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WHO(世界保健機関)は今年5月、コンゴ民主共和国とウガンダでエボラ出血熱の発生が確認されたと発表した。4月にはオランダのクルーズ船MVホンディウスでハンタウイルス感染症が発生、話題になっている。これは偶然なのだろうか? エボラ出血熱は2008年にコンゴ、11年から12年にかけてウガンダで患者が見つかっている。2010年頃からフォート・デトリックの研究者がギニア、リベリア、シエラレオネの周辺で研究していた。その地域で2013年12月からエボラ出血熱が広がりはじめたのだ。2014年にはギニアからリベリア、シエラレオネ、ナイジェリア、さらにアメリカやヨーロッパへ伝染し、1万1323名が死亡、大きな騒動になっている。2014年7月にはシエラレオネの健康公衆衛生省がテュレーン大学に対し、エボラに関する研究を止めるようにという声明を出している。 生物兵器の専門家として知られているイリノイ大学のフランシス・ボイル教授の説明によると、テュレーン大学やCDC(疾病管理センター)が西アフリカで運営していた研究所では生物兵器を研究していたが、同じ場所にフォート・デトリックのUSAMRIID(アメリカ陸軍感染症医学研究所)の研究者もいた。 エボラは1976年8月にザイール(現在のコンゴ)で初めて確認されているが、エイズと同じように病気の始まりが明確でない。1976年の前は気づかれなかっただけなのか、病気自体がなかったのかは不明だ。 その直後、1980年代の前半からエボラを引き起こすウイルスを含む病原体を細菌兵器にしようとする極秘研究「プロジェクト・コースト」が南アフリカで進められた。その中心にいた科学者はウーター・ベイソンだが、アメリカ、イギリス、スイス、フランス、イスラエル、イラク、リビアといった国々からも資金が出ていたとされている。CIAとは特に緊密な関係なったとする噂もある。このベイソンが1985年に生物兵器を専門とするイギリス人研究者デイビッド・ケリーと会っていたことは本ブログでも書いた通り。 2014年当時、生物兵器を研究している学者が数年にわたってギニア、リベリア、シエラレオネ周辺で活動していたと話題になった。その学者が所属していたのは生物化学兵器を研究開発しているアメリカ軍のフォート・デトリック、そしてテュレーン大学だ。2014年7月、シエラレオネの健康公衆衛生省はテュレーン大学に対し、エボラに関する研究を止めるようにという声明を出している。 このときは突如、「エボラ出血熱に有効な治療法」が出現したことも話題になった。2014年8月に現地で治療していたふたりのアメリカ人、ナンシー・ライトボールとケント・ブラントリーが感染したのだが、アメリカへ運ばれて治療を受け、ふたりは回復している。ふたりはリーフバイオ社とデフィルス社が開発したZMappが投与されたほか、現地で回復した少女の血が輸血されたとされている。ZMappにしろ輸血にしろ、それが病気に対して有効だということをアメリカの関係者が知っていたなら、なぜアフリカ人に対しては使われなかったのかという疑問も出た。2014年9月にバラク・オバマ米大統領はナイジェリア、リベリア、シエラレオネへ3000名程度の部隊を派遣すると言い始める。「エボラとの戦争」ということなのだろうが、実際は資源絡みだと見られている。 エボラ出血熱がスーダンやザイールで見つかったのは1978年のことだが、80年代の前半からこの病気を引き起こすウィルスを含む病原体を細菌兵器にしようとする極秘の研究「プロジェクト・コースト」が南アフリカで始まる。その中心にいた研究者がウーター・ベイソンだ。 ベイソンは1985年にイギリスを訪問、デイビッド・ケリーという研究者に会うが、ケリーは2003年7月、つまりアメリカ軍が従属国の軍隊を引き連れてイラクを先制攻撃した4カ月後に変死している。 ジョージ・W・ブッシュ政権はイラク侵略を正当化するために偽情報を広めていたが、その際にイギリスのトニー・ブレア政権はその偽情報を本当らしく見せるために文書を作成している。ブレア政権が作成した文書が事実に基づいていないことをBBCのアンドリュー・ギリガン記者に知らせたのはケリーだったと言われている。 ケリーは手首を切って死んだとされているが、それにしては出血が少なく、心臓の活動が停止した後に切ったと疑いが強い。死の直前、イギリスの治安機関MI5がケリーからベイソンの件で話を聞いたともいう。 イラクへの先制攻撃を正当化するために偽情報が記載された文書を自分たちが作成したとBBCの記者が伝えたことをブレア政権は怒り、同社の執行役員会会長とBBC会長は辞任に追い込まれ、ギリガン自身もBBCを離れることになる。それ以降、BBCは政権の単なる広報機関だ。 アメリカにおける細菌兵器の研究開発は1931年に始まったと言えるだろう。ロックフェラー財団の「衛生委員会」チームの一員としてプエルトリコのサンフアンにある病院で数カ月間勤務したロックフェラー医学研究所のコーネリアス・ローズなる人物はプエルトリコの被験者の体内へ意図的にガン細胞を入れ、うち13人を死亡させたという。彼はプエルトリコ人を軽蔑、絶滅を妄想していた。 ローズは第2次世界大戦中にアメリカ陸軍の大佐となって化学兵器部門の医学部長を務め、ユタ州、メリーランド州、パナマに化学兵器研究所を設立、プエルトリコ人に対する秘密実験にも参加した。1943年末までに化学兵器関連の新しい医学研究所がマサチューセッツ州のキャンプ・デトリック、ユタ州のダグウェイ実験場、アラバマ州のキャンプ・シベルトに設立された。1944年1月、化学兵器局は生物兵器に関するすべてのプロジェクトを担当することになる。1960年代にアメリカ国防総省は人間の免疫システムを無力化する研究を進めている。 キャンプ・デトリックは1955年からフォート・デトリックに格上げされるが、ここは今でもアメリカ軍の生物化学兵器開発の中心的な存在である。日本軍による生物化学兵器に関する資料や研究者は大戦後、フォート・デトリックへ運ばれた。 日本の生物化学兵器の開発は軍医学校、東京帝国大学医学部、京都帝国大学医学部が中心になって進められた。その一環として生体実験をおこなうため、中国で加茂部隊」が編成されている。その責任者が京都帝国大学医学部出身の石井四郎中将であり、その後ろ盾は小泉親彦軍医総監だったとされている。 その後、加茂部隊は「東郷部隊」へと名前を替え、1941年には「第七三一部隊」と呼ばれるようになり、捕虜として拘束していた中国人、モンゴル人、ロシア人、朝鮮人を使って生体実験する。こうした人びとを日本軍は「マルタ」と呼んでいた。 この部隊の隊長を1936年から42年、そして45年3月から敗戦まで務めた人物が石井四郎。途中、1942年から45年2月までを東京帝国大学医学部出身の北野政次少将が務めている。 ソ連の参戦が迫っていた1945年8月、関東軍司令官の山田乙三大将の命令で第七三一部隊に関連した建物は破壊され、貴重な資料や菌株は運び出された。監獄に残っていた捕虜を皆殺しになる。捕虜の多くは食事に混ぜた青酸カリで毒殺されたが、食事をとろうとしない者は射殺された。死体は本館の中庭で焼かれ、穴の中に埋められた。日本軍は監獄などを爆破した上で逃走している。(常石敬一著『消えた細菌戦部隊』海鳴社、1981年) 第七三一部隊人脈は大戦後、アメリカ軍の保護を受けながら活動を続けた。その拠点は予防衛生研究所(予研)を経て感染症研究所(感染研)につながる。感染研は現在、国立健康危機管理研究機構の一部を構成している。 リビアの指導者だったムアンマル・アル-カダフィは2009、大手製薬会社はウイルスを作り出して世界中に蔓延させれば「ワクチン接種で莫大な利益を得ることができる」と国連で演説していた。 ロシアはアメリカの国防総省がウクライナに建設した生物兵器の研究開発施設で特定の民族を殺害するための生物兵器を開発していたと主張し、アフリカ諸国に対し、生物兵器分野でアメリカと協力しないよう警告してきた。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.06
イスラエルは建国前からパレスチナで先住のアラブ系住民を虐殺しているが、ベンヤミン・ネタニヤフ政権になってから「皆殺し」の様相を強め、アメリカ国内でもイスラエルに批判的な人が増え、アメリカ軍の内部にも、イスラエルのために戦いたくないと考える人が少なくないようだ。 そのアメリカの下院で5月26日、2027年度国防権限法案(NDAA)が公表された。下院軍事委員会のマイク・ロジャース委員長(共和党)とアダム・スミス議員(民主党)によって提出されたもの。特に注目されているのは第224条の「アメリカ・イスラエル防衛技術協力イニシアチブ」だ。 この条項は両国の研究開発、兵器の共同生産、合弁事業、ライセンス契約、そしてあらゆる形態の軍産複合体協力の基盤を築くもので、AI、量子技術、自律システム、指向性エネルギー、サイバー、バイオテクノロジーなど、軍事技術のほぼすべての分野における連携が拡大する。さらに「ネットワーク統合」や「データ融合」も提案され、イスラエルは事実上、米軍のあらゆるデータにアクセスできるようになる。この法案は国防総省内に両国間の協力と統合を調整する執行機関を設置することも義務付けている。現在、イスラエルはアメリカ軍を自分たちの軍隊であるかのように使っているが、そうした傾向が強まる可能性が高い。 ワシントンDCでこの法案に意を唱えた共和党のトーマス・マッシー議員は5月19日に実施された11月の中間選挙の候補者を決める予備選挙で敗北。同議員はジェフリー・エ プスタイン氏に関する文書を司法省に公開させる取り組みを主導していたことでも知られ、ドナルド・トランプ大統領の反感を買っていた。 1979年にパーレビ体制がイスラム革命で倒された後、イスラエルやアメリカのシオニストは革命体制を転覆させ、親イスラエル体制を再建しようとしてきた。ウェズリー・クラーク欧州連合軍(NATO作戦連合軍)の元最高司令官によると、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎が攻撃されてから10日ほど後、ドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺はイラク、シリア、レバノン、リビア、ソマリア、イラン、スーダンを攻撃対象国リストに載せていたという(3月、10月)が、これはネオコンの計画にほかならず、イスラエルとアメリカは残されたイランを破壊しようとしている。 パーレビ体制は1925年に始まる。陸軍の将校だったレザー・ハーンがテヘランを占領、カージャール朝を廃してレザー・シャー・パーレビを名乗り、王位についたのだ。その背後にはイギリスが存在した。 1908年5月、ペルシャと呼ばれていた当時のイランで世界最大規模の油田が発見され、その翌年にAPOC(アングロ・ペルシャン石油)が創設され、バーマー石油の会長だったストラスコナ男爵(ドナルド・スミス)が会長に就任。そして1919年、イギリスはペルシャを保護国にしている。APOCは1935年にAIOC(アングロ・イラニアン石油)へ名称を変更した。 AIOCを通じ、イランの石油はイギリスを支える。同社が計上した利益は1950年だけで1億7000万ポンドだが、そのうち1億ポンドがイギリスへ渡されている。イランが受け取る比率は、イギリス政府へ税金を支払った後の10から12%にすぎない。(Richard J. Aldrich,"The Hidden Hand," John Murray, 2001) 石油が生み出す利益の大半をイギリスの巨大企業と王族が独占する現実にイラン国民は不満を募らせ、1951年に実施された選挙で選ばれた議会はAIOCの国有化を決める。その時、首相に就任したのはモハンマド・モサデクだ。 そこでイギリスの情報機関はアレン・ダレスに接近した。当時、ダレスは「民間人」だったが、アメリカの情報機関を彼が統括していることをイギリスは熟知していた。イギリスでは1951年10月にウィンストン・チャーチルが首相に復帰し、その圧力で1952年7月にモサデク首相は辞任するが、国民の反発で復活。そこでイギリスは経済戦争を仕掛けて追い詰め、クーデターでモサデク政権を倒そうとする。 1953年1月にアメリカ大統領となったドワイト・アイゼンハワーは国務長官をジョン・フォスター・ダレスに、またCIA長官にジョンの弟であるアレン・ダレスを据えた。言うまでもなく、ダレス兄弟はウォール街の大物弁護士。ふたりが所属するにモサデクを排除しなければならない事情があった。ダレス兄弟はふたりとも弁護士で、サリバン・アンド・クロムウェルという法律事務所の顧客リストにはAIOCも含まれていた。 1953年3月にアレン・ダレスはNSC(国家安全保障会議)でイランにおける革命の危機を訴えたが、会議に出席した人の約半数はクーデター計画に反対ていた。それでも大統領は3月中に計画を承認、5月中旬にアレン・ダレスは部下をキプロスに派遣、現地のMI6(イギリスの対外情報機関)要員と情報の交換を行っている。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015) クーデターでモサデク政権は倒されてパーレビ体制が復活、米英の巨大資本はイランを食い物にする。その略奪体制が終わるのが1979年の革命だ。イスラエルはそのイランの体制を転覆させようとしているのだが、その背後にはアメリカやイギリスが存在していると考えるべきだろう。 帝国主義国によって民主的な政権を倒され、傀儡体制に支配された経験をイランの国民は忘れていない。アメリカやイスラエルの攻撃に屈することはないだろう。 そのイランのマスード・ペゼシュキアン大統領は先週、パキスタンのシャバーズ・シャリフ首相と非機密回線を使った電話会談を実施した。両国はアメリカとイスラエルに傍受させることが目的だったと考えられている。その中でペゼシュキアン大統領はアメリカの攻撃が続く場合、核和平交渉からの即時撤退、将来の核条約枠組みの完全放棄、イラン領土内での核爆発という3段階の「最後通牒」を伝えたという。同じ内容の話をマルコ・ルビオ国務長官はパキスタンのイシャク・ダル外相から電話で伝えられたという。パキスタンの背後には中国とロシアが存在していると見られている。イランが核弾頭を保有しているとするならば、それは「友好国」から入手したということになるだろう。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.05

ウクライナと西アジアで大きな動きがあった。 ロシア政府が予告した通り、同国軍はキエフに対する大規模な攻撃を実施した。NATO諸国の要員がいる施設も破壊されてCIAのオフィサーも死亡したと伝えられている。この攻撃にロシア軍は戦略爆撃機のTu-95やTu-160、そして極超音速空対地ミサイルのキンジャールを搭載したMiG-31K迎撃機も投入、カスピ海の艦船からはカリブル巡航ミサイルを発射したようだ。 ロシア軍部隊はドンバス(ドネツクとルガンスク)に残されたキエフ体制側の要塞化した都市を包囲、陥落は時間の問題。今年の夏にはドンバス全域をロシア軍は制圧すると見られているが、南部のオデッサを制圧すると推測する人もいる。NATO加盟国の一部はロシアを直接攻撃する動きを見せているが、状況によってはそうした国の軍事施設が破壊される可能性もある。 西アジアでは多くの人が予想していた通り、6月3日未明(現地時間)にイランとアメリカが交戦した。イランのバンダレ・アッバース港へ向かうイランのタンカーに対してアメリカ軍のヘリコプターがヘルファイア空対地ミサイルを発射、航行不能に陥らせたことが切っ掛けだと伝えられている。アメリカ軍はゲシュム島にあるイランの通信塔も攻撃という。 これに対し、イランのIRGC(革命防衛隊)はアメリカの艦船「パナヤ」をミサイルで攻撃、さらにクウェート国際空港の旅客ターミナル1のほか同国に駐留しているアメリカ空軍の基地、またバーレーンのアメリカ第5艦隊司令部をミサイルとドローンで攻撃した。敵対的な外国勢力を受け入れ、イラン領への攻撃拠点を提供して地域の平和を損なったとIRGCはクウェートとバーレーンの政府を非難している。 アメリカ軍とイスラエル軍は2月28日にイランを奇襲攻撃、最高指導者のアヤトラ・アリ・ハメネイ師、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人を殺害したのだが、IRGCはすぐに反撃、イスラエルの主要施設や西アジアにあるアメリカ軍の基地が攻撃された。 破壊されたアメリカ軍基地にはカタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦(UAE)のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地など。CNNが5月1日に伝えたところによると、イラン軍攻撃で被害を受けたアメリカ軍基地は少なくとも16か所。その大半は使用不能だと言われている。イスラエルの報道管制は特に厳重だが、それでも大きな被害を受けていることは伝えられている。防空システムは機能していないということだ。 それでもイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ政権やアメリカのシオニスト・ロビーは戦争の継続を強く主張しているが、その背後にカバラを重視するチャバドの指導者だった故メナヘム・メンデル・シュネールソンが存在していると主張する人もいる。 チャバドは1775年に帝政ロシアのリオズノ(現在はベラルーシ)で設立されたカバラを重視するハシディズムの一派。メナヘム・メンデル・シュネールソンによって最も影響力のあるユダヤ教の運動になったという。彼らはエルサレムにある神殿の丘にアル-アクサ・モスクを破壊して第三神殿を再建するとしている。 イスラエルのネタニヤフ首相は1990年11月8日にシュネールソンと会い、イスラエル最後の指導者となってメシアに王笏を渡すだろうと告げられたという。ネタニヤフが初めて首相に就任したのは1996年6月のことだ。そのシュネールソンが埋葬されているニューヨークのオヘルをドナルド・トランプは2024年10月7日、大統領選挙の前月に訪れている。 西アジアの問題はイギリスを拠点としていた強大な私的権力、つまり帝国主義者の戦略が大きく関係しているのだが、その手先として利用されたユダヤ系カルトの力が強くなっている。ネタニヤフもトランプもその網の中にいる。 そうした帝国主義者やカルトの思惑はウクライナとイランで崩れつつある。イスラエルは最後の手段として核兵器を使う可能性がある。いわゆる「サムソン・オプション」だ。 1980年代からイスラエルが破壊しようとしているイランの体制はこれまで宗教的な理由から核兵器の開発をしてこなかったのだが、一連のアメリカやイスラエルによる攻撃により、その政策が変更されるかもしれない。 ここのきてイランのマスード・ペゼシュキアン大統領はパキスタンのシェバズ・シャリフ首相を通じ、アメリカが攻撃を続けた場合の対応策を伝えた。第1に核和平交渉からの即時離脱、第2に将来的な核合意の枠組みからの完全な離脱、第3にイラン国内における核実験だ。この通告はイラン国家安全保障会議の指示に基づく。 イランは核兵器を開発してこなかったことから、パキスタンが核弾頭を提供する可能性が高いと見られているが、その背後で中国やロシアと協議しているはずだ。NPT(核不拡散条約)から脱退し、砂漠地帯で核実験をすることも想定できる。パキスタンの核兵器開発にはサウジアラビアも深く関係している。イスラエルはイランの次にトルコとエジプトを狙っているとも言われ、これらの国々が新たな安全保障体制を築きつつあるとも言われている。西アジアの軍事的な緊張が高まることになるが、これはシュネールソンの一派にとって望むところだろう。 イランはホルムズ海峡を再び締めるだけでなく、紅海への入り口であるバブ・エル・マンデブ海峡を閉鎖するかもしれない。原油の供給が2割程度減る状況は続きそうだ。各国は備蓄を取り崩しているようだが、夏以降、状況は悪化すると見られ、「配給制」の導入もあると推測する人がいる。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.04

タイムズ・オブ・イスラエル紙によると、イスラエルはアメリカに攻撃再開の許可を求めた後、ヒズボラに対する攻撃を再開すると発表した。ベイルート郊外にある住宅街のダヒヤ地区を攻撃するという。これまでイスラエル軍が全くレバノンを攻撃していなかったわけではなく、攻撃は激化されるということだ。 イランのセイエド・アッバス・アラグチ外相はレバノンを含むあらゆる戦線での敵対行為の即時停止がイランとアメリカの停戦に含まれていると指摘、タスニム通信によると、イランの交渉チームはイスラエル軍によるレバノンに対する軍事作戦の継続を批判、仲介役のパキスタンを通じたアメリカとのテキストによるメッセージのやり取りを停止したという。 レバノンでの停戦はあらゆる交渉の前提条件であり、その前提条件が守られていない以上、交渉は継続されないということだ。イスラエル軍がレバノンでの作戦を停止し、レバノン領土から撤退するまで交渉は再開しないとイランの交渉担当者は述べている。段階的に緩和されてきたホルムズ海峡の封鎖も再び強化されそうだ。 ホルムズ海峡の航行が難しくなり、世界の原油供給量は約2割減ったと言われている。供給量が減っているため相場は上昇しているものの、今のところ備蓄された石油がクッションになっている。真の逼迫は今後数週間以内に起こると見られている。 レバノンに対するイスラエルの攻撃についてロシアのワシリー・ネベンジア国連大使は安全保障理事会で厳しく批判、アメリカが仲介した停戦は「忍び寄る侵略の煙幕」になっていると主張した。ガザと同じようにレバノンでも「焦土作戦」を実行しているとしているが、これは事実だ。ウクライナのクーデター政権の軍事力を高めるためにNATO諸国が行なったことと同じだとも言える。 本ブログでも繰り返し書いてきたが、戦争を終結させる条件としてイランが求めている項目は一貫している。ホルムズ海峡の通行をイランが管理し、イランの同盟勢力に対する軍事行動を停止、西アジア地域からアメリカ軍は撤退し、イランの役割を明記したホルムズ海峡における安全保障協定を策定、イランが被った損害を全額補償、すべての制裁および国際決議を撤廃、凍結されたイラン資産を返還、そしてこれらの条件を拘束力のある国連安全保障理事会決議として正式に承認することだ。 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を含むシオニストの一派はナイル川からユーフラテス川に至る「大イスラエル」を創設するという「歴史的かつ精神的な使命」を主張してきた。 この人物は2023年10月7日にハマス(イスラム抵抗運動)を中心とするパレスチナの武装グループがイスラエルを奇襲攻撃した直後、「われわれの聖書(キリスト教における「旧約聖書」と重なる)」を持ち出してパレスチナ人虐殺を正当化している。 聖書の中でユダヤ人と敵だとされている「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という部分を彼は引用、「アマレク人」をイスラエルが敵視しているパレスチナ人に重ねたのだ。 サムエル記上15章3節には「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」と書かれている。「アマレク人」を家畜と一緒に殺した後、「イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神は命じたとされている。これこそがガザやレバノンでイスラエルが行ってきたことであり、西アジア全域で実行しようとしていることだ。 ベンヤミン・ネタニヤフはウラジミール・ジャボチンスキーが1925年に結成した「修正主義シオニスト世界連合」の流れを汲む。ジャボチンスキーは1940年にアメリカで心臓発作のために死亡したが、アメリカ時代に彼の秘書を務めていたベンシオン・ネタニヤフはベンヤミン・ネタニヤフの父親にほかならない。 その後、ジャボチンスキーの信奉者がユダヤ人社会で主流派になったわけではないが、1970年代に福音派キリスト教徒、キリスト教原理主義者、あるいは聖書根本主義者と呼ばれているグループに支援されて勢力を拡大させた。アメリカでネオコンが台頭するのと同じタイミングである。 このキリスト教の一派が掲げる教義によると、キリストに従う「善の軍勢」と反キリストの「悪の軍勢」が「ハルマゲドン」で最終戦争を行い、人類の歴史は幕を閉じる。その際、再臨するキリストによって自分たちは救われるのだという。 ジェリー・フォルウエルなど有名なテレビ説教師の大半がこの説を信じていて、「四千万を超えるといわれる聖書根本主義者たちは、聖書に書かれた神の都シオンと現代のシオニズム国家イスラエルを中心に信仰体系を打ち立てている」。この信仰体系は天啓的史観と呼ばれている。(グレース・ハルセル著、越智道雄訳、「核戦争を待望する人びと」、朝日選書、1989年)ドナルド・トランプ政権でスピリチャル顧問を務めるポーラ・ホワイト-ケインもテレビ説教師のひとりだ。 また、マザー・ジョーンズ誌の2002年9月/10月号に掲載されたレポートによると、聖書根本主義派はエド・マクティールを中心に活動、ジェリー・フォルウエルをロナルド・レーガン、ジェシー・ヘルムズ上院議員、そして現司法長官のジョン・アシュクロフトと引き合わせたのもこの人物だ。ポール・ウォルフォウィッツやダグラス・フェイスのようなネオコンと福音派キリスト教徒は緊密な関係にある。(MOTHER JONES, September / October 2002) イスラエルの「建国」は1948年5月14日、シオニストによって宣言された。シオニストとはエルサレムの南東にあるシオンの丘へ戻ろうという「シオニズム運動」の信奉者だ。 シオニズムという用語を1893年に初めて使用したのはウィーン生まれのナータン・ビルンバウム。近代シオニズムの創設者とされている人物は1896年に『ユダヤ人国家』という本を出版したセオドール・ヘルツルだ。 しかし、その背後にはイギリスの強大な私的権力が存在していた。イギリス政府は1838年、エルサレムに領事館を建設、イギリスの首相としてベンジャミン・ディズレーリは75年にスエズ運河運河を買収しているが、その際に資金を提供したのは友人のライオネル・ド・ロスチャイルドだ。(Laurent Guyenot, “From Yahweh To Zion,” Sifting and Winnowing, 2018) ディズレーリは1881年4月に死亡、その直後からフランス系のエドモンド・ジェームズ・ド・ロスチャイルドがテル・アビブを中心にパレスチナの土地を買い上げ、ユダヤ人入植者へ資金を提供しはじめる。 イギリスは第1次世界大戦(1914年7月から18年11月)の最中にフランスと「サイクス・ピコ協定」を結んでいる。オスマン帝国を解体し、両国で分割することを決めていたのだ。これは秘密協定だったが、ロシアの十月革命で成立したボルシェビキ政権によって明るみに出されたのである。 協定が結ばれた翌月の1916年6月にイギリス外務省アラブ局はアラブ人を扇動して反乱を起こさせた。その部署にはトーマス・ローレンス、いわゆる「アラビアのロレンス」も所属していた。その当時、イギリスはエージェントを後のサウジアラビア国王でワッハーブ派のイブン・サウドに接触させている。 パレスチナに「ユダヤ人の国」を建設する第一歩と言われる書簡をアーサー・バルフォアがウォルター・ロスチャイルドへ出したのは1917年11月のこと。これがいわゆる「バルフォア宣言」だ。 イギリスは1920年から1948年の間パレスチナを委任統治、ユダヤ人の入植を進めたが、1920年代に入るとパレスチナのアラブ系住民は入植の動きに対する反発を強める。 そうした動きを抑え込むため、デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルはパレスチナへ送り込む警官隊の創設するという案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーを採用した。この組織はIRA(アイルランド共和国軍)を制圧するために設立され、殺人、放火、略奪など残虐さで有名だった。そして1936年から39年にかけてパレスチナ人は蜂起。アラブ大反乱だ。 1938年以降、イギリス政府は10万人以上の軍隊をパレスチナに派遣する一方、植民地のインドで警察組織を率いていたチャールズ・テガートをパレスチナへ派遣、収容所を建設する一方、残忍な取り調べ方法を訓練した。イギリス軍はパトロールの際、民間のパレスチナ人を強制的に同行させていたともいう。 委任政府は外出禁止令を出し、文書を検閲、建物を占拠、弁護人を受ける権利を停止する一方、裁判なしで個人を逮捕、投獄、国外追放している。この政策はイスラエル政府の政策につながる。 反乱が終わるまでにアラブ系住民のうち成人男性の10パーセントがイギリス軍によって殺害、負傷、投獄、または追放された。植民地長官だったマルコム・マクドナルドは1939年5月、パレスチナには13の収容所があり、4816人が収容されていると議会で語っている。その結果、パレスチナ社会は荒廃、1948年当時、イスラエルの「建国」を宣言したシオニストの武装組織に対して無防備な状態となっていた。 イギリスが中東支配を始めた理由には軍事的、あるいは経済的な側面があるが、それだけでなく宗教的な理由もあった。 16世紀になると、イギリスでは自分たちを古代イスラエルの「失われた十支族」の後継者だと信じる人が現れた。そのひとりがスチュワート朝のジェームズ6世で、自分はイスラエルの王だと信じていたという。そのジェームズ6世の息子、チャールズ1世は「ピューリタン革命(17世紀半ば)」で処刑されたが、その「革命」で重要な役割を果たした人物がオリヴァー・クロムウェル。その私設秘書だったジョン・サドラーも同じように考えていた。 旧約聖書の記述によると、イスラエル民族の始祖はヤコブだとされている。彼には12人の息子があり、それぞれ支族を形成、そのうちユダ族とベニヤミン族の後裔とされる人びとが「ユダヤ人」と呼ばれているのだ。残りは行方不明で、旧約聖書を信じる人びとから「失われた十支族」と呼ばれているのだが、その話は神話であり、史実に基づいているのかどうかは不明である。 旧約聖書が主張したかったのはユダヤ族とベニヤミン族が「ユダヤ人」だということだが、後の時代にある種の人びとは自分たちの妄想を「失われた十支族」という話の中に投影させたということだろう。 ところで、クロムウェルはキリストの再臨を信じ、「道徳的純粋さ」を達成しようと考え、ユダヤ人は離散した後にパレスチナに再集結し、ソロモン神殿を再建すると考えていたという。 シオニズムを生み出し、イスラエルを作り上げたのはイングランドの寡頭体制を支配する強大な私的権力であり、イスラエルはその私的権力に操られているだけである。トランプ大統領もその私的権力に操られている。その勢力はウクライナでロシアに、また西アジアではイランに敗北した。トランプ大統領はその責任をネタニヤフ首相に押し付けようとしているように見える。**********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.03

ドナルド・トランプ米大統領がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と共同で2月28日にイランを奇襲攻撃した結果、ホルムズ海峡を船舶が航行が困難になり、世界の原油供給量は約2割減った。西アジアの原油が途絶えて最も大きな影響を受けるのは東/東南アジアだが、中国は膨大な備蓄がある上、同盟関係にあるロシアから大量に運ばれ、しかもカスピ海経由でイランからも手に入る。それに対して日本は危機的な状況だが、高市早苗首相は「戦争ごっこ」に熱心で、エネルギー問題には興味がないようだ。 イランは報復攻撃で西アジアにあるアメリカ軍の基地やイスラエルの首相施設を破壊した。CNNが5月1日に伝えたところによると、イラン軍の攻撃で被害を受けたアメリカ軍基地は少なくとも16カ所におよび、その大半は使用不能だと言われている。アメリカとイスラエルはイランの体制を転覆させることに失敗、泥沼から抜け出せなくなった。 戦争に勝利したイランの政府はアメリカ政府に対し、戦争を終結させる条件として、イランの役割を明記したホルムズ海峡における安全保障協定の策定を要求、イランの同盟勢力(ヒズボラやハマス)に対する軍事行動の停止、西アジア地域からのアメリカ軍撤退、イランが被った損害の全額補償、すべての制裁および国際決議の撤廃、凍結されたイラン資産の返還、そしてこれらの条件を拘束力のある国連安全保障理事会決議として正式に承認することを求めている。 こうした要求を現時点でアメリカとイスラエルが呑むとは思えず、ホルムズ海峡の問題は長引くことが予想されるが、イランは日本に対して好意的な姿勢を見せている。その好意を拒否しているのが高市政権だ。 高市首相は総理大臣に就任した翌月、衆院予算委員会で「台湾有事」について問われ、「戦艦を使って、武力の行使も伴うものであれば、これはどう考えても存立危機事態になりうるケースだ」と発言している。歴代の日本政府と同じように高市首相も「ひとつの中国」を受け入れているので、彼女の発言は中国で内戦が始まった場合、日本は中国に対して宣戦布告するという意味になる。。 もっとも中国との関係を壊しにかかったのは菅直人政権。2010年6月の閣議決定で尖閣諸島周辺の中国漁船を海上保安庁が取り締まれることに決め、2000年6月に発効した「日中漁業協定」を否定、そして2010年9月、石垣海上保安部は中国の漁船を尖閣諸島の付近で取り締まったのである。それ以降、日本政府は中国との関係を壊そうとしてきた。高市首相はその政策を継承している。 こうした政策の背景にはアメリカが存在している。ソ連が消滅して間もない1992年2月、ジョージ・H・W・ブッシュ政権のネオコンは国防総省のDPG(国防計画指針)草案として、世界征服プロジェクトを作成した。いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」だ。 このプロジェクトにおける最優先事項は新たなライバルの出現を防ぐことだが、ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設する、つまりドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げるということも謳われている。 それに対し、1993年8月に成立した細川護煕政権は国連中心主義を打ち出して抵抗、94年4月に倒された。同年6月から自民党は社会党やさきがけを巻き込んで連立政権を樹立、抵抗したが、押し切られてしまった。 1995年2月になるとジョセイフ・ナイが「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表してアメリカの政策に従うように命令したが、このタイミングで日本を震撼させる出来事が相次ぐ。 1994年6月に長野県松本市で神経ガスのサリンがまかれ(松本サリン事件)、95年3月には帝都高速度交通営団(後に東京メトロへ改名)の車両内でサリンが散布された(地下鉄サリン事件)。松本サリン事件の翌月に警察庁長官は城内康光から國松孝次へ交代したが、その國松は地下鉄サリン事件の直後に狙撃されている。そして1995年8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われているスターズ・アンド・ストライプ紙に85年8月12日に墜落した日本航空123便に関する記事を掲載、墜落の際に自衛隊が不適切なことを行なったと示唆した。 アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が2022年4月に発表した報告書によると、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を彼らは持っている。この目的を「防衛」だと強弁しているが、中国に対する軍事的な圧力であり、先制攻撃の準備とも言える。 日本はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画を進め、自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。中国を攻撃する準備が粛々と進められている。辺野古へ人々の注意を逸らさせる必要はなくなった。 2022年10月になると、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル『トマホーク』の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。 トマホークは核弾頭を搭載でる亜音速ミサイルで、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートル。核弾頭を搭載することも可能で、中国やロシアの内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。 2024年3月には陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊を一元的に指揮する常設組織として「統合作戦司令部」が編成された。この司令部を設置することで「自衛隊とアメリカ軍の部隊連携をより円滑にする」とされているが、自衛隊がアメリカ軍の指揮下に入るとも理解されている。同年5月には筋金入りの親イスラエル派として知られているラーム・エマニュエル駐日米国大使が与那国島をアメリカの軍用機で訪れ、その後に新石垣空港へ向かった。そして昨年11月の「台湾有事」発言だ。 高市首相がアメリカでハグしたトランプ大統領は5月に中国を訪問した際、習近平国家主席に対して日本の再軍備について語り、習主席は苛立って声を荒げたとフィナンシャル・タイムズ紙は伝えた。高市政権の「戦争ごっこ」をトランプ大統領はカードとして使っている。 ヨーロッパではEUの幹部たちが高市と似たことをしている。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長、欧州連合外務安全保障政策上級代表のカヤ・カラス、最近ではドイツのフリードリヒ・メルツ首相がロシアとの戦争へとヨーロッパを導いている。 フォン・デア・ライエンの一族は貴族の家系で、ヒトラーの第三帝国との緊密な協力関係から工業的富の多くを獲得したと言われている。 彼女の父エルンスト・アルブレヒトは1930年生まれで、78年から90年までドイツのニーダーザクセン州で首相を務めたが、その際、ナチズムの信奉者を政権に迎え入れ、左翼赤軍派の信用を失墜させることを目的とした黒旗テロ作戦を実行している。フォン・デア・ライエンの一族はナチだけでなく奴隷売買でも富を築いたが、こうした富や人脈が彼女の出世を支えている。 カヤ・カラスは1977年、ソ連時代のエストニアで裕福な家庭に生まれた。彼女の父であるシーム・カラスは大学院を終えるとすぐにエストニア財務省の一般職員として採用され、4年でソ連貯蓄銀行のエストニア支店長に就任した。かなり優遇されている。生活の恐ろしさについて嘆くような生活ではなかった。 カラスの祖父は1920年代から30年代にかけての時期、エストニア警察と民族主義の民兵組織を創設した指導者のひとりで、コミュニストに対する弾圧を行っていた。カヤ・カラスの母親は1949年、両親と共にクラスノヤルスへ送られているが、父親はエストニアにおけるナチスの軍事組織「オマカイツェ」のメンバーだったという。 また、メルツは巨大金融機関ブラックロックの元監査役で、彼の祖父はナチの突撃隊員。バーボックの祖父はドイツ軍の将校で、1944年には第三帝国最高位の軍事勲章のひとつとされる剣付戦功十字章を授与されている。ビルト紙によると、軍歴記録には、彼が「無条件の国家社会主義者」であり、アドルフ・ヒトラーの著書『我が闘争』を読み、「完全に国家社会主義に根ざした」人物であるされている。 2014年2月にバラク・オバマ政権がキエフで仕掛けたクーデターで誕生した体制はネオ・ナチの影響を受け、ロシアを敵視する政策を続けている。そうした政策の一環としてロシア産の安価な天然ガスの輸入を止めてしまい、EUの経済は麻痺、社会は崩壊しつつある。似たようなことを高市政権は推進している。***********************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.02

ロシアの国営原子力企業ロスアトムのアレクセイ・リハチョフ社長は5月30日にZNPP(ザポリージャ原子力発電所)が光ファイバーで制御されたドローンで攻撃されたと記者団に語った。6号機のタービン建屋の壁に穴が開いたようだ。 この発電所は2022年3月4日からロシア軍が制圧、管理している。ロシア軍が原子力発電所を制圧するのは、ウクライナ軍が原発を「汚い爆弾(放射能爆弾)」として使うことを防ぐためだ。 2024年8月6日、3個旅団程度のウクライナ軍がスーミからロシアのクルスクへ軍事侵攻した。ロシア側には国境警備隊が配備されていただけだったため、装甲車両を連ねた部隊に対抗することができなかった。クルスクには原子力発電所があり、そこの使用済み核燃料貯蔵施設を標的とする偽旗作戦を実行するつもりだったのではないかと推測する人もいた。 今でもロシア軍が自軍の部隊が配備されている原発を攻撃したと主張する人もいるが、攻撃の状況からウクライナ軍が実行したことは確実。そもそも自国軍がいる原発を攻撃するとは考えられない。ウクライナ軍はイギリスの軍や情報機関(MI6)と共同でクリミア橋(ケルチ橋)を破壊するなどテロ活動を繰り返してきた。 2014年2月のキエフにおけるクーデターはアメリカのバラク・オバマ政権がネオ・ナチを利用して実行したものだった。これは本ブログで繰り返し書いてきたことだ。そのネオ・ナチ体制を拒否したウクライナ国民は少なくない。特に東部や南部、ソ連時代にロシアからウクライナへ割譲された地域では反クーデター派が圧倒的に多かった。 そこでNATO加盟国はクーデター体制の戦力を増強するために時間を稼がねばならなくなり、2014年の「ミンスク1」と15年の「ミンスク2」に繋がった。2021年1月にアメリカ大統領となったジョー・バイデンは就任直後からロシアに対する軍事的な挑発を開始。2022年に入るとドンバスの周辺で軍事的な緊張が高まり、ウクライナ側からの砲撃が激しくなる。開戦が噂される中、2月24日にロシア軍はミサイルやドローンでウクライナ軍の部隊や軍事基地、そして生物兵器の研究開発施設を攻撃し始めた。 3月に入るとモスクワとキエフは停戦で合意するのだが、それを容認できないボリス・ジョンソン英首相がキエフへ乗り込み、戦争を継続するようウォロディミル・ゼレンスキー大統領に命令している。2022年4月9日のことだ。(ココやココ) アメリカ国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」は「ロシアの勢力拡大」をテーマにした報告書で、ウクライナへ殺傷兵器を供与する、シリアの反政府勢力への支援を強化する、ベラルーシにおける政権交代を促進する、南コーカサスにおける緊張の高まりを利用する、中央アジアにおけるロシアの影響力を低下させる、モルドバにおけるロシアの存在に挑戦すると書いている。 歴代アメリカ政府は全てを実行しているが、西アジアではアメリカとイスラエルがイランに敗北、ウクライナ軍はロシア軍に敗北した。ウクライナにおける対ロシア戦争の主体になっているNATO諸国はロシアとの直接的な軍事衝突を公言している。ロシア政府もそれを覚悟、NATOとの全面衝突の準備をしていると見られている。対ロシア攻撃の拠点はウクライナの外でも標的になるだろう。「反転攻勢」や「新型兵器」でウクライナが勝つという状態ではない。「神風」は吹かない。 2014年のキエフにおけるクーデターを仕掛けたのはオバマ政権のネオコンであり、その背後にはシティやウォール街、つまり米英金融資本が存在している。イスラエルやペルシャ湾岸の産油国を作り上げたのはシティを構成している私的権力だ。この勢力は次にヨーロッパのNATO加盟国とロシアを戦わせようとしている。東アジアでは中国やロシアと戦わせる国として彼らが準備しているのは日本にほかならない。高市早苗政権はそのための準備を進めている。日本を滅ぼそうとしているとも言えるだろう。**************************************************【Sakurai’s Substack】【櫻井ジャーナル(note)】
2026.06.01
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