2006年10月27日
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テーマ: 猫倶楽部(936)
# 066

【 前回のおはなし 】

黒チビちゃん、そして猫たちの生きる意味とは? 悲しい再会から複雑な思いに駆られる私に まる からの報告とは、

3匹の子猫たち との新しい出会いでした。



私が 黒チビちゃん らしき猫の姿を見た、まったく同じ日の まる の出来事。




その日 まる が帰ると、日が暮れて薄暗くなった公園の入り口に 小さな影の動くのが見えました。何かと思ってよく見ると、草の陰から 小さな真っ黒い子猫 がぴょこぴょこと出てきました。

「あれ? 何してるの、一人?」

そう声をかけると 『にゃ~』 と人懐っこく寄ってきます。あの 黒チビちゃん より少し大きいかな、と見ていると、その後ろからもう一匹 しっぽのピンと長いグレーの子猫 がぴょんと出てきました。

「あれ、二人いるのー。」

まる の足もとで2匹は楽しそうにちょこちょこと歩き回っています。驚きながらも その可愛さに思わず顔がほころびます。
するとどこからか、さらにもう1匹 足の先だけ白くあとは真っ黒な子猫 が現れ、少し警戒した様子で離れたところからこちらを見ていました。

「あらー、3つもいるの。」

『にゃ~、にゃ~』 と1匹目の 黒い子猫 は甘えてきます。
親猫は・・・、 周りに姿はなさそうです。

昨日までは影も形も見なかった子猫たち、一体どこから来たのか。

おなかが空いているのか まる の足元から離れようとしない 黒い子猫 。食べ物など持ち合わせているわけもありませんし、そもそも公園の野良猫にエサを与えるという行為には あまり賛同できません。 一時の感情で可愛がり、あとはどうにでも暮らせというのは無責任だと思うからです。

「じゃあね。」

その場を立ち去ろうとする まる を追って 黒い子猫 はアパートまで付いて来ようとします。

公園の他にはアパートと数件の家ぐらいしかない 行き止まりのような路地。車の通りが少ないとは言え、道路に出てしまうのは やはり危険です。
あわてて公園へ引き返し、また 3匹 で遊び始めた隙に さっと走ってアパートへ帰りました。




この話を聞き終わるころ、私は興奮していました。
玄関のドアの前に立ったまま、続けて私は話し始めました。
「実は今日、」

朝、すぐそこの道端に が死んでいたこと。それがどうもあの 黒チビちゃん に思えること。せっかく助けたのに死んでしまう結果になったこと。その短い命の意味について考えたこと。

そして、 黒チビちゃん が子供を産んでいたら と考えていたこと。

今日、同じ日に お互い 「猫」に出会う という偶然。
まる が出会った 子猫たち は、あの死んでいた 黒い猫 の子供ではないか。
急に母親がいなくなり、おなかが空いて不安になった 子猫たち は 母を探して出てきたのではないか。今日 突然、 子猫たち があらわれたこと、 子猫たち の周りに母猫の姿が見えなかったこと、これならタイミング的につじつまが合います。

黒い猫 が、大して広い通りでもなく、そんなに交通が頻繁ではない道で、なぜ車にはねられるような結果になったのか。これは子猫を持つ母猫だったら、という仮定で納得が行きます。 タマの記憶 にも繋がりますが、子を持つ母猫は とっさの判断力が落ちるようです。子育ての最中だったとしたら、どうして? という疑問に答えが出るような気がするのです。

そしてやはり、 黒い猫 は あの 黒チビちゃん なのではないか。
今日それぞれが見たもの。 私たち二人 ということに意味がある。
他の誰でも意味がない。
どちらか片方だけでも意味がない。
私たち二人に、 見せられたのだ


私は、枯れ葉のように散らばったひとつひとつの出来事が、大きな軸に吸い寄せられ、歯車のように噛み合って行く感覚を味わっていました。


黒チビちゃん の短い一生。その最後は唐突にやって来ます。命の消え行くはかない一瞬、思い浮かぶのは 子猫たち のことだけでしょう。守らなければならないものを守れなくなる予感。
薄れる意識の中で、記憶は、あの1年前の 公園のベンチ に巻き戻され、・・・


一生のうち 最初で最後だった 人間のあたたかい
 あの大きな なら。



あのとき偶然出会った 黒チビちゃん と私たち、そしてその
子猫たち
私たちは 今日 という1本の線の上でつながっています。

まる と私は 子猫たち を託されたのではないでしょうか。

他人から見ればただの些細な出来事。私たちにしか実感し得ない 偶然 の出来事。
黒チビちゃん の母としての執念が、私たちと 子猫 とを引き合わせたのでしょうか。


このときはただ この不思議な偶然に感動するばかりでした。














くつした

ようやく登場。




* この話の登場人物 *


ある夜 出会った
生まれてわずかの
迷い猫

仮に「黒チビ」とする




大人その1
人間のオス

○○さん
仮に「まる」とする




大人その2
人間のメス

私(me)
仮に「みー」とする




ネコチビーズ
子猫たち

グレーの尾長「しっぽ」
真っ黒「クロちゃん」
足先だけ白「くつした」










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Last updated  2020年05月05日 16時50分48秒
コメント(16) | コメントを書く


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Re:★くつしたの生い立ち ~もうひとつの今日~(10/27)  
のりりんGO  さん
ついにくつしたちゃんと出会ったの?
あの黒チビちゃんの子なの?
他の子達はどうしたの? (2006年10月28日 08時40分46秒)

Re:★くつしたの生い立ち ~もうひとつの今日~(10/27)  
人間でも動物でも・・・植物でも
意味の無いめぐり会いは無いのでしょうね・・・
時に人間は、"変な知恵"を持ち合わせた故に、大切な物が指先からするするっと抜け落ちてしまう事も・・・ (2006年10月28日 09時03分52秒)

運命の出会いですか・・・。  
きりん31  さん
必然な偶然。
他の誰でもない さくらもちさんとまるさんに繋がった
運命の赤い糸ですね(^^♪ (2006年10月28日 12時38分47秒)

Re:★くつしたの生い立ち ~もうひとつの今日~(10/27)  
未々子  さん
なんだかとても劇的な出会いだったんですね、ジーンと来ました。三匹のお母さんは黒チビちゃん?そしてネコチビーズの運命はどうなるのかとても心配です。(><) (2006年10月28日 18時42分04秒)

Re:★くつしたの生い立ち ~もうひとつの今日~(10/27)  
小説を読むようにこの物語はスルスル読めちゃいます。
毎回毎回楽しみにしてます。
さくらもち市長さん才能あり!ですよ!

とうとうくつしたちゃん登場ですね!
途切れ途切れの糸が一本に紡がれていくのが
運命的なものを感じざるを得ませんね。
偶然が偶然を呼ぶことって時々ありますよね。
なんとも不思議。
誰かに決められているかのように事が進んでいく・・。
その出来事の裏にあるものが知りたいな。
どんな力がそこで働いているのだろう??
未知の世界があるのだろうか??
(2006年10月29日 01時23分29秒)

胸がしめつけられるような・・・  
gomaguna  さん
ああ、なんだか胸がキューっときてしまうお話です。
こういうのはやはり「偶然」ではなく、“必然”のような気がします。
(2006年10月29日 01時34分16秒)

Re:★くつしたの生い立ち ~もうひとつの今日~(10/27)  
あずKing  さん
運命。出逢うべき人。出逢うべき猫。
まるさんも運命の人なんだろうな..
なんだかあったかい話。
幸せな気分をありがとう♪ (2006年10月29日 01時34分28秒)

Re:のりりんGOさん  
>ついにくつしたちゃんと出会ったの?

■ついに、くつした登場です。
 このあと すんなり我が家の子に・・・
 なったわけではないんです。山あり谷ありかな?
(2006年10月29日 06時27分56秒)

Re:ぴぽちゃん♪さん  
>時に人間は、"変な知恵"を持ち合わせた故に、大切な物が指先からするするっと抜け落ちてしまう事も・・・

■よくよく考えた方がいいのか、
 何も考えない方がいいのか
 後になってみないと分からないこともありますよね。

(2006年10月29日 06時29分16秒)

Re:きりん31さん  
>他の誰でもない さくらもちさんとまるさんに繋がった
>運命の赤い糸ですね(^^♪

■人生のうち、何度かは「運命だ」と思うことがありますよね。
  (2006年10月29日 06時30分41秒)

Re:未々子さん  
>そしてネコチビーズの運命はどうなるのかとても心配です。(><)

■3匹のうち くつしただけが我が家にいます。
 そうなるのにはまだ色々あるわけなんですが・・・。
 以後おたのしみにー。
(2006年10月29日 06時34分11秒)

Re:おじゃがイモさん  
>毎回毎回楽しみにしてます。
>さくらもち市長さん才能あり!ですよ!

■ゎお!ありがとうございます!!

>偶然が偶然を呼ぶことって時々ありますよね。
>なんとも不思議。
>誰かに決められているかのように事が進んでいく・・。

■毎日の生活も、もしかしたら既に決められていることなのかもしれませんが、
 これこそ必然だ、と思うことが時々ありますよね。
 全部が決められていると思うと楽しくないけど
 でも時々ならそれを感じてみたいな、と思います。
(2006年10月29日 06時39分02秒)

Re:gomagunaさん  
>こういうのはやはり「偶然」ではなく、“必然”のような気がします。

■そうですよね、必然なのかもしれないですね。
 結果がいいものであればあるほど、
 「必然だ」と感じますよね。
(2006年10月29日 06時40分34秒)

Re:あずKingさん  
>運命。出逢うべき人。出逢うべき猫。
>まるさんも運命の人なんだろうな..

■そうかも。
 同じような場面にいても、何も感じない人だったら
 この話自体なかったかもしれないですから。
(2006年10月29日 06時41分52秒)

すごい・・・  
cake8  さん
ねこってすごい。。
この運命に気付いたさくらもち市長さん&まるさんすごい。。
続きがまた楽しみです。 (2006年10月29日 11時17分46秒)

Re:cake8さん  
>続きがまた楽しみです。

■ご期待に応えられるよう、頑張ります♪
 今後はもうちょっと明るい感じになっていくかな?
(2006年10月30日 06時41分16秒)

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くーちゃんが生まれ変わって帰ってきたときのこと



「3ヶ月すっとばして、ご報告。」





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生まれ変わりを待つ日々



「二日で終わったペットロス」





くつしたの体の寿命が突然きた


「夏のこと(ご報告)」





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