《櫻井ジャーナル》

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2009.04.30
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 最近、マスコミの報道姿勢が話題にのぼっている。例えば、「週刊新潮」の朝日新聞阪神支局襲撃事件に関する記事、日本テレビの「真相報道バンキシャ!」が放送した岐阜県庁の裏金に関する証言。いずれも誤報だということで決着している。さらに、BPO(放送倫理・番組向上機構)は、NHKが放送した「問われる戦時性暴力」に関し、放送前にテレビ局幹部が政府高官や与党有力政治家に面談し、その後に改変を現場に指示することを批判する意見書を公表している。

 NHKのケースは裁判にもなった。2007年1月に東京高裁が言い渡した判決によると、松尾武放送総局長や野島直樹国会担当局長が国会議員などと接触、「その際、相手方から番組作りは公正・中立であるようにとの発言がなされた」ため、「松尾総局長らが相手方の発言を必要以上に重く受けとめ、その意図を忖度(そんたく)してできるだけ当たり障りのないような番組にすることを考えて試写に臨み、直接指示、修正を繰り返して改編が行われたものと認められる。」

 裏付けのない話を報道するべきでないと批判するのは簡単だが、そうした報道姿勢は常態化している。警察や検察の発表やリークを裏付けのないまま垂れ流し、スポンサーである大企業の利益にかなった内容の「報道」を続けているのがマスコミの実態だ。NHKの場合は権力/支配層の意向に反する内容の番組を作ろうとしたため、問題が起こっただけであり、民放にしろ、新聞にしろ、雑誌にしろ、端から「自主規制」で排除され、そうしたテーマの話は編集会議で議論されることもないだろう。

 マスコミは「スクープ」を追い求めているというが、権力/支配層からクレームがつくような内容の報道は避けようとする。「スクープすれば褒められるが、あとでトラブルになると社内で孤立し、立場は一気に悪くなる」ので、権力犯罪には目をつぶると話してくれた某大手マスコミの編集者がいる。「コメンテーター」としてテレビによく出演している知人によると、最初に放送局側から言われたことは、「問題発言はしないでほしい」だった。

 私の個人的な経験から言わせてもらうと、マスコミは組織的、構造的な問題を嫌がる。例えば、1980年代に大手証券や都市銀行が絡んだ組織的な不正が行われていると話すと露骨に嫌な顔をする記者が少なくなかった。1990年代の前半、情報機関による世界規模の通信傍受や情報収集が問題化したとき、日本でもこの問題を取り上げるべきだという私の提案を受け入れるメディアは存在しなかった。2002年にはイラクへの攻撃を批判することはタブー視されていた。

 砂漠の国イラクとジャングルの国ベトナムは違うのでアメリカ軍は簡単に勝てると主張する人もいたが、アメリカ軍の中枢、統合参謀本部の内部には、イラク戦争がゲリラ戦になり、泥沼化すると予測する将軍がいた。戦争のメリットがないということで、石油産業につながる政治家の中からも戦争に反対する声が聞こえてきた。当時、イラク、そしてイランを攻撃するべきだと叫んでいたのはネオコン/シアコン、つまり親イスラエル派だ。私も開戦は避けるべきだという趣旨の原稿を書いたのだが、相手にされなかった。

 イラクに対する先制攻撃が実行される前、アメリカの大手メディアが偽情報を撒き散らし、日本のマスコミもその片棒を担いだわけだが、誤報だと明確になってもきちんと訂正せず、謝罪もせず、責任を取ろうとしていない。開戦直前、インターネット上でも「戦争カルトの信者」が興奮状態だったことを思い出す。暴力で問題を解決するという点で、彼らの発想はゴロツキと似ている。ジョージ・W・ブッシュ大統領を担いでいたネオコンも同類。そのネオコンはイラク戦争の前、偽情報に基づく群集心理のコントロールを試み、成功した。嘘と暴力はセットになっている。





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最終更新日  2009.04.30 14:30:04


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