やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2008年11月07日
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カテゴリ: 読書2024

 よその国なのに選挙結果を固唾を呑んで見守ってしまいましたね、アメリカの大統領選挙の結果をですね。おまけにオバマ氏の勝利宣言までTV中継でリアルタイムに観られました。

 それで演説がうまいというオバマ氏の勝利宣言のすべてを聴いてしまったわけですが、その演説の中に「おや?」と突っ込みたくなるエピソードがあったのです。

 新聞などの演説要約にはありませんでしたので、あやふやなところはありまが、こんな話だったようです。「〇〇州は106歳の黒人のおばあさんが涙ながらに投票してくれた。奴隷制度廃止直後に生まれた彼女の苦しみは思っても思い測れない…云々」という同時通訳でした。涙の場面です。

 106歳、うん?2008年-106年は1902年生まれだよね。そうかその頃のアメリカは奴隷制度廃止の直後なのかと思いました。で、うちの姑さんは100歳で明治の終わり頃に生まれて…とその時代に思いをはせ、ちょっと感動しました。

 ところで、たまたま永井荷風の 『あめりか物語』 (荷風が1903年に行ったアメリカの見聞を元に書いた)を読書中なのですが、その中の 「林間」 にシカゴの公園で行き会った白人の兵士が、ねんごろだった黒人の娘を簡単に捨てる場面に遭遇、人種問題を憂える文がありました。少々長いですが、今を予感しているような明察の文です。

「一体黒人と云うものは何故白人種から軽侮又嫌悪されるのであろう。その容貌が醜いから黒いからであろうか。単に五十年前は奴隷であったと云うに過ぎぬのであろうか。人種なるものは一個の政治的団体を作らぬ限りは如何しても迫害を免れないのであろうか。永久に国家や軍隊の存在が必要なのであろうか……」

 でもわたしは、この文の1903年当時で 50年経った というところにも注目してしまいました。はい、年表を確かめました。リンカーン大統領が奴隷開放宣言をしたのは1863年。 40年経た ということですね。だからオバマ氏の演説で言う1902年は直後ではありませんね。

 まあ、大雑把に言えばそうでもありますが…。もちろん差別の苦しみが大して変わっていないというのは事実でしょう。ただ、あたかも生き証人が感動したというように話を持っていったというところに、うまいなーと思うだけです。演説のカリスマ性かもしれませんね。わたしの勝手な思い込みでしょうか(笑)






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最終更新日  2008年11月07日 09時46分32秒
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yutakarlson  
Yutakarlson  さん
■アメリカの歴史的選択 次期大統領にオバマ氏-時代のキーワードは「金融・経済」から「社会」へ
http://yutakarlson.blogspot.com/2008/11/blog-post_05.html
こんにちは。大方の人の予想通りオバマ氏が大統領になることが決まりました。オバマ氏、ここ当面は金融危機打開策を打つことになると思います。ただし、しばらくして金融システムがおちついてくれば、おそらくブッシュ政権のときにズタズタにされたアメリカ社会の修復に取り組むものとみられます。そのため、ブッシュの頃に比較すると大きな政府を目指すと思いますが、いわゆる福祉国家にかえり咲くことはないと思います。いずれにせよ、ここしばらくアメリカというより、世界の先進国では日本を含めて「金融・経済」がキーワードになっていましたが、アメリカからはじまりいずれ他の先進国でも時代のキーワードが「社会」にシフトしていくと思います。健全な社会ができなければ、実体経済も金融システムもまともなものにはならないからです。詳細は是非私のブログをご覧になってください。 (2008年11月07日 11時03分26秒)

Re:演説がうまい(11/07)  
薔薇豪城  さん
 リアルタイムでオバマ氏の演説を聴けて良かったですね。感動だったでしょうね~。私も聞けばよかった、残念。
 永井荷風って中学生の頃になぜか(子どもは読んじゃいけない)と思いつつ一度も読まずに○十年もたってしまいましたが、立派な人だったんですね。(充分)大人になったので、読みたいと思います。 (2008年11月07日 11時23分07秒)

Re:演説がうまい(11/07)  
msk222  さん
さすがだなー。
僕も、そのくだりを聴いたとき、奴隷解放ってそんなに最近のことだったのかなーと、てっきり自分が勘違いしていたような感覚を覚えました。
つまり、その時点で一定の「権威」を無条件に受け入れてしまっていたのですね。
オバマ氏がディベートのうまさということでは認めますし、彼によってアメリカが健全に再生することを願いますが、大切な場面でこうした作為的な「つくりごと」を見てしまうと、将来へのちょっとした危惧を感じてなりません。
これからの日米の話し合いでも、こうした手法に翻弄され困惑する日本の「次期首相」のようすが見えてしまうようで…。

ばあチャルさんの、なにげないご指摘は実は大きななにかを示唆しているように感じました。
(2008年11月07日 11時53分53秒)

Yutakarlsonさん  
ばあチャル  さん
いらっしゃいませ、コメントありがとうございます。貴ブログも拝見しました。

おっしゃるように次期大統領に決ったオバマ氏の前途は難しい問題ばかり山積みですね。
アメリカの経済や社会機構の不具合、加えて人種、格差が火を噴いているように噴出していますものね。
うまい演説ばかりではスーパーマンのように問題解決というわけには行きません。

政治家には話術(対話)と引っ張っていく(指導力)カリスマ性が必要です。アメリカは未知数のオバマ氏に賭けたわけです。オバマ氏はやりがいがあるでしょう。願わくはブレーン、スタッフに能力のある人が選べるといいですね~。日本にとっても世界にとっても目が離せない状況ですから…。
(2008年11月07日 16時13分13秒)

薔薇豪城さん  
ばあチャル  さん
> リアルタイムでオバマ氏の演説を聴けて良かったですね。感動だったでしょうね~。私も聞けばよかった、残念。

グローバルな世界などとおおげさなことでなく、あたりまえのしかし、おばあちゃんびっくりという時代ですよね(笑)

> 永井荷風って

ほんと、わたしも最近になって俄然興味がわいて…おくてというか(笑)
(2008年11月07日 16時21分02秒)

msk222さん  
ばあチャル  さん
msk222さんも気がつかれましたか。

>つまり、その時点で一定の「権威」を無条件に受け入れてしまっていたのですね。

なるほど。
わたしもアメリカの困っている人たちがすこしでもしあわせになってもらいたいです。オバマ氏がそれに力を注ぐであろうことは疑いません。でもいろいろと難しいだろうとはすぐに想像つきますよね。むしろしたたかな部分もなければいい政治家とはならないのでしょう。また不穏な空気などないよう願ってやみません。

>これからの日米の話し合いでも、こうした手法に翻弄され困惑する日本の「次期首相」のようすが見えてしまうようで…。

うーん、こちらも困ったもんです。ほんとにかけひき(政治、外交)が下手な日本人気質!(えらそうなことはいえませんが)
(2008年11月07日 16時34分55秒)

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