『伸子』の続編。
『伸子』
『二つの庭』 はようやく離婚して経済的に自立生活出来て自由になっても、それが目的とはならないという発見。人間として、何を目的にして生きるのかと悩む伸子が道を開くまで。
伸子の悩みは、大正末から昭和にかかる、まだまだ個人の自由、女性の自由がない時代の苦しみとは思うけれど、経済自立もさほど難しくなく、結婚もしてもしなくても自由、というはずの現代でも、目的を持って生きているとさまざまな障害がある。人間社会の常だ。だから普遍的な苦悶として共感してしまう。
どっぷり宮本百合子の文学世界に浸って堪能できた。この続編も『伸子』同様迫力があっておもしろい。むしろこの続編があるから『伸子』が活きる気がする。
主人公伸子は作家宮本百合子自身をモデルにしている。後に共産党に入党して戦前は投獄され苦しみ、戦後は婦人運動に尽くされたけれど、作家としての作品が素晴らしい。(なにをいまさらといわれそうだけれど)
『二つの庭』で作家となった伸子が志賀直哉の『暗夜航路』やトルストイの『アンナ・カレーニナ』のような小説を書きたかった、と述べさせているのを見てもわかる。とにかく今でも十分読みごたえがある。やはり名作と思う。
『伸子』は岩波文庫で再版されたのを、『二つの庭』は新日本文庫を古本で見つけた。
久しぶりに読書感想を書きたくなった 2025年03月21日
名作とは…『ジェーン・エア』シャーロット… 2024年08月10日
恋愛心理小説の古典 2023年01月30日
PR
カテゴリ
コメント新着
New!
七詩さんサイド自由欄
フリーページ
カレンダー
キーワードサーチ