やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2020年11月11日
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カテゴリ: 読書メモ
柴田翔『されどわれらが日々ー』今さらって感ですが、ストーリーを例によって忘却、で、もう一度読むとまあ、こそばゆくなんか気恥ずかしい。

斎藤美奈子さんが『文庫解説ワンダーランド』に「党」だの「六全協」だのの解説ぬきでは現代の若い人にはわからないだろうと書いているが、それはわたしにはないけども(やや同時代なので)でも、革命的暴力にあこがれながらもそこまで没入できない弱さがあったのに、党が路線変更したので肩透かしをされ悩む、なんて言ってる不甲斐ない弱さはわからない。

そんな語り手(大橋文夫)がアンニュイになって大学に戻り普通の就職を目指して、あげく幼馴染と普通に婚約までして、でもなんだかぎくしゃくって、甘ったれもいいところだろう。その婚約者が自立してしまうのは当たり前なんだよ。(婚約者の名は節子!この時代よくヒロインに使う名だよね、と気がつく。例、三島由紀夫『美徳のよろめき』)

『チボー家の人々』のような大河小説で、登場人物の目線が多岐にわたっていれば一場面としてよいのかもしれない。それに構成が自殺と離別の後、手紙で知らせる形式というのは、漱石『こころ』でも無理っぽかった気がするしね。この作品が芥川賞で当時ベストセラー・・・。それでわたしも読んだのだけどね。まあ、作品丸ごと昭和のやわな青春のかたみ。







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最終更新日  2020年11月11日 10時58分31秒
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Re:こそばゆい(11/11)  
七詩  さん
いやにかっこいいタイトルにひかれ、その昔に読んだことがあります。中身は忘れてしまったし、たしか主人公の男子学生とその恋人との議論とも会話ともつかぬやりとりが物語のかなりを占めていたような…。昭和の恵まれた若者たちの青春の一頁といった小説。 (2020年11月11日 22時19分40秒)

Re[1]:こそばゆい(11/11)  
ばあチャル  さん
七詩さんへ

わたしが再読した動機は不純です(笑)
たくさんの蔵書を処分した時に、なんとなく残しておいたうちの一冊で、今回また整理しようとて手に取り、引き込まれて読んでしまったというわけです。

身軽になりたくて本棚に何を残していくか、日々楽しく悩んで整理していますが、あの本の形が好きなので、本好きにとってなかなか難しい。

本当はもう電子図書の時代なんですよね!
(2020年11月12日 09時26分10秒)

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