やっぱり読書  おいのこぶみ

やっぱり読書 おいのこぶみ

2021年01月20日
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カテゴリ: 読書メモ
なまけもので、金遣いが荒く平気で借金を繰り返し、暴力沙汰を起こす、ハチャメチャな元妻の四息子たちのしりぬぐいをつねにしなければならない佐藤紅緑と二人目の妻シナ。
豪快で直情径行なお父さんの遺伝子を受け継いだから、サトウハチローをはじめとする不良4人息子たちが出来てしまったのか、またシナ(三笠真理子)という女優に異常に執着して、元妻を追い出し、病死させてまでしまった紅緑の仕打ち、息子たちの寂しさ、その環境がそうさせるのか。

ほとんどをシナの目から見た佐藤家の行く末が、この中編のストーリー。もちろん作者がシナさんと紅緑の娘愛子だから、その視点になるのだろうが。
視点といえば主にはシナさんであるが、多々の登場人物にくるくると視点が変わるところに面白さを増している佐藤愛子の筆力、うまさがあると思う。

また、昭和時代の始まりから敗戦までのこの小説の時代背景が、敗戦の時にわたしは四歳だったので、「そうかこんな時代模様だったのだ」といまさらながら目を開かせてくれた。わたしの両親の話からではうすぼんやりしていた記憶がよみがえるような気がした。卑近さがよかった。いや、こんな派手な状態ではなかっただろうが、生活している姿が生き生きと立ち現れているからなのだ。

この小説はちょっと日本版『カラマーゾフの兄弟』を意識しているようなと思っていたら、下編でシナと愛子のそんな会話が出てきたよ。







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最終更新日  2021年01月24日 13時27分49秒
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Re:『血脈 中』佐藤愛子(01/20)  
alex99  さん
これは(上)(中)(下)の内の、まだ(中)ですよね

未だ、そこまで読まれているか否かは存じませんが

サトー・八チローと愛子先生(どうしても先生と)(笑)
とは、後年?おつきあい、はあったのでしょうか?
八チローが、まだ荒れている時とか、更生(笑)した後とか

読んでみたくてたまらない気もしますが
文庫本でしょうから、また、字が蟻の様なサイズでは、と(笑)

ばあチャルさんは、眼は大丈夫なようですね
自炊代行を頼もうと思ってはいるのですが
なかなか実行できません (2021年01月24日 17時30分48秒)

Re:『血脈 中』佐藤愛子(01/20)  
alex99  さん
山口瞳と共に
愛子先生(笑)も
私,性格・気質の一部が
馬鹿正直なところなどが
共通しているような気が
なぜか?するんですが
祖母・母ががそうだったし
(なぜか、親しみが沸く)
(親戚のおばさんみたいな気分)

ただ、私の胆力は
愛子先生の十分の一にも及ばないかと(笑)


(2021年01月24日 17時43分10秒)

Re[1]:『血脈 中』佐藤愛子(01/20)  
ばあチャル  さん
alex99さんへ

>サトー・八チローと愛子先生(どうしても先生と)(笑)
とは、後年?おつきあい、はあったのでしょうか?
八チローが、まだ荒れている時とか、更生(笑)した後とか


サトウハチローさんと愛子さんは異母兄弟ですけど
でもなにしろ年が離れているし
上巻にありますが、感じやすい少年時に
お父さんの紅緑が愛子さんの母シナに狂ったのですものね
それで息子たちをほったらかし
没交渉ではなかったみたいでけど、すんなりかどうか
ハチローの詩が枯渇しかかったときに冷静に見てる様子が描写されてました
そんな折にヒロポン中毒になったのですね
後で克服しましたけどね

それよりいねさんという外恋人(おめかけさん)の異母兄も文芸関係で
大人になってからの交流に情緒がありました

ハチローはたぐいまれな才能の詩人ですが、ダメ異母兄たちも何かしら書く仕事をしたり、喧嘩早いのと女好みが激しいのがみんな一緒で興味深いです

その血筋があるからこそおもしろい小説になるのですね

*****

この2017年改版の文春文庫は比較的活字が大きいですが
わたしも500や600ページのこの本、続けて長くは読んでいられません💦 
(2021年01月24日 19時38分15秒)

Re[1]:『血脈 中』佐藤愛子(01/20)  
ばあチャル  さん
alex99さんへ

>祖母・母ががそうだったし
(なぜか、親しみが沸く)
(親戚のおばさんみたいな気分)


佐藤愛子さんのさばけたあかるい文脈は神戸の気風なんでしょうか

お父さんの紅緑と女優のお母さんが東京を離れて
(息子たちからの逃れて ?)
それから愛子さんは生まれ、育ったのですからね

しかし、絶対に佐藤家の血筋もありなん、なのでしょうね

(2021年01月24日 19時46分47秒)

Re[2]:『血脈 中』佐藤愛子(01/20)  
alex99  さん
ばあチャルさんへ

詳しくありがとうございました


>佐藤愛子さんのさばけたあかるい文脈は神戸の気風なんでしょうか
それから愛子さんは生まれ、育ったのですからね

>神戸の気風
なるほどと思いました
紅緑の血の要素が半分としても

お書きになったこの個所を読んで、愛子先生(笑)が
神戸育ちだという事を思い出し
あらためてウィキを読んでみました

>1925年 - 兵庫県武庫郡鳴尾村(現西宮市)に転居。
自ら「私の故郷」と呼んでいる。
----
自分自身でもそういう意識だったんですね
私も阪神間ですのでご近所に近い
阪神間は、港町神戸の影響もあり人間も明るいと思います


大学入学で上京した時、私は、すぐ、ホームシックにかかりました
その原因ですが

(1)関東ロームの漆黒の(笑)土壌
神戸の近くは土壌が花崗岩で地面が白く、世界が明るい(笑)
こう書くと、大げさに聞こえるでしょうが、日頃の実感です

(2)当時の山手線の旧車両の煤けた暗茶色
  (阪急電車はマロン色でピカピカ)
  (なんてダサいんだと思いました)

(3)東北人が持ち込むのか?東京の重く暗い雰囲気(オイオイ)

(4)東京人の気取って冷たい人柄(笑)

(5)そもそも気候がうすら寒い
(ただ単に気候なのに、悪意のある表現になりました)(笑)

これらの複合条件が原因でした(笑)
もちろん東京生活が長くなるにつれ、それらも
当たり前に思えるようになりましたけれど
当時は、本当にいやで、気持ちも暗く沈みました

私の家族は、みな南西日本人なんで
楽天的で母も明るく笑い上戸でした
我が家の血筋の北限は父の北陸・石川県まで、です(笑)

以前、楽天ブログリンクの人に
私の文体が明るいのは、土地柄と
進駐軍家族と隣接して生活していたからだと言われました(笑)

あれやこれやで、愛子先生が親戚のおばさんみたいに感じられるのかも

言われて初めて気が付きました


ーーーー


しかし、愛子先生のウィキも、それ自体、抱腹絶倒です


    ―――― ウィキ  ――――

>1941年 - 3月、女学校卒業。兄サトウ・ハチローの家に寄寓する。
(この時期、同居していたんですね)
(無事だったのかな?)(笑)

雙葉学園英語科に入学するが3か月で中退。
帰郷し7月肋膜炎で臥床。治癒した頃に戦争が勃発。

1942年 - 防火演習や防空壕掘りなどをして、
花嫁修業はせず無為に過ごす。

1943年 - 12月、最初の夫となる病院長の長男、
森川弘と見合い結婚し、岐阜県恵那市(旧大井町)で暮らす。
「戦争だから、しようがないから結婚していた」という。

借金返済のためテレビ出演・全国講演を遂行して
戦後の世相の乱れ等を厳しく批判するので
父同様「憤怒の作家」と言われ
「男性評論家」と呼ばれていた時期もある。

遠藤周作はエッセイの中で『灘中学校時代、
通学電車で乗り合わせた彼女は
我々のマドンナ的な存在だった』と書き記している。

2度の離婚の後、プロ野球の別当薫
(女学生時代の憧れの人でもあった)と不倫関係となる。

    ―――― ウィキ 終わり ――――


別当薫は同じ西宮市にある、甲子園球場の近くでもある
旧制甲陽中学校に通っていたんです
甲子園にも出た花形野球選手、のちに慶応、タイガース、毎日オリオンズ

同じ電車で遠藤周作は佐藤愛子に憧れ、
その佐藤愛子は別当薫に憧れ(爆笑)
別当薫は長身ハンサムで秀才顔でしたし(笑)

しかし、後に別当薫と不倫するとは!(これは知らなかった)(笑)

遠藤周作も面白い人でしたね 
当時の灘中は、落ちこぼれが行く学校で優秀校では
まったくなかったと遠藤周作自身が書いていました(笑)

(2021年01月25日 01時36分12秒)

Re[3]:『血脈 中』佐藤愛子(01/20)  
ばあチャル  さん
alex99さんへ

うわー!

いろいろ情報ありがとうごさいます!
ウイキペディアはまだみていませんでした


>2度の離婚の後、プロ野球の別当薫
(女学生時代の憧れの人でもあった)と不倫関係となる。


ほ~、へ~(やるじゃないですか)
『血脈』下巻にはそこまで描いてるかどうか!?
もう少しで読み終わるのですが・・・

*****

阪神地区と東京地区の違い
おもしろいです!

歳とって育った東京に戻ってみて
東京の地元っていうものはあるとしみじみ感じますが
それはおっしゃるように
あちらこちらからの寄せ集めの人々が作ったもの
わたしだって祖父母が山梨です

ほんとの江戸っ子(江戸時代からの)もそういうひとたちと
ごちゃごちゃと交わったのですね
そうするには(受け入れるには)
一見冷たくかかわりのないふりをするのではないでしょうか
住めば都になっていくのだけどね(笑)
(2021年01月25日 09時59分33秒)

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