ChooChooTrainの部屋

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December 3, 2003
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3日間にわたって過去のことについて書いています。


私の父は近年目に見えて老け込んできていましたが、昨年春、5ヶ月の息子を日本に連れて行き、初孫に対面させたところ、急に生気がよみがえってきて生きる望みをふたたび見出したかのように見えました。 私たちの滞在中、目尻が下がりっぱなしで、息子のお昼寝中にも何度となく寝顔を覗きに行って大喜びだった父。

そんな父がそれから間もなく、おなかの痛みを訴えました。 かかりつけの医者経由病院に行って検査をするも、原因がはっきりわからない。 何度か同じ検査を重ねたら、ついに結果がでました。 そう、あの、不治の病でした。
しかも、運の悪いことに、父の症状はかつて某テレビ局の某人気アナウンサーがかかったものと同じタイプの悪性腫瘍が大腸にできたもので、これは胃にできるケースに比べても非常にまれなのだそうです。 この種の腫瘍の場合、通常の悪性腫瘍のように手術で切除することができないそうなので、唯一残された望みは悪性細胞との共生です。
初孫とのご対面から約3ヵ月後、父は抗がん剤治療のために入院しました。

最初のうちは薬剤の投与が1クール終わると帰宅してご馳走をほおばっていた父。 それでも治療がすすむにつれ見た目にもやつれ、食欲も落ちていったのですが、主人が入院騒ぎになったのはまだ初期の頃でした。 主人のことを伝えると、驚き、慌て、嘆く両親でしたが、そのときには身動きが取れません。 電話で、メールで、こちらに助けに行かれなくてすまない、自分たちのほうは心配ないから私は主人の回復のために全力を尽くせ、この人生最大級の困難をそれぞれに乗り越えよう、と励ましてくれました。

しかし、病気の原因がわかったときから自分の症状についてすべてを把握していた父にも、ついに知らされざる事実がドクターから母に言い渡されました。 余命あと1ヶ月、海外にいる娘さんたちを今呼び寄せないと後悔しますよ、とのこと。 そのニュースが母からメールで伝えられたのは、主人が無事退院し、自宅でのリハビリを開始してまだ間もない頃でした。 当時、私の妹は2年間の任期で南米の某国で仕事をしていたので、私は急遽妹と打ち合わせ、一緒に帰国することに。 主人は(見た目はぜんぜん大丈夫じゃないのに)僕はもう山場を越えたから大丈夫、お父さんのところへ行ってあげなさい、と言ってくれた。 こんな病人の主人を一人残していくのはつらいものの、一方うるさい子供がいなくなったほうがのんびりリハビリができるという事実も考慮し、母子は日本へと旅立つことに。

こちらにはそれほど知り合いもいない状態でしたが、主人の会社の東京本社からはピンチヒッターが来てくれていたし、たまたま加わったばかりの地元のニューカマーズクラブ(新しく越してきた人たちのための集まり)の人たちが1週間に3度夕食を届けてくれる(もちろん、ボランティア!!)という、アメリカの郊外ならではの素晴らしい人々の申し出に助けられ、おまけに息子のベビーシッターをたまにしてくれていたおばさんが週2回、数時間ずつ食事の世話や掃除に来てくれることになったり、日本人の知り合いがたまに日本食も届けてくださるというので、本当に皆さんのおかげで私は父のところへ行くことができました。



それからは毎日誰かしらが家で赤ん坊とお留守番しながら、交代で病院通い。 父は私と妹に昔話をしたり、なんと私には内緒の話までしてくれました(母と見合い結婚する前の恋人のラブレターをどこにどう葬ったかとか)。 でも、だんだん長い間話ができなくなり、大好きだった読書もできなくなり、 …(中略)… 最後にはかなり苦しんだ挙句、結局父はこの世を去ってしまいました。

葬式は一切するな、という生前からの遺言を尊重して、家族だけでの密葬。 その後間もなく、仕事をこれ以上放置できない妹と、主人をこれ以上一人にしておけなかった私は母一人を残してそれぞれの場所に戻りました。

帰宅してみると、主人はその間にかなりの回復を遂げており、車を運転したり、会社の書類に目を通したり、会社にたまに顔を出すようにすらなっていました。 退院直後の頃にはひどい頭痛に悩まされていたのも、今では薬なしで何とかやり過ごせるほどに。 (アメリカ人だったら当然強い薬を飲み続けたであろう程度の頭痛は残っていたようですが、さすが、痛みに強い日本人!) 普段料理は全くしない(できない)のに、カレーや焼肉も自分で作って食べていたそうです(ともに一度だけ…)。 結局、家族3人で紅葉を見ながらの静養旅行には行かれずじまいだったけれど、主人は徐々に勤務時間を延ばしていき、ついには職場完全復帰を果たしました。

主人の体をあんなに気遣ってくれていた上司や同僚の記憶も、しかしながら、結構簡単に消えてしまうものなのでしょうか。 半年後に執刀主治医との面談をしてすべて良好、今後同じ病気にかかることはまずないだろう、という太鼓判を押されてしばらくしてからは、妻である私でさえあの病気のことを忘れて主人にがんがん物言いしてしまいますし、主人の仕事もかつてをしのぐハードさ。

でも、健康のありがたみと日頃の健康管理の重要さだけは常に頭の中から抜けないようにして、さらには日々の健康管理をきちんと実践していこう、と改めて思います。





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Last updated  December 4, 2003 04:40:31 PM
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halric @ Re:親子キャンプ?!(05/20) わぁ~テント楽しそう!季節も丁度いいで…
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