全31件 (31件中 1-31件目)
1
パイオニアとみちのりホールディングス、2018年3月期中に路線バスの自動運転化に向けた実証実験(Car Watch)パイオニアとみちのりホールディングスは8月31日、路線バスの自動運転化に向けた実証実験を共同で行なうことに合意したと発表した。今回の合意は、将来的な路線バスの自動運転化に向けて、路線バスにおけるスムーズかつ安心・安全な自動運転を実現する技術の検証を目的としている。前日に紹介した宅配ピザに続いて自動運転がらみの話題。カーナビゲーションで築いた高い自車位置精度や自動運転用地図作成のノウハウを持つパイオニアと、傘下に複数のバス会社を所有し、路線バス運行ノウハウを持つみちのりホールディングスのコラボによる実証実験。宅配ピザのケースと同様に、これもまた自動運転そのものによる運行実験というよりはその前段階のデータ収集が目的となっている。元来決まったルートを走行する路線バスは自動運転に向いており、データ収集もしやすい。昨年夏にはDeNAとEasyMileによる無人自動運転バス「ロボットシャトル」がイオンモール幕張新都心で10日間にわたり試験運行を行い話題になり、公道ではないものの、一定の成果を収めている。公道での路線バスを自動化するにはさまざまなハードルがあるが、実証実験はその第一歩というところか。前記事でも書いたように、ピザ宅配のケースもそうだが、自動運転の普及にはビジネスに結びつく動機が不可欠で、路線バスなどはその点が明確であることから技術的・制度的な課題を越えていけば実現の可能性は高い。もちろん、人を乗せる以上は社会的なコンセンサスが必要になるが、それは自動運転に係る技術が進化することで解決できる課題でもある。もっとも、記事にもあるように位置情報や自動運転の技術ばかりでなく、実は運行ノウハウも重要な要素であり、バス会社が実証実験に参入したことにこそ大きな意味があるのかもしれない。
2017.08.31
コメント(0)
Ford社とドミノ・ピザ、自動運転車による配達実験を開始へ(日経テクノロジーオンライン)米Ford Motor社は2017年8月29日、宅配ピザチェーンの米Domino's Pizza社と共同で、自動運転車を使ったピザ配達の実験を開始すると発表した。自動運転車による食品配達を顧客がどう見ているのかを理解することが狙いである。自動運転の配達実験ということだが、当面は安全のため研究スタッフが運転し、お客さんは専用の地図アプリ「GPS Domino’s Tracker」で配達状況やピザが届くまでの時間を確認できる。まずはニーズの把握が狙いになるが、結果次第では自動運転のビジネス利用への道が大きく開けることになる。自動運転については今もって賛否両論がうずまく。その大きな理由は自動運転を導入する動機が共有されていないことにあるのではないか。高齢化に伴う過疎地などでの移動手段として自動運転車が有効であることはいうまでもない。都市部を除けば、買い物やちょっとしたお出かけにも現実的に車がないとなりたたない。一方で高齢者による事故は増えており、自動運転車がこうした問題を解決する切り札となることが期待されているわけだ。一方で、一般の運転者の中には車の運転そのものが好きという方も多い。そうした層が自動運転の普及に必ずしも積極的にはなれないのもうなずける。しかし、ピザの宅配など、いわゆるビジネス利用となれば明確な動機がある。確実な配達が可能になるし、アプリとの連携もしやすい。もちろん配達人員がいなくてもよくなるわけだから合理化にもつながり、人口減少による人出不足にも多少なりとも寄与することになるだろう。今回の実験はあくまでもニーズの把握。本格的な自動運転による配達が実現するまでにはまだいくつかのステップが必要になるだろうが、将来的に多くの宅配ビジネスの潮流となり得る取り組みだけに注目が集まる。
2017.08.30
コメント(0)
朝からJアラートが鳴り響き、日本列島、とりわけ関東以北では驚愕の朝を迎えた。北朝鮮から発射されたミサイルは北海道の上空を通過して襟裳岬の東1180kmに落下したとされる。上空500km近い高度で通過しているので「日本上空」という認識は実はかなり微妙だが、我々の頭の中にある2次元の世界地図上ではやはり「日本上空」ということになるのだろう。また、我々の脳内にある世界地図は、多くの場合学生時代の地図帳の巻末の世界地図が刷り込まれており。メルカトル図法やミラー図法など円筒図法系のものであることが多い。そのせいかどうかは不明だが、ミサイルの件を報道するニュース塔でも盛んに地図が使われたが、中にはメルカトル図法とおぼしき地図に同心円や直線の軌道を描いて解説しているものもあった。もちろん、これは不適切な示し方ということになる。メルカトル図法でそのまま直線を引くと、北朝鮮から北海道を通過したミサイルはアラスカ方向へと飛んでいくことになる。一方、正距方位図法で描かれた本来のコースではミサイルはむしろハワイの方向へ発射されたいたことがわかる。<「どこでも方位図法」より>こうした地図の不適切な使われ方に関する問題は、今回のミサイル騒動に限らず以前から見られた。地図の専門家で富士山博士としても知られる田代博氏(日本地図センター)はことあるごとにそれを指摘してきたが、なかなか改善されないのが現状だ。その大きな要因の一つが、我々の脳内に円筒形図法の世界地図が刷り込まれていることにあるのではないか。本来図法については学校でも習っているはずで、こうしたケースでは正距方位図法を使いましょうということは理屈ではわかっていても、正距方位図法で表現される世界の形に多くの人が違和感を覚えることもまた事実だろう。これは世界観の問題ともいえる。とはいえ、事実を正しく理解するためには適切な地図を使用することが必須であり、報道の皆さまにも強くお願いしたいところではある。
2017.08.29
コメント(2)
大部屋雑魚寝→豪華船室 フェリーの旅、様変わり(神戸新聞NEXT)かつて大部屋で雑魚寝(ざこね)といったイメージのあった、フェリーでの船旅が様変わりしている。各社が豪華な船室を備えた新造船を投入。個室を増やし、相部屋もプライバシーに配慮したカプセル型ベッドを導入するなど、多様なニーズに応える。移動のための交通手段の選び方もずいぶん様変わりした。確かにかつてフェリーといえば、いわゆる二等船室が大半で、昼であろうと夜であろうと雑魚寝で過ごすのが定番だった。一等や特等などベッドや個室も用意されてはいたが、一般の航路では超豪華というほどの装備でもなかった。このあたり、利用者が船に求める要件が変わってきたことの表れでもあるだろう。かつては安く旅をするとすれば、利用するのは船やバス、あるいは国鉄の座席夜行急行(周遊券で乗れたので)と決まっていた。ところがJRが多くの夜行列車を廃止したことで、効率のいい夜の移動はもっぱらバスに頼ることになった。飛行機や新幹線を利用するならば、まだバスの方が安いというのが大きな理由だ。しかし近年はバスも設備競争が激しく、どんんどん車両は豪華になってきた。3列シートは当たり前、なかには個室を導入したバスまである。その一方で、これまで移動手段として高価なイメージが強かった飛行機が、LCCの登場で最近では安い移動手段として認識されるようになった。少々座席が狭かったり、サービスが落ちたとしても、そもそも(国内線の)飛行機の場合乗っている時間もそれほど長いわけではないから、少々狭くても我慢しようということになる。その一方でバスや鉄道、あるいはフェリーなど、かつては安くて庶民的な移動手段として考えられていた交通機関がこぞって快適指向へと転換しているのが興味深い。要は利用者の感覚が「高いか安いか」だけでなく、「時間をどう使うのか」にシフトしてきているともいえる。記事中にもあるが、フェリーに関西を発着して九州方面へ向かう航路が多いのは、やはり瀬戸内海という海上交通の大動脈があることが大きい。特に瀬戸内海は外洋とは異なり、大きく荒れることも少ないので運航はしやすいし、乗船客もゆったりと船旅を楽しめる条件が揃っている。常に陸地が見えているので景色もいい。人口が減少し、高齢化が進む現在、長距離移動は画一的な大量輸送から利用者それぞれの選択肢に応える多彩さが不可欠になってきており、輸送業はどんどんサービス業化が進んでいる。フェリーもまた、生き残りをかけた乗客獲得競争の真っただ中におり、快適指向は船が持つ良さを最大限に生かす方法論として考えられているのかもしれない。
2017.08.28
コメント(0)
朝倉300年前の水害風化 同じ被災地名、寺の古文書に(西日本新聞)松末(ますえ)、志波、山田…。7月の九州豪雨で大きな被害が出た福岡県朝倉市内の地名が、300年ほど前に起きた水害の被災状況を記録した古文書にも残されていた。同市宮野の南淋寺が所蔵。今回の豪雨では寺周辺でも犠牲者が出たが、住民の間で過去の水害は知られていなかった。災害の伝承といえば地震や津波に関するものが多いが、頻度の高さから考えれば、水害がもっとも伝承されやすいようにも思えるが、残念ながら今回はそれが生きなかった。そもそも河川沿いに氾濫平野や谷底平野が発達する朝倉市の地形の成り立ちを考えれば、頻繁に洪水に襲われていたであろうことは想像がつく。川沿いの平野に住むということは、その土地が洪水によりつくられたものであることは何となくでも認識しておいた方がいいのだが、実際にはあまり考えられていないというのは今回に限った話ではなく、全国的な傾向だろう。加えて、現在の河川はしっかりとした治水がされている。川岸は堤防で固められ、上流にはダムや堰堤がある。かつては大雨が降れば毎度のごとく氾濫していた川も、こうした治水対策によって洪水の頻度は少なくなった。逆に言えば、それが人々の危機意識を減退させたともいえる。ダムや堤防があることで、洪水を目の当りにする機会は減り、万が一破堤なりで氾濫が起こった場合にどのような状況になるのかは想像しにくくなった。かつて平野に住む人々は微高地である自然堤防に家を構え、旧河道や後背湿地など水がたまりやすい場所は水田として利用することが一般的だった。ところが、今はそうした「稲の領域」に住宅が建つことも珍しくない。治水が進んだことで、河川が氾濫すること自体が想定しにくくなってしまっているのだ。地震や津波といった災害は地域にとって必ずしも頻度が高いものではないが、それに比べれば洪水による氾濫は、大雨になれば常に可能性があるし、またそうした大雨は前線や台風など、決して珍しい現象ではない。個人的には防災において地域における過去の災害の伝承は非常に重要だと思っているし、必ず効果を生むはずと考えている。中でも水害についてはその頻度から考えても本来伝承がされやすいはず。たとえば東京を例にとっても、明治以降たびたび大水害を経験している。ただし、治水が進み洪水の頻度が減少することで、そうした災害の記録はどんどん過去のものになってしまい、いつしか自分には関係ない領域へと消え去ってしまう。普段堤防で守られている街が、一旦破堤したらどうなるのか、地域の過去の災害の伝承を紐解いて考えてみる機会が必要なのではないか。
2017.08.27
コメント(0)
<蔵王山>「ざん」か「さん」か…呼び名変更、自治体の合意困難に 宮城2町長が慎重姿勢(河北新報)国土地理院に登録された蔵王山の呼び名を、「ざおうざん」から「ざおうさん」に変えるための関係自治体の合意は困難な見通しとなった。変更を目指す山形市の佐藤孝弘市長が25日、宮城県蔵王、川崎両町を訪ね、趣旨を説明したが、両町長は約90年前に当時の自治体が決めた経緯などを挙げ、慎重な姿勢を示した。以前等ブログでも取り上げた<「蔵王山」は「ざおうさん」か「ざおうざん」か 山岳名称の難しさを考える>のその後の展開だが、やはり本文中で懸念したとおりの展開になってしまったようだ。県レベルはもちろん、市町村レベルでも見解の違い(あるいは温度差)があるのは少し意外だった。なかでも宮城県蔵王町の「60年以上校歌でうたわれている」というのはちょっと決定的。加えて90年前に「ざおうざん」の記載の根拠となった陸軍陸地測量部(現国土地理院)の地名調書には両県の複数の自治体の首長の名前が記されており、両県である程度の合意を基に採用された経緯が読みとれる。前回の記事にも書いたが、山や川は複数の県や市町村にまたがるケースが多いことから、両側で異なる呼び方をすることはたまさかある。よく知られているのは信濃川が長野県内では千曲川と呼ばれているケースだろうか。ちなみに河川法での正式名称は「信濃川(千曲川を含む。)」となっているため、日本一長い川は「信濃川」と認識されている。川が県で名前を変えるのは相模川が山梨県では桂川と呼ばれている例など、珍しいことではない。山名では北アルプスの白馬岳を富山県側で「大蓮華」と呼んでいるケースがわりと知られているが、現在地図上では白馬岳となっている。今回の蔵王山のようにひとつの山名に別々の読み方があるというのは珍しいかも知れない。自分の知っているところでは、四国の剣山(つるぎさん)を徳島県では「けんざん」と呼ぶ人が一定数いた(現在はわからない)。自分の母は徳島県出身なのだが、子どもの頃親戚のおじさんが「けんざん」と呼んでいたせいもあり、自分の中ではずっと「けんざん」で刷り込まれていて、正式名称が「つるぎさん」と知った時はある週のカルチャーショックだった。調べてみると「つるぎさん」が統一名称として定められたのは1963年のことらしい(奇しくも自分の生年でもある)。それぞれの地域や人にそれぞれの思いがあるのは当然で、正式名称はそれとして、それぞれが慣れている呼び方を使用すればいいのではないかとは思う。
2017.08.26
コメント(0)
セブン-イレブン過疎地域巡る 川辺・七宗町に移動店舗(岐阜新聞)コンビニ大手のセブン-イレブン・ジャパン(東京都)は24日、岐阜県加茂郡川辺町と同郡七宗町で、弁当や日用品などを軽トラックで移動販売する「セブンあんしんお届け便」を始めた。過疎地や小売店が少ない地域で営業する。高齢化が進む過疎地域の買い物難民問題は深刻だ。もともとこうした地域では車が貴重な足となるわけだが、高齢者の事故が問題となっている昨今、独居や高齢の夫婦のみの世帯などでは買い物もままならない。ドローンで商品を配達するといった実証実験などもされてはいるものの、実用にはまだ時間がかかりそう。そんな中で、コンビニ事業者による移動販売というのは新たな解決策になり得るアイディアだ。もともと交通の便の悪い山村では移動販売というスタイルは行われていた。自分が学生時代によく山村を訪れていた際にも、移動販売の車をたまに見かけた。こうした販売は主として生協や農協などが手がけていたのだが、コンビニ大手のセブンイレブンが移動販売するというのはなかなかインパクトが大きい。移動販売は少ないスペースに売れる商品をいかに選別して乗せるのかがカギを握るわけだが、もともとコンビニという店舗スタイル自体がそうした面積効率をつきつめながらより多くの商品を売るというものだから、実は役割としてはうってつけでもある。もちろんそれがビジネスとして採算が合うかどうかはまた別問題で、状況によっては市町村などからの補助が必要になるのかも知れないが、限界集落といわれる山村を持続可能なコミュニティとするにはそれくらいの方向転換はあっていいのではないか。もしこれである程度の目処がつけば、各地への展開もできるはずで、買い物難民には心強い。「開いてて良かった」が「走ってて良かった」になることで高齢化が進む過疎地域は救われることになる。
2017.08.25
コメント(0)
「Disaster Prevention Portal / 防災ポータル」を開設! ~2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開催に向けた首都直下地震対策ポータルサイト~(国土交通省報道発表資料)国土交通省は8月24日、4か国語に対応した防災ポータル「Disaster Prevention Portal」を開設した。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催時に首都直下地震が発生することも想定したものだ。防災に役立つ75のサイトを見やすくカテゴライズしてひとまとめにして、日本語、英語、中文(簡体・繁体)、韓国語の4か国語に対応としており、平時から容易に防災情報等を入手できることを目的としている。オリンピック・パラリンピックの有無にかかわらず、訪日外国人が増えていることに加え、東京が国際都市でありながらも英語が通じにくいという現状を考えれば、対応は遅すぎるくらいだろう。たとえば沖縄では同じような防災ポータルが既に運用されている。首都直下地震対策に特化していることも気になる点。もちろん東京では現状想定しているもっとも大きな災害という前提なのだろうが、災害は首都直下地震に限らないし、どんな災害であれ、訪日外国人を含めて適切な避難活動がされなければならないはずだ。ともあれこうしたことがきっかけとなって少しずつ変わっていけばいいと思う。
2017.08.24
コメント(0)
船橋市が「農水産物直売所マップ」 市全域を網羅するものは10年ぶり(船橋経済新聞)船橋市農水産課が現在、船橋市内全域を網羅する農水産物の直売所マップを船橋駅南口のインフォメーションセンター(船橋市本町4)や市役所経済部の商工振興課、農水産課のカウンター窓口で無料配布している。こうした農産物直売所マップは時々見かけるが、網羅的・体系的にきちんと作られたものはあまり見たことがない。農業振興計画の予算を使い、調査も念入りにやっているようで、なかなかの成果。せっかくきちんと作ったのであれば、全戸配布するなど積極的な配信も心掛けたいところ。船橋のようなベットタウン化が進んでいながらも農地が多く残る街での農産物直売所の分布はちょっと興味深い。そういえば我が家の近所だけでも数か所の農産物直売所がある。東京の郊外では案外よく見る光景であり、以前世田谷に住んでいた際にもあったように記憶しているが、東京全体ではどうなんだろう。首都圏を網羅的に調べて地図化してみると、都市と農地の入込具合など、都市の別の一面が見えてくるかもしれない。体系的に作るのは難しいかもしれないが、オープンストリートマップなどで扱えばそれなりに形になるのではないか。
2017.08.23
コメント(0)
市販の大判地図を拡大サイズやラミネートなどに簡単加工!「マップル地図プリント」Webサービス開始~自社初!オンデマンド印刷方式で低価格・短納期での提供を実現~(昭文社ニュースリリース)昭文社は同社が持つ多彩なな大判地図ラインアップを、Web上で注文できるオンデマンド印刷サービス「マップル地図プリント」を開始した。既存の地図資産を利用しながらも「大判の地図」「折り目のない地図」など出版物では対応できない自由で柔軟なアウトプットを実現するものだ。サイズはA0やB0でも可能という画期的なもの。昭文社の地図をそんな大判で出力できるなら一度はしてみたい。地図関係者でもそう思うのではないか。ここのところの昭文社は地図よりガイドブックの方が活気がある印象だったこともあり、この展開は少し意外でもあるが、方向性としてはかなり面白い。アプリやWeb地図が全盛の現在、あえて紙地図というアナログ系のサービスに新境地を開くとは。もっとも、多くの地図会社がデジタル系のサービスに傾倒していく中で、昭文社は一時期PND(ポータブルカーナビ)にこそ力を入れたものの、製品の中心はあくまでも出版物というスタンスが強かった。ただし民間のデジタル地図データベースの構築においては昭文社は草分け的な存在であり、製作のデジタル化は進んでいた。それでもアウトプットにおいてはアナログ媒体を大事にした。だからこそ、この「マップル地図プリント」という方向性が生まれたともいえるのではないか。紙地図のよさを発揮できるのは実は大判である。せっかくの新サービスなので一度は試してみたいところ。
2017.08.22
コメント(0)
運転の様子を「スマホで撮影」するだけで、ドライヴァーが報酬をもらえるアプリが登場──その仕組みとは?(WIRED.jp)スマートフォンのカメラをクルマに取り付けて、走行中の道路状況を撮影するだけで報酬を得られるアプリ「Payver」が注目されている。道路情報をクラウドソーシングで収集・蓄積し、自律走行車が安全に走るための「地図」をつくる取り組みは、果たして成功するのか。これは面白い仕掛けだ。地図を作ったり、あるいは道路の様子をモニタリングしたりといったことを有志が行う取り組みとしてはオープンストリートマップやちばレポなどが近いと思うが、こうした取り組みがボランタリーな形で協力する形であるのに対して、「Payver」は報酬を受け取るという驚きの仕組み。アプリを介したスマホによるクラウドソーシング。スマートフォンのカメラをセットして運転中の道路を撮影した映像を提供するだけなので特別な機材も必要ない。提供した動画は、自動運転用地図などで、車線や道路標識、信号機の位置などを認識する技術の向上に用いられるという。普及すれば全世界の道路を、走行するユーザーがモニタリングをするという世界が実現することになるのは考えると凄い。
2017.08.21
コメント(0)
富士山噴火想定し広域避難訓練 2千人参加、渋滞3キロ(朝日新聞)富士山の噴火に備え、山梨県北麓地域の富士吉田市、富士河口湖町など6市町村が20日、初めての広域避難訓練を行った。住民約2千人と自家用車約600台が参加し、25~30キロ離れた避難先を目指した。これはかなり大がかりな避難訓練。訓練は午前7時に気象庁が噴火警戒レベル5(避難)を発令し、溶岩流が市街地に迫っているという想定で行われた。富士吉田市が午前9時に防災無線で一斉に避難を促すと、住民は自家用車、高齢者役の参加者らは自衛隊のトラックと民間バスに分乗する形で峠を越え、避難先へと向かった。避難先までは25~30km離れており、必然的に避難には車を使うことになるが、訓練では懸念されたとおり最大約3kmの渋滞が発生したという。実際に避難行動をとってみることでさまざまなデータが得られるわけで、今後の対策には今回の訓練の結果をフィードバックすることが重要になる。実際の噴火がどこから(山頂から噴火するとは限らない)、どういう形で(溶岩流でなく火砕流が猛スピードで迫るケースもある)起こるかわからないため、避難はマニュアル化でなく、さまざまな引き出しをもって対応することがカギになる。市町村でもさまざまなケースをシミュレーションしておく必要があるだけに、こうした訓練を色々なパターンで繰り返すことも有効かもしれない。もう一つの問題は観光地ゆえ、外来者の避難をどう考えるかだ。こちらはなかなか事前の訓練を行き届かせるのが難しいだけに、いざという時にどういう「サポート」をすればいいのかという整理はしておく必要がありそう。
2017.08.20
コメント(0)
準天頂衛星「みちびき3号」、打ち上げに成功(日刊工業新聞)準天頂衛星「みちびき」の3号機を搭載したH2Aロケット35号機が、19日14:29に鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、衛星の分離に成功した。「みちびき」は内閣府が運用する準天頂衛星で、GNSSを構成する衛星のひとつとして、GPS等の測位衛星を補完し、誤差の軽減に利用されるほか、3号機は災害時に使用されるメッセージ機能なども有する。また、既に運用されている1・2号機や10月に打ち上げ予定の4号機が準天頂軌道をとるのに対して、今回打ち上げられた3号機は静止軌道に投入される。来年には準天頂衛星4機体制での運用を始める予定で、衛星によるセンチメートル級の測位を目指す。また、2023年には7機体制となるなど、本格的な高精度測位時代は目の前にきている。それにしても報道の多くは「日本版GPS」という見出しをつけているが、既にみちびき1・2号は運用されており、加えてロシアのグロナスも利用できるなど、GNSSの時代は始まっており、「GPS」という用語をどのように扱うかを考えなければならない時期に差し掛かっている。
2017.08.19
コメント(0)
Jアラート訓練 メール文字化けなど各地でトラブル(NHK)Jアラート(全国瞬時警報システム)を使用した緊急情報の送受信訓練を行った際に、各地でトラブルが相次いだというニュース。島根県でのトラブルはテスト配信された防災メールが文字化けで読めないというというもの。調査の結果システムの設定ミスだったのだが、このプログラムの設定は6年前に行わていながら、今回の訓練で初めて気がついたという。やはりシステムは使ってなんぼだし、訓練はこうした不具合を確認する意味もあるわけだから、まあ訓練でわかってよかったね、ということなのではないか。同じく岡山県でも文字化けのトラブルが発生。こちらもシステムを使ってメールの配信を行ったのは今回が初めてというから、やはり訓練で確認できて幸いということになるだろう。一方鳥取県米子市では、市役所で受信したJアラートの情報を防災行政無線を通じて市内全域に流す際に、音が出ない不具合があったという。こちらはPCの再起動で情報が流れるようになったということ。お粗末な話ではあるが、こういうことを訓練で経験しておくことには意味がある。防災行政無線の音声が流れないといったトラブルは、高知県の高知市と土佐町であったようで、防災無線にからんだトラブルは案外頻度が高いので日頃の点検はもちろんだが、別の伝達ルートを併用するなどの対策は必要だろう。また、徳島県那賀町では防災行政無線を各世帯で受信できる端末が作動しないトラブルがあった。これもまた起こり得ることで、万が一を想定して何らかのバックアップを考えておく必要はありそう。各地でトラブルがあったところを見ると、訓練を実施したのは正解ということになる。機器の故障やシステムのトラブルはいつでも起こり得ること。ある程度想定して代替えの方法を用意しておくことも必要なのではないか。
2017.08.18
コメント(0)
タクシー 変わらねば…「乗車前に運賃確定」実証実験開始(毎日新聞)タクシー業界と国土交通省が7日から、乗車前に目的地までの運賃を確定させる実証実験を東京23区などで始めている。早ければ今冬にも、他人同士でタクシーをシェアする「相乗り運賃」サービスの実証実験にも乗り出す。確かにタクシーは乗る前に運賃がわからないことが利用しにくさの大きな理由でもある。多くの交通機関は事前に料金を調べることができるし、計算も立つが、タクシーは便利な乗り物ではあっても、財布の中身に余裕がない限り、ギリギリではちょっと怖い。もちろん利用料金は一定のルールに基づいているわけだが、通るルートによっても異なるし、そもそも目的地までの正しい距離をわかって乗る人もなかなかいない。あるいはそのことがタクシーを利用者から遠ざけてしまっている可能性もあるわけだ。今回の実証実験が実現したのはこうした利用者の運賃に対する不安に加えて、タクシー業界がアメリカでウーバーが一般化させたライドシェアに脅威を感じていることもあるという。ウーバーのライドシェアは自家用車を利用者が料金を払ってシェアするもので、事前の料金確定も導入しているし、アプリによる決済も取り入れている。この方式は日本では白タク行為にあたることから認められていないが、オリンピックを前に解禁への声が根強いことも事実だ。国内事業者が、いわゆる「黒船」襲来に備えるためにも、ライドシェアの利便性を念頭に置いた新たなサービスを模索することは自然なことともいえる。もちろん、こうしたサービスによりタクシー利用者そのものが増えることにも期待がかかる。公共交通が社会効率を形にした移動手段だとすれば、タクシーは個人効率に極めて優れた移動手段であり、潜在的な利用者層は実は大きいはずだ。そうした人たちに気軽に乗ってもらうためにも、事前に料金が明確されたり、シェアの仕組みができたりということは効果が大きいのではないだろうか。
2017.08.17
コメント(0)
自転車危険個所、マップに表示 立命大でアプリ作成(京都新聞)立命館大の研究者らが自転車の通行危険個所をWeb地図に表示するアプリ「みんなでつくろう自転車安全マップ」を作成した。同大学びわこ・くさつキャンパス周辺での自転車事故を防ぐことを目的に、事故現場の他、「道幅が狭い」「見通しが悪い」など学生から寄せられた情報を地図に加えていくことで危険の可視化を目指したもの。立命館大学理工学部の笹谷康之准教授や大学生協共済連などでつくるプロジェクト。滋賀県警がキャンパスがある草津市や大津市などで2011年~2015年に発生した自転車事故のデータを提供し、歩行者妨害や一時不停止など、事故の種類ごとにアイコンを分けて、「乗用車×自転車、大学生、出合い頭、重傷」といった概要を表示させている。また、学生たちは自ら見通しの悪い場所や坂、交通量の多い道などを投稿、アイコンをクリックすれば写真で現場の様子を確認できるようになっている。現在ではびわこ・くさつキャンパス周辺に加えて、同プロジェクトに参加する山形大周辺などでも情報の登録が進んでおり、今後は原付自転車の事故などの追加を検討しているという。これはなかなかいい企画なのでは。警察から事故データが出てきているのもいいし、学生のネットワークで内容の充実が図れる点もいい。将来的にはさまざまな大学に広げていくことも可能だろう。背景地図はGoogleマップの他、オープンストリートマップや地理院地図への切り替えも可能。またマップとリストを並列させることもできる。個人的にはちょっとアイコンの種類が多すぎるかなとも感じる。スマホ利用を前提とするならば凡例を見ずに直感的にわかる方が使いやすいので、詳細な分類はポップアップ表示でもいいような気がする。
2017.08.16
コメント(0)
空襲と戦災の状況(総務省)8月15日。72回目の終戦記念日。戦争当時を知る世代が高齢化していく中、どういう形で当時の状況や教訓を残していくのかという点は今後に向けた我が国の大きな課題のひとつ。「空襲と戦災の状況」では戦災の貴重な資料が地域ごとに整理されている。全国を網羅した戦災記録のまとめをWebで見られるのはありがたいこと。地域単位の他、年表形式でも見ることができる。こうした記録が位置情報とともにGISで整理されるとなおいいと思うのだが。
2017.08.15
コメント(0)
国際地理オリンピック参加生徒の成績について(文部科学省)文部科学省では、国立研究開発法人科学技術振興機構を通じて、国際的な科学技術コンテストに参加する若者を支援する事業を実施しております。この度、セルビア(ベオグラード)で開催された「第14回国際地理オリンピック」に参加した生徒が、銀メダル等を獲得したとの連絡を受けましたので、報告いたします。第14回国際地理オリンピックに参加した日本代表は、銀メダル1名、銅メダル1名(いずれも個人競技)、そしてポスターセッション第1位(チーム競技)という素晴らしい結果だった。例年国際地理オリンピックで好成績を残す日本代表ながら、担当の先生に伺うと作図の部分では世界標準に比べて弱かったのだという。ここでいう作図とは、地図の仕様やデザイン設計も含めてのもので、日本の地理教育ではどうしてもこのあたり(カートグラフィーの部分)が不足していることが否めない。しかし今回のチームは、与えられた課題について地図や図表で表現したプレゼンテーションが求められるポスターセッションで1位を獲得した点で非常に画期的だったといえる。これを機に日本の地理教育の中でカートグラフィーがきちんとした位置づけに置かれることを願いたい。
2017.08.14
コメント(0)
〈ゆっくりでいいんどねしあ〉『だじゃれ世界一周』長谷川義史著(産経ニュース)水滴がポツン。自由の女神が空を見上げて〈あれ!あめりか?〉。反対側のページではベレー帽の男が〈きょうはふらんす〉。だじゃれとコミカルな絵で笑わせてくれる子ども向けの絵本。くだらなくもありながら、クスッと笑ってしまうおかしさもある。子どもが世界の国名を楽しく覚えるには案外こうした方法もありかもしれない。こういう企画は地理的に云々というよりは、いわゆる言葉遊びの範疇に入るものと考えていい。リズミカルな言葉で自然と国名が覚えられるのは、少なくとも「国名を覚える」という意味では有効だろう。課題はそこからどうやって地理的興味に誘導するのかという点。言葉(国名)を覚えるうえではまだ国語能力的な側面が強い。そこからどうやって「地名」として空間を意識させることができればアウトリーチとしては面白いのではないだろうか。
2017.08.13
コメント(0)
11日は地図学会の巡検「水際から見る東京の川と地形」に参加。巡検、といってピンとくるのは地理や地学をやっていた方々だけかもしれない。他の分野ではフィールドワークとか、最近はやりの街あるきなどもこれに該当するといっていいかもしれない。とはいえ今回の巡検は基本的には船に乗って運河や川から「水目線」で東京を再発見しようというもの。歩かない巡検というのは珍しいかも。10時半過ぎにスカイツリー前に集ったころには空模様が怪しくて、ぱらぱらと雨のようなものが落ちたりもしたが、結果的に本降りになることはなかった。チャーターした船は屋根がないので雨は困るし、かといって真夏の太陽の下というのも熱中症との戦いになるので、この日の曇り空というのはある意味理想的だったといえる。船はおしなり公園の船着場を出るとしばらくは後進(北十間川はこのあたり川幅が狭く船が転回できない)し、横十間川とのT字交差で転回してここから南下する。満潮は過ぎたものの、水位はやや高めで橋が低く感じるのが面白い。総武線のガードをくぐる。ガードを下から見上げる機会もなかなかない。さらに南下、小名木川クローバー橋で西へ曲がって小名木川に入る。ほどなくこの日のメインイベントともいえる扇橋閘門の通過。この閘門より東側(つまり我々が進んできた側)は周辺がゼロメートル地帯ということもあり、水位は低く調整されている。一方西側は隅田川に直結するため、水位が高い(というかこちらが標準の水位)信号が青になるのをしばし待つ。閘門の中からの排水が見える。水門が開き信号が青になるのを待って閘門に侵入する。上がった水門からは水が降り注ぐのでみんな一斉に傘をさす。閘門内に入ると船は一旦停止。後方の水門が閉まると、注水が始まり見る見る水位が上がっていく。この日は1.5~2mくらい上昇した。そして前方の水門が開き、船は閘門を出ていく。例によってみんなが傘を開く。まるでパナマ運河のようで(笑)なかなかできない体験だ。東京ではここと荒川ロックゲートだけだという。その後新小名木川水門の手前の桟橋に停泊しての昼食休憩。みんな思い思いに深川の街に出て好みの食事をして1時間後に再集合して出発。水門を越えて隅田川に入って北上する。それまでが狭い運河だったのでやたら広く感じる。すれ違う船も大型の水上バスになった。両国ジャンクションの下をくぐり、柳橋から神田川に入る。小松屋さんの桟橋に立ち寄って、主による謡の披露と名物の佃煮の販売が入る。このあたりは江戸情緒たっぷり。その後は西へ向かい、秋葉原で昭和通りや新幹線をくぐり抜けて、万世橋や総武線・中央線のクロス、聖橋(残念ながら工事中)の下で丸ノ内線をくぐり、本郷台地を開削したあたりを通る。このあたりは音が上から降り注いでくる感覚が面白かった。水道橋を抜けて東京ドームの横を通り、中央線をくぐって日本橋川に入る。ここからは首都高速の下を進むことになる。俎橋までは橋が連続する区間。普段よく通る場所だが川面から見上げると違った景色になる。再びJRをくぐり、工事中の常磐橋を抜け、一石橋で左へ大きくカーブを切って進むとほどなく日本橋。日本橋は上の首都高速を取り払う話が進んでいる。賛否両論あるが、首都高速がある日本橋の姿もまた一つの東京の景観だとあらためて思った。クルーズはここまで。これまで隅田川の水上バスこそ乗ったことはあったが、運河や神田川、日本橋川などは初めてだったので、普段見ることができない東京の一面を見れたことに大満足。ひとつ新鮮だったのは、川辺や橋の上で見ている人たちが、ほぼ例外なく手を振ってくれたこと。震災後の三陸鉄道で沿線の人たちが列車に向かって手を振ってくれることが話題になったが、大都会東京でもそうした光景が普通に見られたことはちょっと嬉しかった。
2017.08.12
コメント(0)
一昨日、昨日と日吉の慶應義塾大学で開催された地図学会定期大会に参加した。 会場の慶應義塾の来往舎は慶應らしい洗練されたとても立派な施設で、外の暑さを忘れる快適さだった。 (むしろ寒かった) 大会は例年以上にオープンな顔ぶれで、色々と新しい空気に触れたような気がする。 9日の特別公演は慶應義塾の神武直彦准教授と東大の石原あえか教授。 神武さんは業界ではお馴染みだが宇宙関係(ロケット、衛星、測位等)の専門家で、みちびきの打ち上げが迫る忙しい中での講演だったが、高精度測位時代の地図への期待について話した。 石原さんはゲーテの研究者。 ゲーテと地図?というのは多くの人が思ったはずだが、そこから面白いように地図や測量につながっていく。 石原さん自身も測量への造詣が深く、そのことにも驚いたが、ゲーテから始まり、測量を通した日本とドイツの不思議な縁にたどり着く、ミステリーツアーのような面白い講演だった。 最後のおまけの話で、あのメルカトルが実はドイツ人?という展開も興味深かった。 石原さん曰く、地図関係の人はドイツに行くならデュイスブルクとドルトムントは外してはいけないとのこと。 シンポジウム「地理必修時代の地図」もなかなかよかった。 伊能社中の田村賢哉氏をオーガナイザーに、地理教育に携わる様々な立ち位置の登壇者が揃った。 特になかなか知る機会がない小学校や中学校の地図教育の現場は興味深くも、地図関係者にはなかなか頭の痛いものだった。 登壇者が多く、やや欲張り過ぎの感は否めなかったが、問題提起としては有効だったのではないだろうか。 高校のGIS導入も含めた地理必修化については局所的な議論が多くなりがちだが、小学校からシームレスで考えていくことが大事だと改めて感じた。 懇親会に続いて外が暗くなったところで大型の東京の地形模型に様々な情報を投影するプロジェクションマッピングの実演があった。 ネタが豊富な人たちが集まっているだけに朝まで続く勢いだったが、頃合いを見てこの日は解散。 10日も興味深い話が次々と出てきたが、目玉は特別セッション「デジタル標高地形データが生んだ凸凹散歩ブーム」。 スリバチ学会や高低差学会は地図の専門家ではないが、地図の使い手として地図学に貢献している。 逆にいえば彼らの人気に引っ張られる形で地図に接する人が増えているわけだ。 こうした有意義な活動をどうやって地図学というアカデミックな領域と繋いでいくのかという点で興味深い議論だった。 さて本日はこれから巡検「水際から見る東京の川と地形」であります。
2017.08.11
コメント(0)
我が国の人口重心 -平成27年国勢調査結果から-(総務省)総務省が平成27年国勢調査結果に基づく基本単位区別の人口を用いて、全国、都道府県及び市区町村の人口重心についての取りまとめを公開している。それによると日本の人口重心は南南東へ1.6km移動している。今回算出された人口重心は東経137度02分15.84秒、北緯35度34分51.44秒で、岐阜県関市立武儀東小学校から東南東へ約2.5kmの位置にあたる。と言われてもピンとこないが、地理院地図ではここになる。平成22年国勢調査時の人口重心が東経137度01分45.46秒、北緯35度35分35.31秒だったので、南南東へ約1.6km移動したことになる。ちなみに日本の人口重心は平成12年以降はずっと関市となっている。また、首都圏及び近畿圏の各県の人口重心はおおむね東京都,大阪府の方向へ移動しているという。これもなかなか面白い傾向。なお、人口重心の算出方法のPDFや、各都道府県及び市区町村の人口重心のエクセルファイルは統計局のウェブサイトからダウンロードが可能。
2017.08.10
コメント(0)
3次元地図作成支援ツール無償公開、大学発ベンチャーのティアフォー(日経テクノロジー)大学発ベンチャーの「ティアフォー」が自動運転車用の3次元地図作成を支援するツール「Maptools」を無償公開すると発表した。地図作成技術で提携しているアイサンテクノロジーの協力を得てのもの。また同社はこれまでに公道実験等で収集してきたLiDARの点群データも無償公開する。自動運転研究の裾野を広げるのが狙いだという。3次元地図を作るにはLiDARとカメラ、GPSにより収集した点群データから白線や信号などの地物のベクトルデータに変換する必要があり、業者が数百万円かけて作業していたところを、「Maptools」を使うことで簡単に点群データをつないでベクトルデータに変換することができる。ツールに加えてデータを公開することにより、データ収集がネックとなって自動運転研究ができなかった研究機関を支援するもの。なお、ツールやデータの利用には名古屋大学が,長崎大学,産業技術総合研究所などと共同開発したオープンソースの自動運転ソフトウエア「Autoware」が必要になる。Autowareの普及を狙っての公開というが、ツールもデータも無償とは驚き。自動運転用の高精度3次元地図の作成は現時点では需要が特定されるため、影響は限定的かもしれない。それでも今後全国の道路を整備する段になれば、ベクトルデータの作成作業は大きなビジネスになっていく可能性があり、その意味では将来を見据えた囲い込みといえるかもしれないが。
2017.08.09
コメント(0)
神奈川・藤沢の防災アプリ、避難図表示されず 集中豪雨(朝日新聞)藤沢市が提供している防災アプリ「ふじさわ街歩きナビ」で不具合があり、今月1日の豪雨と7日の台風5号に伴う大雨の際に避難所の場所を示す地図が表示されなかったことがわかった。アプリは災害時に市の避難勧告などの情報を文字で表示するほか、ユーザーの位置情報から周辺の避難所が地図上に表示され、避難所への方向が太い赤線で示す機能があるが、1日夜の豪雨で市が避難勧告を出した際に、避難所の地図が表示されなかったというもの。肝心な時に機能しないのは確かに困るが、アプリの不具合は起こり得ることと考えておいた方がいい。元来こうした防災マップの類は、災害が起こってから使うよりも、平時から避難所の位置を把握しておくなど、事前に見て知っておく方が効果が高いことは多くの専門家が指摘している。避難勧告のような情報も、市からは複数の手段で発信されているはずで、雨が強くなって気象警報や河川の水位に関する情報が出されている場合などは、特に注意して情報を逃さないようにしたい。位置情報と連動した防災アプリは確かに便利だが、盲目的にアプリに頼るのではなく、他の情報と併せて上手に使うことが賢明。
2017.08.08
コメント(0)
奈良大生「過疎」を体感 匹見で合宿 奉仕活動や研究調査(山陰中央新報)奈良大学文学部地理学科で過疎を研究する藤本悠講師と研究室の学生が島根県益田市匹見町紙祖の小原地区で合宿研修を行っているという記事。場所は地理院地図ではこのあたりか。学生たちは地区内の集会所に寝泊まりしながら、支障木の伐採や鳥獣対策用の電気柵の設置などのボランティア活動を行いながら、町内に残る写真のデジタル化や住民への聞き取り調査などを通じて過疎集落の研究を進めている。ちなみにGoogleストリートビューで見ると集会所はこれ。小原地区は益田市の内陸部へ入り込んだ中国山地の山村。多くの山村がそうであるように、ここもまた高齢化が進む過疎の村である。村に滞在してボランティアをしながらの研究というのはアイディアとしてはなかなかいい。自分も学生時代に山村研究をかじったのだが、実際にやってみて学んだのは社会の縮図がそこにあったこと。特に経済において当時それを強く感じた。地方の村を持続可能な形でまわしていくためには多くの矛盾と向き合うことになる。それもまた社会を学ぶことにつながっていく。本分はもちろん過疎集落の研究なのだろうが、学生たちにとっては社会そのものを学ぶ貴重な場でもあると思う。
2017.08.07
コメント(0)
アップル、腕時計端末に通信機能=スマホなしで接続-米報道(時事ドットコム)米ブルームバーグ通信は4日、米アップルが通信機能付きの腕時計型端末を年内に発売する計画だと報じた。アップルウオッチにLTEモデムを搭載される計画についての記事。これまでのアップルウオッチはあくまでもiPhoneを介してネットワークに接続していたが、直接通信が可能になる。単体で通信デバイスとして成立することにはもちろんメリット(たとえばiPhoneを持ち歩かなくていいこと?)もあるだろうが、これまではあくまでもiPhoneの付属機器としての性格が強かっただけに、ディスプレイも小さく操作性も決していいとはいえないだけに、どこまでの指示を得られるのかは未知数だ。LTE通信するとなればバッテリーの問題などにも疑問がある。アップルウオッチの良さはコンパクトであること(もちろん装着性の良さも含めて)。Apple Payを使う際の端末としては非常にスマートで、その点においては本体を凌ぐといっていい。一方で、多くの情報を得ようとすればディスプレイの小ささに悩まされることになる。たとえば地図を使う場合などはコンパクトさがむしろ死角になる可能性が高い(どうしても地図目線で考えてしまう)。通信デバイスとしての未来はこのジレンマの解決にあるのではないか。
2017.08.06
コメント(0)
九州北部豪雨 氾濫河川の両岸で浸水被害に大差(NHK)九州北部豪雨で氾濫した福岡県朝倉市の一部の川では、わずか30分で川の西側の地域が深さ2メートル以上浸水した一方、対岸の地域の浸水は一部にとどまったと見られることがわかりました。東京理科大学の二瓶泰雄教授の研究チームによる調査結果に関する記事。朝倉市の北川を対象に、上流の雨量や地形、氾濫の状況、住民への聞き取りをもとにシミュレーションを行ったものだが、川の西側で浸水被害が大きかったのに対して、東側では浸水が限定的であったというもの。これは主として地形が影響しており、地理院地図で当該個所の治水地形分類図を見ると、東側は比較的川の近くまで段丘になっているのに対して、西側は氾濫平野となっていることがわかる。標高差は5m程度あり、浸水の差が出るのはある意味必然といえる。また、航空写真を重ね合わせてみると、東側では家屋のほとんどが段丘上にあるのに対して、西側では(西側にも段丘はあるが)低地にも家屋が建っていることも見てとれることから、浸水被害の差は地形的には理にかなっていることになる。洪水ハザードマップでは北川周辺の低地は浸水想定区域になっていないが、これは浸水想定が筑後川の氾濫を対象としているため(※もちろん浸水想定はある一定条件下のシミュレーション結果であり実際の浸水がその通りになるという意味ではない)。一方で土砂災害ハザードマップを見ると、上流部が土石流危険渓流であり、下流への水や土砂の流出があることはある程度警戒しなければならない場所であることがわかる。対岸への避難は早いうちであれば可能だが、河川が増水した状態では現実的に難しいだろう。氾濫平野等低地に家がある場合は一層早めの避難行動をとることが重要になる。災害のたびに言われることではあるが、自らの土地がどのような場所であり、どのような被害が起こり得るのかを事前に知っておくことは人的被害を防ぐ上では必須といえる。前述のような情報は市町村のハザードマップは地理院地図である程度把握することが可能。もちろん刻々と変化する気象情報にも十分注意を払う必要がある。ハードルは高いかも知れないが、是非一度自分の住む土地の地図をチェックしておくことをお勧めしたい。
2017.08.05
コメント(0)
読めない地名も読み上げてくれます ~地名情報を機械判読可能なデータ形式でウェブ提供実験開始~(国土地理院)国土地理院は、8月4日より、整備している地名情報のうち、居住地名、自然地名、公共施設、住居表示住所について、機械判読可能なデータ形式でのウェブ提供実験を開始しました。居住地名と自然地名には、地名の「よみ」の情報も含まれています。この情報を活用し、難読地名の読みをひらがなで確認したり、音声として聞き取ることができる地図が実現可能になります。地理教育現場での活用、日本語の地名に不慣れな外国からの旅行者向けしゃべる地図の作成など、地図の利用の幅が広がります。今回の提供はベクトルタイル提供実験として公開とのこと。さまざまな属性情報を利用できるのはベクトルデータの利点でもある。使い方は地理院地図で「情報」→「全て」タブから「ベクトルタイル提供実験」をクリック→リストの中から「地名情報(居住地名)」または「地名情報(自然地名)」をクリック→表示されている地名情報をクリックすると読みが現れ、音声で読み上げられるというもの。地名の読みというのは同じ日本人であっても、地元の人以外わかりにくいものだ。難しい漢字表記はもちろんだが、誰もが読めそうな簡単な漢字表記であっても、思わぬ読み方(時には当て字も)がされていることがある。それでも自然地名は複数市町村にまたがることも多いため、難しい読みであっても比較的共有されやすい。問題は市町村固有の字地名の読みだろう。大字名や町名はまだいいとしても、字(あるいは小字)となると途端に難しくなる。ここのところ東北の字を調べる機会が多いのだが、びっくりするほど読めない。そういう意味では国土地理院の取り組みはなかなか面白く、有益なものだと思う。その一方で、現在の国土地理院の地名情報が必ずしもすべての字を網羅していない(地名の提供は市町村マターであり、採用基準は市町村の担当の判断に依存しがち)点は考慮しなければならない。また、疑い深くて申し訳ないが、現在の地名情報の読みが本当に全て正しいのかという疑問がある(かつての数値地図では誤読が散見されていたので)。たとえば岩手県宮古市に日出島という漁港がある。地元では「ひでしま」と読んでいるが、地理院の読みではなぜか「ひのでしま」となっている。正しいかどうかはその地域の人でないとなかなかわからないもの。できることなら全国の皆さんが自分たちの地元の地名について確認して、もち違っているようであれば報告して欲しい。たぶんそういうやり方をしない限り、全国の正しい地名の読みを整備することは現実的に難しい。全国の地名をきちんと網羅するせっかくの機会なので生かして欲しい。
2017.08.04
コメント(0)
久しぶりに岩手県の三陸沿岸を縦断する機会に恵まれた。「三陸たびガイド」の取材で走り回ったのはもう4年くらい前。それからも毎年のように現地を訪れる機会はあったが、ほとんどの場合ピンポイントでこのエリア、という感じだったので、全体を通して見られたのは久しぶり。どの場所も4年前当時と大きく変わっていることを感じるとともに、それでもまだ復興が途上にあることも痛感する。また町によって復興の街づくりの方向性の違いも感じる。震災発生から6年半。今だから見えることもある。街のあり方や人々の暮らしなど色々なことを考えさせっれる機会になった。
2017.08.03
コメント(0)
立正大学と(一財)日本地図センターが産学連携に関する協定を締結(大学プレスセンター)立正大学と日本地図センターが、相互で有する知的・人的・物的資源を有効に活用し、事業展開、研究推進、教育・人材育成、地域貢献、国際交流等の各方面において広く連携を図ることで社会の継続的な発展に寄与することを目的とした産学連携に関する協定を締結した。立正大学サイドとしては、日本地図センターとの連携により、地図を生かしたさまざまな情報を学内外へ発信する活動が期待でき、日本地図センターとすれば、地図を通した学生教育・人材育成への貢献につながり、世界や地域社会への還元に寄与することができるというもの。日本地図センターはこれまでもさまざまな形で教育活動に貢献してきてはいるものの、こうした形で大学と協定を結ぶのは初めてなのではないか。コラボレーションの具体的な内容はこれからだろうが、立正大はこれまでも地図・測量業界にも多くの人材を送り込んでおり、個人的には地理・地図分野の人材育成という観点で注目している。
2017.08.02
コメント(0)
スマホ用アプリ「JAFを呼ぶ」をリリース…救援依頼が簡単に(レスポンス)JAF(日本自動車連盟)は8月1日、ロードサービスを依頼できるスマートフォン用アプリ「JAFを呼ぶ」をリリースした、と発表した。画面上で設定された質問にタッチして答えていくことで、簡単にロードサービスを呼ぶことができるアプリ。当然のようにGPS機能を利用して現在地も特定してくれるわけだ。さらにアプリの地図上で救援に来るサービスカーの現在地を表示する機能があり、現場到着予定時間も示され、リアルタイムで更新されるという。現場の状況を写真で撮影して共有することも可能なので、口頭で伝えにくい場所でもなんとかなるというもの。これまでなかったことが不思議なくらいだが、とにもかくにも至れり尽くせりの機能。便利になったとはいえ、できることなら使いたくはないという微妙な位置づけでのアプリではあるが…
2017.08.01
コメント(0)
全31件 (31件中 1-31件目)
1