《櫻井ジャーナル》

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2024.01.23
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カテゴリ: カテゴリ未分類

 アメリカの私的権力は世界を支配するため、自国を「無敵の超大国」だと世界の人びとに信じさせてきたのだが、その幻影が消え掛かっている。その私的権力が拠点にしている場所はシティとウォール街、つまり彼らは金融資本だ。この構図が出来上がったのは19世紀である。この拠点から広がっているオフショア市場のネットワークを利用して私的権力は世界をコントロールしているのだ。

 1991年12月にソ連が消滅した直後の翌年2月、好戦派であるネオコンはアメリカが「唯一の超大国」と思い込み、DPG(国防計画指針)草案という形で世界制覇計画を作成した。アメリカは他国に配慮することなく単独で好き勝手に行動できると考えたのだ。「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれるこの計画では、旧ソ連圏を制圧するだけでなくドイツや日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に組み入れ、新たなライバルの出現を防ぐと謳っている。そして1995年、日本はアメリカの戦争マシーンに組み込まれた。

 この世界制覇計画を始動させたのは2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)に対する攻撃。「9/11」だ。​ 外交問題評議会(CFR)が発行している定期刊行物「フォーリン・アフェアーズ」の2006年3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文

 ところが、こうした見通しは間違いだった。2008年8月7日にジョージアが北京での夏季オリンピック開催に合わせて南オセチアを奇襲攻撃したのだが、ロシア軍の反撃でジョージア軍は惨敗する。この奇襲攻撃の背後にはイスラエルとアメリカが存在していた。

 イスラエルの会社は2001年からロシアとの戦争に備えてジョージアへ武器を提供、それと同時に軍事訓練を行っていた。アメリカのタイム誌によると、訓練だけでなくイスラエルから無人飛行機、暗視装置、対航空機装置、砲弾、ロケット、電子システムなどの提供をされている。(Tony Karon, “What Israel Lost in the Georgia War”, TIME, August 21, 2008)

 当時のジョージア政府にヘブライ語を話す閣僚がいたことも注目された。奇襲攻撃の責任者とも言える国防大臣のダビト・ケゼラシビリと、南オセチア問題で交渉を担当しているテムル・ヤコバシビリだ。

 アメリカもジョージアの戦力強化に参加していた。例えば傭兵会社MPRIとアメリカン・システムズは元特殊部隊員を2008年1月から4月にかけてジョージアへ派遣し、訓練している。攻撃の約1カ月前、7月10日にはアメリカの国務長官だったコンドリーサ・ライスがジョージアを訪問、8月15日にもライスはジョージアを訪問、ミヘイル・サーカシビリ大統領と会談している。

 南オセチアに対する奇襲攻撃はイスラエルとアメリカの軍事作戦であり、アメリカが目論む対ロシア戦争の序章だと見る人もいた。そこでアメリカは躓いたのだ。リーバーとプレスの論文とは違い、通常兵器による同じ規模の部隊による戦闘ならアメリカやイスラエルはロシアに勝てないことが明確になったのだが、ネオコンはその現実を受け入れられなかった。そしてシリアやウクライナで醜態を晒すことになり、今、イエメンを相手に無様なことを続けている。

 9/11当時、フランスの学者エマニュエル・トッドはアメリカの弱さを指摘していた。相手にできるのは軍事的小国だけだというのだが、これは正しかった。そこで朝鮮、キューバ、イラクのような国に対して威嚇して見せ、西側の有力メディアがアメリカは強いと大袈裟に宣伝するわけだ。ロシアや中国を相手にした時、その芝居は機能しなくなる。

 追い詰められたアメリカは台湾の民進党を利用して東アジアで軍事的な緊張を高め、日本と韓国を手先として中国やロシアと戦争する構えを見せている。






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最終更新日  2024.01.23 00:00:06


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