日電話で安否確認をしています。家の中の温度を常に確認しているようなのでそれほど心配はしていませんが、高齢ドライバーでもあるのでむしろ事故がなかったとか、転んでいないかとかその点の確認をしています。私自身、家にこもりがちになりますが近くに図書館があるので、せっせと通っています。1時間ごとに30分の換気と人の入れ替えがあるので時間を確認しないと待ちぼうけを食うことになりますがこれも「新しい日常」。すっかり慣れました。さて最近読んだ本で面白かったのはエッセイです。(ここに紹介する以外に十冊以上の本を読みましたが 「取りあえず読んでみた」ものは記録しません。)檀ふみ著『父の縁側、私の書斎』新潮社この中で「表札はどこへ行った?」という文章を読んでいて「そうだったんだ」と気づいたことが。サザエさんの漫画の中で、ワカメちゃんが受験生に表札を渡すシーンがあります。きょろきょろと人目をはばかって持ってくるのですがそれを見たくだんの受験生がびっくり。「勝手口」と書いてあったからです。私はこれを受験に「勝」つためかなぁと思っていました。はっきり言って、この漫画の意味がよく分からなかったのです。ところが檀ふみさんのエッセイに「表札が受験生のお守りになるという『まじない』は、 どこへ行ってしまったのだろう。『いやぁ、表札を 盗まれちゃってね』という話を、とんと聞かない。」とあるではないですか!そういうことだったんだと、胸のつかえが取れました。ワカメちゃんは本物の表札と勝手口のそれの区別がつかなかったというオチだったわけですね。エッセイには、どうして表札を盗むと受験に受かるのかについては言及されていませんから、まじないの根拠はいまだに謎ではあるのですが。閑話休題。エッセイに戻りましょう。檀ふみさんの文章は好きです。適度に硬い言葉も交えつつ、ユーモラスな表現も。彼女が暮らした家と、家族にまつわる話がたっぷり書かれています。私自身は生まれてこの方、同じ家に12年住んだのが最長で父の転勤やら夫の転職やらで、引っ越し続きでしたから家に対する愛着というものはそれほどありません。でも、家族の思い出ということを考えると確かに、ある種の懐かしさはあります。愛着はないと思っていた家ですが、家と家族を考えさせてくれるきっかけになったような気がします。まだまだ暑さも続きそうですね。どうぞ皆さま体調を崩さないよう、お気を付けくださいませ。
2020.08.21
コメント(0)
岩波書店から昔の新書が電子書籍になって「新発売」されています。この本は(紙で)ずいぶん前に購入しました。実家か松本か、どちらかの家にあるはずなのですが不明です。(たまに実家に行って「こんな本あったんだ!」と まるで宝探しのような気分を味わっています)外出自粛の折から、図書館で借りてきた本も全部読んでしまい、(今のところ今月いっぱい図書館も休館)東京にある本はさほど多くなく、本に若干飢えていました。と言いつつも、書店も、まぁ今行かなくてもいいかなと……。そんなときに懐かしい本を電子書籍で見つけた次第です。田中美知太郎著『ソクラテス』岩波新書ソクラテスは、なぜ毒杯を仰がなければならなかったのか。プラトンの『ソクラテスの弁明』に詳しく書かれていますがそのほかの著書も交え、詳細に考察していきます。1956年に書かれた本なのですが、古さを感じません。印象的なのは、ソクラテスがそれを信じていたために異端視されたとされるダイモンについての文章です。著者はホメロスの文章について次のように述べます。 ギリシア人の世界というのは、いつもこのようなダイモンの介入のある世界 だと言うことができるだろう。(中略)われわれが自制と呼ぶ心理を、むし ろ外的な出来事として考える、古人の考え方を反映しているのであって、詩 人が単独に考え出した文学的虚構とは言われないであろう。オリュムポスの神々の支配に先行する擬人化される前の最も原始的な宗教的対象だったと考えるわけです。そして ギリシア人が神々やダイモンと共に住んでいたのは、われわれがわれわれの 言行や意識を、コンプレックスやリビドで説明したり、あるいは社会の構造 や階級対立の関係によって、決定されると考えたりするのと、あまり違って はいなかったのである。そしてわれわれの方が、どれだけ賢明であるかとい うことも、少なからず疑問であるように思われる。ダイモンや夢や前兆、神託といった古代的な言葉は今の私たちの考えにそぐわないかもしれません。でも、インターネット上には○○占いとか今日の運勢とかスピリチュアルな情報も多々見受けられます。神社仏閣にも私たちは足しげく通います。ソクラテスをめぐる世界は、日本人にとっては受け入れやすいもののように感じます。著者は、この本の中でソクラテスの死の意味を様々な角度から考察します。彼の生きた時代は大きく世界が変化したときでもありました。 ペリクレス時代の自由と寛容の精神は去って、戦争と内乱による 不寛容の党派が支配しつつあったのである。神託により知者と言われたソクラテスでしたが、なぜ神はそのように答えたのかと、それをソクラテスは知ろうと考えます。彼は問答を重ね、知恵があると思われている人々が、実際にはそうではないことを次々と暴露していきます。それも本人にそのことをしっかりと分からせるような容赦のないやり方で。シレノスにたとえられる醜悪な外見と内面の美しさのギャップもまた市井の人々の反感を買うことになってしまいました。ソクラテスにとって、生きることはどんなことでありまた死とは何であったのか。心に深くしみこむ文章がつづられています。
2020.05.22
コメント(0)
インターバル速歩を実施しています。前述の著書にQRコードがついていて、それを読み込むことで無料体験アプリをダウンロードできます。なお、無料体験版には「会員になるには」という表示があるのですが「NPO法人 熟年体育大学リサーチセンターへお問い合わせください」という表示が出るだけで、その場で会員にはなれません。お問い合わせもなんだか面倒なので、そのままです。それでも、体力測定と3分ごとの合図はしてくれるので早歩きとゆっくり歩きの目安にはなります。ただし、スマホはポケットに入れず腰の高さに固定しておく必要があります。今年の年始めからウォーキングをしていて月の半分は8000歩以上歩くことも継続しています。毎回このインターバル速歩を実行しているわけではありませんがそれでも、健康診断や病院での血液検査の結果を見ると今までの数値がかなり改善されていました。12月の後半に健康診断をしたせいか(?)LDLコレステロール値が若干高めになっていたりなぜかリュウマチが疑われる結果が出ていたりしていました。そういえば朝、指が開きにくくなることが稀にあるかなぁ・・・?でも、朝食の準備をしているうちにはなくなっていましたから健康診断の前は、更年期の症状かも・・・くらいに思っていました。実際、1時間以内にこわばりの症状が消えれば更年期のせいと聞いたこともあります。それなのに、リュウマチって・・・?1月になってから恐る恐る再(精密)検査を受けましたがその頃には、すでに3週間以上運動を継続していました。精密検査の結果は、リュウマチの件も含め問題なしということになりました。LDLコレステロール値も改善していました。もちろん、これが全てインターバル速歩のお蔭かどうかは分かりません。でも、インターバル速歩を取り入れながら歩くことで数値が改善したことは事実です。バドミントンをしても疲れなくなりましたし、筋肉痛もほとんどありません。歩数計測のアプリは、この他にも、いくつかスマートフォンに入れています。目標や達成率などが可視化されるので、今日も頑張ろうという気持ちになります。およそ2か月のウォーキングですが、今のところウォーキング(インターバル速歩)は健康増進に効果があるということを実感しています。
2020.02.27
コメント(0)
昨年、夫の手術で仕事を辞めて以来、「二度と就職はしない」と決めました。東京と松本を往復する予定も、自分の都合で決められます。ひまな主婦を決め込んで、毎日気ままに暮らすのもよいかも。でも、たっぷりある時間は、やはり大切にしなくてはいけません。そこで思い立ったのが運動です。近所で行われているバドミントンの講座に参加するようになったのですが月に2回、2時間という緩さが決めてです。でも、練習内容はバドミントンですから当然ハードです。何回か通ってみて、体力の低下を実感しました。今までは筋肉通になっても2日あれば回復したのに今回は長いときで4日も続きました。そこで始めたのが体力向上のためのウォーキングです。せっかくなら効果的な方法をと思い、本書を参考にすることにしました。著者は「インターバル速歩」を提唱し昨年退官された信州大学の先生で、NHKの番組などでも取り上げられたので、ご存知の方も多いと思います。能勢 博著『ウォーキングの科学』 10歳若返る、本当に効果的な歩き方「10歳若返るなんて、眉唾じゃない?」と思われそうですがこの10歳というのは体力年齢で、筋力、持久力そして最大酸素消費量の測定値から計算された数字です。科学的なエビデンスに基づいている内容なので、信頼できると思います。また、具体的な歩き方の紹介やQ&Aも掲載されていますので実施するにあたっての疑問も解決するでしょう。そもそもインターバル速歩というのは、早歩きとゆっくり歩きを3分ずつ交互に行う歩き方のことです。たったそれだけ、でも続けることが大切です。本書によると運動に適した時間というのは筋肉が最も柔らかくなる、午後3時から6時の間だそうです。怪我のリスクが低くなるわけですね。でも、事前のストレッチなどをしっかり行えばそれ以外でも大丈夫だそうです。実践編は第2章からで、第1章には専門的な内容も含まれていますが高校時代の生物の授業を思い出すような内容ですから最初から読み進めることをお勧めします。実践するにあたっての理解度が深まります。目次はじめに第1章 体力とはなにか 1-1 実感、体力向上効果 1-2 体力とはなにか? 持久力/筋力(①筋収縮力 ②筋持久力) 1-3 運動時のエネルギー源 コラム1 乳酸は疲労物質か 1-4 体力が落ちると生活習慣病になりやすい!? 体力の加齢性変化/体力と生活習慣病の関係 1-5 運動トレーニングによる持久力向上メカニズム 運動の指標「最高酸素消費量」/心臓の位置と一回心拍出量/ 運動と筋血流量そして血液量 1-6 血流量増加による体温調節能向上メカニズム 熱中症予防のために備わった驚くべき体のシステム/進化と体温調節 1-7 何歳からでも体力アップは可能 1日1万歩は体力アップになるか?/体力向上トレーニング方法の国際標準とは (①持久性を高めるトレーニング ②筋力を高めるトレーニング ③中高年者 はトレーニングを明確に区別する必要はない)/マシンを使ったトレーニングは、 なぜ普及しないのか第2章 効果的なウォーキング「インターバル速歩」とは 2-1 体力向上はウォーキングで十分だった! 2-2 体力向上が加齢による症状を改善する ①生活習慣病を改善する/②気分障害も改善する/③睡眠の質も改善する/④認知 機能も改善する/⑤関節痛も改善する/⑥骨粗鬆症も改善する 2-3 インターバル速歩と炎症反応を引き起こす遺伝子 2-4 さあ、インターバル速歩をやってみよう インターバル速歩のやり方/インターバル速歩のやり方の根拠/インターバル速歩 のやり方でよく受ける質問 コラム2 「1日1万歩」はなぜ推奨されてきたのか!? 2-5 インターバル速歩を継続するためには インターバル速歩定着率と効果/定着率に与える因子(①性別 ②肥満度 ③”ず くなし”遺伝子の発見) コラム3 ”ずくなし遺伝子”を研究したきっかけ 運動を継続するために本当は必要なこと(①自己比較 ②他者比較 ③コミュニ ティの育成)/生活習慣病は伝染病か第3章 「インターバル速歩」をより効果的にする科学 3-1 インターバル速歩とサプリメント 3-2 インターバル速歩の後に乳製品を摂取すると・・・・・ 筋肉が太くなる/慢性炎症を抑制する/生活習慣病の症状が改善する 3-3 「インターバル速歩+乳製品摂取」で、さらに驚きの効果が 皮膚血流量を増やす/血漿量の増加と体温調節能 コラム4 ヒトの体温調節と熱中症発症メカニズム 3-4 スポーツドリンクと乳製品を使い分ける 3-5 インターバル速歩のリハビリテーションへの応用 腰痛・膝痛の人にもできるインターバル速歩/水中インターバル速歩が楽なメカニ ズム/大腿骨頭全置換術では/要介護者のためには/がんの発症予防になるか/がん患 者の生活の質の改善効果 3-6 インターバル速歩の普及のために コラム5 インターバル速歩のビジネスモデルおわりに 謝辞 巻末付録 インターバル速歩の開発背景付 表 インターバル速歩の実施記録表参考文献・出典さくいん運動は、仲間ができるとよいらしいのですが、私はひとりで歩いています。自分のペースで歩きたいのと、周囲に一緒に歩ける人がいないからですが友だちに「今こんな運動をしている」と報告したりしています。彼女もジムに通ったりしているので、お互い励みになるのです。また、「今日は松本城に登城しようかな」とか「漱石のお墓参りに行こう」など、小さな目的を決めるのも楽しみです。どうしても時間が取れなくても大丈夫。1週間で「早歩きの合計時間」が60分になればよいのだそうです。買い物や出勤など、分割してもOKなら、できそうですよね?老若男女みんなが笑顔で歩き続けられたら素敵ですね!
2020.01.10
コメント(0)
年末から年明けにかけて、スポーツ番組が目白押しでしたね。サッカーやラグビー、駅伝、ボクシング、テニスetc.わが家でも、夫が連日スポーツ番組を見続けていました。子どもが小さければきっと私もイライラしたことでしょうがさすがに夫婦を30年以上続けていると、諦めの境地です。たまの休日ですしね。「私は2階で本を読んでいるね」でおしまい。とはいえ、たまには一緒にテレビを見ます。それで気がついたのが変な日本語。サッカー中継でアナウンサーが「○○(選手の名前)が足をつっています。」。「え?! 足『を』吊っている?嘘でしょう?」画面には足「が」つってしまった選手の姿が・・・。この場合の「つる」は自動詞ですから助詞は「が」でなくてはいけません。「を」を用いるなら「足をつらせています」とか表現を変えなくてはならないはずです。普通、何かを「つる」(他動詞)と言ったら「吊る」か「釣る」ですよね?足を釣っていたら、なんだか怖い光景が浮かんでしまいます。ひとしきり、そんな話をテレビの前で夫としていましたがアナウンサーは再度同じ言葉を発していました。誰か注意してあげたほうがよいのではないでしょうか・・・?
2020.01.09
コメント(0)
台風による災害の復興を後押ししようと開かれている「信州復興支援マルシェ」が、本日最終日というので行ってきました。昨日までのぐずついた天気と打って変わって今日は快晴。でも、最高気温が10℃と、東京にしては寒かったです。東京と松本を行ったり来たりしてはいますが親の用事やいろいろな雑事に追われ、今まで支援は寄付のみでした。ボランティアも難しいですし、こんなイベントでもないと応援もできません。野菜や果物、それと日本酒を購入しました。私は日本酒は頂きませんので、これは夫のためです。これからさらに寒くなる季節、被災地の皆さんには体に気を付けて乗り越えて頂きたいです。
2019.11.29
コメント(0)
長野県上田市を走る上田電鉄別所線の橋です。車の中から撮影しました。 台風の影響で橋が落ちた様子が、連日報道されましたね。これは10/25の写真ですが復旧の目処は立っていないようです。 現在、別所線は別所温泉駅と下之郷駅を往復運転しています。下之郷駅と上田駅の間はバスによる代替輸送が行われています。地元の足として欠かせないので、何とか運行を再開してほしいものです。 水害は、いつでもどこにでも起こり得る災害です。災害に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。そして私は、この赤い橋を見るにつけ、明日は我が身と思うのでした。
2019.10.28
コメント(0)
小倉孝保著『100年かけてやる仕事』 中世ラテン語の辞書を編むプレジデント社100年かけてやる仕事って?中世ラテン語の辞書を編むことって、タイトルを読めばわかるのですが、なぜ100年?なぜ中世ラテン語?と疑問がわいてきます。簡単に言ってしまえば、イギリスにおいて中世ラテン語で書かれた文書の研究に使える辞書がなかったから作らざるを得なかったということです。そして、この本はその作成に携わった人々から話を聞いて書かれたドキュメンタリーなのです。ラテン語と聞いて私たちがすぐに思い浮かべるのは古代ローマで使われていた言葉ということ。ローマの遺跡にはラテン語の銘文が刻まれています。『ガリア戦記』『スキピオの夢』なども有名ですね。また、現在でもローマ法王がラテン語で語るのをTVを通して聞く機会もあります。でも著書の中で説明されているとおりラテン語は長い歴史の中で変化してきました。紀元前7世紀ごろに生まれたとされているラテン語は「アルカイック・ラテン語」と呼ばれ紀元前3世紀から2世紀ごろに生まれたラテン語は「オールド・ラテン語」と呼ぶことが多いそうです。その後「古典ラテン語」が登場し、それ以前のラテン語は「古ラテン語」と呼ばれるようになったようです。そして「中世ラテン語」は、西ローマ帝国滅亡後、各地の言語の影響を受けながら使い続けられた言葉なのです。言葉ですから当然、変化していきますよね。ラテン語が生きながらえたのには理由があって、共通語としての役割を果たしていたからです。ヨーロッパ各地の言語は様々でも、「ラテン語なら通じる」という状況だったのですね。でも、意外ですが中世のラテン語に関しては辞書というものが英国には存在しませんでした。それがなければマグナ・カルタの正確な研究もできないというわけで、準国家プロジェクトとして『英国古文献における中世ラテン語辞書』を完成させたのです。始めの頃は、中世ラテン語で書かれた文献から手作業でスリップ(言葉のカード)を作成しました。この作業には「ワードハンター」と呼ばれる一般市民のボランティアが欠かせませんでしたが彼らの奮闘ぶりが本書から伝わってきます。ワードハンターが集めた言葉は、編集現場で原典に当たり確認するという作業を経て辞書に掲載されます。これをAからZまで集めるのですから気の遠くなるような作業です。まさに100年がかりのプロジェクトなのでした。自分が生きている間には完成しないかもしれない作業を「そこに携わることができた」という満足感と誇りを支えに続けた多くの人々がいたこと。見返りを求めず黙々と作業をする人々。地震その他の災害現場でのボランティアの方々の活動に通じるものがあるような気もします。著者は彼らの言葉を冷静に伝えている上、いろいろな立場からのインタビューも試みているので読んでいて好感が持てます。終盤には日本社会についての考察もあり興味深かったです。余談ですが、サザエさんの漫画に選挙の時期に大工の棟梁(らしき人)が街宣車で回る候補者を、川柳で冷やかす場面があります。候補者は落選続きなので「今回は何とかお願い!」という気持ちを漢詩で返すという粋な一コマなのですが、とても印象的です。(正確な内容は本が手元にないので引用できません、ごめんなさい)この本を読みながら、ふと思い出したシーンでした。すぐに役に立つ学問ばかりが学問ではないということ、古典を学ぶことの意味、ラテン語を知ることの意味、そして日本語のルーツを大切にすることの意味など多くのことを考えさせられた1冊でした。目次はじめに第Ⅰ章 羊皮紙のインク第Ⅱ章 暗号解読器の部品第Ⅲ章 圧力との戦い第Ⅳ章 ラテン語の重要性第Ⅴ章 時代的背景第Ⅵ章 学士院の威信をかけて第Ⅶ章 偉人、奇人、狂人第Ⅷ章 ケルト文献プロジェクト第Ⅸ章 日本社会と辞書第Ⅹ章 辞書の完成おわりに
2019.07.24
コメント(0)
夫の心不全の手術は、症状が重いことから開胸術となりました。大動脈弁の置換、僧帽弁の修復、必要に応じて置換必要に応じて三尖弁の修復という最大3つの手術です。必要に応じてというのは、検査だけでは分からない部分があるので実際に見てから医師が判断するとのことでした。手術前日には約1時間の説明を受けました。病気の概要から始まり丁寧な説明を受けることができるのは当たり前のように思いますが、患者としてはありがたいことです。インフォームドコンセントの概念が広く普及したおかげですね。その話の中で、執刀医がなんと夫の高校の後輩と分かり思いっきりローカルな話題で盛り上がりました。たぶん夫は、それだけでかなり安心したと思います。医師の人柄はもちろんですが、同郷というのもなにか人の心を開かせるものがあるのかもしれません。迎えた手術の当日。予定は午後1時からでしたが前の手術が長引き、2時からの開始となりました。結婚して川崎に住んでいる娘が、休みを取って来てくれました。(偶然ですが、娘の上司のお父様が少し前にほとんど同じ手術を 受けたとのことで、休むよう促してくださったとのこと。 こちらもありがたいことです。) 夫が手術室に向かうのをエレベーターまで見送ってから医師が報告に来てくれるまで、4時間程度。娘とおしゃべりしている間に手術は終わりました。2時間半から3時間で手術すると言ったその言葉どおり2時間半で手術は終わりました。説明の時と同じ笑顔と「無事に終わりましたよ」の言葉に感謝しかありませんでした。夫にとっては、麻酔が覚めてからの痛みなどのほうが大変だと思いますが手術が無事に終わって、ほんとうにホッとしました。それほど心配はしていなかったと、自分では思っていたのですが(私が手術を受けるわけではないですし マルクス・アウレリウスを愛読しています)翌日の朝、久しぶりによく眠れた気がしました。手術でよくなるとは言っても、病気にならないにこしたことはありません。また、近い将来、高齢者がさらに増え心不全のパンデミックが起ることも危惧されているようです。これを機に、私も食事の内容と塩分には気を付けようと思います。
2019.07.09
コメント(0)
三谷幸喜さんの作品が好きです。図書館でふと目に着いたこの本は著者の松野さんがインタビュアーとして聞いた内容を1冊の本にまとめたものです。松野大介著『三谷幸喜 創作を語る』講談社インタビューですから、まず読みやすい。そして三谷幸喜さんですから、笑える。制作裏話的な内容も盛りだくさんです。三谷さんと言えば『古畑任三郎』や『笑の大学』『真田丸』など大好きな作品が多いのですが、『新選組!』だけは「なぜ新選組?」と思いながら見ていました。というのも、私は個人的に新選組は好きではないからです。でも、この本を読んで謎は解けました。(どうぞ、中身でご確認ください)この本を読んだ後、しばし三谷作品に浸りました。『12人の優しい日本人』『ステキな金縛り』『大空港2013』 この映画、なんと信州松本空港が舞台だったとは! 小さな空港で、飛行機もあまりいませんし(なのに大空港??) 何より高地にあるので天候に左右されやすく離着陸が難しいそうです。三谷幸喜作品が、ますます楽しみになりました。
2019.07.07
コメント(0)
夫は、心臓機能が回復するまで入院し、いったん退院しました。再入院まで、自宅療養がおよそ3週間続きました。その間、献立作りに役に立ったのがこちらの本です。『弱った心臓を守る安心ごはん』その昔、女子栄養大学の通信教育を受けていたこともあり雑誌もよく買っていました。内容が偏っていなく、科学的な分析がなされているのでここで出している本は間違いないと思えます。心不全の療養と言ったら、塩分と水分の摂取制限に尽きます。病院では8gの塩分だとのことでしたが我が家では、この本にあるとおり、6gを目標にしました。ちなみに、こちらの本は水分量までは制限していません。「水分制限のある方は医師と相談」するように書かれています。予防的に食事を見直してみようかなという方にもお勧めです。醤油や味噌の塩分量をメモした紙を冷蔵庫に貼り調理のたびに計量スプーンできっちり計ります。家庭科の授業のようで最初は(!)楽しかったです。食材を買うときには成分表示の「食塩相当量」をチェック。表示の無いものは買わないようにしました。たぶん、毎日こうして養生されている患者さんは世の中にたくさんいらっしゃるんでしょうね。そういう方々には申し訳ないのですが、夫が再入院した時には、正直、ホッとしました。必要量のタンパク質と野菜を摂取しかつ塩分を1食あたり平均2gに抑える食事を毎日3回作らなくてはいけなかったのですから。(私には大仕事でした。)この本には市販のお惣菜を使った料理も紹介されています。鶏のから揚げを使った甘酢和えなどは、簡単にできて助かりました。今日はなんだか疲れちゃった・・・というときの味方です。再入院した後の血液検査の結果を見て、看護師から「ちゃんと管理されていたのですね」と言われたときは、報いられた思いがしたものです。たいていの人は、帰宅すると数値が悪くなってしまうのだそうです。大人になると、あまり面と向かって褒められることはないのでちょっとうれしい出来事でした。この本のお蔭です!
2019.07.01
コメント(0)
息子夫婦が宝塚に住んでいて、何度か阪急電車に乗りました。チョコレート色の電車が大好きで、武庫川の上を通る鉄橋から宝塚大劇場が見えるとこの年になっても、なんだか胸がきゅんとします。宝塚ファンではない私でも、大劇場の周辺は十分楽しめます。今年、バウホールの公演を見に行ったのですが花のみちに、ちょうど桜がちらほら咲き始めた頃でした。桜と宝塚大劇場と阪急電車。そして武庫川にかかる鉄橋を渡るあの電車の姿は、ほんとうに愛らしいと思います。で、『阪急電車』を読んでみました。有川浩著『阪急電車』幻冬舎文庫駅名が連なる目次にまずびっくり。「あー、知ってる!この駅」(実際の駅名なのですから、知ってるも何もないのですが)鉄道ファンならずともワクワクします。そして物語が次々に連なって展開してゆくのですが見ず知らずの人と言葉を交わすという体験がとてもうらやましく思えました。行きずりの人と話をするなんて、最近では考えられません。たまには隣に座った赤ちゃんと微笑みあうことはありますが(私は赤ちゃんや小さい子どもとよく目が合います)お母さんのほうが知らん顔なのでもうそれで赤ちゃんをあやす機会は失われます。別に知らない人と積極的に話がしたいわけではないのですが電車の中は人を観察するのに不足はない場所です。もちろん観察は相手に失礼にならないよう、控えめ目にですが。ところで私自身、阪急電車の中ではなく小田急の電車の中でカウンセラーと自称する人から声を掛けられ彼女が降りるまでの約40分間、話を聞いたことがありました。話を聞くことの多い仕事だから、誰かに話したくなったのかなと思いましたがゆっくり本が読めるからと各駅停車の電車に乗ったのにほとんど読めなかったことも含め、印象的な出来事でした。印象的といえばもうひとつ。高校生らしき女子生徒が何人かで話をしていました。近くで本を読んでいたのですが会話が何となく耳に入ってきます。1人の生徒が何か言った後、「・・・ありし・・・」「・・・ありにし・・・」と言ったきり言いよどんでいます。古典の勉強をしていて、言葉を探しているのかなと思ったとき「なきにしもあらずだ!」と叫びました。「あり」と「なし」がごちゃごちゃしたのでしょうね。なんてかわいいのだろうと思いつつも、吹き出しそうになり本で顔を隠しました。電車の中は楽しいです。
2019.06.22
コメント(0)
病気で休んでいた職場に復帰したものの、わずか1か月で結局退社することになりました。なんと夫が心不全で入院することになったからです。さすがに試用期間の2度目の延長はなく、あっさり辞めさせられました。でも、いつ復帰するかなど気をもむ必要もなく今回は気楽に東京に帰れます。ただ、義父母には内緒にしています。心配性の義母に聞かせたら、義母も心不全になりそうですから。最近は、少し長く東京にいると「誰か具合でも悪いの?」とか勘繰られるので月に一度は顔を見せに行っています。まだ私の通院もあるので、それに合わせて義母の医者の送り迎えをする予定です。さて、夫の心不全ですが、何度かクリニックに行っていたのです。でもそのたびに「どこが悪いの?」といった感じの対応だったそうです。実際、心電図には特に異常は出ず、血液検査にも問題ありませんでした。2月に健診を受けた際にも「心雑音もない」と言い切った医師でしたが、今かかっている病院の医師に言わせると「ちゃんと聞いていたのかな」とのこと。しかも、BNPという心不全の判断材料となる検査さえしていたらこんなに悪くならなかったはずとのことでした。つまり夫は、手術できる状態ではないと言われ心臓の機能が回復するまで入院することになったのでした。こんな話を聞いて、気持ちとしては複雑ですがおとなしく入院して回復してもらうしかありません。退屈しのぎに本を届けることにしました。藤森照信著『増補版 天下無双の建築学入門』ちくま文庫夫は建築士で、藤森さんを尊敬しています。私も夫と一緒に何度か講演会に行っています。しかも縄文時代が大好きだという点においては夫より「私のほうが藤森さんに近い」と自負しております。講演会での軽妙な語り口そのままの文章なので建築に興味のない方でも楽しめます。
2019.06.09
コメント(0)
療養中、誰にも会わず本が好きなだけ読めたのはむしろラッキーだったと言えます。でも、寝ながら本を読むのは意外と疲れます。椅子に座って読むのも疲れるし、だんだん自分が怠け者になってゆく感じがしました。そんなとき、NHKの「100分de名著」でマルクス・アウレリウスの『自省録』を取り上げているのを見たのです。TVはあまり見ないのですが、この番組だけはお気に入りで都合がつく限り再放送を見ていました。『自省録』は名前だけは知っています。マルクス・アウレリウスも、名前は知っています。ローマの五賢帝の一人。でも、私が知っていたのはその程度でした。塩野七生さんの『ローマ人の物語』では「終わりの始まり」の副題の巻で取り上げられています。(ついでに言いますと、表紙に使われている マルクス・アウレリウスの像についての逸話も この本に紹介されています。なかなか興味深いです。)ローマ帝国の衰亡がここから始まったというわけです。そして、時の皇帝は『自省録』を執筆。執筆といっても、この本の特徴は全くプライベートなメモだということです。出版を前提に書かれたわけではありません。自らの信条を誰か他者に向かって説くのでも、困難な事態を解決するために必要なノウハウを誰かに伝えるのでも、全くない。たんに備忘録です。「今日考えたことを忘れないうちに書いておこう。 ギリシア語で。」という感じだったのかもしれませんね。ただ、視線はいつも自分に向けられているということ、自己の内面を常に心にかけていること、(ソクラテス流に言うならば「魂を善くすることだけを考える」 といったところでしょう)それが読み手の胸を打ちます。ソクラテスの生き方が、彼の目指す姿であったこと。私がこの本を座右の書としたいと思ったのは、まさにその点においてでした。(まあ、始めから読まなくても問題ないし パッと開いたページから何か啓示を受けるかもしれないという 気楽な読み方もできるというのも魅力で、 主眼は実はそこにあったりもしたのですが。)マルクス・アウレリウス著 神谷美恵子訳『自省録』岩波文庫『自省録』はソクラテスの生き方をお手本にした、その実践に関する手引書と言えるかもしれません。禅の思想にも似た考え方がそこかしこに現れ、驚くとともに心地よさをも感じることができ自分の病気もすんなりと受け入れられる思いがしたのでした。そして、取りあえずは治療に専念し余計なことは考えないことにしました。 すべての出来事は、君が生まれつきこれに耐えられるように起るか、 もしくは生まれつき耐えられぬように起るか、そのいずれかである。 ゆえに、もし君が生まれつき耐えられるようなことが起ったら、ぶつぶついうな。 君の生まれついているとおりこれに耐えよ。しかしもし君が生まれつき耐えられぬ ようなことが起ったら、やはりぶつぶついうな。その事柄は君を消耗しつくした上で 自分も消滅するであろうから。もっとも自分の身のためであるとか、そうするのが 義務であるとか、そういう考え方次第で、つまり自分の意見一つで、耐え易く、 我慢しやすくできるようなものもあるが、このようなものはすべて君が生まれつき たえられるはずのものであることを忘れてはならない。(第10巻より)ちなみに「君」とはマルクス・アウレリウスのこと。自分自身に向かって書かれている言葉だからです。
2019.06.05
コメント(0)
バセドウ病の診断を受け、自宅療養に入りました。東京に行くのも大変な状況でしたし2週間後に病院の予約もありましたのでしばらくそのまま松本で過ごすことにしました。2階が私の部屋で、1階での食事の支度も大変でしたが、薬が効き始めるとだいぶ楽になりました。とはいえ必要最低限の外出しかできません。仕事も休み、寝ているだけの暮らしには本が友達です。買ったまま積んであった本を読むことに。塩野七生著『十字軍物語』新潮文庫十字軍遠征とはどのようなものだったのかを再認識しました。これが侵略以外の何物でもないと言ってしまうのは簡単ですが歴史とは社会情勢や為政者の姿勢で、つまりは人々の思惑で動いていくものなのだということを再認識した次第です。人々は常に正しいと思うことを行っているのでしょうが結果は必ずしもそうではないことの見本のような出来事です。歴史を学ぶ意義は、そこにもありますね。
2019.06.04
コメント(0)
総合病院を紹介してもらい、訪ねた医師は私の顔を見て一言。「バセドウ病に間違いないね。顔を見ればすぐにわかる。」・・・え?バセドウ病といえば「目が出てくる」という特徴がありますが必ずしもすべての人がそうだとは限らないようです。私の場合、それほど顕著ではなくというか「本当にバセドウ病なの?」というくらい鏡を見ても、その特徴は現れていません。脈は1分間に120くらいあって、真冬なのに暑く思えることはありましたが(更年期の症状と思ったりもしたのです。)顕著なのは、その程度でした。医師はPCに私の症状を打ち込んでいきます。病歴をメモしておいたのを渡してありましたのでそれを丁寧に入力しているのです。ふと、ディスプレイの「顔つき」の文字が目に留まりました。私のメモにはない言葉です。「顔つきがするどい」これか!一目でわかるバセドウ病の特徴って。笑いをこらえるのに必死でした。医師はPCに入力する手を止め、急に振り向いて質問するからです。確かに腹痛のせいで2㎏ほど体重が落ちました。きっと、そのせいなのでしょう。でも、するどいって・・・?その日LINEで早速友人にそのことを伝え、夜、夫との電話でそれを話題に大笑いしました。きっと「げっそりした」とは失礼で書けなかったのでしょうねというのが、友人や夫が出した結論でした。さて、その頃、私は夫の両親の医者の送り迎えがあるので松本に滞在することが長くなっていました。夫の両親は施設に入居したものの、空き家にしておくことはできません。生活の本拠地は東京ですので、私が単身赴任しているような状態でした。松本には縁もゆかりもなく、友達もあまりいないので、いっそ松本で仕事を見つけようと、就活していました。「月に一度1週間帰京する」という条件がネックになっていて採用してくれる企業は、なかなかなかったのですがシフト制を採っている会社に、ラッキーなことに就職できました。3か月の試用期間を経て、本採用になるという条件でした。私の病気が分かったのは、仕事の研修が始まったばかりの出来事でしたので、解雇かなと覚悟しましたが、試用期間が延長されることになりました。当然お給料はなく、家で静養する日々が始まります。
2019.06.01
コメント(0)
前々回の、早起きは三文の徳という記事。実は意外な事実が隠されていました。この頃から何となく体調が芳しくなく、図書館までのたった1kmの道のりで息切れするようになりました。「マスクをしているせい?」(インフルエンザ予防)とか「速く歩きすぎた?」(前を歩いている人を普通に追い抜く速度)とか考えをめぐらしてみても答えは否。いつもと大して変わりません。もしかして貧血かと思い、鉄剤のサプリを服用することに。しかしながら2週間続けても効果がなく、1月になって思い切って内科を受診しました。心臓の病ではないかと不安がよぎったからです。が、血液検査の結果、甲状腺機能亢進症の疑いがあるとのこと。いわゆるバセドウ病です。脈が速く、夜眠れないことが続き、といって昼間眠くなるわけでもなかったので大したことはないと思っていたのですが、治療が必要な病気でした。総合病院を紹介してもらい、服薬治療を続けています。4か月が経過し、薬の量は4分の1に減りました。自己判断は危険ですね。バセドウ病の症状はよく知らなかったのですが「常に走り続けている状態」と表現されるように脈が速くなり、手が震え字がうまく書けなくなる、電車で立っていると脚ががくがく震えるなど思い起こすと生活に支障のあることばかり。特に腹痛は激しく、外出できなくなりました。早起きも、実は「眠れない」ことだったのです。慧眼の医師のおかげで、すぐに治療を開始できました。かかりつけのお医者さんがいるって大事ですね!
2019.05.31
コメント(0)
年賀状を出す人が減り続けているそうですね。SNSで手軽にコミュニケーションが取れる時代ですからわざわざハガキを買って書いて出すのは面倒なのかもしれません。私は今でも年賀状を出しています。子どもが小さかった頃は、家族全員の名前を書いてお決まりの子どもの写真を載せていました。でも、いつの間にか自分の年賀状には自分の名前だけを書くように。枚数も少ないのですが、大事なお友達です。(親戚には夫の名前と連名で出します。 余計な心配をかけないためです。)とはいえ「お友達」に含まれない小学校のときの担任の先生も入っています。私が小学生の時の担任の先生ですから、もう、おいくつなのでしょう???きっと街ですれ違ってもお互いに分かりませんね。PCで写真を選んで並べるだけのお手軽年賀状ですが、最後に一言コメントを書くのが楽しみです。相手の顔を思い浮かべて書く短い手紙。一年に一度のあいさつでも、何となく心温まるものです。今年届いた年賀状がきっかけで、ほんとうに久しぶりに会えた友達もいました。神奈川で一度会い、穂高で再会。こんなことがあると、やはり年賀状は大切に思えます。LINEやメールでつながっていなくても年賀状でつながっている友達もいいなぁと思うこの頃です。
2018.12.17
コメント(0)
このところの暖かさで、東京から松本に戻っても寒さを感じません。朝、キッチンに降りてきて温度計が10℃を上回っているなんて12月だということを忘れてしまいます。今朝は、その暖かさのせいなのか分かりませんが4時に目が覚めました。11時に寝たのに・・・。いつもなら二度寝するところですが、今朝は眠くなりません。それに寒くないので起きることに。ふと、東の窓が気になってカーテンを開けてみると、明るい光が!東の空に、揺りかごのような三日月形の月が金星と一緒に見えているのでした。「三日月形」というのは、こんな時間に東の空に出ているのは「三日月」はないからです。新月になる三日位前の月です。そんな細かいことはともかく、こんな光景を見られたことに感謝しました。早起きは三文の徳と言いますが、三文どころか十(テン)文(天文)の徳。おあとがよろしいようで。
2018.12.04
コメント(0)
暦の上では立秋を過ぎ、「残暑」に変わったものの「危険な暑さ」は続いていますね。酷暑のこの夏、まだまだ油断はできません。松本でも避暑地という雰囲気はなく、毎日普通に暑いです。先月は駅前の温度計が40℃を表示するのを目撃しました。直射日光が当たるので、2‐3℃高めに表示されるようですが標高が600mでも盆地の昼間は暑いと実感した次第です。でも、先週東京から戻ると涼しく感じました。最高気温が32℃ぐらいですと、「普通の夏」の感覚になりますね。先日は早々とコオロギが鳴き始めたのを聞きました。日中は相変わらずセミの大合唱でにぎやかですが寿命を終えたセミも、たくさん見かけるようになりました。こんなに暑くても季節は確実に移り変わるものですね。昼間の時間も13時間44分になりました。こんなに暑くて大変なこの夏ですが、この暑さと乾燥のお蔭なのか今年は蚊が少ない気がします。さらには雑草が少ないです。植物にとっても過酷な環境なのかもしれませんが草取りの回数が激減したことで、密かに猛暑に感謝してしまいました。(このままずっと秋まで蚊が少ないといいな!)残暑厳しき折り柄、どうぞ皆さまご自愛くださいませ。
2018.08.09
コメント(0)
暑いので、天窓を開け放して寝ていました。今朝の未明の出来事です。家の近くからネコの鳴き声が聞こえてきました。それが、ミャーオーウーと、音程が上がっていきます。(絶対音感がないので音は書き表せません。)すると、別のネコが呼応するようにオーミャー♪声は似ていますが、別々に発せられた声であることは分かります。2匹で愛の歌を歌っているのでしょうか。穏やかに鳴き交わしています。「ネコって歌うんだ。 知らなかった。」さすがにハモってはいませんが楽しそうな歌声に聞こえます。しばらく感心して聞いていましたが時計を見ると3時半。「別のところで歌ってよ。」と言いに行こうかなと野暮なことを考えましたが、まだ外は暗いし止めました。ネコと一緒に歌おうかと、さらに野暮なことも考えましたがネコに「変な人間」と思われるのもシャクですし万が一早起きの人に聞かれて「変な人」と思われるのはもっと嫌ですので、こちらも止めました。そうこうしているうちに私もまた眠くなりネコの声もだんだん小さくなっていき2匹で丸まって寝ているのかなと思いつつ・・・気がつくと6時。今度聞こえてきたら録音しようと思っています。
2018.07.22
コメント(0)
長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産がめでたく世界文化遺産に登録されたのは記憶に新しいところです。キリシタン信仰というと、弾圧を受けても信仰を捨てなかった人々の姿を想像し例えば遠藤周作の『沈黙』の司祭ような苦悩する印象を与えます。(もっと古いところでは、ローマ皇帝ネロによる弾圧と虐殺なども。)でも、この本はちょっと違っています。そもそも、当時の信者はキリスト教を本当に理解して自分たちの信じていた神や仏を捨ててまでキリスト教を信じたのか。著者の30年以上のフィールドワークから導き出された結論はこの予想を覆すものでした。詳しくは、本書でお楽しみください。潜伏キリシタンとは、きわめて日本的な現象だと思います。そして、宗教が人を救うためのものであるならばこのようにして生き残ってきた潜伏キリシタンの人々の思いは世界文化遺産に登録される価値のあるものだと思うのです。潜伏キリシタンは何を信じていたのか [ 宮崎 賢太郎 ]価格:1836円(税込、送料無料) (2018/7/19時点)目次第一章 夢とロマンのキリシタン史第二章 キリシタンに改宗するとは 第三章 改宗後のキリシタン信仰の姿第四章 潜伏時代のキリシタン信仰第五章 創作された二つの奇跡 -バスチャン伝承と信徒発見の新解釈ー第六章 再生した復活キリシタン第七章 潜伏キリシタンからカクレキリシタンへ第八章 カクレキリシタンの神とは第九章 復活キリシタン教会とその信仰第十章 日本ではなぜキリスト教徒は増えないのか
2018.07.19
コメント(0)
ニュースでは、一日中、避難情報が伝えられています。特別警報が出されるなど、緊迫した状態が続いていますね。被災された方々には、心よりお見舞い申し上げます。元の暮らしに一日も早く戻れることを願っています。関東甲信地方も、梅雨明けしたのに逆戻りのような天気。私が今いる松本市内は、雨は降っていますが大したことはありません。松本の人は「ここは災害がなくて助かる」と言います。確かに山に囲まれた地形は、台風の被害なども受けにくいようです。でも、何日も続いて雨が降ると、ふだん災害が少ないことがかえって油断につながることはないのかな・・・と気になっています。最近は「思いもよらなかった」災害が増えていますから。7月の雨というと、私は St. Swithin's Day を思い出します。7月15日(もしくは2日)がその日なのですがこの日に雨が降ると40日間降り続くという言い伝えがあるそうなのです。中学生だった頃、ちょっと厚い英語の辞書を買ってもらいました。中学生にはあまり縁のない単語がたくさん収録されていましたが私はその付録が目当てで買ったのでした。辞書の終わりに英米の文化や暮らし、歴史を紹介するページが付録として付いていたのです。不規則動詞の活用とか文法の解説もあったと思うのですがその記憶はほとんどありません。でも、歳時記的な記載はとても興味深くThanksgiving Day, Christmas Day の翌日の Boxing Day など日本とは全く違ったカレンダーを飽きずに眺めたものでした。甘くないピーナッツバターがあることを知ったのも、この辞書のおかげ。しかも、マーマレードやジェリーと一緒に食べるなんて・・・。オートミールなども、昔話には出てきますがどんなものか分からず「憧れの食べ物」でした。今から思うと笑える話ですが、当時は海外など無縁でしたからこの辞書は、私の想像力を刺激してくれました。St. Swithin's Day も、その付録の中に記載がありました。語感が「水神」に似ていて、伝説が雨に関係するなんてなんて日本的なんだろうと思ったことを覚えています。(もちろん日本とは関係ありませんが。)40日間も雨が降り続くなんてノアの大洪水のようです。この日数には、自然への畏怖の念が込められているのかもしれませんね。ちなみにノアの洪水伝説のもとになったと言われる、ギルガメッシュ叙事詩ではウトナピシュテムがギルガメッシュに6日6晩雨が降り続いたと語ります。眠らずに話を聞かなくてはいけなかったのに眠気に負けてしまい永遠の命を手に入れることができなくなる、印象的な場面です。まだしばらくは雨も続くようです。どうぞ皆様、お気をつけて。
2018.07.06
コメント(0)
本書の著者、三田さんは素粒子物理学者であり、またカトリック教会の助祭でもある方です。その立場が示すとおり、科学と神について決して対立するものではないと書いています。私も科学は好きですし、神の存在も全く否定はしていません。ですから、どんな内容なのだろうと、非常に興味がありました。帯に「読めばわかる。」小柴昌俊さんも推薦と書かれていたのも、手に取るきっかけになりました。著者が断っているように、この本は科学者の立場から読者を宗教に勧誘するものではありません。しかもブルーバックスのシリーズですから、どちらかと言えば科学のほうに重心があると言ってよいと思います。私は子どもの頃カトリックの幼稚園に通っていて(お行儀がよくなるという理由で入園させたと、母から聞きました)(ついでですが、引っ越したため弟はお寺が経営する幼稚園でした)クリスマスなどの行事や、聖書は「お話として」好きでした。小学校に上がって以降、お祈りの言葉は忘れてもなぜか守護天使はずっと信じていて、仰向けに寝ると天使がつぶれるのではないかと心配するような子どもでした。歴史の中で多くの宗教の「闇」の部分を知るようになるとだんだん宗教を「悪いもの」と感じるようになります。過去の科学の発展を阻んできただけでなく、現代においても原理主義という過激な思想があったり宗教を隠れ蓑にする凶悪な団体も現れたりもしましたね。でも、心のどこかでは神の存在を信じています。名前はなんであれ、この世を作りたもうた神。直接的なご利益は無くても信心の対象となる神。そんな私にとって本書は共感できるものでした。「神を信じることは思考停止ではない」という言葉は特に印象的です。著者の立場上、キリスト教のみを対象としていますが神と科学は対立するものではないという言葉が、宗教間の対立をも超えて世界の平和へと誘うものになったらどんなに素晴らしいだろうと思います。三田一郎著『科学者はなぜ神を信じるのか』講談社ブルーバックスもくじはじめに第1章 神とはなにか、聖書とはなにか 第2章 天動説と地動説 ――コペルニクスの神 第3章 宇宙は第二の聖書である ――ガリレオの神 第4章 すべては方程式に ――ニュートンの神 第5章 光だけが絶対である ――アインシュタインの神 第6章 世界は一つに決まらない ――ボーア、ハイゼンベルク、ディラックらの神 第7章 「はじまり」なき宇宙を求めて ――ホーキングの神終 章 最後に言っておきたいこと ――私にとっての神参考文献さくいん
2018.07.05
コメント(0)
私が初めて付けた香水はシャネルのNo.5でした。甘い香りに包まれた感覚は、今でもかすかに覚えています。父がアメリカに視察旅行に行った際、お土産に買ってきてくれたものでした。たぶん、父はこの香水しか知らなかったのだろうと思います。父が亡くなった今となっては、なんだか香水もある種、郷愁になりつつあります。新しく出たNo.5は、ロー(水)という名のオードトワレ。私はデパートで手に入れましたが、楽天でも買えるようになりましたね。夫は柑橘系のパヒュームやオードトワレをつけますが一緒にいても香りが喧嘩しなくて良いように思います。実はゲランのラ・プティ・ローブ・ノワールを私自身がアメリカに行ったときに「あなたに似合うわよ」と販売員に勧められて購入しました。私はこの香りが大好きなのですが、これだとちょっと甘すぎかなと思われる方には、シャネルのローは良いかもしれません。私も、気分や行く場所によって使い分けています。ちなみに香水は「好きな香り」を選ぶのがポイントだそうです。【送料無料】シャネル NO.5 ロー 50ml EDT SP [CHANEL オード トワレ 香水 フレグランス]価格:10980円(税込、送料無料) (2017/8/21時点)
2017.08.21
コメント(0)
鈴井貴之さんの作・演出によるOOPARTSの演劇を観てきました。タイトルが「天国への階段」、孤独死と特殊清掃員の物語というちょっと重いテーマでしたからチケットの購入には迷いました。基本的には喜劇を観に行きたいのです。義父母との暮らしが常態化していてそのこと自体がストレスになりつつあるという今、嫌なことは笑い飛ばしたいので。でも、軽妙な台詞回しのおかげでコミカルな舞台になっていてその中にもほろりとする場面があり、よかったです。最後にはスタンディングオベーション。会場全体が感動を共有できて心に残りました。松本には初めていらっしゃったとのことでしたが、またぜひ公演してほしいです。
2017.08.19
コメント(0)
北野さんも、ずっと前からのファンです。児童文学に限らず、書かれた作品の背景を知ることは北野さんと同じように、私もとても興味があります。そこに登場するお菓子やお料理にも同じように背景があり旅行先で味わった食べ物が、日本では同じものでも味わいが違うように感じるのと同じでその土地の景色、空気、音などが影響しているのだと感じます。この本の中にはレシピも紹介されています。お馴染みのスコーンやジンジャーブレッドなどが載っていますが私が一番興味深かったのは、シードケーキです。確かクリスティーの『バートラムホテルにて』にも登場しました。思った通りキャラウェイシードが使われていますがぜひとも作って物語のティータイムを楽しんでみたいと思っています。物語のティータイム お菓子と暮らしとイギリス児童文学 [ 北野佐久子 ]価格:1944円(税込、送料無料) (2017/8/10時点)目次ティータイムを始める前に物語の舞台となった場所ライオンと魔女 白い魔女の魅惑のお菓子、ターキッシュ・ディライト レシピ ターキッシュ・ディライトたのしい川べ プラムケーキは春の香り レシピ プラムケーキ秘密の花園 ムアにはぐくまれる豊かな食生活 レシピ ダービシャー・オーツケーキリンゴ畑のマーティン・ピピン 焼きリンゴは恋の味 レシピ アップル・クランブルクマのプーさんプー横丁にたった家 パンにハチミツ、紅茶でイレブンジス レシピ ハニー・バナナマフィンツバメ号とアマゾン号 ピリッと懐かしいシードケーキ レシピ シードケーキ時の旅人 エリザベス朝時代のハーブ香るタイムファンタジー レシピ レモンポセットピーターラビットの絵本 イギリスの食の伝統が息づくプディングやパイ レシピ ローリー・ポーリー・プディングトムは真夜中の庭で 心を明るくするクリームたっぷりのスコーン レシピ スコーンくまのパディントン 手作りマーマレードは温かい家庭の証 レシピ マーマレード風にのってきたメアリー・ポピンズ さりげない魔法で日常を彩る、心優しきナニー レシピ ジンジャーブレッドブックリスト
2017.08.10
コメント(0)
めざせ達人!英語道場 教養ある言葉を身につける (ちくま新書) [ 斎藤 兆史 ]価格:799円(税込、送料無料) (2017/8/8時点)個人的には、まったく関わりがないのですが斎藤兆史さんを勝手に「師」と仰いでいます。(スミマセン)著書は何冊か持っていますし、英語の本を読むことも続けています。こちらは、その斎藤さんの最新版新書です。斎藤兆史著『めざせ達人!英語道場 ――教養ある英語を身につける』ちくま新書この本を一読しただけで教養ある高度な英語が即座に身につくと思われては困るが、本書にかかれていることを地道に、丹念に実践すれば、そのような英語が徐々に身についてくる。まえがきにある著者の言葉です。日本語でもそうですが、教養ある人の言葉は聞いていて気持ちのよいものです。相手のことを思いやる気持ちが、使う語彙にも現れるからでしょうね。英語を話すときの「教養」というのはどうしたら身につくのかそれを教えてくれるのが本書です。一番重要なのは、まずはここに書かれていることを実践することです。テクストとして用いる本も紹介されていますから独学で勉強するのに良い手引書です。私も早速、洋書を3冊取り寄せ、毎朝1時間と決めて読み始めました。以前に購入した文法書も利用しています。高校生の頃をちょっと思い出しつつ、夏休みの課題のような気分を味わっています。目次まえがき第1章 教養ある英語とは何か ――映画と文学を手がかりに『ブリジット・ジョーンズの日記』/ジェイン・オースティン『高慢と偏見』/自由間接話法(描出話法)/ハリー・ポッターの自由間接話法/雑な英語?/教養ある英語の使い手となるための基本的な心構え コーヒー・ブレイク1 映画の隠し味としてのパロディ第2章 道具と下準備勉強道具と環境・日課を整える/辞書/読み教材/学習帳・筆記帳(ノート)と筆記用具/英文法書/CD/DVDプレーヤー/視聴覚教材/情報機器/環境と日課 ◆居残り学習――第1章を手強いと感じた読者のために コーヒー・ブレイク2 英語教材としてのクリスティーの推理小説第3章 読み解く――単語・文法学習まずは小手調べ/構文解析(parsing)/単語帳の作り方と語彙力増強法/学習英文法ふたたび ◆発展問題 コーヒー・ブレイク3 疲労と空腹を救った教養?第4章 聴き取る――聴解学習「聴き取れない」ということ/英語の音に慣れる――発音の勉強、聞き流し/書き取り(ディクテーション)と速読/何が聴き取れないのか/全体を聴くか、細部を聴くか/英語字幕速読練習/読解学習とインターネット動画の視聴 コーヒー・ブレイク4 多芸多趣味という教養の形第5章 発信する――作文・会話学習イギリスのラジオ番組とジャイルズ・ブランドレス/論理的に話すための作文学習/話題を増やすための作文学習/想定問答英文集/自伝を書く ◆発展学習 コーヒー・ブレイク5 出来過ぎた話第6章 実地で試す教養を試すための実地とは何か/一般的な心がけ/職場やコミュニティの英語係を志願する/英語教師の自己研鑽/英語教師の文法学習/英語を専門的に用いる人たちへのアドバイス/ロッジ解読ふたたび コーヒー・ブレイク6 戦闘モードの英語あとがき解答・解説・和訳参考文献
2017.08.08
コメント(0)
本題に入る前に…。初めてアフィリエイトというものに挑戦してみた前回のブログでご購入いただいた方があり、びっくりしつつ感謝です。ありがとうございました。購入しないまでも読んでくださった皆様にも、もちろん感謝しております。お読みいただき、ありがとうございます。さて、マリー・アントワネットの次に登場するのはポンパドール侯爵夫人です。私は展覧会でブーシェの絵を見て好きになりました。名画に一目ぼれというのは、この絵とレオナルド・ダ・ヴィンチの「岩窟の聖母」の2枚だけです。(このルーブル・バージョンに描かれた天使!)(ついでに、もうひとつ言いいますと、天使の横に座っているのが ヨハネだと、私は常々思っているのですが…。)ポンパドール侯爵夫人については、賛否両論ありますね。彼女が野心家であったことは認めるにしても個人的には「美しく教養がある人」というイメージです。「政治に口出しをした」ことを非難する向きもありますが世が世なら国政でリーダーシップを発揮できていたのではと思います。(「人は見たいものしか見ない」のは私も同じですね)そのポンパドール侯爵夫人が言ったといわれている言葉が「女性がいくら飲んでもその美貌を失わせないのはシャンパンだけ」。シャンパンに対する最高の誉め言葉ですね。「いくら飲んでも」と言われても、庶民にはたまにしか飲めないお酒です。でも、最近は安いお酒を10回我慢して、シャンパンを1回飲みたいと思うようになりました。ところが、こちらは本物のシャンパンが3本で8618円(税込)。しかも送料無料です。おいしかったので、10回我慢する前に禁を破って再購入です。お盆でみんなが集まるので<例外>があってもいいかな。別料金がかかりますが、暑い時期なのでクール便がおすすめです。【送料無料】【ワインセット】<第16弾>シャンパン3本セット! ※送料無料のまま、あと9本(合計12本)まで一緒に送れます。【※結婚祝いや誕生日などのギフト・プレゼントにも!】【沖縄・離島は別料金加算】
2017.08.08
コメント(0)
マリー・アントワネットは、日本人が好きな歴史上の女性ですね。ベルばらの影響もあるのかもしれませんが、展示会があると、たくさんの人でにぎわいます。優雅で華やかで悲劇的な最期を遂げたけれども最後まで気品を失わなかったというエピソードにも心を打たれるのかもしれません。そんなマリー・アントワネットが愛したお菓子がクグロフでした。この特徴的な型に入れて焼く以外、特別なデコレーションもなく、むしろ地味な印象です。でも、しっとりとした味わいは材料の良しあしで決まるのですからほんとうは贅沢なお菓子なのかもしれませんね。パリ21区というショップで見つけたこのクグロフ。京都のお菓子屋さんですが、20区あるパリの21区目を自負するネーミングが素敵です。一切れお皿の上に乗せたら、お気に入りの紅茶を入れてその日のティータイムの話題はマリー・アントワネットですね!【お中元】【サマーギフト】クグロフ プレミアム ギフト プレゼント 贈答 贈り物 ご進物 土産 引き出物 祝い 結婚式 ウエディング 誕生日 パーティー ティー コーヒー カヌレ バウム パウンドケーキ 甘さ控えめ しっとり 女子会 焼き菓子 フランス菓子
2017.08.05
コメント(0)
新宿三丁目に向かうメトロプロムナードを歩いていたら映画のポスターが目に留まりました。エミリ・ディキンスンの文字も。両手に荷物を抱えていたので「岩波ホール」を記憶して電車の中で上映時間をチェックしました。16:00からの上映に、今なら間に合います。明日は松本に戻らないといけないので見にいくなら今日しかないのです。夫も外で飲み会なので、さっさと遅いお昼ご飯を済ませて出かけました。「映画を見に行ってます」とメールするのも忘れずに。ローソンでチケットを購入して会場へ。ちょっとお得に購入できましたよ。岩波ホールは初めて行きましたが、いい感じです。松本には市街地に映画館がなく、郊外のシネコンに行かないと見られません。車で30分くらいかかるでしょうか。市民芸術館は、建物も催し物も良いと思うのですが、ちょっとノスタルジックな映画館があったら、もっといいのに。閑話休題。エミリ・ディキンスンはご存じのとおりアメリカを代表する女性詩人です。その人生に対するオマージュともいえるこの作品は「静かなる情熱」が示すとおりの静かで美しい映画です。女性が詩を書くことが自由にできなかった時代、魂をこめて言葉を紡ぎ出していった彼女の詩は後世の人々に多くの影響を与えました。いくつかの詩が映画の中で朗読されていますからそれを楽しみに見に行かれるのもいいですね。ところで、少し前に偶然本屋さんで見つけて『THE POEMS OF EMILY DICKINSON』という研究社で出している本を購入しました。注釈付きの英語版です。映画の中に登場する詩も含まれていますので場面を思い出しながらそれを読むという、新しい楽しみが見つかりました。楽天ブックスで電子版が無料で読めるようです。 ↓The collected poems of Emily Dickinsonバーバラ・クーニーの絵本に『エミリー』があり、私も持っていますがエミリ・ディキンスンと少女の、心の交流の物語です。(岩波ホールのカウンターでも販売していました。)中学校の朝の読み聞かせで、この絵本を紹介したことなどを思い出して、なんだか懐かしく心温まるひと時を過ごせました。
2017.08.02
コメント(0)
縄文時代は、なぜか心惹かれます。ユニークな土器や、土盤に描かれた顔など博物館で眺めるのが好きです。また、黒曜石を使って精巧に作られた鏃などは芸術品のような美しさを持っています。その「縄文」がタイトルにある本は基本的には手に取ってみることにしていますがこの本は、今までとはちょっと違っています。なにしろケルトと比較するというのですから。松木武彦著『縄文とケルト ――辺境の比較考古学』ちくま新書目次はじめに第一章 非文明の景観1旧石器時代から新石器時代へ 氷河の終わりと定住の始まり/人類史における環境要因/新石器「芸術」の発展/危機を乗り 切る二つの道2世界遺産を訪ねて 遺跡の歩き方/エーヴベリー周辺の記念物群/さえないルックスの重要遺跡――ウィンドミ ル・ヒル/謎の遺跡/コーズウェイド・エンクロージャーの正体/遺跡の再利用/五六〇〇年 前の石室/死者たちの会所/巨大な土木建造物/歩みと巡りのまつり/悪魔と新石器時代記念 物/謎の大円丘「非文明型」社会の本質第二章 死者世界を旅する1ロング・バロウの世界 エーヴベリーからの旅立ち/丘陵の石室墳/十字架形石室の好例/日本人考古学者の疑問2巨石と図文 ウェールズのパワースポット/巨石をめぐる論争/臨死体験と石室墳3北への旅 森と入江の石室墳/荒野の積石塚/死者の長屋/在地化した羨道墓/石室墳 の二系統/放射性炭素革命第三章 「先ケルト」から縄文へ1北辺の世界遺産 羨道墓発達の極致/世界遺産の羨道墓/生者の家と死者の家/真冬のまつり/最北のストー ン・サークル2往来と交流の舞台 メキシコ湾流が洗う島/集いの象徴/新石器の航海者たち/南北交流の接点/ストーン・サー クルと磨製石斧3太陽と季節のまつり 完成型としてのストーンヘンジ/ストーンヘンジの仕掛け/縄文の太陽4生と死の円環 北のサークルとヘンジ/盛土と貝塚/貝塚の本質/遺骸をめぐる儀礼/非文明の本質第四章 ケルトの基層、弥生の原像1斧と文明 奇妙な積石塚/彫られた斧/斧のシンボル化/文明を開く斧/斧と剣の世界2原ケルトの登場 「ストーンヘンジの王」/個人と階層の演出/酒のきずな/鋳物師たちのネットワーク/原ケルトの 広がり/集団から個人へ/文明への敷居3東方の「原ケルト」 東アジアの青銅器/個人を際立たせる墓/縄文から弥生へ第五章 帝国の周縁で1弥生の国々 弥生時代の大集落/国々の発展/市民が守った出雲の国/近畿と東日本の国々/王の出現/王 族の発展2ケルトの部族たち ブリテン島の環濠集落/巨大環濠集落の内部/東の「国」と西の「部族」/環濠集落の変遷/「ム ラからクニ」へそしてローマへ/ウェールズの石塁集落/スコットランドの石造住宅/旅の終 わりに3歴史の分かれ目 ケルトの繁栄と衰亡/「渡来人」とケルト/ケルトと騎馬民族/侵略説への批判/ブリテン島の ローマ化/古墳と民族アイデンティティ/分岐の要因おわりに図版出典一覧引用・参考文献本書の目的は、1.ユーラシア大陸の東西両端にある日本とイギリスの共通性を明らかにすること2.ケルトと縄文の正体をはっきりさせること3.遺跡を巡る旅を楽しむことと著者は記しています。もう亡くなってしまいましたが、私が個人的にとてもお世話になった考古学の先生は、「考古学は歩けオロジー」(archaeology)と言っていました。実際にその土地を訪ねることが大切ということです。著者が足を運んで調査した遺跡の数々は、相当数にのぼります。それらの遺跡の様子を読みながら、ケルトと縄文の共通点を見出すことはとても面白いです。中でもケルトと縄文を「非文明」としてとらえた考察はなるほどと納得できるものでした。もちろん全く同じということはありませんがストーンヘンジなどに見られる精神性という点では、両者は素人目にも似ていると感じます。また、お墓について貝塚と石室墳を比較していますが、イヌなどの家畜や鳥などの野生動物の骨が見つかることなど似ているところがあって興味深かったです。貝塚について本書では、人間のほかにも家畜や狩りの対象となった野生動物や魚などの遺骸を、役目(生命)を終えた印として意図して集め形成した構造物であると書いています。私たちが使う「ゴミ」という概念はなかった時代でした。貝塚=昔のゴミ捨て場という言い方には私も違和感があったので著者のこの言葉は、とくに印象に残っています。二つの「非文明」のどこが同じでどのように変わっていったのかこの本で遠い昔に旅するのも面白いと思います。
2017.07.10
コメント(0)
昨年、骨折した義母が乗り降りしやすいようにと自家用車を福祉車両に買い替えました。お金を出したのは義父ですが、運転手は私しかいないので自分の用事にも、ちゃっかり車を使わせてもらっています。今日はディーラーに用事があって出かけました。あまり馴染みのない場所なので、タイヤ交換のときなどにはいつも担当のセールスマンに車を取りに来てもらっています。でも今日は頑張って自分で運転していきました。ディーラーに行くのはこれで3度目ぐらいですが、ナビは以前通った道とは違う道を指示します。「へ~、こんな道があるんだ」と初めて通る道にびっくり。「ここにつながっているんだ」と、新しい発見もありました。でも途中で結構混んでいたため、到着予定より10分ほど余計にかかりました。用事を済ませて帰路につく際、自宅を目的地に設定して運転開始。あれ?来た道と違うね・・・。ナビの言うとおりに進むのですが、知らない道です。・・・ねえ、ここはどこ?自宅に行くんだよね?もちろんナビは黙っています。・・・ねえ、私が道を知らないからって遠回りさせようとしていない?・・・遊んでいるでしょう??もちろん、ナビは無駄口をたたきません。ここはどこ?ほんとうにこの道?間違っているんじゃないの?自宅って言っても東京じゃないからね。運転しながらずーっとナビに話しかけていました。(もちろん、一人で運転している時だけですよ。 ほかの人が乗っているときは返事のみです。「右です。」「はいはい。」)以前、別の車で遺跡に行ったとき、どうみても広い道路がすぐ近くに並行してあるのに、田んぼと田んぼの間の道を走らされました。遺跡にはちゃんとたどり着いたので問題なかったのですがそれ以来、私はカーナビゲーションをあまり信用していないのです・・・。それでも、やっと見覚えのある道に出たので一安心。たぶん渋滞情報をキャッチして、すいている道をナビゲートしてくれたのでしょう。最近のナビゲーションシステムは、すごいですね。でも、やっぱり私はナビに遊ばれた気がしてなりません。というか、遊んでくれるナビが欲しいなあと、ちょっと思ったのでした。
2017.07.07
コメント(0)
出雲は昔から好きです。高校の修学旅行で行って以来、再び訪れたいと思いながらまだその希望はかなえられません。昔は巨大建築だったという出雲大社もさることながら小泉八雲ゆかりの地ですし、松平不昧公のお好みの茶菓なども多く心惹かれる雰囲気があふれている感じですね。もう一度訪ねたいです。五月病平癒を出雲の神様にお願いしたわけではありませんが、この本の中にタイムスリップ(逃避?)してきました。村井康彦著『出雲と大和』岩波新書目 次はじめに――備中国惣社にて序 章 三輪山幻想第一章 出雲王国論 1大国主神の分身たち 2磐座祭祀をたどる 3『出雲国風土記』の地政学 4四隅突出墓をたずねて第二章 邪馬台国の終焉 1北九州の古代遺跡を歩く 2邪馬台国はどこにあったのか 3邪馬台国と大和朝廷 4邪馬台国の終焉 5「神武東進」説話第三章 大和王権の確立 1「国譲り」とは何だったのか 2伊勢神宮の成立 3出雲系諸氏族の動向 4出雲系葛城氏の動向 5大和王権と吉備第四章 出雲国造――その栄光と挫折 1国造の世界 2「神賀詞」奏上 3熊野大社 4出雲国造の本拠 5出雲大社はいつ創建されたか 6国造家の歴史に翳り終 章 再び惣社へあとがき年 表索 引出雲の話なのに、最初に登場するのは大和にある三輪山。その近くに大神(おおみわ)神社があり、その三輪山がご神体なので拝殿しかないという神社です。三輪山に祀られているのは大物主神ですが、ここは元々神奈備(かんなび)つまり神の山でした。また山頂や中腹に大きな岩があり、磐座(いわくら)信仰があったことが窺えます。著者は、この山は神奈備と磐座信仰が古層にあってそこに人格神である大物主神が重層したのだと言います。大物主神は出雲の神様。三輪山が最初に登場するのには、ちゃんと訳があったのです。読み進めていくと、いろいろな謎が解明されていく仕掛けです。古事記と日本書紀を比べて考察していきます。さらに著者は邪馬台国と大和朝廷との「非連続説」を展開。全部書くと楽しみがなくなってしまいますのであとはそれぞれお読み頂きましょう。神賀詞を「かむよごと」と読んだり神様の名前など、難しい読み方の漢字がたくさん出てきてちょっと読みづらい部分はありますが(私だけ?)、振り仮名もありますのでご安心を。推理小説を読むようなワクワク感のある本です。この本を読む前に『神奈備 大神 三輪明神』などを読みました。三輪山は、今もなお人々を惹きつけてやまない山なのでしょう。出雲とともに、こちらも見てみたい景色です。
2017.07.03
コメント(0)
5月の連休前に夫と東京から松本に戻り、その後3週間松本にいました。ベッタリ3週間は厳しいなあ・・・と思っていましたら案の定、気分が優れなくなってきました。松本にも友達はいますが、忙しい人ばかりなのでしょっちゅう会うわけにはいきません。メールも愚痴ばかりになりそうで気がひけます。お蔭さまで義父母は元気ですから、特に大変なこともないのですが買い物以外に外に出ることもない毎日。1日3回の食事の用意と後片付け。掃除。雑用。義父はあまりしゃべりませんし、義母がその分一日中しゃべっては義父の世話を焼いています。普通におしゃべりするのはいいのですがニュースを見ているときに、まったく関係のないことを話しかけられると、だんだん生返事になってしまいます・・・。週2日のデイサービスは、私もホッとするのですがあっという間に帰宅の時間になります。外に出る口実だったゴルフの練習も、タバコを吸う人の多さに辟易して行かなくなってしまいました。庭の手入れをするのは楽しいのですが東京に帰っている間に植物が枯れてしまっているのを見ると・・・。こうなるといけませんね。負のスパイラルです。何とか抜け出そうと思うのですが、その思いとは裏腹に心が沈み込んでしまいます。そこで、覚悟を決めて「5月は病気でいる」ことにしました。5月病です。もちろん口には出しません。義父母に対してイライラしたときも心の中で「すみません、私は今、病気です。」。年を取ると動作は緩慢になりますし、忘れっぽくなりますし同じことを何度も繰り返します。私の状態(体調・心)が良いときは何でもないのにちょとしたことが、ひどく気に障ることがあるのです。誰でも年を取るとそうなると分かっていても。たぶん何の評価も得られず、毎日が同じように過ぎていくことへの不満でしょうね。(こんなときは、たとえ評価されたとしても 素直に受け取れないものなのですが・・・。)「私は病気だから仕方がない。」こんなふうに自分を受け入れることにしたら、少し心が軽くなりました。でも、もう5月も終わったことですし、そろそろ5月病ともおさらばしたいところです。他人は変えられない。変えられるのは自分だけ。ちょっと納得です。とはいえ、それでも我慢できなくなったとしたら重症なのでしょうね。次はどこかへ「入院」することにします。
2017.06.05
コメント(0)
全952件 (952件中 1-50件目)