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1980年、アバロンヒルから「シビライゼーション」という文明の発展をテーマにしたゲームが発売された。7人プレイがベストとされる、公称プレイ時間360分の超重量級ゲームだったが、実に素晴らしいゲームだった。私も学生時代に何度かやったが、そのたびにエキサイティングな経験ができた。このゲームに出会わなかったら、今のボードゲームライフはなかっただろう。
これにインスパイアされて(本人は否定しているがそっくりだしw)Sid Meierが作ったのがPCゲームの「Sid Meier's Civilization」。それを逆輸入してボードゲームにしたのが2002年Eagle Games版の「Sid Meier's Civilization: The Boardgame」。その後PCゲームの方は次々と続編ができ、その3つ目か4つ目あたりを再びボードゲーム化したのが2010年Fantasy Flight Games版の「Sid Meier's Civilization: The Board Game」。これはその拡張第1弾。長大な歴史だねw
要素をごっそりそぎ落としているとはいえ、1プレイに何時間もかかるPCゲームをボードゲームに(雰囲気を損なうことなく)落とし込み、対人プレイができるようにしているわけだから、当然重量級ゲームだ。公称プレイ時間は180分となっているが、初回プレイならセットアップに1時間、インストに2時間、実プレイに6時間以上はかかるだろうw
しかし国境線でにらみ合い、互いに軍拡し合う緊張感の中、科学、文化、経済を発展させて勝利を目指す(隙あらば軍事勝利も狙う)のは興奮の連続であり、ダウンタイムなどという言葉はこのゲームには無縁だ。そんな最高のゲームに拡張が出ると言うんだから、期待しないわけにはいかない。
基本セットのエラッタ、細かいルール調整のほか、まずは新たな文明と技術カード、文化イベントカードが追加された。これは拡張と聞いて一番に思いつくところだろう。文明はインド、ギリシャ、アラブ、スペインが追加され、どれも魅力的な特殊能力を持っている。
新たな文明シート
技術/文化イベントカードはもともとどちらも充分な数が入っていただけに、技術カードは4種類、文化イベントカードは7種類(うちいくつかは同効果の時代別版)にとどまった。
続いて追加文化遺産が9種類。各時代3つずつで、これまたとんでもない効果を持ったものばかり。どれを取っても勝利に大きく近づくだろうが、安くても10生産点が必要だ。これを捻出するには相当な努力が必要だろう。
その他、小屋/村マーカーも新たな効果を持つものが追加されたり、1回限りの特殊効果が使える遺跡マスが登場したりと、細かい追加がある。
基本セットでは軍隊/開拓隊フィギュアは一度生産すると自主的には取り除けなかったが、この拡張では都市中央部でこれらのフィギュアを“解散”できるようになった。軍隊を解散すると、1回だけその都市の防衛時に戦闘力+2できる「要塞」マーカーを置くことができ、開拓隊を解散するとその都市の生産力を1回だけ+2する「隊商」マーカーを置くことができる。正直大きな効果とは言えないが、あと少しが必要なとき、このルールに助けられることがあるかもしれない。
ここからはかなり大きな追加ルールになる。まずは「メトロポリス」のルール。なんと首都に限り、1×2マスを占有するメトロポリスタイルに置き換えることができるのだ。当然郊外マスは8から10に増えるので、首都で得られる商業/生産/文化点が飛躍的に増える。防御力も増し、建物や偉人も多く置けるようになるのだからいいことづくめ。しかもメトロポリス化の条件は、1レベルの「農業」技術を学習することのみ。序盤の戦略はほぼ絞られたんじゃないだろうか。
メトロポリスマーカー
お次は偉人カード。基本セットでは「ちょっと強力で再利用可能な建物」に過ぎなかった偉人。その能力をまるまる残した上で、さらにカードを引いてその特殊能力を使えるようになった。単純に強化されたといっていいだろう。偉人は古代から近代まで幅広い分野からチョイスされており、「ミケランジェロ」「ガリレオ・ガリレイ」といった誰でも知ってそうなものから「ジム・ヘンソン」「アッシジの聖フランシスコ」など難易度の高いものまで。日本人からは芸術家として「黒澤明」が登場。さすが世界のKUROSAWAw さすがに効果は若干弱め(マーカーの能力も残っているんだから、これは当然)で、使い捨てのものが多いが、中には「すべての都市で以降ずっと+2生産点」とか、「使い捨てでこのターンに限り27(間違いではない、27だw)商業点ゲット」とかぶっ壊れたカードもある。偉人を得るには文化マーカーを進めるしかないので、文化勝利を目指すモチベーションとしても機能しそうだ。
偉人カードのほんの一例
最後は投資カード。基本セットは充分に傑作なのだが、さすがに4つある勝利条件のバランスが完全には取れておらず、比較的経済勝利が簡単、軍事勝利が困難な印象だった。おそらくそれを是正するために追加されたのが、この投資カードだ。技術カード上に置かれたコイントークンを支払い(建物や偉人などが持つコインアイコンは支払えない)、投資カード上に置くと、その枚数に応じたボーナスが得られるようになる、カードは技術カードのように各プレイヤーが同じものを4種類持ち、それぞれ「都市の生産力増大」「文化マーカーを進めるときの文化コスト減少」「軍事力の大幅増強」「無料での技術学習」と、経済的勝利以外の勝利条件に貢献するようになっている。コイン1枚2枚からすぐに強力な効果を得られるので、「ある程度コインを集めたけど、経済的勝利にはちょっと遠い」ときには投資につぎ込むのもありだろう。
投資カード全4種
全体として、入れない方がいい拡張はない。たとえ「シビライゼーション」をプレイするのが全員初めてだったとしても、全拡張を入れた方がいい。なぜなら、どうせ基本セットだけでも規格外の重量級ゲームなのだから、今さら拡張をちょっと足そうが引こうが変わらないからだw
強いていえば、奇数でプレイするとマップの形が歪になり、初期配置によってほんのわずかな有利不利が生じるので、この拡張で追加された5人プレイはやめた方がいいだろうw
半日つぶす覚悟でないとプレイできないゲームなので、なかなか機会もないだろうが、その面白さには太鼓判を押せる。聞くところによると、関西にはメンバーのほぼ全員が基本セットを所有し、信じられない回数のプレイをこなしている猛者集団もあるというくらいだw 「重すぎるゲームはちょっとなあ」と尻込みしている人も、一念発起して基本セット/拡張の両方を揃え、是非一度プレイしてみていただきたい。
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