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アメリカ下院でウクライナ、イスラエル、台湾への一括支援法案が可決されたのは4月20日のことだった。24日にはジョー・バイデン大統領が署名している。総額950億ドルのうちウクライナ向けが610億ドル、イスラエル向けが260億ドル、台湾など東アジア向けが80億ドルだ。 支援の対象になるウクライナの現体制は2013年11月から14年2月にアメリカ政府がネオ・ナチを利用して仕掛けたクーデターで出現、アングロ・サクソンの支配者が19世紀から計画しているロシア征服に王手をかけようとしたのだが、東部と南部の人びとがクーデターを拒否、東部のドンバスで内戦が始まった。実態はアメリカ/NATOの侵略戦争に他ならない。 イスラエルはイギリスがシオニストを利用し、パレスチナに作り上げた国だ。今では石油が中東支配の大きな目的になっているが、石油発見の前はスエズ運河がイギリスの戦略上、大きな意味があった。 スエズ運河はフランスのフェルディナン・ド・レセップスが1869年に完成させたが、その発端は1798年にナポレオン・ボナパルトが古代の水路跡を見つけたところから始まる。ナイル川から紅海へ抜ける運河が紀元前に建設されていたのだ。 イギリスの首相だったベンジャミン・ディズレーリは友人のライオネル・ド・ロスチャイルドの資金で1875年にその運河を買収。1881年に死亡するが、その直後からエドモンド・ジェームズ・ド・ロスチャイルドはテル・アビブを中心にパレスチナの土地を買い上げ、入植するユダヤ人へ資金を提供しはじめた。 1917年にイギリスの外相だったアーサー・バルフォアはウォルター・ロスチャイルドへ書簡を出している。「イスラエル建国」に向かって進む切っ掛けになった「バルフォア宣言」だ。その中で「イギリス政府はパレスチナにユダヤ人の民族的郷土を設立することに賛成する」と約束したのだが、この宣言を実際に書いたのはアルフレッド・ミルナーだと言われている。 ミルナーはセシル・ローズを中心とするグループの主要メンバーだったが、バルフォア自身もローズのグループに所属していた。そうしたこともあり、イギリス支配層はパレスチナ人(先住のアラブ系住民)を弾圧する一方、ユダヤ人の入植を進めた。 それに対し、1920年代に入るとパレスチナのアラブ系住民は入植の動きに対する反発を強めるのだが、そうした動きを抑え込むため、デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルはパレスチナへ送り込む警官隊の創設するという案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーを採用した。この組織はIRA(アイルランド共和国軍)を制圧するために設立され、殺人、放火、略奪など残虐さで有名だった。 1933年にドイツでは国会議事堂放火事件が引き起こされ、それを利用してナチスが実権を握るが、この年の8月にシオニストはナチス政権との間でユダヤ系ドイツ人をパレスチナへ移住させることで合意した。「ハーバラ合意」だが、「ユダヤ人弾圧」でパレスチナへ向かったユダヤ人はシオニストの予想を下回った。1938年11月にナチスはユダヤ人を襲撃、多くの人が殺され、収容所へ入られ始めるが、それ以降もユダヤ教徒はパレスチナでなく、アメリカやオーストラリアへ逃れている。そこで目をつけられたのがイラクに住むユダヤ教徒だった。 パレスチナに住むアラブ系住民を排除するため、シオニストは1948年4月4日に「ダーレット作戦」を発動、8日にデイル・ヤーシーン村でアラブ系住民を虐殺している。アラブ人を脅し、追い出そうとしたのだ。 この作戦が始まるまでにエルサレム旧市街の周辺へユダヤ人が集中的に移民、人口の3分の2を占めるまでになっていた。この作戦は1936年から39年にかけて行われたパレスチナ人殲滅作戦の詰めだったという見方もある。 ダーレット作戦はハガナ(ユダヤ人の武装グループで、後にイスラエルの国防軍になった)が中心になって実行されたが、その副官を務めていたイェシュルン・シフがエルサレムでイルグンのモルデチャイ・ラーナンとスターン・ギャングのヨシュア・ゼイトラーに会い、ハガナのカステル攻撃に協力できるかと打診している。イルグンとスターン・ギャングは協力することになる。 襲撃直後に村へ入った国際赤十字のジャック・ド・レイニエールによると、254名が殺され、そのうち145名が女性、35名は妊婦だった。イギリスの高等弁務官だったアラン・カニンガムはパレスチナに駐留していたイギリス軍のゴードン・マクミラン司令官に殺戮を止めさせるように命じたが、拒否されている。ハガナもイルグンとスターン・ギャングを武装解除しようとはしなかった。(Alan Hart, “Zionism Volume One”, World Focus Publishing, 2005) この虐殺を知ったアラブ系住民は逃げ出す。約140万人いたパレスチナ人のうち5月だけで42万3000人がガザ地区やトランスヨルダン(現在のヨルダン)に移住、その後1年間で難民は71万から73万人に達したと見られている。イスラエルとされた地域にとどまったパレスチナ人は11万2000人。そして5月14日にイスラエルの建国が宣言された。国際連合は同年12月11日に難民の帰還を認めた194号決議を採択したが、現在に至るまで実現されていない。そして同年5月14日にイスラエルの建国が宣言された。アラブ諸国の軍隊が参戦するのはその翌日からだ。 シオニストの中でも特に狂信的な集団はウラジミール・ヤボチンスキーの「修正主義シオニスト世界連合」。ヤボチンスキーは晩年、アメリカへ移住するが、そこで彼の秘書を務めた人物がベンシオン・ネタニヤフ、現イスラエル首相のベンヤミン・ネタニヤフの父親だ。 このグループはユーフラテス川とナイル川で挟まれている地域はユダヤ人の所有物だと考えている。その地域を実際に支配しようとしてきた。いわゆる「大イスラエル構想」だ。ユダヤ教の宗教書であるトーラー(キリスト教徒が言う旧約聖書のうちモーセ5書)がその根拠だとされているが、トーラーによると土地を所有しているのは神であり、ユダヤ教徒はトーラーを守るという条件の下でその土地に住むことを許されたにすぎない。 ロスチャイルド資本はウクライナでも暗躍している。クーデターの後にウクライナ国債の価格は下落、フランクリン・テンプルトンというファンドは額面総額50億ドルの国債を買ったというが、このファンドを操っているのはロスチャイルド資本だ。 破綻した国の国債を安値で買いあさり、満額で買い取らせるというのが「ハゲタカ・ファンド」のやり口。ウクライナにはIMFがカネを貸しているが、そのカネでファンドの要求通りに支払うことができる。債権者になったIMFは債務者である破綻国の政府に対して緊縮財政を要求、庶民へ回るカネを減らさせる。規制緩和や私有化の促進で国の資産を巨大資本に叩き売らせ、大儲けさせてきた。 現在、欧米の有力企業は「闇の銀行」と呼ばれるファンドに支配されている。どの代表格がブラックロック、バンガード、ステート・ストリートだ。軍需産業も医療産業もその配下にある。 ウクライナの場合、西側から供給される兵器や「復興資金」の使い道についてアドバイスしているのがブラックロックだという。ブラックロックを率いるラリー・フィンクはウクライナとのウォロディミル・ゼレンスキー大統領と関係が深い。そのほか、JPモルガンやゴールドマン・サックスともゼレンスキー政権は協力関係にある。 ちなみに、クーデターが始まる前年の2012年5月にジェイコブ・ロスチャイルドとデイビッド・ロックフェラーは手を組んでいる。ジェイコブ・ロスチャイルド氏が率いる投資会社RITキャピタル・パートナーズがデイビッド・ロックフェラーのロックフェラー・ファイナンシャル・サービシズが発行している株式の37%を取得すると発表したのだ。 ウクライナにおける怪しげな工作で中心的な役割を果たしていると見られているのが「ブリスマ」だ。この会社はミコラ・ズロチェフスキーが設立したウクライナのエネルギー会社で、その重役には元ポーランド大統領のアレクサンデル・クファシニェフスキー、元CIA高官のジョセフ・コファー・ブラック、ジョー・バイデン大統領の息子であるハンター・バイデンも名を連ねていた。ブラックはブラックウォーター(後にXe、そしてアカデミに名称変更)の副会長を務めている。 2014年4月16日、ハンター・バイデンはビジネスパートナーであるデボン・アーチャーとホワイトハウスで会談し、その5日後にはウクライナを訪問、アーチャーは4月22日に、またハンターは5月12日にそれぞれブリスマの取締役会に加わった。2014年11月から15年11月までの期間、ブリスマはハンターやアーチャーが経営するロズモント・セネカ・ボハイなる会社へ350万ドル支払っている。アーチャーはサリバンと同じようにエール大学の出身。そこでルームメートだった人物がジョン・ケリー元国務長官の義理の息子であるクリス・ハインツだ。 ウクライナでアメリカ国防総省は生物兵器の研究開発を行っていたが、そのプロジェクトにロズモント・セネカ・パートナーズも参加していた。そのほこビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、クリントン財団、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団、ロックフェラー財団、エコヘルス同盟などから資金が出ていた。ジョー・バイデン、バラク・オバマ、ヒラリー・クリントン、ジョージ・ソロス、ハンター・バイデンなどの個人、あるいは医薬品会社も関係していた。 ロシアの調査委員会によると、ブラックウォーターの元副社長であるジョセフ・コーファー・ブラックも役員を務めていたブリスマはCIA主導の破壊工作に関与していた疑いがある。同社を経由した資金は過去数年間にわたり、ロシアでのテロ行為に使用されてきたというのだ。 3月22日にモスクワの北西にあるクラスノゴルスク市のクロッカス・シティ・ホールが襲撃され、銃撃と火災で140名以上が死亡、多くの負傷者が出ている。実行犯はウクライナへ逃げ込む直前に拘束され、相当数の共犯者がロシア国内だけでなく、トルコやタジキスタンで逮捕されている。支援ネットワークが摘発されているわけだ。 ロシア国家反汚職委員会のキリル・カバノフ委員長によると、実行グループが残したデータは、彼らがウクライナの特殊部隊/ネオ・ナチと連絡を取り合っていたことを示しているようだ。アメリカやイギリスの情報機関、つまりCIAやMI6につながる可能性がある。 ちなみに、米英の私的権力は19世紀のアヘン戦争以来、中国を侵略、富を奪おうとしている。その傭兵のような役割を果たしてきたのが日本だ。
2024.04.30
岸田文雄政権は「新型インフルエンザ等対策政府行動計画」の改定案の中で、「感染症対策」を口実として「偽・誤情報」を監視する方針を明確にしたと話題になっている。言論の監視はこれまでも行われてきたはずだが、それを公然と行うという宣言だ。すでに大手メディアは支配システムに対して萎縮しているが、その先には治安維持法的な言論弾圧が待ち受けていると考えるべきだろう。それだけ支配体制が揺らいでいるということでもある。 日本の支配システムは明治維新以来「天皇制官僚体制」を維持しているが、その上に米英の強大な私的権力が存在している。日本は現在もアメリカ軍に占領されているが、政治的にはCIAが大きな影響力を持っている。CIAやその前身のOSSはイギリスの情報機関のアドバイスで創設された金融資本の情報機関である。 第2次世界大戦の後、OSSは破壊活動の部門を除いてCIAへ組織替えになったが、破壊活動はOPCとして存続、1950年10月にCIAへ吸収され、52年8月にCIAの破壊工作部門「計画局」の中核になった。世界各国でクーデターを仕掛け、要人を暗殺してきたのはアレン・ダレスが指揮していたこの部署にほかならない。 アメリカの私的権力は大戦後、情報をコントロールするための仕組み「モッキンバード」を作りあげた。その中核がアレン・ダレス、ダレスの側近で戦後に極秘の破壊工作機関OPCを率いていたフランク・ウィズナー、やはりダレスの側近で後にCIA長官に就任するリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポスト紙の社主だったフィリップ・グラハム。この陣容からも明らかなように、CIAのプロジェクトだ。 この仕組みには西側の有力メディアが協力している。ワシントン・ポスト紙の記者としてウォーターゲート事件を取材したカール・バーンスタインはリチャード・ニクソン大統領が辞任した3年後の1977年にワシントン・ポスト紙を辞め、「CIAとメディア」という記事をローリング・ストーン誌に書いているが、そこでも仕組みの一端が明らかにされた。 その記事によると、1977年までの20年間にCIAの任務を秘密裏に実行していたジャーナリストは400名以上に達し、1950年から66年にかけてニューヨーク・タイムズ紙は少なくとも10名の工作員に架空の肩書きを提供したとバーンスタインにCIAの高官は語ったという。(Carl Bernstein, “CIA and the Media”, Rolling Stone, October 20, 1977) また、フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング(FAZ)紙の編集者だったウド・ウルフコテは2014年2月、ドイツにおけるCIAとメディアとの関係をテーマにした本を出版、その中で多くの国のジャーナリストがCIAに買収されていて、そうした工作が危険な状況を作り出していると告発している。 モッキンバードの仕組みが存在しているにも関わらず、1970年代にはCIAの秘密工作や極秘にされていた電子情報機関NSAの存在が明るみに出るといった事態が生じた。そこで情報機関の内部やメディアの統制を強める政策が推進される。 そのひとつの結果がメディア各社の資本集中。1980年代には「規制緩和」で有力メディアの大株主は集中、メディアの大半を少数のグループが支配している。2019年ではCOMCAST(NBCなど)、ディズニー(ABC、FOXなど)、CPB(NPR、PBSなど)、Verizon(Yahooニュース、ハッフィントン・ポスト)、ナショナル・アミューズメンツ(VIACOM、CBS、MTVなど)、AT&T(CNN、TIME、ワーナー・ブラザーズなど)、グーグル、ニューズ・コープ(FOXニュース、ウォール・ストリート・ジャーナルなど)というようになっているが、その背後の巨大資本が連携していることも忘れてはならない。そうした巨大資本の広報部門と化しているのが実態だ。 ノーム・チョムスキーは西側支配システムの枠組みから外れることのない人物だが、それでも1996年、「ジャーナリスト」のアンドリュー・マーに対し、もしマーが支配システムが求める何かとは違うことを信じていれば、今座っている場所には座っていないと指摘している。これは正しい。 ケイトリン・ジョンストンが指摘しているように、メディア世界でのキャリアを高めるような報道の仕方を学ばなければ、排除されてしまうか、内部での軋轢に疲れ果てて辞めるしかない。そうした有力メディアに情報を頼り、そうしたメディアの記者や編集者に知り合いが多いことを鼻にかけているような「市民活動家」に期待できないことも確かだ。 ウクライナに住み、キエフのネオ・ナチ体制を批判していたゴンザロ・リラは逮捕、収監され、刑務所内で拷問のすえ、死亡している。適切な治療も受けていなかった。殺されたというべきだろうが、西側の有力メディアはおとなしい。 彼が逮捕されたのは、ジョー・バイデン大統領とカマラ・ハリス副大統領を批判した直後だ。アメリカ政府はジャーナリストの逮捕、そして拷問を容認、バイデン政権は自国民であるリラに救いの手を差し伸べなかった。 勿論、完全とは言えないが、権力者にとって都合の悪い情報を明らかにし、有力メディアの嘘を暴いてきたWikiLeaksの象徴的な存在がジュリアン・アッサンジだが、この人物は2019年4月11日、アメリカの政府機関の要請でロンドンのエクアドル大使館でロンドン警視庁の捜査官に逮捕された。現在、イギリス版グアンタナモ刑務所と言われているベルマーシュ刑務所へ入れられている。 アッサンジはオーストラリア人であり、活動はアメリカ以外の場所で行っていた。つまり、アメリカ政府はどの国の人間であろうと、どの国で活動していようと、自分たちに都合の悪い人物は拘束し、処罰できると主張、それを少なくともイギリスやオーストラリアは受け入れているわけだ。 リラのケースもアッサンジのケースも明白な言論弾圧だが、有力メディアが沈黙している。日本をアメリカの植民地にしようと努力している岸田政権が言論統制を強化するのは必然だろう。
2024.04.29
イスラエル軍はすでにガザで3万数千人の住民を虐殺した。そのうち約4割が子ども、女性を含めると約7割に達する。そのイスラエル軍がガザ南部のカン・ユニスから撤退、そこの医療複合施設で集団墓地が発見されている。アル・シファ病院やカマル・アドワン病院の集団墓地で数十体の遺体が発見されているが、カーン・ユニスのナセル医療複合施設の集団墓地では392体の遺体が発見されたという。 回収作業に参加した救急隊員はイスラエル軍が臓器を取り出して持ち去った疑いがあるほか、拷問や処刑の痕跡もあり、生き埋めにされた疑いのある被害者もいるようだ。 イスラエルでは臓器移植が盛ん。旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷で検察官を務めたカーラ・デル・ポンテは自著(Chuck Sudetic, Carla Del Ponte, “La caccia: Io e i criminali di guerra,” Feltrinelli, 2008)の中で、KLA(コソボ解放軍)による臓器の密売に触れているが、売られていく先にはイスラエルがあったとされている。コソボで戦闘が続いている当時、KLAの指導者らが約300名のセルビア人捕虜から「新鮮」な状態で、つまり生きた人間から臓器を摘出し、売っていたという。 この話は欧州評議会のPACE(議員会議)に所属していたスイスの調査官ディック・マーティの報告書にも書かれている。KLAの幹部はセルビア人を誘拐し、彼らの臓器を闇市場で売っていたという。捕虜の腎臓を摘出し、アルバニア経由で臓器移植のネットワークで売り捌いていたともされている。このコソボの業者がウクライナへ入って商売を始めたとも伝えられている。 本ブログでも書いたことだが、ウクライナでも臓器ビジネスが盛んになっている。戦死した兵士の臓器を取り出すのだ。ドンバスで臓器を切り取られた軍人と民間人の遺体数十体を発見したとOSCE(欧州安全保障協力機構)の代表は語っていた。その後、戦死者から取り出すだけでなく、負傷した兵士も犠牲になったと言われている。 ここにきて指摘されているのは、子どもが臓器売買の犠牲になっているということ。昨年6月、生後11ヶ月の子どもを外国に連れて行こうとしてデニス・バロディなる男がウクライナとスロバキアの国境で逮捕された。子どもの臓器を国外で売ることが目的だったという。バロディは孤児院で教師として働いた経験があり、慈善財団の代表を務め、孤児青少年団体を創設していた。ウクライナの女性を「代理母」として子どもを産ませ、その子どもを取り上げて売りさばいているとする話も伝わっている。 ウクライナでは2021年12月、「人体解剖材料の移植問題の規制について」なる法律が成立、生体ドナーとその親族が移植に同意したことを証明する必要ながくなったという。書類があれば、署名の確認や認証は必要なくなり、死体から臓器を摘出する手続きは大幅に簡略化された。 今年3月22日には、ウクライナで「赤ちゃん工場」を発見したロシア兵の証言とされる映像がアップロードされた。そこで生まれた赤ん坊は内臓が摘出されたり、別の犯罪に利用されるとされている。西側ではロシアのプロパガンダだとされたが、その根拠は示されていない。そうしたプロパガンダにもかかわらず、その映像は注目されている。
2024.04.28
バラク・オバマ政権は2013年11月から14年2月にかけてウクライナでクーデターを実行、ビクトル・ヤヌコビッチ政権を倒した。その際、アメリカ政府が手先として利用したネオ・ナチはクーデター後の体制で大きな影響力を維持している。 ウクライナでは東部と南部は歴史的にロシアと文化的に関係が深く、ロシア語を話す住民が多数を占める。その地域を支持基盤にしていたのがヤヌコビッチにほかならない。したがって、この地域ではクーデターを拒否する住民が大多数だ。 そうした動きは以前からあった。つまり、1990年にウクライナ議会がソ連からの独立を可決すると、南部のクリミアでは91年1月にウクライナからの独立を問う住民投票を実施、94%以上が賛成している。これを「国際社会」と自称する西側諸国は認めなかった。1991年12月にソ連が消滅した後、クリミア議会は住民の意思を無視してウクライナに統合されることを決めている。 経済的にも軍事的にも重要な南部のオデッサや東部のマリウポリではネオ・ナチが住民を虐殺してクーデター派が制圧に成功したものの、黒海艦隊の拠点、セバストポリがあるクリミアは住民が素早く動いてロシアの保護下に入り、東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)では内戦が始まった。 しかも、クーデター後に軍や治安機関から約7割の兵士や隊員が離脱し、その一部はドンバスの反クーデター軍に合流したと言われ、当初は反クーデター軍が戦力的に上回っていた。アメリカ/NATOが「ミンスク合意」で時間を稼いだのはそのためだ。クーデターから8年後、アメリカ/NATOは攻撃の準備が整ったと判断したようで、2022年になるとアメリカ/NATOを後ろ盾とするウクライナ軍がドンバスの近くに集結、砲撃を激化させ始めた。 それに対し、ロシアのウラジミル・プーチン大統領は2月21日にドンバスの独立を承認、ウクライナに対してクリミアとセバストポリがロシア領だと認め、NATO加盟を断念し、非武装化(攻撃的な軍事施設や兵器を持たない)して中立を宣言、さらに「非ナチ化」も求めた。 そして2月24日、ロシア軍は機先を制してミサイルでドンバス周辺に集結していたウクライナ軍部隊を壊滅させ、航空基地、レーダー施設、あるいは生物兵器の研究開発施設も破壊した。この段階でウクライナ軍の敗北は決定的だった。その直後、イスラエルやトルコの仲介でキエフとモスクワは停戦でほぼ合意に達したのだが、それをアメリカやイギリスの政府や議会が潰した。 アメリカ/NATOは資金や武器弾薬を供給、傭兵を送り込んで支援したが、ウクライナ軍はロシア軍に粉砕されてしまう。最近ではアメリカが提供したM1A2エイブラムス戦車が無惨な姿を晒している。ロシアのドローンに発見され、攻撃されてしまうからで、すでに31台の戦車のうち5台が破壊されたという。西側の有力メディアが宣伝していた「アメリカ軍は無敵」だとする神話が崩れている。 簡単に勝てるつもりでロシアと戦争を始めたジョー・バイデン政権としては、「敗北」のイメージが広がることを避けなければならない。そこで登場してきたのが最大射程距離300キロメートルの戦術ミサイルシステム「ATACMS」だ。 すでにフランスやイギリスは長距離ミサイル「ストームシャドウ(フランス名:SCALP-EG)」を供給、ドイツ軍もロシアとの戦争に積極的だ。 3月1日に公開された音声によると、ドイツ空軍のインゴ・ゲルハルツ総監、作戦担当参謀次長のフランク・グレーフェ准将、そして連邦軍宇宙本部のフェンスケとフロシュテッテ幹部が2月19日にリモート会議で「タウルスKEPD 350」ミサイルによるクリミア橋(ケルチ橋)攻撃について話し合っている。ATACMSやストームシャドウも同じ橋を破壊するために使うつもりだろう。 武器よりも深刻な状態になっているのは兵士。すでに50万人以上が戦死したと言われ、ウクライナから若い男性が消えた。国外へ逃げたウクライナ人を連れ戻すだけでなく、傭兵、そして各国軍の兵士を投入しようとしている。 西側各国の特殊部隊やアメリカからの傭兵は当初から指摘されていたが、ここにきてフランスの軍人約2000名がオデッサへ入り始めたと伝えられている。フランス軍では軍への復帰と高収入を条件にして兵士をウクライナへ送り込もうとしているようだ。 ネオ・ナチも集められている。アゾフ特殊作戦分遣隊(アゾフ大隊)をはじめ、ウクライナの親衛隊はネオ・ナチだが、この部隊と関係の深い「センチュリア」がここにきて話題になっている。 センチュリアは新兵をウクライナからの移民に依存、隊員はウクライナのNAA(国立陸軍士官学校)に在籍、その間に西側諸国の専門家から訓練を受けていたと伝えられている。ドイツにも分派が存在、6都市に拠点を構え、影響力を強めているという。イギリスの王立陸軍士官学校サンドハースト校で11ヶ月間の将校訓練コースに参加したメンバーもいる。ネオナチグループのメンバーの多くは、ポーランド国境からわずか数キロ東に位置するヤヴォリブの事実上のNATO基地で訓練を行っているとも伝えられている。
2024.04.27
アメリカのジョー・バイデン大統領は4月24日、ウクライナ、イスラエル、台湾への援助を含む950億ドルの軍事援助法案に署名した。当初は難色を示していた共和党も4月20日、下院で民主党と同じように承認していた。このうち608億ドルはウクライナ向けだ。内訳はアメリカの兵器在庫を補充するために232億ドル、ウクライナ向け兵器システムの購入に138億ドル、そしてウクライナ周辺でアメリカが実行している軍事作戦に113億ドルだという。私服を肥やしていると西側でも批判されているウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領はマイク・ジョンソン下院議長に感謝を表明している。 今回の支援法案の目玉は、最大射程距離300キロメートルの戦術ミサイルシステム「ATACMS」だとされ、国防総省のガロン・ガーンによると、バイデン大統領は2月、ウクライナ領内で使用するミサイルの譲渡を密かに承認し、ミサイルは4月初めにウクライナへ引き渡されたとされている。すでに100機を極秘輸送、ウクライナ軍は4月17日、クリミア半島の飛行場を攻撃した際に使用されたとも言われている。今後、攻撃範囲をクリミアやロシア内部へ広げてロシア市民を殺害、ロシア国内に政府に対する怒りの声を高めようとしているのだろう。 イギリス軍のトニー・ラダキン参謀総長はロシア内部への攻撃が強化されると発言しているが、同国はウクライナへ5億ポンド(6億1700万ドル)相当の軍事支援を発表した。これには長距離ミサイル「ストームシャドウ」が含まれている。 本ブログですでに書いたことだが、フランスのエマニュエル・マクロン大統領はNATOの地上軍をウクライナへ派遣すると口にし、フランス軍部隊約1000名がオデッサへ入ったと伝えられている。さらに同程度の部隊が送り込まれる予定だともいう。セルゲイ・ナリシキンSVR(ロシアの連邦対外情報庁)長官は3月19日、フランス政府がウクライナへ派遣する部隊を準備しているとする情報を確認、初期段階では約2000人を派遣する予定だとしていた。 しかし、こうした軍事支援で戦況が大きく変化することはないと見られている。アメリカ政府はウクライナでの軍事作戦を立てるため、「プロジェクト・メイブン」と名付けられたAIを利用しているというが、これも失敗に終わった。 メイブンは以前から知られている軍事用AIだが、実際に使われたようだ。このAIはウクライナでロシア軍が負けると分析したようだが、結果は全く違った。単純なルールに基づくゲームとは違い、多くのファクターが複雑に絡みあう戦争では有効でない。核戦争のリスクを冒してのテストのつもりかもしれないが、アメリカ軍はベトナム戦争でも戦況の分析にコンピュータを使い、敗北している。 アメリカではウクライナに対する資金援助を目的とし、凍結しているロシアの資産を没収する動きもあるが、これは米英を中心とする金融システムにとって自殺行為とも見られている。このシステムが信頼できないことを示す行為であり、国際金融秩序は崩壊するからだ。日本はアメリカの財務省証券を購入しているが、日本の官僚や政治家はその資産が自国へ戻ってくるとは思っていないだろう。彼らは「絵に描いた餅」で満足している。損するのは何も知らされていない日本の庶民だ。【参考】櫻井ジャーナル「独の長距離ミサイルでクリミア橋を攻撃する計画を独空軍は米太平洋空軍に伝達」
2024.04.26
イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長は4月21日、NATO加盟国の一部はキエフにある各国大使館に軍服を着た人びとが派遣され、助言していると語った。 ストルテンベルグが仕える欧米支配層はウクライナ人にロシア人と戦わせてきたが、すでに限界が来ている。武器弾薬や軍事顧問を送り込むだけでは足りず、自国軍の将兵を送り込み始めた。 軍事顧問の派遣は遅くとも2014年2月にビクトル・ヤヌコビッチ政権がネオ・ナチのクーデターで倒された直後に始まっている。このクーデターを仕掛けたのは言うまでもなくバラク・オバマ政権。この政権はキエフのクーデター体制を支援するため、CIAやFBIの専門家数十名を顧問として送り込んでいる。そのほか傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の戦闘員約400名もウクライナ東部の作戦に参加、2015年からCIAはウクライナ軍の特殊部隊をアメリカの南部で訓練し始めたともいう。 そのほか、フランスのル・フィガロ紙のジョージ・マルブルノはウクライナでアメリカ陸軍の特殊部隊デルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)も戦闘に参加しいると伝え、ポーランドやバルト諸国からも戦闘員がウクライナへ入っているとも言われている。2022年の秋頃からアメリカ/NATOの軍事関与は強まった。 ロシアとの戦争を煽ってきたストルテンベルグがNATO事務総長に就任したのは2014年10月のこと。2005年10月から13年10月までの期間はノルウェーの首相、その前、2002年から2005年までGAVI(ワクチンと予防接種のためのグローバル同盟)の理事をそれぞれ務めている。医薬品メーカーと軍事はここでも結びつく。 クーデターの前からアメリカ国防総省はウクライナに生物兵器の研究開発、あるいはマネーロンダリングなども続けてきたことも知られているが、ロシア軍のイゴール・キリロフ中将によると、アメリカ国防総省はウクライナで生物兵器の研究開発を行なっていた。ロシア軍がウクライナで回収した文書を分析した結果だ。 ウクライナの研究施設でロシアやウクライナを含む地域を移動する鳥を利用して病原体を広める研究を実施、2019年からウクライナ兵を被験者としてHIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染実験が行われ、覚醒剤やモルヒネなどの薬物も使われていたという。 こうした研究開発にはジョー・バイデン、バラク・オバマ、ヒラリー・クリントン、ジョージ・ソロス、ハンター・バイデンなどが関係、ビル・アンド・メリンダ・ゲーツ財団、クリントン財団、ハンター・バイデンのロズモント・セネカ・パートナーズ、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティ財団、ロックフェラー財団、エコヘルス同盟などから資金が出ていた。メタバイオタ、ブラック・アンド・ビーチ、スカイマウント・メディカル、そしてCH2Mヒルなど国防総省の契約企業、ファイザー、モデルナ、メルク、ギリアドを含む医薬品会社も組み込まれていた。生物兵器に関係した研究開発はビジネスとも結びついている。 西側諸国から支援されたクーデター政権は反クーデター派が拠点にしているドンバスの住民を攻撃、2014年から22年にかけて約1万4000人を殺害した。その大半はロシア語系の人びと。そうした人びとを助け、ネオ・ナチを倒す目的で2022年2月にロシア軍はウクライナに対する攻撃を開始、その際、子どもをはじめとする住民をロシア領内へ避難させたが、そうした行為は西側支配層を怒らせた。 一方、ウクライナでは戦死した兵士の臓器を取り出して売るというビジネスがクーデターの後、大きくなった。ドンバスで臓器を切り取られた軍人と民間人の遺体数十体を発見したとOSCE(欧州安全保障協力機構)の代表は語っていたが、戦死者から取り出すだけでなく、負傷した兵士も犠牲になったと言われている。 ここにきて指摘されているのは、子どもが臓器売買の犠牲になっているということ。昨年6月、生後11ヶ月の子どもを外国に連れて行こうとしてデニス・バロディなる男がウクライナとスロバキアの国境で逮捕された。子どもの臓器を国外で売ることが目的だったという。バロディは孤児院で教師として働いた経験があり、慈善財団の代表を務め、孤児青少年団体を創設していた。 警察の発表によると、男は母親に対し、EU内の善良な人物の養子にすると説得、5000ドルを母親へ支払うことになっていたが、養子縁組の計画はなく、2万5000ドルで移植業者に子どもを売る予定だった。バロディは1歳から2歳の子どもを少なくとも3回売っていたというが、彼は逮捕されて間もなく保釈金100万フルブニャ(約2万7000ドル)を積んで釈放されている。彼は密輸業者として逮捕されたのであり、臓器売買業者としてではなかったようだ。そして彼は姿を消した。ウクライナの女性を「代理母」として子どもを産ませ、その子どもを取り上げて売りさばいているとする話も伝わっている。 ウクライナでは2021年12月、「人体解剖材料の移植問題の規制について」なる法律が成立、生体ドナーとその親族が移植に同意したことを証明する必要ながくなったという。書類があれば、署名の確認や認証は必要なくなり、死体から臓器を摘出する手続きは大幅に簡略化された。 昨年3月22日には、ウクライナで「赤ちゃん工場」を発見したロシア兵の証言とされる映像がアップロードされた。そこで生まれた赤ん坊は内臓が摘出されたり、別の犯罪に利用されるとされている。西側ではロシアのプロパガンダだとされたが、その根拠は示されていない。そうしたプロパガンダにもかかわらず、その映像は注目されている。 臓器売買はアメリカ/NATOを後ろ盾として独立したコソボでも盛んだった。旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷で検察官を務めたカーラ・デル・ポンテは自著(Chuck Sudetic, Carla Del Ponte, “La caccia: Io e i criminali di guerra,” Feltrinelli, 2008)の中で、KLA(コソボ解放軍)による臓器の密売に触れている。コソボで戦闘が続いている当時、KLAの指導者らが約300名のセルビア人捕虜から「新鮮」な状態で、つまり生きた人間から臓器を摘出し、売っていたというのだ。 この話は欧州評議会のPACE(議員会議)に所属していたスイスの調査官ディック・マーティの報告書にも書かれている。KLAの幹部はセルビア人を誘拐し、彼らの臓器を闇市場で売っていたという。捕虜の腎臓を摘出し、アルバニア経由で臓器移植のネットワークで売り捌いていたともされている。このコソボの業者がウクライナへ入って商売を始めたとも伝えられている。 ウクライナでは臓器売買だけでなく、人身売買も行われているとする報告がある。30万人とも55万人以上とも言われるウクライナ人が奴隷にされたとも言われているが、ウクライナ西部にあるテルノピリ、ウジゴロド、チェルニフチが奴隷売買の主要な拠点だともいう。 ウクライナ政府の腐敗は西側からも批判されるほどで、不法就労、女性や子どもの性的な搾取、少年兵、さらには臓器売買などが問題になっている。こうしたネットワークには犯罪組織だけでなく欧米の高官も関与していると言われている。ウクライナでは子どもの「失踪」も問題にされているが、その多くは「ホワイト・エンジェル」によって拉致されたロシア語系住民だという。 ウクライナでの戦闘でアメリカ/NATOは事実上、ロシアに敗北しているが、降伏することは勿論、停戦も呑めないだろう。戦乱が終われば生物兵器の研究開発や経済犯罪だけでなく、奴隷取引や臓器売買も明るみに出る可能性がある。彼らはロシアに勝たせるわけにいかないのだ。
2024.04.25
ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は4月22日、ポーランドの日刊紙に対し、アメリカの核兵器をポーランドへ持ち込む問題について話し合ってきたと認め、受け入れる用意はできていると語ったが、ドナルド・トゥスク首相はこの件についてドゥダと早急に話し合う必要があると述べている。それに対し、ロシア政府はポーランドへアメリカ軍の核兵器が配備された場合、必要な措置を講じると述べた。 アメリカ/NATOの内部には、自分たちの代理人としてロシアと戦ってきたウクライナが敗北したことに危機感を抱き、パニックになっている人たちがいる。フランスのエマニュエル・マクロン大統領はNATOの地上軍をウクライナへ派遣すると口にし、フランス軍部隊約1000名がオデッサへ入ったと伝えられている。さらに同程度の部隊が送り込まれる予定だともいう。 2014年2月にクーデターでビクトル・ヤヌコビッチ政権が倒された直後から西側の傭兵がウクライナへ入ったと言われているが、フランスからも「傭兵」という形で戦闘員が派遣されている。 ロシア軍は今年1月16日にウクライナのハリコフを攻撃し、軍事施設のほか旧ハリコフ・パレス・ホテルを破壊した。この旧ホテルは西側の情報機関や軍関係者に使われていて、爆撃された際、200人近くの外国人傭兵が滞在していたと言われている。その攻撃で死傷した戦闘員の大半はフランス人傭兵で、そのうち約60名が死亡、20人以上が医療施設に搬送されたと伝えられている。 ドイツ軍もロシアとの戦争に積極的で、3月1日に公開された音声によると、ドイツ空軍のインゴ・ゲルハルツ総監、作戦担当参謀次長のフランク・グレーフェ准将、そして連邦軍宇宙本部のフェンスケとフロシュテッテ幹部が2月19日にリモート会議で「タウルスKEPD 350」ミサイルによるクリミア橋(ケルチ橋)攻撃について話し合っている。ゲルハルツらは昨年10月の時点で計画の内容を太平洋空軍司令官だったケネス・ウイルスバックに伝えているという。 4月23日には「ステッドファスト・ディフェンダー 24」の一環として「グランド・クアドリガ2024」がリトアニアで始まった。その軍事演習へドイツ軍は3000人以上を派遣している。 しかし、アメリカ/NATOはウクライナでの敗北が決定的。4月23日にロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は2022年以来、ウクライナ軍は約50万人の兵士を失ったと述べているが、これは常識的な見方。兵士や兵器の補充がままならない状況になっている。そこでテロ攻撃を始めたが、限界がある。残された手段は核戦争だ。 アメリカ政府は停戦を実現するため、核兵器を脅しに使ったことがある。ハリー・トルーマン政権が中国で成立した共産党政権を倒すために始めた朝鮮戦争が思惑通りに進まず、1953年1月に新大統領となったドワイト・アイゼンハワーは早期停戦を目指した。そこで、新大統領は中国に対して休戦に応じなければ核兵器を使うと脅したとされている。休戦は同年7月に実現した。(Daniel Ellsberg, “The Doomsday Machine,” Bloomsbury, 2017) アイゼンハワー政権で副大統領だったリチャード・ニクソンはベトナム戦争から抜け出すため、カンボジアに対する秘密爆撃を実行しながらアイゼンハワーの手法、つまり核兵器で恫喝した。(前掲書) しかし、ロシア相手にこの手段は通じないだろう。
2024.04.24
岸田文雄首相は4月8日にアメリカを訪問、10日にジョー・バイデン大統領と会談した。アメリカは1992年2月に世界制覇計画(ウォルフォウィッツ・ドクトリン)をスタートさせ、日本をアメリカの戦争マシーンに組み込む方針を明確にしているが、それをさらに推し進めている。自衛隊はアメリカ軍の指揮に従って動く戦闘組織としての色彩をさらに強めることになる。 しかし、今回の会合で明確になったのは、科学技術や教育などの分野でアメリカが日本を支配する仕組みが強化されるということだ。日本はアメリカの完全な植民地になるとも言えるだろう。1995年2月にジョセイフ・ナイ国防次官補(同)が発表した「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」は日本をアメリカの戦争マシーンに組み込むという宣言だ。そこには在日米軍基地の機能を強化、その使用制限の緩和/撤廃が謳われている。 ウォルフォウィッツ・ドクトリンの中で、ドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、新たなライバルの出現を防ぐことが謳われているのだが、細川護煕政権はその要求に従わず、「国連の機能強化への積極的寄与」を打ち出している。 その姿勢に怒ったネオコンのマイケル・グリーンとパトリック・クローニンは友人のカート・キャンベル国防次官補(当時)を介してジョセイフ・ナイ国防次官補(同)に接触、日本の反抗的な姿勢を訴えた。キャンベルは現在、国務副長官を務めている。 日本では1994年6月に自民党、社会党、さきがけの連立政権が成立するのだが、そこから衝撃的な出来事が相次ぐ。例えば1994年6月に長野県の松本でサリン事件、95年3月には東京の地下鉄でサリン事件、その直後には警察庁長官だった國松孝次が狙撃された。8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われるスターズ・アンド・ストライプ紙が日本航空123便に関する記事を掲載、その中で自衛隊の責任を示唆している。日本政府に対する脅しになっただろう。 日本に対するアメリカの軍事的な支配は1995年に確立され、その仕組みの中で戦争体制が築かれてきたのである。南西諸島に自衛隊がミサイルの発射施設を建設した理由もそこにある。 アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書には、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画が記載されている。そうしたミサイルを配備できそうな国は日本だけだと分析されているのだ。 日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるため、ASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされている。 2016年には与那国島でミサイル発射施設が建設され、17年4月には韓国でTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムの機器が運び込まれ始めた。 2013年2月から韓国の大統領を務めた朴槿恵は中国との関係を重要視、THAADの配備に難色を示していたのだが、朴大統領がスキャンダルで身動きできなくなっていたことからミサイル・システムを搬入できたのである。結局、朴槿恵は失脚した。 THAADが韓国へ搬入された後、2019年に奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも自衛隊の軍事施設が完成、ミサイルが配備されることになる。そうした島々に配備されるミサイルは中国、朝鮮、ロシアに向き、必然的に中国、朝鮮、ロシアのミサイルに南西諸島は狙われる。 岸田政権は2022年12月16日に「国家安全保障戦略(NSS)」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」の軍事関連3文書を閣議決定、23年度から5年間の軍事費を現行計画の1.5倍以上にあたる43兆円に増額して「敵基地攻撃能力」を保有することを明らかにした。 今年4月10日の岸田とバイデンとの話し合いでも軍事問題は話題になったようだが、今回の岸田訪米で持ち上がった話ではない。日本は着実にアメリカの戦争マシーンに組み込まれているということである。今回の会談で目立つのは、先端技術の研究開発、経済協力、外交、教育などだ。 現在、イスラエルはガザで破壊と住民虐殺を繰り広げている。その蛮行を支えているのはアメリカ、イギリス、ドイツをはじめとする西側諸国の支援だ。懸念しているようなことを口にしても行動は破壊と虐殺を支えているのだ。 1982年9月にイスラエルはレバノンのパレスチナ難民キャンプ、サブラとシャティーラでパレスチナ人を虐殺している。実行したのはキリスト教勢力、ファランジスト党のメンバーだが、その黒幕はイスラエルにほかならない。ファランジスト党の武装勢力はイスラエル軍の支援を受けながら無防備の難民キャンプを制圧、その際に数百人、あるいは3000人以上の難民が殺されたと言われている。 今回の虐殺は4万人を超しているとも言われているが、3000人でも虐殺と言える。その虐殺を見て、イギリス労働党の内部ではイスラエルの責任を問い、パレスチナを支援する声が大きくなる。さらに、イスラエルを支えているアメリカへも批判の目は向けられてイギリスとアメリカとの関係に暗雲が垂れ込めた。 そうした情況を懸念したアメリカのロナルド・レーガン政権はイギリスとの結びつきを強めようと考え、メディア界の大物を呼び寄せて善後策を協議。そこで組織されたのがBAP(英米後継世代プロジェクト)だ。アメリカとイギリスのエリートを一体化させることが目的だが、その特徴のひとつは少なからぬメディアの記者や編集者が参加していたことにある。今回の虐殺で西側の有力メディアがイスラエルを後押ししている理由のひとつはここにあると言えるだろう。 そうした中、トニー・ブレアはイスラエルに接近。1994年1月に彼は妻と一緒にイスラエルへ招待され、3月にはロンドンのイスラエル大使館で富豪のマイケル・レビーを紹介された。その後、ブレアの重要なスポンサーになるのだが、言うまでもなく真のスポンサーはイスラエルだ。アメリカだけでなく、イギリスにもイスラエル・ロビーが存在するのである。 そのブレアが労働党の党首になるチャンスが1994年に訪れる。当時の党首、ジョン・スミスがその年の5月に急死、その1カ月後に行われた投票でブレアが勝利して新しい党首になり、1997年5月から2007年6月にかけて首相を務めた。。 こうしたブレアのネオコン的な政策に労働党の党員は反発、2015年9月からジェレミー・コービンが党首を務めることになる。労働党的な政策を推進しようとした政治家で、WikiLeaksのジュリアン・アッサンジを支援、イスラエルのパレスチナ人虐殺を批判している。 そうした姿勢に米英の支配層は怒り、アメリカやイギリスの情報機関はコービンを引きずり下ろそうと画策、有力メディアからも「反ユダヤ主義者」だと攻撃され、2020年4月4日に党首の座から引き摺り下ろされ、キア・スターマーに交代した。 スターマーはイスラエルに近く、妻ビクトリア・アレキサンダーの家族はユダヤ系だということをアピールしている。彼女の父系家族はポーランドから移住してきたユダヤ人で、テル・アビブにも親戚がいるのだということを宣伝していた。イスラエル軍によるガザにおける住民虐殺にスターマーは反対していない。 アメリカの支配層は自分たちの支配システムを強化するため、人のコントロールを重視する。アングロ・サクソンの支配者は留学で有望な若者を集め、自分たちにとって都合が良い考え方をするように洗脳して母国へ送り返すという手法をとってきたが、日本に対しても、その仕組みを強化しそうだ。岸田とバイデンとの会談でも新たな学生交流に力を入れ、日米の次世代リーダーを育成するとしている。 オーストラリア、イギリス、アメリカは2021年9月に「AUKUS」なる軍事同盟を創設したが、そこへ日本とフィリピンを加盟させる意向だとも言われている。 オーストラリアではAUKUSの戦略的意図を実現するため、教育、研究部門を積極的に参加させるとしているが、オーストラリア41大学のうち29大学がアメリカの国防総省から資金援助を受けている。そのうち主要8大学グループが受け取った金額は総額の79%を占めるという。研究自体より、アカデミー支配を目的にしているのだろう。教授たちをカネの力で籠絡するだけでなく、次世代のエリートを洗脳してアメリカの支配システムに組み込もうとしているはずだ。日本でも似たようなことが起こっているだろう。
2024.04.23
フランスのエマニュエル・マクロン大統領はNATOの地上軍をウクライナへ派遣すると口にしているが、フランス軍部隊約1000名がオデッサへ入り、さらに部隊が送り込まれる予定だと伝えられている。 セルゲイ・ナリシキンSVR(ロシアの連邦対外情報庁)長官は3月19日、フランス政府がウクライナへ派遣する部隊を準備しているとする情報を確認、初期段階では約2000人を派遣する予定だとしていたので、ふたつの情報は合致する。 ロシア軍は今年1月16日にウクライナのハリコフを攻撃、その際に軍事施設のほか情報機関や軍関係者が滞在していた旧ハリコフ・パレス・ホテルを破壊した。この建物には200人近くの外国人傭兵が滞在していたと言われ、相当数の死傷者が出たという。犠牲になった戦闘員の大半はフランス人傭兵で、そのうち約60名が死亡、20人以上が医療施設に搬送されたと伝えられている。現在、フランス政府がウクライナへ送り込んでいる兵士の3分の2は正規軍の兵士だと見られ、死傷者が出た場合あのインパクトは1月のケースと違ってくる。 旧ハリコフ・パレス・ホテルに滞在していたフランスの傭兵をロシア軍は空爆、約60名を殺害したと言われているが、オデッサ入りした部隊にも似た運命が待っているはずだ。 フランス軍では2月27日に外人部隊3個中隊の編成が始まり、同月末にマクロン大統領は外人部隊のウクライナ派遣を検討するよう命じたものの、外人部隊の人員確保に失敗、正規軍の兵士で埋めたと伝えられている。ウクライナへの移送命令は4月後半に出されると見込間れていたので、予定通りの展開だ。常識的に考えると、ロシア政府はこの行動をロシアに対する直接的な攻撃だとみなし、あらゆる手段を講じることになる。 フランス政府は危険な領域へ橋を踏み入れたわけだが、ドイツも危険な状況にある。3月1日に公開された音声によると、ドイツ空軍のインゴ・ゲルハルツ総監、作戦担当参謀次長のフランク・グレーフェ准将、そして連邦軍宇宙本部のフェンスケとフロシュテッテ幹部が2月19日にリモート会議で「タウルスKEPD 350」ミサイルによるクリミア橋(ケルチ橋)攻撃について話し合っている。ゲルハルツらは昨年10月の時点で計画の内容を太平洋空軍司令官だったケネス・ウイルスバックに伝えているという。 すでにアメリカ/NATOはウクライナにおけるロシア軍との戦闘で武器弾薬が枯渇、兵士も足りない。ロシアに負けられないという感情だけでロシア軍に勝つことはできないのだ。生物兵器を使う計画なのかもしれないが、核兵器を使わざるを得なくなるかもしれない。
2024.04.22
イスラエル軍は4月19日にイランのイスファハーン基地を攻撃したのだが、イランのホセイン・アミール・アブドラヒアン外相は使われた兵器について「子どものおもちゃ」と表現、「重大な攻撃を開始しない限りイランは反応しない」と語っている。 一方、イスラエルのイタマール・ベン-グビル国家安全保障大臣はイランに対するイスラエル軍の「報復」について、「カカシ(弱い、失望した等々の意味のスラング)」とXに書き込んだ。 イスファハーン基地への攻撃はドローンのほか、中距離ミサイル「スパロー」の改良型が使われたようだ。サウジアラビアから資金援助を受け、ロンドンに拠点を置くイラン・インターナショナルなる団体が公表した衛星写真によると、レーダー施設がダメージを受けているように見える。 一連の報復合戦を始めたのはイスラエル。4月1日にダマスカスのイラン総領事館を攻撃してイスラム革命防衛隊(IRGC)に含まれるコッズのモハマド・レザー・ザヘディ上級司令官と副官のモハマド・ハディ・ハジ・ラヒミ准将を含む将校7名を殺害している。 その報復としてイラン軍は13日にイスラエルのネバティム空軍基地、ラモン空軍基地、そしてハルケレン山頂にある「サイト512」基地のAN/TPY-2 Xバンドレーダー施設を攻撃している。いずれのターゲットともミサイルが命中、ネバティムの場合は滑走路が損傷を受けていることを示す衛星写真、ラモンの場合はミサイル攻撃を受ける様子を撮影した映像が公表された。 その攻撃でイスラエルに大きなダメージを与える意思はイラン政府にはなかったようで、攻撃の72時間前、イランの友好国や隣国に対してイスラエルへの攻撃を警告、サウジアラビアやアラブ首長国連邦などからイスラエルやアメリカにも伝わっていたはずだ。 攻撃には古いタイプのドローンや中長距離ミサイルが使われ、ミサイルに限定すると発射された数は50から60機。イスラエルはGPS妨害を行ったようだが、ジャイロスコープやコンピュータなどの内蔵誘導システムを利用した「慣性誘導システム」が使われているため効果はなかったという。しかもネバティム基地やラモン基地など目標をこのシステムで正確に捉え、前者には5機、後者には4機が命中したと見られている。 この攻撃でイラン軍はイスラエルに対して大きなダメージを与えていないが、その防空システムを破る能力があることは示し、もしイランに対して報復攻撃を実行したなら、重要施設を狙った本格的な攻撃を行う姿勢を見せていた。19日のイスラエルによる攻撃の後、イランのアブドラヒアン外相は報復合戦をエスカレートさせることはないと述べたのは、大規模な戦争に発展することを避けるためだろう。 しかし、イスラエル軍が4月1日にシリアの首都ダマスカスにあるイラン領事館を爆撃し、IRGCの幹部を殺害した目的はアメリカをはじめとする西側の軍隊を引き出すことにあったと見られている。中東を戦乱の中へ引きずり込みたいと考えている勢力がアメリカやイギリスにもいるはずだ。 シオニスト、少なくとも修正主義シオニストはイスラエルを「建国」した当時からユーフラテス川とナイル川で挟まれている地域を支配しよとしてきた。ユダヤ教の宗教書であるトーラー(キリスト教徒が言う旧約聖書のうちモーセ5書)に書かれた記述を彼らにとって都合よく解釈してのことである。 イスラエル建国を計画したのはイギリス。帝国主義国としての利権を拡大することが目的だったが、ジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された後のアメリカもイスラエルを支援している。米英を中心とする西側諸国は政治、経済、軍事、さまざまな分野でイスラエルを支えてきた。その結果パレスチナは強制収容所と化し、虐殺の場になったわけである。 シオニストは一種のカルトだが、アメリカもカルトが先住民であるアメリカ・インディアンを虐殺し、作り出した国にほかならない。そうした歴史もあり、「アメリカ国民」の中には自国軍を「神の軍隊」だと信じる人も少なくなかったのだが、その信仰がベトナム戦争で崩れる。簡単に勝てるはずなのに勝てなかったからだ。 そうした中、1967年6月5日にイスラエルがエジプト、シリア、ヨルダンに奇襲攻撃をかけて「第3次中東戦争」が勃発、イスラエルは短期間に勝利した。その直前にイスラエルの情報機関モサドのメイール・アミート長官が5月30日にアメリカを訪問しているので、リンドン・ジョンソン大統領は攻撃を承認したのだと見られている。 そのアメリカ政府は6月8日に情報収集船の「リバティ」をイスラエル沖へ派遣。この時点でイスラエル軍はエジプト軍を粉砕し、モシェ・ダヤン国防相はゴラン高原の占領を決めている。(Alan Hart, “Zionism Volume Three”, World Focus Publishing, 2005) リバティがイスラエル沖に現れるとイスラエル軍は偵察機を飛ばしてアメリかの艦船だということを確認、そのうえで3機のミラージュ戦闘機にリバティを攻撃させている。ロケット弾やナパーム弾を発射したのだが、ナパーム弾を使ったことから乗員を皆殺しにするつまりだったと推測されている。その後、イスラエル軍は艦船への攻撃を繰り返した。 沈没寸前になったリバティの通信兵は寄せ集めの装置とアンテナでアメリカ海軍の第6艦隊へ遭難信号を発信、それに気づいたイスラエル軍はジャミングで通信を妨害してきた。 遭難信号を受信した第6艦隊の空母サラトガは訓練中で、甲板にはすぐ離陸できる4機のA1スカイホークがあったことから艦長は船首を風上に向けさせて戦闘機を離陸させ、艦長は艦隊の司令官に連絡する。司令官は戦闘機の派遣を承認し、別の空母アメリカにもリバティを守るために戦闘機を向かわせるように命じるのだが、空母アメリカの艦長はすぐに動かない。 リバティが攻撃されたことはジョンソン大統領へすぐに報告されたのだが、ロバート・マクナマラ国防長官は第6艦隊に対して戦闘機を引き返させるようにと叫んでいる。その後、ホワイトハウス内でどのようなことが話し合われたかは不明だが、その後、リバティへ戦闘機と艦船を派遣するという至急電を打っている。この時、リバティは攻撃で大きなダメージを受け、メッセージを受信できない状況だった。 第6艦隊の第60任務部隊は空母サラトガと空母アメリカに対して8機をリバティ救援のためへ派遣し、攻撃者を破壊するか追い払うように命令。艦隊司令官はホワイトハウスに対して戦闘機の到達予想時刻を報告するが、その数分後にイスラエルの魚雷艇は最後の攻撃を実行した。 それから間もなくして、イスラエル軍はアメリカ側に対し、アメリカの艦船を誤爆したと伝えて謝罪し、アメリカ政府はその謝罪を受け入れた。その一方、アメリカの電子情報機関NSAは交信記録を大量に廃棄、隠蔽工作がすぐに始まる。その責任者に選ばれたのがアメリカ海軍太平洋艦隊の司令官だったジョン・マケイン・ジュニア、つまりジョン・マケイン3世の父親だ。 リバティ攻撃はジョンソン政権の意向だという疑惑がある。この政権で秘密工作を統括していた「303委員会」において、1967年4月に「フロントレット615」という計画が説明されたという。リバティを潜水艦と一緒に地中海の東岸、イスラエル沖へ派遣するというもので、実際、後にリバティや潜水艦は派遣されていた。 この計画の中に含まれる「サイアナイド作戦」はリバティを沈没させて責任をエジプト、あるいはソ連に押しつけて戦争を始めようとしたという推測がある。これが事実なら、ジョンソン政権はトンキン湾事件の再現を狙ったということになるだろう。 リバティの近くにいたアメリカの潜水艦アンバージャックが潜望鏡を使って見ていたとする証言もある。リバティの乗組員も潜望鏡を見たとしている。ただ、記録したはずのデータは見つからない。存在していたとしても破棄されてしまっただろう。 こうした闇を抱える第3次中東戦争だが、イスラエルが6日間で勝利したという事実に引き寄せられたのがアメリカの狂信的な福音派、いわゆる聖書根本主義者だ。 彼らの教義によると、キリストに従う「善の軍勢」と反キリストの「悪の軍勢」が「ハルマゲドン」で最終戦争を行い、人類の歴史は幕を閉じるのだが、その際に再臨するキリストによって自分たちは救われるのだという。ジェリー・フォルウエルなど有名なテレビ説教師の大半がこの説を信じていた。それ以降、彼らはイスラエル軍を「神の軍隊」と見なすようになった。 しかし、この信仰はすでに崩れている。2006年7月から9月にかけてイスラエルの地上部隊がレバノンへ侵攻した際、ヒズボラに敗北しているのだ。イスラエル軍が無敵だとは言えなくなっている。勿論、イラン軍はヒズボラより遥かに強い。アメリカ軍やNATO軍の支援がなければイスラエル軍は勝てない。
2024.04.22
イスラエルのイタマール・ベン-グビル国家安全保障大臣は4月19日、イランに対するイスラエル軍の「報復」についてXで「カカシ(弱い、失望した等々の意味のスラング)」と書き込んだ。 イスファハーンの軍事基地などに対する攻撃は形だけで、ベン-グビルのような好戦的人物がこのように感じるのは当然だろうが、その感情を公にしたことが批判されている。「無敵のイスラエル」というイメージを壊す発言だからだ。ドローンのほか中距離ミサイル「スパロー」の改良型が使われたようだが、基地はダメージを受けていない。大半が撃墜されたようだ。 これは4月13日にイランが行ったイスラエルに対する攻撃への報復なのだが、それはイスラエル軍が4月1日にダマスカスのイラン総領事館を攻撃してイスラム革命防衛隊(IRGC)幹部を殺害したことに対する報復だ。 13日にイラン軍はネバティム空軍基地、ラモン空軍基地、そしてハルケレン山頂にある「サイト512」基地のAN/TPY-2 Xバンドレーダー施設を攻撃しているが、その72時間前、いらんの友好国や隣国に対してイスラエルへの攻撃を警告、サウジアラビアやアラブ首長国連邦などからイスラエルやアメリカにも伝わっていたはずだ。 攻撃には極超音速ミサイルが使われたという話が当初、イランから流れていたが、実際は使われていないという。古いタイプのドローンや中長距離ミサイルが使われたようだ。ミサイルに限定すると発射数は50から60機。イスラエルはGPS妨害を行ったようだが、ジャイロスコープやコンピュータなどの内蔵誘導システムを利用した「慣性誘導システム」が使われているため効果はなかった。しかもネバティム基地やラモン基地など目標をこのシステムで正確に捉え、前者には5機、後者には4機が命中したと見られている。 使われたミサイルのひとつであるガドルは20年前のタイプで、イスラエル軍の防空ミサイルを浪費させるためにデコイ弾頭を搭載、10年ほど前に作られたエマドは宇宙空間でインフレータブル・デコイを放出してイスラエル側を翻弄した。イスラエルの防空能力は高くないことが明らかにされたとも言える。
2024.04.21
イスラエル軍はイランに対して「報復攻撃」を実行したとされているが、西側のメディアは「限定的」だと伝えている。形だけの攻撃で、本当にイランを攻撃したとは言えず、拍子抜けした人も少なくない。 小型ドローンによる攻撃で、イスラエル国内の狂信的な好戦派をなだめることが目的だったとも言われているが、残骸の分析から、中距離ミサイル「スパロー」の改良型をF-15戦闘機からイスファハーンの空軍基地に向かって発射したと見られている。基地にダメージはなかったようだ。 このミサイルの射程距離は約800キロメートルだと言われているが、イスラエルからイスファハーンまで1000キロメートル以上ある。そこで当時の状況も勘案し、シリア、ヨルダン、イラクの国境沿いの地域から発射したと推測されている。なお、この攻撃についてイスラエルは沈黙、イランも多くを語っていない。イスラエル軍によるものだとする話を流したのはアメリカだ。とりあえず、軍事的なエスカレートは回避された可能性が高い。
2024.04.20
中国で日本軍が侵略戦争を行なっている最中、日本の軍医学校は東京帝国大学医学部や京都帝国大学医学部と共同で兵器の研究開発が進めていた。そのため、中国東北部に生体実験を行う目的で「関東軍防疫給水部本部」、いわゆる「第七三一部隊」が編成され、病原性と感染力がともに強い生物兵器を開発しようと試みたが、失敗したと言われている。 その「第七三一部隊」の資料を入手、研究員を雇れてアメリカ軍は生物化学兵器の研究開発を進めてきた。その中心がフォート・デトリックである。現在、MRIID(陸軍感染症研究所)、MRDC(医学研究開発司令部)、NCI(国立癌研究所)などが本拠地にしている。この基地の施設が2019年8月、危険物の廃棄に関する問題が原因で一時的に閉鎖されている。 中国湖北省の武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者が見つかったのは2019年12月のことだった。翌年の2月4日には横浜港から出港しようとしていたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」でも似たような症状の患者が見つかる。こうして「新型コロナウイルス」なる悪霊が生み出された。 SARSは2002年11月から03年7月までの期間に8096名が感染、774名が死亡したという。地域別の感染者数は中国が5327名、香港1755名、台湾346。この3カ所で全体の91.7%を占め、死亡者数はそれぞれ349名、299名、37名で全体の88.5%だ。病原性は強かったのだが、感染力は強くなかったと言える。 武漢やクルーズ船では深刻な症状の患者が現れ、その後、感染が拡大したとされたのだが、深刻な症状の患者が続出するような事態にはなっていない。2020年4月にWHOやCDC(疾病予防管理センター)は、医学的な矛盾がなく、明白な別の死因がないならば、あるいは適度な確かさがあるならば死因を「COVID-19」としてかまわないと通達し、またPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査の「陽性者」を「感染者」と言い換え、パンデミックを演出した。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、PCRは特定の遺伝子型を試験管の中で増幅する技術で、その増幅サイクル(Ct)を増やしていけば医学的に意味のないほど微量の遺伝子が存在しても陽性になり、しかも偽陽性が増えていく。偽陽性を排除するためにはCt値を17以下にしなければならず、35を超すと偽陽性の比率は97%になるとも報告されている。PCRを開発、1993年にノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスはこの技術は分析のものであり、診断を目的にしていないと語っていた。 PCRの問題は西側の有力メディアも認識していたはずである。例えばニューヨーク・タイムズ紙は2007年1月に掲載した記事で、PCRのような高感度の簡易検査は、伝染病が蔓延していると誤って判断させる原因になりうると警鐘を鳴らしている。同紙によると、ニューハンプシャー州にあるダートマース・ヒッチコック医療センターで2006年4月にあった出来事がそうした一例。 ひとりの医師が2週間ほど咳き込み、他の医療関係者も咳をするようになったことから百日咳が疑われ、医療センターで働く1000名近くが簡易検査を受け、勤務から外された。そのうち142名が感染しているとされ、数千名がワクチンを接種する事態になったのだが、本格的な検査で百日咳菌に感染していた人は確認されなかった。通常の風邪だった可能性が高いことがわかったのだ。 騒動が始まってから8カ月後、関係者は伝染病が発生したとする警報はまちがいだったことを知らされる。こうした間違いを引き起こした原因のひとつがPCRのような高感度の簡易検査だというのだ。 アメリカのFDA(食品医薬品局)は2020年2月4日、「2019-nCoVリアルタイムRT-PCR診断パネル」のCDCによるEUA(緊急使用許可)を発行しているが、FDAもPCRの問題を知っていたはずだ。しかもSARS-CoV-2は単離されていない。それにもかかわらず、国際ウイルス分類委員会は2020年2月11日に病原体を「SARS-CoV-2(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2)」と命名。そして3月11日、WHO(世界保健機関)はパンデミックを宣言したのである。言うまでもなく、パンデミックは「COVID-19ワクチン」を接種させるためには必要な条件だった。 アメリカ国防総省の機関で、先端技術を開発しているDARPA(国防高等研究計画局)は2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された後、ワクチン開発の促進、新ウイルスの発見、医薬品製造の迅速化などの技術を開発するために投資するようになる。 空軍のダン・ワッテンドルフ大佐は新種のウイルスが出現した(作られた)場合、迅速にワクチンを開発するアイデアを売り込み、ADEPTと呼ばれるプログラムを誕生させている。 彼はDARPAでプログラム・マネージャーを務め、診断学、哺乳類細胞合成生物学、RNAワクチン、モノクローナル抗体の迅速な発見、遺伝子導入による免疫予防、人工赤血球などのプログラムを立ち上げていたという。 ADEPTの一部として、DARPAは2013年、mRNA技術のパイオニア企業であるモデルナに対し、最高2500万ドルを助成金として提供することに決める。この段階でモデルナは「国家安全保障上の機密」という壁で守られることなった。そして2016年、ワッテンドルフはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団へ移籍する。 COVID-19騒動ではロックダウンが宣言され、あるいはそれに近い状況が作り出された。社会の収容所化、あるいは擬似戒厳令とも言えるだろう。それによって経済や人びとの心は大きなダメージを受けた。 このパンデミックを考え出したのはラジーブ・ベンカヤなる人物だと言われている。ベンカヤはジョージ・W・ブッシュが大統領だった2002年から03年にかけての時期にホワイトハウス・フェローを務め、バイオ防衛担当ディレクターを経て大統領特別補佐官およびバイオ防衛担当シニアディレクターとして活動、バイオ・テロリズム研究グループを率いていた。フランシス・タウンゼント国土安全保障担当補佐官(2004年7月から08年3月)の直属だった時代に彼はロックダウンを考え出したというのだ。 ホワイトハウスを離れたベンカヤはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団でグローバル・ヘルス・プログラムのワクチン・デリバリー・ディレクターを務め、2011年には武田薬品のグローバル・ワクチン・ビジネス・ユニットを率い、その後、独立した。 COVID-19騒動は中国湖北省の武漢で始まり、そこにある武漢病毒研究所(WIV)からウイルスが漏れ出たという噂がある。 アンソニー・ファウチが所長を務めていたアメリカのNIAID(国立アレルギー感染症研究所)はコロナウイルスの研究費として2014年からエコヘルス連合を介し、WIVへ数百万ドルを提供してきたと伝えられている。エコヘルス連合でカネを処理していたのはピーター・ダスザクだという。 NIAIDの上部機関であるNIH(国立衛生研究所)からWIVの石正麗へ研究費として370万ドルが提供されていたとも伝えられているが、石とノースカロライナ大学のラフル・バリックは2015年11月にSARSウイルスのスパイク・タンパク質をコウモリのウイルス(SHC014-CoV)のものと取り替えて新しいウイルスを作り出すことに成功している。コウモリのコロナウイルスを操作してほかのシュを攻撃させる方法をバリックは石に教えたともいう。その後、石正麗はWIVへ戻る。 WIVで石正麗を中心とするチームはSARSに似たコロナウイルスのスパイク・タンパク質が人間などの細胞のACE2(アンジオテンシン変換酵素2)と結びつくメカニズムを研究している。 WIVと同じように注目されている武漢大学動物実験センターはアメリカのデューク大学を関係が深く、両大学は2013年に昆山杜克大学を創設した。デューク大学はアメリカ国防総省の「DARPA(国防高等研究計画局)」と協力関係にあり、そのDARPAは2018年からコウモリからヒトへコロナウイルスを伝染させる研究を開始、中国との国境近くに研究施設を建設している。 1970年代に新自由主義路線へ舵を切った中国では、アカデミーやビジネスの世界はアメリカ支配層の影響下にある。その影響力を抑えてきたのが共産党。そこで西側は目障りな共産党を攻撃してきた。 その中国共産党は「mRNAワクチン」を中国人に接種させることに反対し、台湾の蔡英文によると、台湾とファイザー/BioNTechとの契約を妨害したという。台湾人が「mRNAワクチン」を接種することにも中国政府は反対したことになる。 その後、中国政府は欧米の医薬品メーカーに押されているが、今でも台湾を含む中国人の「mRNAワクチン」接種に抵抗している。mRNA技術を使っていないSINOVACを売りたいだけだと考えるべきでない。
2024.04.20
4月13日の攻撃でイラン軍はイスラエルの核施設を狙ったとイスラエル政府が宣伝しはじめた直後、同国軍は19日にイランのイスファハーンなどをドローンで攻撃したと伝えられている。イランの核施設を狙った可能性がある。その攻撃を正当化するためにイスラエル政府はイランが核施設を狙ったと主張したのだと言う人もいるが、現地からの映像や伝えられている情報によるとイランの防空システムは機能、ドローンは撃墜されているようだ。核施設が破壊された様子はない。 ダマスカスにあるイラン総領事館に対する攻撃とイスラム革命防衛隊(IRGC)幹部殺害への報復としてイランは4月1日にネバティム空軍基地、ラモン空軍基地、そしてハルケレン山頂にある「サイト512」基地のAN/TPY-2 Xバンドレーダー施設を攻撃したが、その際、イスラエルがイランを攻撃すれば、本格的な報復を行うとしていた。 イランにそれだけの能力がないと考えているのか、アメリカ軍が介入してくれると考えているのか不明だが、中東で大規模な戦争が始まる可能性が高まってきた。カルトの影響下にあるイスラエルはギャンブルに出たと見られている。
2024.04.19
イスラエルの好戦派はイランに対する「報復」を主張していたが、本当にイランを攻撃したなら、次はイスラエルの主要施設が破壊される。 4月13日にイランはドローンを囮に使い、様々なミサイルを組み合わせてイスラエルの防空システムを突破して目標に命中させていることが明確になってきた。極超音速ミサイルも使われたと言われている。 イスラエル軍が4月1日にダマスカスのイラン領事館を空爆し、IRGC(イスラム革命防衛隊)の特殊部隊と言われているコッズのモハマド・レザー・ザヘディ上級司令官と副官のモハマド・ハディ・ハジ・ラヒミ准将を含む将校7名を殺害、国連が何もできなかったことからイラン自身が報復したのだが、イランの攻撃能力を示すことを意図したもので、破壊は限定的だった。 4月1日に領事館を攻撃したF-35戦闘機が発進したネバティム基地は2本の滑走路にミサイルがヒット。これは衛星写真で確認されている。ラモン基地にミサイルが命中する様子とみられる映像も公開された。極超音速ミサイルは勿論、大半の弾道ミサイルは目標に命中したと報告されている。 ネゲブ砂漠のハルケレン山頂には「サイト512」と呼ばれる基地があり、イスラエルを攻撃するイランからのミサイルを監視するAN/TPY-2 Xバンドレーダー施設がある。そのレーダーはイランの攻撃に対して有効でなかったのだが、同じものが日本の青森県車力と京都府京丹後にも設置されている。 イスラエル軍が国際法を無視してイランの領事館を攻撃してIRGCの幹部を殺害したのは、イランに報復させ、アメリカ軍をイランとの戦争に引き込むことにあったと見られているが、イランは大きな破壊を伴わずに攻撃力をアピールした。 今回のイランによる攻撃でイスラエルの防空システムが無力だということが判明、イランとイスラエルが戦争を始めた場合、イスラエル単独で勝てないことは明確になった。イラクやシリアにアメリカ軍が建設した軍事基地も破壊されることは避けられず、ジョー・バイデン政権としてはイスラエルにイランを攻撃させたくないだろう。 中東のメディアによると、アメリカ政府はイランを攻撃しなければ、ガザ南部のラファを攻撃することを承認すると提案したというのだが、アメリカのNSC(国家安全保障会議)の報道官はこの話を否定した。 ラファにもハマスの戦闘員がいるとされているが、そこには100万人とも150万人とも言われるパレスチナ市民が避難している。すでに3万5000人以上のパレスチナ住民が殺されているが、ラファが実際に攻撃された場合、これまで以上の大量殺戮は避けられないだろう。 ガザでの虐殺はイスラエル軍が実行しているわけだが、アメリカ、イギリス、ドイツなどの支援がなければ不可能だった。こうした西側諸国は共犯者だということである。
2024.04.19
日本政府は「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)」騒動に関係した情報の公開を拒んできた。2019年12月の終わりに中国の湖北省武漢でSARS(重症急性呼吸器症候群)と似た重症の肺炎患者9名ほどが病院に運び込まれ、翌年の2月に横浜港では「ダイヤモンド・プリンセス」なるクルーズ船の艦内で患者が見つかり、同年3月11日に病原体が特定されないままWHO(世界保健機関)はパンデミックを宣言、騒ぎが大きくなった。メディアが煽ったという側面もある。 しかし、このパンデミック宣言には疑問がある。WHOは「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」が流行(2009年1月から10年8月にかけての時期に)する直前、「パンデミック」の定義を変更、「病気の重大さ」、つまり死者数という条件を削っているのだ。「新型インフルエンザ」は後に「偽パンデミック」だと批判されることになる。 COVID-19は風邪やインフルエンザの症状に似ているが、報酬などの餌を使い、医療機関に「COVID-19感染者」を水増しさせた。2020年4月にWHOやCDC(疾病予防管理センター)は、医学的な矛盾がなく、明白な別の死因がないならば、あるいは適度な確かさがあるならば、死因を「COVID-19」としてかまわないと通達している。 アメリカ上院のスコット・ジャンセン議員によると、実際、病院は死人が出ると検査をしないまま死亡診断書にCOVID-19と書き込んでいたという。その実態を告発する看護師も少なくなかった。 感染拡大を演出するために「無症状感染者」なるタグも使われた。感染者の約9割に症状がないと言われているが、その無症状感染者を「発見」するために利用されたのがはPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査。その問題点は本ブログでも繰り返し書いてきた。 日本でも病院へ「COVID-19患者」が殺到するというような事態にはなっていない。パンデミック宣言後、病院の待合室は閑散としていた。深刻な症状が報告されるようになるのは「COVID-19ワクチン」の接種が大々的に始まってからである。 西側で接種されている「COVID-19ワクチン」の多くはLNP(脂質ナノ粒子)で包んだmRNAを人間の細胞内へ送り込み、そこでコロナウイルスのスパイク・タンパクを製造させるというもの。LNP自体が有害なのだが、人間の免疫システミがスパイク・タンパクを製造する細胞を攻撃、炎症を引き起こす。自己免疫疾患だ。 そこで免疫力を落とす仕組みが作られているのだが、免疫抑制能力があるIgG4抗体が誘導されることもわかっている。必然的に病原体から体を守れなくなるわけで、AIDS状態になるとも言える。癌にもなりやすくなる可能性も指摘されている。 アメリカの国防総省が人間の免疫システムを無力化する研究を1960年代から進めていたことは本ブログで繰り返し書いてきた。これはアメリカ下院の議事録に記録されている。その時の「予言」通り、AIDSが出現した。 国防総省の機関で先端技術を開発しているDARPAは2001年9月11日の後、ワクチン開発の促進、新ウイルスの発見、医薬品製造の迅速化などの技術を開発するために投資するようになった。そうした中、空軍のダン・ワッテンドルフ医師が迅速なパンデミック対応をDARPAの優先事項のトップに押し上げたという。 ワッテンドルフはDARPAでプログラム・マネージャーを務め、診断学、哺乳類細胞合成生物学、RNAワクチン、モノクローナル抗体の迅速な発見、遺伝子導入による免疫予防、人工赤血球などのプログラムを立ち上げ、主導したという。 新種のウイルスが出現した(作られた)場合、短期間にワクチンを開発するアイデアをワッテンドルフは提示、売り込み、ADEPTと呼ばれるプログラムが誕生した。そのプログラムの一部としてDARPAは2013年、mRNA技術のパイオニア企業であるモデルナに対し、最高2500万ドルを助成金として提供することに決める。少なくともこの段階でモデルナは「国家安全保障上の機密」という壁で守られることなった。そして2016年、ワッテンドルフはビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団へ移籍。 サーシャ・ラティポワが早い段階から指摘していたように、COVID-19騒動は国防総省のプロジェクトであり、医薬品会社は「国家安全保障上の機密」という壁で守られている。そして2019年末、DARPAが想定していたような「パンデミック」が始まる。 日本がアメリカの支配下にあることは言うまでもなく、軍事情報の扱い方もアメリカからの命令に従っているはずだ。その日本では2013年12月に「特定秘密の保護に関する法律」が成立、「特定秘密」に指定されると60年を超えて隠蔽することが可能になった。機密を漏らした政府関係者は10年以下の懲役、「不適切な」方法で情報を入手したり機密と知らずに情報を求めたジャーナリストは5年以下の懲役だ。
2024.04.18
イランが4月13日に実行したイスラエルに対する攻撃ではドローンや様々なミサイルが使われ、イスラエル空軍のネバティム基地とラモン基地を含む目標にヒットしたと伝えられている。イスラエルや西側諸国では99%を戦闘機や防空システムで撃墜したと宣伝しているが、ネバティム基地のケースは衛星写真で確認された。その写真を見ると、ふたつの滑走路に命中、その精度は高いようだ。 約7機の極超音速ミサイルは勿論、大半の弾道ミサイルは目標に命中したとされている。アメリカが日本の車力分屯基地やイスラエルのネゲブ砂漠に建設したAN/TPY-2 Xバンドレーダーはイランの攻撃に対して有効でなかった。さらにイスラエルがイランを攻撃した場合、次の反撃は今回より破壊力の強いものが重要施設に対して使われる可能性が高いだろう。アメリカ軍がイラクやシリアに建設した基地もターゲットになると見られている。 そこで、常識的に考えるとイスラエルは報復ゲームを止めるのだが、政府の内部にはトーラー(キリスト教の旧約聖書)を持ち出し、パレスチナ人虐殺を正当化する集団がいる。正気ではない人びとによってイスラエルは動かされている。元CIA分析官のラリー・ジョンソンはイスラエルがイランの石油施設や軍事施設を攻撃しようとする可能性があるとしている。このまま報復合戦が終わると、イスラエルはイランに「判定負け」したように見えるが、それを受け入れられないということだ。 イスラエルは1973年10月6日にエジプト軍の奇数攻撃で始まった第4次中東戦争で窮地に陥り、8日にはゴルダ・メイア首相の執務室で開かれた会議で核ミサイルの発射準備をするということで合意している。その第一目標はエジプトとシリアの軍事司令部だった。 ソ連の情報機関は早い段階でイスラエルが核弾頭を使う準備をしていることに気づき、その情報はエジプトの参謀長に伝えられ、9日の朝にはアメリカ政府へもイスラエルが核兵器を使う準備をしていると警告している。 その後、アメリカは物資をイスラエルへ空輸してイスラエル軍の反撃を支援した。ヘンリー・キッシンジャーがエジプトのアンワール・サダト大統領に行った説明によると、核戦争へとエスカレートすることを防ぐためだったという。 その一方、ソ連のアレクセイ・コスイギン首相は16日にエジプトへ飛んで停戦するように説得、22日にはキッシンジャーがイスラエルから内諾を得るのだが、イスラエルはエジプトへの攻撃をやめなかった。アメリカの足下を見透かしての強攻策だった。 そこで、ソ連はアメリカに対し、イスラエルが停戦の合意を守らないならば、適切な対応策を講じると警告。イスラエル軍の侵攻を阻止するため、ソ連軍を派遣する意志を表明したのだと解釈されている。キッシンジャーはイスラエルに停戦を強く求めた。(Seymour M. Hersh, “The Samson Option”, Random House, 1991) 今回もロシアや中国が強く出ない限り、西側の有力メディアを利用して人びとを操るアメリカやイスラエルのカルト的な好戦派を止めることはできないかもしれない。
2024.04.17
イランは4月13日午後、イスラエルに対して300機以上のドローンとミサイルを発射した。「トゥルー・プロミス作戦」だ。イスラエル軍は自国や友好国の戦闘機や防空システムでその99%を撃墜したと主張しているが、イラン側は目標に命中させたとしている。イランの外相によると、攻撃の72時間前には友好国や隣国に対し、イスラエルへの攻撃を警告していた。イスラエルやアメリカにも伝わっていただろう。 イラン側によると、攻撃の中心は約7機の極超音速ミサイルで、カミカゼ・ドローンや様々な種類の中長距離ミサイルを囮に使ったようだ。極超音速ミサイルはいずれも撃墜されなかったとされている。それぞれの速度を配慮し、同時に目標地点へ到着するように発射したともいう。サイバー攻撃でイスラエル軍のレーダー・システムを部分的に停止させたとも言われている。その気になれば全システムをダウンさせられるという警告だろう。 目標はイスラエル軍が占領しているパレスチナ南部のネバティム空軍基地とラモン空軍基地、やはり占領されているゴラン北部のジャバル・アル・シェイク(ヘルモン山)にあるイスラエルのスパイ基地、そしてテルアビブのイスラエル空軍の情報本部だと伝えられている。イランの領事館を攻撃したF-35戦闘機が離陸したのはネバティム基地だという。民間人に被害が出ない軍事施設が狙っているが、いずれの目標ともアメリカやイスラエルにとって重要である。 ABCニュースによると、イランの少なくとも9機のミサイルがイスラエルの2基地を攻撃し、5発のミサイルがC-130軍用輸送機、滑走路、ネバティム空軍基地の保管施設を含むインフラに損害を与え、さらに4発がミサイルを破壊したという。 今回の攻撃はイランにとって本格的なものではないが、イスラエルの防空システムを突破する能力をイラン軍が持ち、イスラエルの迎撃能力はイランの攻撃に対応しきれないことを示した。西側の軍事専門家も、この攻撃によってイスラエルによるイランへのさらなる攻撃がもたらす結果を理解したはずだ。イスラエルがイランを攻撃した場合、シリアやイラクにあるアメリカ軍の基地も狙われ、破壊される。 イランの重要な軍事施設や核施設の多くは地下にあると言われ、イランと戦争になった場合、イスラエルとしては核兵器を使わざるをえないだろうが、そうした攻撃をロシアが容認することはないだろう。アメリカとロシアの全面戦争になる可能性があるということだが、アメリカに勝てる見込みはない。 今回のイラン軍による攻撃は4月1日にイスラエル軍がシリアのイラン領事館を攻撃、IRGC(イスラム革命防衛隊)の上級司令官や副官を含む将校7名を殺害したことへの報復だ。国際法で保護されている外交施設を破壊したイスラエルに対し、国連が制裁していれば、違った展開もありえただろう。日頃「ルールに基づく国際秩序」を主張している自称「国際社会」はこの無法を容認、そこで自らが報復したイランを「非難」しているらしい。【追加】 イランが発射した弾道ミサイルの大半が目標にヒットした。ネゲブ砂漠にアメリカ軍がイランのミサイルを探知し、防空システムに情報を伝えるために建設した最新鋭AN/TPY-2 Xバンドレーダーはイランの攻撃に対して有効でなく、ネバティム基地とラモン基地にミサイルが命中している。
2024.04.16
イスラエル軍は4月1日、シリアのダマスカスにあるイラン領事館をゴラン高原の方向から空爆、IRGC(イスラム革命防衛隊)の特殊部隊と言われているコッズのモハマド・レザー・ザヘディ上級司令官と副官のモハマド・ハディ・ハジ・ラヒミ准将を含む将校7名を殺害した。 その報復としてイランは4月13日午後にイスラエルを300機以上と言われるカミカゼ・ドローンと中距離弾道ミサイルで攻撃した。レバノンのヒズボラやイラクのカタイブ・ヒズボラも支援のためにイスラエルを攻撃したようで、ネゲブ砂漠にあるイスラエルのラモン空軍基地とハツェリム空軍基地も標的に含まれていた。ハツェリム基地とラモン基地、それぞれ7機のミサイルが命中したと伝えられている。 イランのメディアはミサイルやドローンがイスラエルの目標に着弾する瞬間を映したとされるいくつかの映像をインターネット上に公開、その中にはイスラエル南部のネゲブ砂漠を攻撃したものだとされている。攻撃の際、ヨルダンは非常事態を宣言してイスラエルの戦闘機に空域を開放、イランはイスラエルの防空システムをハッキングしたという。 4月13日早朝、IRGCの特殊部隊がホルムズ海峡でゾディアック・マリタイム社のコンテナ船、MSCエリアスを拿捕した。この会社はイスラエルの富豪、エーヤル・オファーが所有するゾディアック・グループに含まれている。イランはこの拿捕によって、アメリカ側の対応次第ではホルムズ海峡を封鎖すると警告したのだろう。そうした事態になれば当然のことながら、石油相場は暴騰し、世界経済は混乱に陥る。 元CIA分析官のラリー・ジョンソンは今回のイスラエルに対するイランの攻撃について、イスラエルの防空システムを圧倒する膨大な数の無人機、ロケット弾、ミサイルを発射できることをイランは示したのだと指摘しているが、最大限の攻撃には程遠いともしている。つまり、イスラエルに対する警告に過ぎないということだ。 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ大統領はガザで住民を虐殺、その虐殺をアメリカ、イギリス、ドイツなど西側諸国は支援してきた。こうした国々はダマスカスのイラン領事館に対するイスラエルの攻撃を黙認している。イランがこうしたイスラエルの行為に怒り、軍事攻撃してきたならばアメリカ軍を引き摺り込めるとネタニヤフは考えていたのかもしれないが、ジョー・バイデン政権はイランとの戦争でイスラエルに加担することを拒否したと伝えられている。 イスラエルのためにロシアと核戦争するつもりはないということなのかもしれないが、1986年10月にサンデー・タイムズ紙が掲載したモルデカイ・バヌヌの内部告発によると、その当時、イスラエルは150から200発の核弾頭を保有、それだけでなく、水素爆弾をすでに持ち、中性子爆弾の製造も始めていたという。 後にジミー・カーターはイスラエルが保有する核兵器の数を150発だと発言(BBC, May 26, 2008)、イスラエルの軍情報機関ERD(対外関係局)に勤務、イツァク・シャミール首相の特別情報顧問を務めた経歴を持つアリ・ベンメナシェによると、1981年時点でイスラエルがサイロの中に保有していた原爆の数は300発以上に達し、水爆の実験にも成功していたという。(Seymour M. Hersh, "The Samson Option", Faber and Faber, 1991)
2024.04.15
COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)のパンデミック騒動は遺伝子操作薬の接種を導き、自己増殖する人工ウイルス「レプリコン・ワクチン」へと進んだ。その間、この「ワクチン」の危険性が確認されて批判も高まったが、日本政府の暴走は止まらない。こうした暴走の原因を医薬品メーカーの利権に求める人も日本にはいるが、疑問がある。 医薬品業界で研究開発に長年携わってきたサーシャ・ラティポワは早い段階からCOVID-19騒動はアメリカ国防総省がバラク・オバマ政権の時代に始めたプロジェクトだと主張していた。彼女は情報公開法によって入手した文書を分析、この結論に至ったとしている。 アメリカ国防総省のDTRA(国防脅威削減局)はウクライナ国内に生物兵器の研究開発施設が約30カ所あった。ロシア軍は2022年2月24日からウクライナに対する攻撃を開始、その際にそうした施設からも機密文書を回収している。その文書を分析した結果をロシア軍のイゴール・キリロフ中将は明らかにしてきた。それによると、DTRAから資金の提供を受け、CBEP(共同生物学的関与プログラム)の下で進められたという。 ロシア軍が回収した文書を分析した最終報告書をロシア議会は2023年4月に発表、その中でアメリカの研究者は人だけでなく動物や農作物にも感染でき、大規模で取り返しのつかない経済的損害を与える「万能生物兵器」を遺伝子組換え技術を利用して開発していたとしている。そうした兵器を秘密裏に使い、「核の冬」に匹敵する結果をもたらすつもりだという。この特性は「レプリコン・ワクチン(自己増幅型COVIDワクチン)」と似ている。その推測が正しいなら、日本で生物兵器が大量生産されることになる。 アメリカ軍は第2次世界大戦後、日本やドイツで行われていた生物化学兵器の研究資料を入手、研究員を雇い入れている。研究開発の中心はフォート・デトリック(メリーランド州)にあるアメリカ陸軍伝染病医学研究所だ。 CDC(疾病予防管理センター)は2019年7月、フォート・デトリックの研究所に対して研究の停止命令を出し、エボラ出血熱、天然痘、炭疽菌を含む高度に制限された「選択薬剤」を取り扱う許可を剥奪した。問題の原因は2018年5月に蒸気滅菌プラントが暴風雨で浸水して故障したことにあるようだが、「国家安全保障上の理由」で詳しい情報は明らかにされていない。この問題とCOVID-19騒動を結びつける人もいた。 アメリカ国防総省が1960年代に免疫システムを無力化する研究をしていたことがわかっている。1969年6月、国防総省国防研究技術局のドナルド・マッカーサー副局長がアメリカ下院の委員会で、伝染病からの感染を防ぐための免疫や治療のプロセスが対応困難な病原体が5年から10年の間、つまり1974年から79年の間に出現すると語っている。HIVの存在が公的に認められたのは1981年のことだ。1980年代にCIAの人間が免疫について詳しく調べていたこともわかっている。 WHOが先頭に立って広めた「COVID-19ワクチン」は免疫力を低下させる。低下させなければ自己免疫疾患で接種者は死んでしまう。「ワクチン」には免疫を抑える薬剤が含まれ、免疫抑制能力があるIgG4抗体が誘導されることで自己免疫疾患を防ごうとしているのだが、それは接種者をAIDS状態にしてしまう。「ワクチン」に含まれているLNP(脂質ナノ粒子)やグラフェン誘導体によっても人体に害を及ぼし、最近ではDNAの混入が発覚した。 こうした危険や薬剤を世界規模で接種させるため、パンデミックが利用された。それを可能にしたのは定義の変更。「新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)」が流行(2009年1月から10年8月にかけての時期に)する直前、「パンデミック」の定義をWHOは変更しているのだ。「病気の重大さ」、つまり死者数がという条件が削られている。なお、「新型インフルエンザ」は後に「偽パンデミック」だと批判されることになった。 COVID-19ではパンデミックの演出にPCRが利用されたが、この技術の問題点をニューヨーク・タイムズ紙は2007年1月に掲載した記事で指摘している。PCRのような高感度の簡易検査は「偽パンデミック」の原因になる可能性があると警鐘を鳴らしたのだ。それを承知で「感染者」の数を増やし、危機感を煽ったのである。 ところで、アメリカの感染症対策はNIAID(国立アレルギー感染症研究所)のアンソニー・ファウチ所長が中心になっていた。そのファウチは2020年2月28日にニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスンで発表された論文で、COVID-19の致死率は通常のインフルエンザ並みかもしれないと書いていた。 WHO(世界保健機関)がパンデミックを宣言した3月11日、ファウチはアメリカ下院の管理改革委員会でCOVID-19の致死性は季節性インフルエンザの10倍だと発言している。自分たちの書いた論文に反する発言をするよう、何者かから指示されたのかもしれない。 ファウチがNIAIDの所長に就任したのは1984年11月のこと。その当時、AIDS(後天性免疫不全症候群)が問題になっていた。その原因とされたのがHIV(ヒト免疫不全ウイルス)である。 HIVを発見した人物はフランスにあるパスツール研究所のリュック・モンタニエ。1983年に彼のチームが患者の血液からレトロウイルスを発見、「LAV」と名付けている。この功績で彼は2008年にノーベル生理学医学賞を受賞している。 しかし、HIVがAIDSの原因だということは証明されていない。AIDSの診断にもPCR(ポリメラーゼ連鎖反応)検査が利用されているが、その技術を開発してノーベル化学賞を受賞したキャリー・マリスはその技術を病気の診断に使うべきでないと語っていた。PCRの目的は短い遺伝子を調べることが目的で、病原体の検出には向いていないのだ。しかも複製回数(Ct値)が17を超すと偽陽性が急速に増え、35になると偽陽性の率は97%に達する。 実は、モンタニエもHIVがAIDSだとする説に疑問を持っていたと言われている。1990年6月にサンフランシスコで開かれたAIDSに関する国際会議で「HIVは無害かもしれない」と語ったというのだ。バクテリアのような微生物、例えばマイコプラズマが同じ場所にいる時、はじめて危険な存在になるとしていた。(Robert F. Kennedy Jr., “The Real Anthony Fauci,” Skyhorse Publishing, 2021) COVID-19では深刻な副作用を引き起こす「ワクチン」が問題になっているが、AIDSの場合は一般的に「AZT(アジドチミジン)」と呼ばれている「ZDV(ジドブジン)」だ。これは1964年にバローズ・ウェルカム(現在のグラクソスミスクライン)が抗癌剤として開発した医薬品だが、副作用が問題になっていた。 それをHIV薬として使うようになったのだが、勿論、副作用は消えない。HIVに感染して死亡した人の大半はAZTが本当の死因だとする人もいる。(前掲書)
2024.04.14
岸田文雄首相は4月10日にジョー・バイデン米大統領と会談、軍事、バイオ、教育を含む「国家改造計画」的な取り決めを打ち出した。アメリカの支配層による日本支配のシステムを強化する内容で、軍事面では1960年代以来の大幅な増強だと世界的に評価されている。かつてなら大規模な抗議活動があったような出来事だ。これまで日本はアメリカの意向に従って戦争の準備をしてきたが、その総括とも言えるだろう。 日本に対するアメリカからの命令は「日米合同委員会」で伝えられてきたと言われている。1960年に締結された日米地位協定に基づいて設置されたもので、協議(伝達)内容は秘密だ。日本側の代表は外務省北米局長、アメリカ側の代表は在日米軍司令部副司令官だという。日本は現在に至るまでアメリカ軍の占領下にあると言える。 日本は1951年9月8日、サンフランシスコのオペラハウスで「対日平和条約」に、また同じ日にプレシディオで日米安保条約に調印、アメリカ軍だけが日本を占領し続けられることになった。その1週間前、同じプレシディオでアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドの3カ国はANZUS条約に調印している。安全保障条約は1960年に改定され、地位協定も設置された。岸田とバイデンはそれ以来の大改訂を実施したというわけだ。 しかし、戦後日本の在り方はその前から定めれていた。その道筋を定めたのは「ACJ(アメリカ対日協議会)」を中心とする「ジャパン・ロビー」で、その背後にはウォール街の巨大資本が存在していた。その中心人物であるジョセフ・グルーはJPモルガンの総帥、ジョン・ピアポント・モルガン・ジュニアと結婚した女性のいとこにあたり、1932年から駐日大使を務めている。グルーの妻、アリス・ペリーも日本と関係が深い。彼女の曽祖父は幕末に「黒船」で日本にやって来たマシュー・ペリー提督の兄。こうしたことから、ジョセフ・グルーは日本の皇族や華族に人脈があった。 こうした人脈が日本に大きな影響力を持つようになる切っ掛けは1923年9月1日の関東大震災である。被災者は340万人以上、死者と行方不明者を合わせると10万5000名を上回り、損害総額は55億から100億円に達していたという。 復興資金を調達するために外債発行を日本政府は決断、ウォール街を拠点とする巨大金融機関のJPモルガンと交渉する。この巨大金融機関と最も深く結びついていた日本人が井上準之助だ。井上がJPモルガンと親しくなったのは1920年に対中国借款交渉を行った時だという。(NHK取材班編『日本の選択〈6〉金融小国ニッポンの悲劇』角川書店、1995年) 日本は1904年2月に仁川沖と旅順港を奇襲攻撃して日露戦争を始めたが、日本に戦費を用立てたのはジェイコブ・シッフ。ロスチャイルド系のクーン・ローブを経営していた人物だ。日本に対して約2億ドルを融資している。 アメリカやイギリスの私的権力は明治維新の前後、日本で暗躍していた。その手先として1859年に来日したのがジャーディン・マセソンのエージェントだったトーマス・グラバーとウィリアム・ケズウィック。横浜を拠点にしたケズウィックの祖母は同社を創設したひとり、ウィリアム・ジャーディンの姉である。 ジャーディン・マセソンは中国の茶や絹をイギリスへ運び、インドで仕入れたアヘンを中国へ持ち込んむという商売を行っていたが、儲けの大半はアヘンの取り引きによるもので、事実上、麻薬業者だった。 グラバーとケズウィックが来日した1859年にイギリスのラザフォード・オールコック駐日総領事は長州から5名の若者をイギリスへ留学させることを決める。選ばれたのは井上聞多(馨)、遠藤謹助、山尾庸三、伊藤俊輔(博文)、野村弥吉(井上勝)。5名は1863年にロンドンへ向かうが、この時に船の手配をしたのがジャーディン・マセソンにほかならない。 明治政府に対し、イギリスのアーネスト・サトウやアメリカのチャールズ・デロングやチャールズ・ルジャンドルといった外交官はアジアを侵略するようにけしかける。 1871年7月に新政府は廃藩置県を実施するが、その年の10月に宮古島の漁民が台湾に漂着、その一部が殺されたとして日本政府は清に抗議するのだが、この時点で琉球は独立国であり、日本が抗議するのは奇妙な話だ。 それに気づいたのか、明治政府は1872年に琉球国を潰し、琉球国王に琉球藩王というタグをつける。もし明治政府が琉球国を日本領である、あるいは日本領にしたいと考えていたなら、琉球藩の設置、廃藩置県という順番になるはずだ。廃止したはずの藩を作り、琉球は日本領だという形を作ろうとしたのだろう。そして1874年、明治政府は軍隊を台湾へ送り込んだ。 琉球国が潰された1872年、フランス系アメリカ人で厦門の領事だったチャールズ・ルジャンドルが来日している。この外交官は台湾から帰国する途中に日本へ立ち寄り、そこでアメリカ公使を務めていたチャールズ・デロングと会っているが、その際、デロングはルジャンドルに対し、日本政府に対して台湾を侵略するようにけしかけていると説明している。(James Bradley, “The Imperial Cruise,” Little, Brown and Company, 2009) デロングは日本の外務省に対してルジャンドルを顧問として雇うように推薦、受け入れられたが、ルジャンドルは1872年12月にアメリカ領事を辞任、顧問になった彼は外務卿の副島種臣に台湾への派兵を勧めたのだ。派兵の際、アメリカの軍事顧問が同行したという。(前掲書) ルジャンドルは外務省の顧問を辞めた後も日本に滞在、離日したのは1890年。その年から99年まで李氏朝鮮の王、高宗の顧問を務めたという。その当時、朝鮮では興宣大院君(高宗の父)と閔妃(みんぴ)が対立していた。 そうした中、1894年に朝鮮半島で甲午農民戦争(東学党の乱)が起こり、閔氏の体制が揺らぐ。それを見た日本政府は「邦人保護」を名目にして軍隊を派遣、その一方で朝鮮政府の依頼で清も出兵して日清戦争につながった。この戦争に勝利した日本は1895年4月、「下関条約」に調印して大陸侵略の第一歩を記すことになる。 清の敗北でロシアへ接近することが予想された閔妃をこの年、日本の三浦梧楼公使たちが暗殺している。日本の官憲と「大陸浪人」が閔妃を含む女性3名を惨殺したのだ。暗殺に加わった三浦公使たちは「証拠不十分」で無罪になっているが、この判決は暗殺に日本政府が関与している印象を世界に広めることになる。その後、三浦は枢密院顧問や宮中顧問官という要職についた。 明治維新以降、日本にはアングロ・サクソンの手先となり、権力と財力を握った人たちがいる。そうした人びとによって天皇制官僚体制は築かれたのである。その頃から日本列島はアングロ・サクソンが大陸を侵略する拠点になり、日本人は傭兵になった。岸田とバイデンによる会談の背景には中国侵略の野望があるのだろうが、アメリカにそれだけの力があるようには思えない。
2024.04.13
韓国では4月10日に総選挙が実施され、300議席のうち野党の「共に民主党」系が175議席を獲得、与党の「国民の力」系列は108議席にとどまった。従米路線を突き進んできた尹錫悦大統領にとって厳しい結果だが、同じ従米路線の岸田文雄首相にとっても同じことが言える。 尹大統領と岸田文雄首相は昨年8月18日、ジョー・バイデン米大統領の招きでキャンプ・デイビッドを訪問、目的は日米韓の三国軍事同盟を築くことにあったと見られている。 その直前、8月12日には台湾の総統選挙で勝利した民主進歩党の頼清徳がニューヨークを訪問、15日にパラグアイで開かれた大統領就任式に出席した後、16日にサンフランシスコを訪れているが、この頼清徳も権力基盤は盤石でない。 アメリカ支配層に対する確固たる従属姿勢を見せているのは日本だけだと言えるだろう。その総理大臣として岸田は4月8日にアメリカを訪問し、10日にはバイデン大統領と会談した。軍事、バイオ、教育を含む「国家改造計画」的な取り決めを打ち出している。アメリカ支配層は日本を完全支配するつもりのようだ。 軍事部門では「指揮統制の向上」が謳われている。すでに自衛隊はアメリカ軍の下部組織になっていたが、アメリカ軍の指揮に従って動くという性格を明確にしたように見える。アメリカ軍の戦略に従い、自衛隊は中国やロシアを攻撃する準備を整えてきたが、その態勢の下で実際に戦う仕組みを築くのだろう。 アメリカの科学技術力や生産力が衰えていることはシリアやウクライナにおける戦争で明確になった。そこでアメリカは日本との科学技術協力を発展させるともしているのだが、アメリカの後を追いかけてきた日本も科学技術力や生産力が衰えている。 アメリカにとって日本は便利な手先である。アメリカ国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書には、中国をGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で包囲する計画が記載されているのだが、そうしたミサイルを配備できそうな国は日本だけだと分析されていた。 しかし、日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約がある。そこでASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされている。 2016年には与那国島でミサイル発射施設が建設され、19年に奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも自衛隊の軍事施設が完成した。ミサイルが配備されることになる。 その間、2017年4月には韓国へTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムの機器が運び込まれ始めた。2013年2月から韓国の大統領を務めた朴槿恵は中国との関係を重要視、THAADの配備に難色を示していたのだが、朴大統領がスキャンダルで身動きできなくなっていたことからミサイル・システムを搬入できたのである。結局、朴槿恵は失脚した。朴大統領を捜査する特別検察官チームのトップだった人物が尹錫悦にほかならない。 尹錫悦は文在寅政権でソウル中央地検の検事正になり、李明博元大統領や梁承泰元最高裁長官を含む保守派の主要人物を逮捕、文大統領の信頼を得て検事総長になった。 その後、尹は次期大統領候補と目されていた趙国法務部長官(当時)に対する捜査を開始。この過程で「正義の人」というイメージができた尹錫悦は大統領に当選、彼の指揮で検察は民主党の李在明党首を収賄容疑で捜査している。 アメリカの支配層にとって目障りなふたつの勢力を潰し、大統領に就任した彼はアメリカの命令に従って行動、日本と軍事的な同盟関係を結び、逆に中国やロシアを罵り始める。そうした流れの中での「親日」である。 日本とアメリカは韓国との軍事同盟だけでなく、台湾との連携を強めてフィリピンとも軍事的に結びつこうとしているが、いずれの国もこうした好戦的な方針に反発する国民の声は小さくない。そこでアメリカがオーストラリアやイギリスと組織したAUKUSだ。 NATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言、21年9月にオーストラリア、イギリス、アメリカはAUKUSを創設した。その軍事同盟にアメリカはカナダ、日本、フィリピンを参加させようとしているとも言われている。 2022年10月に「日本政府が、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。 トマホークは核弾頭を搭載でる亜音速ミサイルで、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートルという。中国の内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約は無視されていると言えるだろう。 そして昨年2月、浜田靖一防衛大臣は2023年度に亜音速巡航ミサイル「トマホーク」を一括購入する契約を締結する方針だと語ったが、10月になると木原稔防衛相(当時)はアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談した際、アメリカ製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入時期を1年前倒しすることを決めたという。当初、2026年度から最新型を400機を購入するという計画だったが、25年度から旧来型を最大200機に変更するとされている。 2022年12月にバイデン政権はNDAA 2023(2023年度国防権限法)を成立させ、アメリカの軍事顧問団を金門諸島と澎湖諸島に駐留させて台湾の特殊部隊を訓練していると伝えられている。 しかし、東アジアを見渡して、自国の利益を捨て、アメリカ支配層に奉仕するという信念を持っている国は日本以外に見当たらない。アル・カイダ系武装集団やネオ・ナチに支配されたウクライナと同じように、アメリカにとって日本人は戦争代理人、戦闘要員、あるいは傭兵の類にすぎない。
2024.04.12
ロシアの連邦捜査委員会は4月9日、ロシアにおけるテロ攻撃の資金調達に関与し疑いでアメリカとNATO諸国の高官に対する捜査を始めたという。捜査対象にはミコラ・ズロチェフスキーが設立したウクライナのエネルギー会社「ブリスマ」が含まれているが、この会社の重役には元ポーランド大統領のアレクサンデル・クファシニェフスキー、元CIA高官のジョセフ・コファー・ブラック、そしてジョー・バイデン大統領の息子であるハンター・バイデンも名を連ねていた。 ウクライナの検察当局はハンター・バイデンを汚職容疑で捜査していたことがある。検事総長を務めていたビクトル・ショーキンによると、捜査を続けていたなら、ハンター・バイデンや同社の別のアメリカ人重役だったデボン・アーチャーを含む関係者を汚職で摘発できたという。 しかし、その捜査はジョー・バイデンの圧力で中止された。ジョー・バイデン自身が2018年1月23日にCFR(外交問題評議会)で行なった説明によると、彼はウクライナ政府に対し、10億ドル融資してほしければショーキンを6時間以内に解任しろと恫喝、実際に解任されたという。 バイデンは「ウクライナを支援する欧米諸国や国際機関が同国の腐敗問題に取り組む中、同国の検事総長が汚職捜査に消極的だとして解任させようとした」と主張しているが、ショーキンは宣誓供述書の中で、解任の理由はブリスマ・ホールディングスを捜査していたことにあるとしている。 ショーキンによると、数カ月にわたってバイデン副大統領から捜査を止めるように圧力がかかったという。FOXニュースのジョン・ソロモンによると、2015年終わりから16年初めにかけてバイデンは検事総長を解任するようウクライナ側に圧力をかけていたと6名ほどのウクライナの高官が語っている。ウクライナの議員、アンドリー・デルカチによると、バイデンはブリスマからロビー会社を介して90万ドルを受け取ったという。 2019年5月に大統領がウォロディミル・ゼレンスキーへ交代するが、その数カ月前からブリスマへの捜査が再開されたというのだ。同年7月にドナルド・トランプがゼレンスキーと電話で会談、その際にバイデン自身がCFRで話したことを話題にした。それだけのことなのだが、それをトランプがゼレンスキーに対し、ハンター・バイデンについて捜査するように求めたのだとアメリカ下院情報委員会へ2019年8月に「内部告発」した人物がいる。 その告発者はエリック・チャラメラなるCIAの分析官。民主党の支持者で、2015年の夏からNSC(国家安全保障会議)でスーザン・ライス国家安全保障補佐官の下で働き、バイデン副大統領やジョン・ブレナンCIA長官の下でも働いていた。 また、ブラックはCIAでテロ対策センター長を務めた人物。彼がブリスマの重役だった時期に同社の資金がテロリストと関係するグループへ送金されていたとなると、CIAが少なくとも間接的にロシアでのテロ攻撃に関与していたと見られても仕方がない。 3月22日、モスクワの近くにあるクロッカス・シティ・ホールが自動小銃で殺傷した4名によって襲撃された。実行犯はウクライナへ逃げ込む直前に拘束され、相当数の共犯者がロシア国内だけでなく、トルコやタジキスタンで逮捕されている。 ロシア国家反汚職委員会のキリル・カバノフ委員長によると、実行グループが残したデータは、彼らがウクライナの特殊部隊/ネオ・ナチと連絡を取り合っていたことを示しているようだ。それが事実なら、自動的にアメリカやイギリスの情報機関、つまりCIAやMI6につながる。 西側が犯人として扱っているダーイッシュ-ホラサン(IS-KP、ISIS-K)は他のイスラム系武装集団と同じように、CIAやMI6の傭兵だ。イギリスの外務大臣を1997年5月から2001年6月まで務めたロビン・クックは05年7月、「アル・カイダ」についてCIAの訓練を受けた「ムジャヒディン」の登録リストだと説明している。なお、クックはこの指摘をした翌月、保養先のスコットランドで心臓発作に襲われて59歳で死亡した。 ダーイッシュ(IS、ISIS、ISILなどとも表記)もこの仕組みから生まれた。そうした武装集団の出現をアメリカ軍の情報機関DIA(国防情報局)は2012年8月、ホワイトハウスに警告している。 オバマ政権が支援している反シリア政府軍の主力はアル・カイダ系武装集団のAQI(イラクのアル・カイダ)で、アル・ヌスラと実態は同じだと指摘、その中心はサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)やムスリム同胞団だとしているのだ。2012年当時のDIA局長はマイケル・フリン中将である。 その警告通り、2014年1月にダーイシュが出現した。イラクのファルージャで「イスラム首長国」の建国を宣言、6月にはモスルを制圧している。その際にトヨタ製小型トラック、ハイラックスの新車を連ねたパレードが行われ、その画像が世界に流されたのだが、このハイラックスを購入したのはアメリカの国務省だとも言われていた。こうした戦闘集団の動きをアメリカの軍や情報機関は偵察衛星、無人機、通信傍受、人間による情報活動などで知っていたはずだが、反応していない。 そのダーイッシュを含むイスラム武装勢力は2015年9月にシリア政府の要請で介入したロシア軍によって壊滅させられた。その際、アメリカの軍や情報機関がダーイッシュなどの幹部をヘリコプターなどで救出している。行くへは不明だったが、アフガニスタンへ運んだと言われていた。 その当時、FSB(連邦安全保障局)のアレクサンダー・ボルトニコフ長官は、ダーイッシュのメンバー約5000名がアフガニスタン北部に運ばれ、中央アジアの旧ソ連諸国を脅かしていると語っていた。
2024.04.11
イスラエル軍はアメリカ政府やイギリス政府などの支援を受け、ガザで建造物を無誘導爆弾で破壊し、3万数千人から4万人と推計される住民を殺した。その約4割が子ども、女性を含めると7割に達すると言われているが、その殺戮で2種類のAI、「ラベンダー」と「ゴスペル」が使われていることが明らかになった。人間は機械の決定に「ゴム印」を押すだけで、事実上、チェックする機能はないようだ。 階級や軍事的重要性に関係なくハマスとPIJ(パレスチナ・イスラム聖戦)の軍事部門に所属するとみなされた全員を標的にするとイスラエル軍は決定、ラベンダーはガザに住む230万人のデータを収集、分析して危険度を評価、ランク付けした上で暗殺リストを作成。約3万7000人のパレスチナ人がリストに載せられた。ゴスペルで攻撃対象の建造物を選ぶとされている。 許される民間人の巻き添え死の数は下級戦闘員でひとりあたり15名から20名、司令官の場合は100名以上に設定した。暗殺の場所は自宅が選ばれている。そのため家族は皆殺しだ。イスラエル軍はジャーナリスト、医療関係者、支援活動のメンバーを狙っているが、これも「AIの指示」ということなのだろう。 暗殺リストにのされた人の1割程度は戦闘集団と無関係の住民だとされているが、そうしたことをイスラエル政府は気にしていない。昨年10月7日、ハマスとの戦闘という口実で始められたのだが、その直後、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は「われわれの聖書(キリスト教における「旧約聖書」と重なる)」を持ち出し、パレスチナ人虐殺を正当化しているのだ。 聖書の中でユダヤ人と敵だとされている「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という部分を彼は引用、「アマレク人」をイスラエルが敵視しているパレスチナ人に重ねたのである。その記述の中で、「アマレク人」を家畜と一緒に殺した後、「イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神は命じている。 サムエル記上15章3節には「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」と書かれている。これこそがガザでイスラエルによって行われていることだと言えるだろう。ネタニヤフによると「われわれは光の民であり、彼らは闇の民」なのである。 イスラエル軍はAIを利用し、ガザに住む全ての人びとに関するデータを集めて分析、危険度を評価して暗殺リストを作成したわけだが、すでにアメリカ国防総省では1980年代からそうしたシステムの開発を進めていた。 拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房、2005年)でも書いたことだが、同省のDARPA(国防高等研究計画局)で開発されていたTIA(総合情報認識)では個人の学歴、銀行口座の内容、ATMの利用記録、投薬記録、運転免許証のデータ、航空券の購入記録、住宅ローンの支払い内容、電子メールに関する記録、インターネットでアクセスしたサイトに関する記録、クレジット・カードのデータなどあらゆる個人データが収集、分析されていた。 2001年9月にはMATRIXと名づけられた監視システムの存在が報じられた。フロリダ州を拠点とするシーズント社が開発したもので、スーパー・コンピュータを使い、膨大な量のデータを分析して「潜在的テロリスト」を見つけ出すことを目的にしていた。 どのような傾向の本を買い、借りるのか、どのようなタイプの音楽を聞くのか、どのような絵画を好むのか、どのようなドラマを見るのか、あるいは交友関係はどうなっているのかなどを調べ、個人の性格や思想を洗い出そうとしたのだ。図書館や書籍購入の電子化、スマートテレビの普及などと無縁ではない。勿論、インターネット上でのアクセス状況も監視されている。街中に張り巡らされた監視カメラもこうした種類のシステムに繋げられる。顔認証で追跡することも可能だ。 アメリカの国防総省にはCIFA(対諜報分野活動)というデータ収集活動があった。TALON(脅威地域監視通告)というデータベースに情報を記録、このデータを分析することで情報活動をモニターし、将来の脅威を見通すのだという。TALONは2007年9月に中止されたとされているが、事実かどうかは不明である。(William D. Hartung, “Prophets Of War”, Nation Books, 2011) 日本の場合、住民基本台帳ネットワークやマイナンバー制度が個人情報の集中管理に利用されることは間違いない。そのために導入されたのである。健康保険証と一体化させることで健康状態の監視にも利用できる。デジタルID導入の背景には、2015年9月に国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」で示された「SDGs(持続可能な開発目標)」がある。 デジタルIDはチップ化されるが、それを体内にインプラントする計画がある。例えば、WEFのクラウス・シュワブは2016年1月にスイスのテレビ番組に出演し、そこでマイクロチップ化されたデジタル・パスポートについて話している。チップを服に取り付けるところから始め、次に皮膚や脳へ埋め込み、最終的にはコンピュータ・システムと人間を融合、人間を端末化しようと考えているようだ。 人間をサイバー・システムの一部にしようということだろうが、シュワブたちは、そのサイバー・システムにコンピュータ・ウィルスを蔓延させ、「パンデミック」を引き起こそうとしている疑いがある。 内部告発支援グループのWikiLeakは2017年3月、CIAによる電子的監視やサイバー戦に関する文書「Vault 7」を公開した。その情報からCIAと関連機関はサイバー攻撃をした際、さまざまな国を示す「偽の指紋」を残せることが明らかになった。 CIAにも電子情報活動を行う部門があるが、アメリカにはNSAという電子情報機関が存在、その姉妹組織としてイギリスのGCHQがある。このNSAとGCHQを中心として、アングロ・サクソン系5カ国はUKUSAを組織している。イスラエルの電子情報機関8200部隊はUKUSAと緊密な関係にある。 この8200部隊は「民間企業」を設立し、情報活動に利用してきた。そうした企業のひとつ、サイバーリーズンは8200部隊の「元隊員」3名によって2012年に設立された。重要なインフラへのサイバー攻撃からの防御を謳っているが、攻撃側ではないかという疑惑があるのだ。 ジョー・バイデンの再選は困難だと言われているアメリカの大統領選挙が近づいてくるが、その前に送電網や銀行システムが麻痺、あるいは選挙システム自体がハッキングされ、そのまま戒厳令というシナリオも懸念されている。
2024.04.10
アメリカのジャネット・イエレン米財務長官は4月4日に中国を訪問、5日間にわたって政府要人や金融界のリーダーらと会談している。中国では電気自動車、太陽光パネル、半導体などの生産能力が過剰になっているとイエレンは批判、中国の反発を招いたようだ。アメリカの生産力がそれだけ衰えているということだ。 中国では2010年代の半ば過ぎから不動産バブルが問題になり、政府は投機を規制しはじめたが、LGFV(融資平台)なる地方政府系の投資会社を利用した融資によってバブルは膨らみ続けた。中国ではビジネスやアカデミーはアメリカ支配層の影響下にあり、新自由主義的な仕組みを変えられなかったのだろう。 COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動によるロックダウンと不況がひと段落した2021年から中国政府は投機資金の借り入れを止め、不動産バブルを縮小させる政策へ転換した。その政策が今年、厳しくなったようだ。中国実業界の暴走を止めようというのだろう。イエレンの中国訪問がこの政策転換と無関係だとは思えない。 本ブログでも指摘したことだが、アメリカでは1970年代に金融化が推進され、生産力が落ちて富の一極集中が進んだ。貧富の差が拡大したのだが、その結果、社会の荒廃が進み、公教育のシステムが崩壊し、国民の知的レベルが低下してしまう。 アップルのスティーブ・ジョブスは2010年の秋、バラク・オバマ大統領から工場をアメリカで建設してほしいと頼まれたのだが、それを拒否している。ジョブスによると、アップルは中国の工場で70万人の労働者を雇っているが、その工場を機能させるためには3万人のエンジニア必要。アメリカでそれだけのエンジニアを集めることはできないというのだ。アメリカで工場を作って欲しいなら、それだけのエンジニアを育てる教育システムが必要だというのだ。 ジョブスに指摘された状況は改善されていない。COVID-19騒動の後にアメリカでは社会の荒廃がさらに進み、教育体制も悪化しているはずである。 アメリカのエリート校は私立であり、高額の授業料を要求される。トルーマン・カポーティが書いた『叶えられた祈り』の中でウォール街で働いているディック・アンダーソンなる人物は「二人の息子を金のかかるエクセター校に入れたらなんだってやらなきゃならん!」と言っている。(トルーマン・カポーティ著、川本三郎訳、『叶えられた祈り』、新潮文庫) エクセター校とは「一流大学」を狙う子どもが通う有名な進学校で、授業料も高い。そうしたカネを捻出するため、「ペニスを売り歩く」ようなことをしなければならないとカポーティは書いているのだ。アメリカの中では高い給料を得ているはずのウォール街で働く人でも教育の負担は重いということだ。 ハーバード大学教授から上院議員になったエリザベス・ウォーレンによると、教育費の負担が親の肩に重くのしかかり、破産する人が少なくないという。公立の学校へ通わせようとしても、少しでもまともな学校を選ぼうとするなら、家賃の高い地域へ引っ越さなければならない。 アメリカ人が破産する理由は医療費と不動産だとされているが、不動産で破産する背景には教育の問題がある。アメリカでは経済的に豊かな愚か者が高学歴になり、優秀でも貧しい子どもは排除されていくことになるのだ。それで国力が上がるはずはない。イエレンの主張は経済力に劣る国の泣き言だとも言える。 これに対し、アメリカは東アジアで軍事同盟を強化している。2021年9月に発表があったオーストラリア、イギリス、アメリカで編成されるAUKUSがその中心になりそうだ。そこへ日本とフィリピンを加盟させる意向だとも言われている。 しかし、アメリカは21世紀に入ってから軍事力の低下が明確になってきた。イスラエルやアメリカが支援していたジョージアが2008年に南オセチアを奇襲攻撃した時にロシア軍に惨敗、シリアではロシア製兵器の能力がアメリカを上回ることが実戦で証明されてしまった。ウクライナではアメリカ、ドイツ、フランス、イスラエルなどの兵器がロシアの兵器に粉砕されている。そのロシアから支援された中国や朝鮮にアメリカや日本が勝てる保証はない。アメリカが「唯一の超大国」になったという幻影は消えたのだ。
2024.04.09
イスラエル軍は4月2日、ガザで支援活動に従事していたWCK(ワールド・セントラル・キッチン)のメンバー7名を乗せた自動車の車列をドローンで攻撃、全員を殺害した。そのうち3名はセキュリティーを担当していたイギリスの元軍人で、イギリスのメディアは少なくともふたりは特殊部隊員だったと伝えている。その元軍人はWCKを隠れ蓑にして情報を収集、それを知ったイスラエル軍が殺したと考える人もいる。 イスラエルはイギリスの支配層がシオニストを利用して作り上げた国である。当初の目的は戦略上重要なスエズ運河を守るためだったのだろうが、その後、中東では石油が見つかり、その価値は高まった。イスラエルはシティを拠点にする帝国主義者たちが中東を支配するための拠点だ。そこにウォール街を拠点とするアメリカの帝国主義者が乗り込んでくるが、シティとウォール街は緊密な関係にある。 現在、イスラエルで首相を務めるベンヤミン・ネタニヤフの父親であるベンシオン・ネタニヤフはアメリカでウラジミール・ヤボチンスキーの秘書だった人物。後に「修正主義シオニスト世界連合」を結成するヤボチンスキーはオデッサで生まれ、ウクライナで独立運動を率いていたシモン・ペトリューラと連携することになる。ペトリューラはロシアでボルシェビキ体制が樹立された直後の1918年から21年にかけて大統領を名乗るが、その時期に3万5000人から10万人のユダヤ人を虐殺したと言われている。(Israel Shahak, “Jewish History, Jewish Religion,” Pluto Press, 1994) シオニズムはエルサレムの南東にあるシオンの丘へ戻ろうという運動で、シオニストはその信奉者。ユーフラテス川とナイル川で挟まれている地域はユダヤ人の所有物だと考えている。その地域を実際に支配しようとしてきた。いわゆる「大イスラエル構想」だ。ユダヤ教の宗教書であるトーラー(キリスト教徒が言う旧約聖書のうちモーセ5書)がその根拠だとされている。 シオニズムという用語はウィーン生まれのナータン・ビルンバウムが1864年に初めて使ったという。そして1896年にはセオドール・ヘルツルが『ユダヤ人国家』という本を出版した。 しかし、トーラーによると、土地を所有しているのは神であり、ユダヤ教徒はトーラーを守るという条件の下でその土地に住むことを許されたにすぎないという。大イスラエル構想はプロテスタントが言い始めたのだとも言われている。シオニストが行っていることはトーラーの記述とは合致しないと指摘する人もいる。 1917年11月2日、イギリス外相だったアーサー・バルフォアはウォルター・ロスチャイルドへ書簡を送り、その後、先住のアラブ系住民(パレスチナ人)を弾圧する一方でユダヤ人の入植を進めたが、1920年代に入るとパレスチナのアラブ系住民は入植の動きに対する反発が強まってくる。 そうした動きを抑え込むため、デイビッド・ロイド・ジョージ政権で植民地大臣に就任したウィンストン・チャーチルはパレスチナへ送り込む警官隊の創設するという案に賛成、アイルランドの独立戦争で投入された「ブラック・アンド・タンズ」のメンバーを採用した。この組織はIRA(アイルランド共和国軍)を制圧するために設立され、殺人、放火、略奪など残虐さで有名だった。 ヤボチンスキー直系とも言えるベンヤミン・ネタニヤフはリクードを率いているが、この政党が台頭してくるのは1970年代。アメリカではリチャード・ニクソン大統領が失脚してジェラルド・フォード政権が登場、そこでシオニストのネオコンが実権を握ったのだ。キリスト教シオニストと言われているアメリカの福音派の後押しが大きい。彼らが「神の軍隊」だと信じていたアメリカ軍はベトナム戦争で敗北するが、その前からイライラが募っていた。そこで、1967年の第3次中東戦争で圧勝したイスラエル軍へ乗り換えたのだ。 エドワード・マカティアやジェリー・フォルウエルなどが率いるキリスト教シオニストの教義によると、キリストに従う「善の軍勢」と反キリストの「悪の軍勢」が「ハルマゲドン」で最終戦争を行い、人類の歴史は幕を閉じる。その際、再臨するキリストによって自分たちは救われるのだという。彼らは核戦争を望んでいる。フォルウエルを政治の世界へと導き、ロナルド・レーガン、ジェシー・ヘルムズ、ジョン・アシュクロフトらに引き合わせたのはマカティアだ。(Ken Silverstein & Michael Scherer, "Born-Aain Zionist", Mother Jones, September/October, 2002) こうした流れは今も消えていない。昨年10月7日にハマスなどの戦闘部隊がイスラエルへ攻め込んだ直後、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は「われわれの聖書(キリスト教における「旧約聖書」と重なる)」を持ち出し、パレスチナ人虐殺を正当化した。 彼は聖書の中でユダヤ人と敵だとされている「アマレク人があなたたちにしたことを思い出しなさい」(申命記25章17節から19節)という部分を引用、この「アマレク人」をイスラエルが敵視しているパレスチナ人に重ねて見せたのだ。「アマレク人」を家畜と一緒に殺した後、「イスラエルの民」は「天の下からアマレクの記憶を消し去る」ことを神に命じられたという。 そしてサムエル記上15章3節の話を彼は持ち出す。そこには「アマレクを討ち、アマレクに属するものは一切滅ぼし尽くせ。男も女も、子供も乳飲み子も牛も羊も、らくだもろばも打ち殺せ。容赦してはならない。」ということが書かれている。これこそがガザでイスラエルによって行われていることだというのだ。 ネタニヤフによると「われわれは光の民であり、彼らは闇の民だ」としたうえで、イザヤの預言を理解しなければならないと主張する。「われわれ」とはイスラエル人、「彼ら」とはパレスチナ人、イスラム教徒、あるいはイスラエル以外の人びとを指しているのだろう。 また、ギラド・エルダン国連大使は10月8日に安全保障理事会で「これはイスラエルの9/11だ」と演説、ヨアブ・ギャラント国防相はパレスチナ人を「獣」だと表現した。 インターネットには、95歳になるイスラエル陸軍の退役兵、エズラ・ヤチンがユダヤ人に対してパレスチナ人を殺して彼らの記憶を消し去れと呼びかけている映像が流れている。 ガザでの虐殺は予定通りだった。 アメリカで下院議員を務めるティム・ウォルバーグは今年3月25日、ガザに対して人道支援するうべきでなく、早く戦闘を終わらせるため、長崎や広島のようにすべきだと発言した。核兵器を使えと聞こえる。ちなみにウォルバーグは1973年から77年にかけてインディアナ州で福音派の牧師を務めている。 しかし、アメリカを核戦争へと導いているのは彼らだけではない。帝国主義者の流れをくんでいる「リベラル派」も同じだ。彼らはウクライナでロシアに戦争を仕掛け、ガザでの虐殺を後押し、東アジアの軍事的な緊張と高めている。
2024.04.08
国防総省とのビジネスはカネ儲け以外にもメリットがある。「安全保障上の秘密」という名目で監視の目から逃れることができるのだ。アメリカで少なからぬ企業が国防総省と契約したがる理由のひとつはそこにある。そうした企業群の中に医薬品メーカーも入っていることが「COVID-19(2019年-コロナウイルス感染症)騒動」で明確になった。この騒動における「主犯」は医薬品メーカーでなく国防総省だとサーシャ・ラティポワは主張している。これは同省がバラク・オバマ政権の時代に始めた軍事作戦だというのだ。 アメリカで生物化学兵器の研究開発が始められたのは1930年代のことである。例えばロックフェラー財団の「衛生委員会」チームの一員としてプエルトリコのサンフアンにある病院で数カ月間勤務したロックフェラー医学研究所のコーネリアス・ローズなる人物は1931年、プエルトリコの被験者に意図的にガン細胞を人体へ注入し、そのうち13人を死亡させたという。彼はプエルトリコ人を軽蔑、絶滅を妄想していた。 ローズは第2次世界大戦中にアメリカ陸軍の大佐となって化学兵器部門の医学部長を務め、ユタ州、メリーランド州、パナマに化学兵器研究所を設立、プエルトリコ人に対する秘密実験にも参加。1943年末までに化学兵器関連の新しい医学研究所がマサチューセッツ州のキャンプ・デトリック、ユタ州のダグウェイ実験場、アラバマ州のキャンプ・シベルトに設立された。1944年1月、化学兵器局は生物兵器に関するすべてのプロジェクトを担当することになった。 第2次世界大戦後、日本やドイツによる生物化学兵器の研究開発結果はキャンプ・デトリック(1955年からフォート・デトリックに格上げ)へ運ばれた。ここは今でもアメリカ軍の生物化学兵器開発の中心的な存在である。 日本の生物化学兵器の開発は軍医学校、東京帝国大学医学部、京都帝国大学医学部が中心になって進められた。その一環として生体実験をおこなうため、中国で加茂部隊」が編成されたが、その責任者が京都帝国大学医学部出身の石井四郎中将。後ろ盾は小泉親彦軍医総監だったとされている。 その後、加茂部隊は「東郷部隊」へと名前を替え、1941年には「第七三一部隊」と呼ばれるようになり、捕虜として拘束していた中国人、モンゴル人、ロシア人、朝鮮人を使って生体実験する。こうした人びとを日本軍は「マルタ」と呼んでいた。この部隊の隊長を1936年から42年、そして45年3月から敗戦まで務めた人物が石井四郎。途中、1942年から45年2月までを東京帝国大学医学部出身の北野政次少将が務めている。 ソ連の参戦が迫っていた1945年8月、関東軍司令官の山田乙三大将の命令で第731部隊に関連した建物は破壊され、貴重な資料や菌株は運び出された。監獄に残っていた捕虜を皆殺しになる。捕虜の多くは食事に混ぜた青酸カリで毒殺されたが、食事をとろうとしない者は射殺された。死体は本館の中庭で焼かれ、穴の中に埋められた。日本軍は監獄などを爆破した上で逃走している。(常石敬一著『消えた細菌戦部隊』海鳴社、1981年) 石井たち第731部隊の幹部は大半が日本へ逃げ帰るが、日本の生物化学兵器に関する情報はアメリカ軍も入手していた。1946年に入ると石井たちアメリカ軍の対諜報部隊CICの尋問を受けることになるが、厳しいものではなく、資料はアメリカ側へ引き渡された。 尋問の過程でGHQ/SCAPの情報部門G2の部長を務めていたチャールズ・ウィロビー少将と石井は親しくなり、隊の幹部たちはアメリカの保護を受けるようになる。日本が提供した資料や研究員はドイツから提供された知識と同じように、アメリカにおける生物化学兵器開発の基盤になった。 1950年6月に朝鮮戦争が勃発、52年2月に朝鮮の外務大臣はアメリカ軍が細菌兵器を使用していると国連に抗議した。アメリカ側は事実無根だと主張したが、1970年代にウィリアム・コルビーCIA長官は議会証言の中で、1952年にアメリカ軍が生物化学兵器を使ったと認めている。 朝鮮戦争では捕虜になったアメリカ人パイロット約30名が生物兵器を投下したと告白したが、アメリカ政府はこうした主張をプロパガンダだとして全面的に否定する。「洗脳」という用語も使われた。帰国後、パイロットたちは国家反逆罪に問うと脅され、告白を取り消している。(David Talbot, “The Devil’s Chessboard,” HarperCollins, 2015) そこでイギリス、イタリア、スウェーデン、ソ連、フランス、ブラジルの科学者で調査団が編成され、1952年10月に報告書を発表、実際に生物兵器は使われたとしている。(Robert Harris & Jeremy Paxman, “A Higher Form Of Killing,” Arrow Books, 2010) 朝鮮戦争の前から日本では生物兵器に関係すると思われる動きがあった。1946年に厚木基地からほど近い倉庫をアメリカ軍の極東医療分隊に所属する「406医療一般研究所」が使っていたが、これは病原体の媒介昆虫に関する研究用の「倉庫」と見なされていた。後に同部隊は東京都千代田区丸の内の三菱ビル内へ移動、朝鮮戦争の際には戦闘地域へ要員を派遣している。(Stephen Endicott & Edward Hagerman, "The United States And Biological Warfare", Indiana University Press, 1998) オーストラリア人のウィルフレッド・バーチェットはジャーナリストとして朝鮮戦争におけるアメリカ軍の生物兵器使用を告発している。彼がインタビューしたアメリカ人捕虜は中国の尋問官に対し、細菌戦を行なったと自白していた。こうした彼の報道はアメリカやオーストラリアの政府を怒らせ、その後、彼に対する誹謗中傷が繰り返されることになる。 なお、2010年にはアル・ジャージーラも、朝鮮戦争でアメリカ軍が生物兵器を使用したとする調査団やバーチェットの結論を支持する報告書を発表しているのだが、こうした生物兵器の使用に日本の専門家が無関係だったとは言えない。 アメリカの情報機関や軍はアメリカ国内でも実験していた。例えば、1950年にアメリカ海軍がサンフランシスコで「バチルス・グロビジー(炭疽菌と同属)」や「セラチア菌」を散布したとされ、55年にはCIAがフロリダ州タンパで生物戦争の実験を行い、その後に百日咳の患者が急増、56年から58年にはジョージア州とフロリダ州にある貧困地区で黄熱ウイルスを持つ蚊を使った実験を実施、死者も出ている。 また、1966年にはアメリカ陸軍の特殊部隊がニューヨーク市の地下鉄でバチルスを撒く実験を実施、またCIAは68年と69年に上水道へ毒を混ぜる実験をワシントンのFDA(食品医薬品局)のビルで行なった。(Edited by Ellen Ray & William H. Schaap, “Bioterror,”Ocean Press, 2003) 第731部隊の人脈は朝鮮戦争時に「日本ブラッドバンク」を設立、後に社名は「ミドリ十字」へ変更された。現在は田辺三菱製薬の一部だ。1947年に創設された国立予防衛生研究所(予研)も同じ人脈。この研究所は1997年には国立感染症研究所(感染研)に改名され、「COVID-19対策」で中心的な役割を果たしている。 こうした歴史を振り返れば、COVID-19騒動の背後にアメリカの国防総省が存在していることは自然なことだとわかる。この騒動ではmRNA技術を利用した遺伝子導入剤が使われているが、その薬剤を販売している企業がファイザーとモデルナ。京都大学はファイザーと、東京大学はモデルナと手を組んでいるが、第731部隊を操っていたのは軍医学校、京都帝大、東京帝大であり、構図に変化はない。 こうした延長線上にウクライナにおける生物化学兵器の研究開発がある。ディリヤナ・ゲイタンジエワによると、ドニプロ、ミコライフ、リビフ、ウジホロド、テルノポリ、ビンニツヤ、キエフにも施設があり、各研究所は2010年から13年の間に建設されたという。 2013年はアメリカがウクライナでクーデターを始めた年だが、その年にアメリカ国防総省がハリコフ周辺にレベル3のバイオ研究施設を作ろうとしていると訴えるリーフレットがまかれた。実際、この施設は建設された。 アメリカ軍がロシア周辺で行っている生物兵器の研究開発にロシアが気付いたのは2008年だという。この年、イスラエルやアメリカの支援を受けたジョージア軍が南オセチアを奇襲攻撃したのだが、その際、ロシア軍はジョージアに謎のバイオ研究所があることを知ったという。この国にはアメリカ軍のバジアニ空軍基地があるが、その近くにあるルガー・センター(国立疾病管理公衆衛生センター)ではアメリカ軍が生物化学兵器の研究開発をしていると言われている。 ウクライナでの研究開発の実態が明らかになるのは2022年2月24日にロシア軍がドンバスへ軍事侵攻してから。ロシア軍はウクライナの軍事施設だけでなくアメリカ国防総省の生物兵器研究開発施設も破壊した。ウクライナにはアメリカ国防総省のDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が約30カ所あったと言われている。その際、機密文書も回収した。 そうした文書の分析でアメリカが「万能生物兵器」を開発していたことが判明したと2023年4月に発表された。アメリカは人間だけでなく動物や農作物にも感染させることができる普遍的な遺伝子操作生物兵器の開発を目指していたというのだ。生態系を破壊し、大規模で取り返しのつかない経済的損害を与える遺伝子組換え生物兵器を開発していたというわけである。
2024.04.07
アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は4月4日、ウクライナはいずれNATOへ加盟すると語った。NATO加盟国の支持が「盤石」だからだというが、ウクライナはすでに国として機能していない。アメリカなど西側からの資金と兵器で辛じて立っているだけだ。 イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長はウクライナに対し、5年間で1000億ドル程度の軍事資金を提供するよう加盟国に約束させようとしているという。フランスのエマニュエル・マクロン大統領は軍事支援に積極的で、40発のスカルプ巡航ミサイルと「数百発の爆弾」をキエフに送ると約束。2月26日に彼は将来、ウクライナへ西側諸国の軍隊を派遣する可能性があると述べているが、アメリカではジョー・バイデン大統領が求めた600億ドルの軍事支援が議会の抵抗にあった。 アメリカ陸軍の特殊部隊デルタ・フォース(第1特殊部隊デルタ作戦分遣隊)やイギリス陸軍のSAS(特殊空挺部隊)も戦闘に参加していたとル・フィガロ紙のジョージ・マルブルノは語っていたが、今年1月にはフランスの傭兵がロシア軍の攻撃で死亡していると伝えられた。 ロシア国防省によると、同国軍は1月16日にウクライナのハリコフを攻撃、軍事施設のほか情報機関や軍関係者が滞在していた旧ハリコフ・パレス・ホテルを破壊したという。その旧ホテルには200人近くの外国人傭兵が滞在していたと言われるが、その大半はフランス人傭兵。そのうち60名が死亡、20人以上が医療施設に搬送されたと伝えられた。 アメリカやフランスを含むNATO諸国の支配層はウクライナを必死に支援しようとしているが、それはロシア軍の勝利が確定的だからだ。つまり、彼らの思惑がはずれ、無惨なことになっている。フランスの雑誌「マリアンヌ」によると、フランス国防省の分析でもウクライナ軍の敗北は決定的だ。ウクライナ軍の将兵は訓練が不十分で、3週間も訓練を受けていない状態でロシアの防衛ラインに対する攻撃に駆り出され、死傷者の山を築いてきた。 それに対し、ロシア軍は部隊が完全に消耗しないようにしている。新兵と経験豊富な部隊を融合させ、後方での定期的な休息期間を確保、不測の事態に対処するために常に予備部隊を用意しているともいう。西側ではNATO軍とロシア軍を直接戦わせようとしている人びとがいるが、そうした事態に対応する準備をしているとも言える。 ロシアにとって、2013年11月から14年2月にかけてウクライナで実行されたクーデターは新たな「バルバロッサ作戦」の始まりだった。それにもかかわらず、ウラジミル・プーチン大統領は8年の間、動かなかった。その期間を利用してアメリカ/NATOはクーデター体制の戦力を増強したのだ。そして新バルバロッサ作戦が本格的に始まろうとした直前にロシア軍が動いたわけだ。そしてウクライナの敗北は確定的になるのだが、それはアメリカやその従属国の敗北でもある。 旧バルバロッサ作戦では1942年11月にドイツ軍25万人がスターリングラードで包囲され、翌年の1月に降伏。その月にイギリスのウィンストン・チャーチル首相とアメリカのフランクリン・ルーズベルト大統領はモロッコのカサブランカで善後策を協議、シチリア島上陸作戦を決めている。1943年7月に実行されたこの作戦の目的は対ドイツではなく、対ソ連戦の始まりだ。ハリウッド映画で有名になったノルマンディー上陸作戦(オーバーロード作戦)は1944年6月になってからである。 しかし、現在のアメリカ/NATOはウクライナ支援で武器弾薬をすでに供給し、兵器庫は空だ。たとえNATO軍をウクライナへ投入できたとしても、世界規模の戦争へエスカレートする可能性が高い。西側の軍隊がそうした無謀な行為を拒否したなら、情報機関がロシア国内でテロ活動を展開するしかないだろう。実際、実行した。
2024.04.06
アメリカのカート・キャンベル国務副長官が3月19日から23日にかけて日本とモンゴルを訪問した。日本では政府高官らと会談、4月10日に予定されている岸田文雄首相のワシントン公式訪問について話し合ったと伝えられている。ロシアや中国を敵と考えているアメリカ支配層にとって日本とモンゴルは戦略的に重要な国であり、戦争を想定しているだろう。 キャンベルが国務副長官に就任したのは今年2月12日。それまでビクトリア・ヌランドが副長官代理を務めていたのだが、彼女が主導して始められたウクライナでの戦闘は失敗、アメリカの敗北は決定的になっている。戦闘を継続するため、資金と兵器を投入し続けようとしているものの、限界が見えている。 正規軍の戦いで負けた勢力がテロに切り替えることはある。3月22日にはモスクワ近くのクラスノゴルスクにあるクロッカス・シティ・ホールが襲撃され、銃撃と火災で140名以上が死亡しているが、これもそうした例だろう。このテロの黒幕はアメリカやイギリスの情報機関だと見られ、ヌランドにも疑惑の目が向けられている。このテロ事件とヌランドの辞任は関係があると見る人もいる。そうした背景はあるが、キャンベルの副長官就任はアメリカが東アジアに軸足を移動させようとしているとも言えるだろう。 本ブログでは繰り返し書いてきたことだが、日本は1990年代半ばにアメリカの戦争マシーンへ組み込まれた。「戦争できる国」ではなく、「戦争する国」になったのだ。そのベースはソ連消滅直後の1992年2月にアメリカ国防総省で作成されたDPG(国防計画指針)草案、いわゆるウォルフォウィッツ・ドクトリンである。その中でドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、新たなライバルの出現を防ぐことが謳われている。 そうしたアメリカの戦略に日本側は抵抗する。細川護煕政権の諮問機関、防衛問題懇談会は1994年8月に「日本の安全保障と防衛力のあり方(樋口レポート)」というタイトルの報告書発表、国連中心主義を前面に出した。 樋口レポートには「今後の日本の安全保障政策の重要な柱の一つが,平和維持活動の一層の充実をはじめとする国際平和のための国連の機能強化への積極的寄与にある」と書かれていて、「世界の諸国民が協力の精神に基づいて、持続的な「平和の構造」を創りあげるために能動的・建設的に行動するならば、今までよりも安全な世界を作り出す好機も、また、生じているのである」とされている。 ネオコンのマイケル・グリーンとパトリック・クローニンはこうした日本側の動きを知って怒る。ふたりは日本が自立の道を歩き出そうとしていると主張、友人のカート・キャンベル国防次官補(当時)を説得してジョセフ・ナイ国防次官補(同)らに自分たちの考えを売り込んだのである。そして1994年4月に細川政権は崩壊。そして1995年2月にナイ次官補は「東アジア戦略報告(ナイ・レポート)」を発表した。そこには在日米軍基地の機能を強化、その使用制限の緩和/撤廃が謳われている。 日本側は1994年6月に自民党、社会党、さきがけの連立政権を成立させるが、そこから衝撃的な出来事が相次ぐ。例えば1994年6月の松本サリン事件、95年3月の地下鉄サリン事件、その直後には警察庁長官だった國松孝次が狙撃された。8月にはアメリカ軍の準機関紙と言われるスターズ・アンド・ストライプ紙が日本航空123便に関する記事を掲載、その中で自衛隊の責任を示唆している。 1995年には日本の金融界に激震が走っている。大和銀行ニューヨーク支店で巨額損失が発覚、98年には長銀事件と続き、証券界のスキャンダルも表面化した。証券界は日本経済の資金を回すモーター的な役割を果たしていた。つまり証券界のスキャンダルの背後には大蔵省(現在の財務省)が存在していた。大蔵省を中心とする日本の経済が揺さぶられたとも言えるだろう。 この騒動の中、日本はアメリカの軍門に降り、1997年には「日米防衛協力のための指針(新ガイドライン)」が作成され、「日本周辺地域における事態」で補給、輸送、警備、あるいは民間空港や港湾の米軍使用などを日本は担うことになった。「周辺事態法」が成立した1999年にはNATOがユーゴスラビアを先制攻撃する。 2000年にはナイとリチャード・アーミテージのグループによって「米国と日本-成熟したパートナーシップに向けて(通称、アーミテージ報告)」も作成された。この報告では武力行使を伴った軍事的支援が求められ、「日本が集団的自衛権を禁じていることが両国の同盟協力を制約している」と主張、「この禁止を解除すれば、より緊密かつ効果的な安保協力が見込まれる」としている。 この年にはネオコン系シンクタンクのPNACがDPGの草案をベースにして「米国防の再構築」という報告書を発表、その中で劇的な変化を迅速に実現するためには「新パール・ハーバー」が必要だと主張している。その翌年の9月11日にニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃され、これを利用してアメリカの好戦派は国内で憲法の機能を停止させ、国外では軍事侵略を本格化させた。 2010年6月に発足した菅直人内閣はそうしたアメリカの政策に合わせる。解決すべき領有権の問題は存在しない」と閣議決定、1972年9月に日中共同声明の調印を実現するために田中角栄と周恩来が合意した「棚上げ」を壊したのである。 この合意で日中両国は日本の実効支配を認め、中国は実力で実効支配の変更を求めないことを決めていたわけで、日本にとって有利な内容。それを壊した理由は日本と中国との関係を悪化させることにあったとしか考えられない。 そして同年9月、海上保安庁は尖閣諸島付近で操業していた中国の漁船を取り締まり、漁船の船長を逮捕した。棚上げ合意を尊重すればできない行為だ。その時に国土交通大臣だった前原誠司はその月のうちに外務大臣になり、10月には衆議院安全保障委員会で「棚上げ論について中国と合意したという事実はございません」と答えているが、これは事実に反している。 こうした状況について総理大臣だった安倍晋三は2015年6月、赤坂の「赤坂飯店」で開かれた官邸記者クラブのキャップによる懇親会で、「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたと報道されている。安倍政権下、着々と対中国戦争の準備が進められていることを明らかにしたのだ。日本は戦争への道を進んできたのだが、進む方法はアメリカの支配層から指示されている。日本は「頭のない鶏」状態だと言えるだろう。 そこからアメリカの支配層はさらに前へ進む。国防総省系のシンクタンク「RANDコーポレーション」が発表した報告書には、GBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲する計画が記載されているのだ。 そうしたミサイルを配備できそうな国は日本だけだと分析しているのだが、その日本には「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約があるためにASCM(地上配備の対艦巡航ミサイル)の開発や配備で日本に協力することにし、ASCMを南西諸島に建設しつつある自衛隊の施設に配備する計画が作成されたとされている。2016年には与那国島でミサイル発射施設が建設された。 2017年4月には韓国でTHAAD(終末高高度地域防衛)ミサイル・システムの機器が運び込まれ始めた。2013年2月から韓国の大統領を務めた朴槿恵は中国との関係を重要視、THAADの配備に難色を示していたのだが、朴大統領がスキャンダルで身動きできなくなっていたことからミサイル・システムを搬入できたのである。結局、朴槿恵は失脚した。 THAADが韓国へ搬入された後、2019年に奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも自衛隊の軍事施設が完成した。ミサイルが配備されることになる。 アメリカはオーストラリア、インド、そして日本と「クワド」を編成、NATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は2020年6月、オーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言した。 2021年9月にはオーストラリア、イギリス、アメリカがAUKUSなる軍事同盟を創設したとする発表があり、アメリカとイギリスはオーストラリアに原子力潜水艦の艦隊を建造させるために必要な技術を提供するとも伝えられた。そうした潜水艦を動かすためにはアメリカの軍人が乗り込む必要があり、事実上、アメリカ海軍の潜水艦になる。 山上信吾オーストラリア駐在大使はキャンベラのナショナル・プレス・クラブで2022年11月14日、日本がオーストラリアの原子力潜水艦を受け入れる可能性があると表明、岸田文雄政権は2022年12月16日に「国家安全保障戦略(NSS)」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」の軍事関連3文書を閣議決定、2023年度から5年間の軍事費を現行計画の1.5倍以上にあたる43兆円に増額して「敵基地攻撃能力」を保有することを明らかにした。 2022年10月には、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を米政府に打診している」とする報道があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。自力開発が難しいのか、事態の進展が予想外に早いのだろう。 トマホークは核弾頭を搭載でる亜音速ミサイルで、地上を攻撃する場合の射程距離は1300キロメートルから2500キロメートルという。中国の内陸部にある軍事基地や生産拠点を先制攻撃できる。「専守防衛」の建前と憲法第9条の制約は無視されていると言えるだろう。 そして2023年2月、浜田靖一防衛大臣は亜音速巡航ミサイル「トマホーク」を一括購入する契約を締結する方針だと語ったが、10月になると木原稔防衛相(当時)はアメリカ国防総省でロイド・オースチン国防長官と会談した際、「トマホーク」の購入時期を1年前倒しすることを決めたという。当初、2026年度から最新型を400機を購入するという計画だったが、25年度から旧来型を最大200機に変更するとされている。 この過程でアメリカは日本と韓国の軍事同盟を推進し、台湾では「独立派」を利用して中国を挑発、さらにフィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア(ボンボン・マルコス)も取り込み、日本はフィリピンとの軍事的なつながりを強めている。JAPHUS(日本、フィリピン、アメリカ)だが、日本とフィリピンをAUKUSへ加盟させるという動きもある。日本がAUKUSに参加することで、ロボット工学とサイバー技術の分野で成果を上げることが期待されているのだという。 またジョー・バイデン政権が中国敵視を明確にした2022年の12月、アメリカではNDAA 2023(2023年度国防権限法)が成立、アメリカの軍事顧問団が金門諸島と澎湖諸島に駐留し、台湾の特殊部隊を訓練していると伝えられている。
2024.04.05
ウクライナの戦闘で手先のネオ・ナチ体制軍がロシア軍に敗北したアメリカ/NATOは戦闘を継続するため、足掻いている。ロシア国内を不安定化させるためにテロを実行したものの、思惑通りには進んでいない。それどころかロシア人を団結させ、ヨーロッパに憧れていたロシアの「エリート層」の発言力をさらに低下させたようだ。 ロシアでは3月15日から17日にかけて大統領選挙があり、現職のウラジミル・プーチンが88%以上の得票率で勝利した。クロッカス・シティ・ホールに対する襲撃が引き起こされたのは選挙が終わり、ロシア国内の警戒態勢が解かれたと思われる3月22日のことだ。銃撃と放火で140名以上が殺され、約200名が負傷している。 4人の実行犯がウクライナに近いブリャンスクで逮捕され、テロの準備や逃走をサポートしたグループが逮捕されている。モスクワの支援網関係で11名、トルコで戦闘員を募集、訓練し、兵站を準備するなどしていた40名も逮捕されたという。 西側ではダーイッシュ-ホラサン(IS-KP、ISIS-K)の犯行だと宣伝されているが、逮捕された実行犯4名が敬虔なイスラム教徒だということはない。ダーイッシュやアル・カイダ系の戦闘集団はアメリカやその同盟国が編成した傭兵である。 ウクライナでネオ・ナチを率いているひとりのドミトロ・ヤロシュは2007年からOUN-B(ステパン・バンデラ派)系のKUN(ウクライナ・ナショナリスト会議)のリーダーになり、NATOの秘密部隊ネットワークに参加した人物だが、チェチェンやシリアで戦ったサラフィ主義者(ワッハーブ派、タクフィール主義者)などイスラム系の武装集団と関係があり、2007年5月にはウクライナのテルノポリで開かれた欧州のネオ・ナチや中東の反ロシア・ジハード主義者を統合するための会議で議長を務めている。 ロシア当局によると、SBU(ウクライナ安全保障庁)のバシーリー・マリューク長官に関しても逮捕令状を発行できるだけの証拠があるともいうが、このSBUは2014年にクーデターでネオ・ナチ体制が成立して以降、CIAの下部機関と化している。3月22日に実行されたテロの黒幕はアメリカやイギリスの情報機関、つまりCIAやMI6だと推測する人が少なくない。 アメリカをはじめ西側では1970年代からメディアやアカデミーの支配を進め、言論統制を強化、洗脳を進めてきた。並行して新自由主義が導入され、そのひとつの結果として庶民が学ぶ公教育のシステムが崩壊して知的レベルが低下している。 その実態をアップルのスティーブ・ジョブスは2010年の秋にバラク・オバマ大統領に語ったという。その時、オバマはジョブスに工場をアメリカで建設してほしいと頼んだのだが、拒否されている。 ジョブスによると、アップルは中国の工場で70万人の労働者を雇っているが、その工場を機能させるためには3万人のエンジニア必要。アメリカでそれだけのエンジニアを集めることはできないというのだ。アメリカで工場を作って欲しいなら、それだけのエンジニアを育てる教育システムが必要だというのだ。生産力が貧弱なら戦争にも勝てない。 その無惨なアメリカの実態がロシアや中国でも知られるようになり、親欧米派の影響力を低下させている。ロシアではウクライナ戦争の帰還兵を中心とする新たなエリート形成が始まったという。これは欧米からの離脱とアジアへの接近を意味し、中国とロシアの関係を強化することになる。中国でも政策の転換が図られているようだ。
2024.04.04
イスラエル軍は4月1日、シリアのダマスカスにあるイラン領事館をゴラン高原の方向から空爆した。イランのIRGC(イスラム革命防衛隊)の特殊部隊と言われているコッズのモハマド・レザー・ザヘディ上級司令官と副官のモハマド・ハディ・ハジ・ラヒミ准将を含む将校7名が死亡したと伝えられている。国際法で保護されている外交施設を破壊したイスラエルは国際法を守る意思がないことを示した。イスラエルの守護者であるアメリカやイギリスやも同様だ。 現在、ガザではイスラエル軍による破壊と殺戮が続いている。すでに3万数千人が殺害されたと言われているが、瓦礫の下に眠っている死体の数は不明だ。イスラエルやその守護者たちは虐殺が始まれば住民が逃げ出すと思ったのかもしれないが、そうした展開にはならず、殺戮者としてのイメージを世界に広めている。 イスラエル政府は領事館への攻撃でイランを挑発、反撃を誘っていると見られている。その反撃が激しければ、アメリカ軍が介入する理由として使えると考えているのだろう。イスラエルはレバノンへの軍事侵攻を計画していると言われているが、単独で侵攻すればヒズボラに負ける可能性が高い。アメリカ軍が必要だ。 2014年にアメリカのバラク・オバマ政権の政策によってダーイッシュ(IS、ISIS、ISILなどとも表記)は作り出され、その武装集団は残虐さを演出、アメリカ/NATO軍を介入させようとした。 しかし、その直前、シリア政府の要請でロシア軍が介入してダーイッシュやそのほかのアル・カイダ系武装集団を敗走させてしまった。そこでアメリカなど西側の国は「静かに」軍隊をシリア領内へ侵入させ、基地を築いて戦闘員を訓練したり石油を盗掘している。 領事館の破壊と要人の殺戮はイランがイスラエルに対して大規模な反撃を始める正当な理由になるだろうが、今回の場合、イラン外務省のナセル・カナニ報道官によると、イランは「対抗措置をとる権利を留保しつつ、反撃の種類と攻撃者への処罰を決定する」と慎重な姿勢を示している。ホセイン・アミールアブドッラーヒヤーン外相はアメリカの責任にも言及した。 10月7日に実行されたハマスを含む武装集団によるイスラエルへの攻撃はイランが首謀者だとイスラエルは主張しているが、その証拠は示されていない。そもそもハマスはPLOのヤセル・アラファト対策でイスラエルが創設した組織。ムスリム同胞団のメンバーだったシーク・アーメド・ヤシンは1973年にイスラエルの治安機関であるシン・ベトの監視下、ムジャマ・アル・イスラミヤ(イスラム・センター)を、そして76年にはイスラム協会を設立している。そして1987年、イスラム協会の軍事部門としてハマスは作られた。 2004年にヤシンとアラファトは暗殺されているが、09年に首相へ返り咲いたネタニヤフはPLOでなくハマスにパレスチナを支配させようとしたという。そのためネヤニヤフはカタールと協定を結び、カタールはハマスの指導部へ数億ドルを送り始めたと言われている。
2024.04.03
4月19日に東京琉球館で予定している「櫻井ジャーナルトーク」は満席になったそうです。ありがとうございました。 テーマは「米国の世界制覇計画が挫折し、広がる混乱」を予定していますが、混乱は日々深刻化しています。アメリカやイギリスの支配層は追い詰められているということです。 2022年の段階から米英はウクライナへの軍事介入を強め、すでに特殊部隊や傭兵は戦闘に参加していると言われていますが、NATOの正規軍を派兵してロシア軍と直接戦わせようとする動きがここにきて強まっています。手先として使ってきたウクライナ軍に戦闘を継続する能力がなくたってきたからです。 ガザでは建造物が破壊され、住民が虐殺されています。数百人の民間人が避難していたガザ最大の医療複合施設であるアル・シファ病院への攻撃をイスラエル軍は終了したと伝えられていますが、破壊し尽くし、殺し尽くしたからです。 アル・シファ病院への攻撃を正当化するため、イスラエル政府はその病院がハマスの本部だと主張してきましたが、証拠や根拠は示されていません。彼らがガザを攻撃している目的は民族浄化であり、民間人を一掃し、住めないようにすることが目的だと見られています。イスラエルやアメリカの「建国」時と同じことをしているわけですが、ハマスを壊滅させることはできず、イスラエル軍の軍事的な勝利は見えていません。 今回のイスラエル軍によるガザ侵攻ではレバノンのヒズボラからも攻撃を受けていますが、まだ激しいものではないようです。ヒズボラには訓練された軍隊があり、イスラエルの都市を攻撃できるミサイルを保有し、強力な防衛線があります。ハマスとは比較にならないほど強力な戦力を保有しているのです。 イスラエル軍の地上部隊が2006年7月から9月にかけてレバノンへ軍事侵攻した際、イスラエルが誇る「メルカバ4」戦車が破壊され、イスラエル軍はヒズボラに敗北しています。しかも、ヒズボラはその時より強くなっていると見られ、イスラエル政府はアメリカを戦闘へ引き込もうとしているようです。 4月1日にイスラエル空軍はゴラン高原の方向からダマスカスを攻撃してイラン大使館領事部を破壊、IRGC(イスラム革命防衛隊)の特殊部隊コッズの上級司令官であるモハマド・レザー・ザヘディ准将と副官のモハマド・ハディ・ハジ・ラヒミ准将を含む将校7名が死亡したと伝えられています。 イスラエルはイランを挑発、反撃を引き出すことでアメリカ軍を戦闘に引き込もうとしているとも言われています。これまでアメリカやイギリスをはじめとする西側はイスラエルを支援、そうした支援がなければイスラエルのガザ侵攻は続けられない状況ですが、それでは足りないとイスラエル政府は考えているようです。 世界は確実に核戦争への道を歩んでいますが、大半の日本人は漫然とそうした光景を眺めているようです。櫻井 春彦
2024.04.02
ウクライナにしろパレスチナにしろ、戦乱の黒幕はシティとウォール街を拠点とする金融資本であり、東アジアで軍事的な緊張を高めているのも構図は同じ。シティとウォール街を拠点とする金融資本は緊密な関係にあるが、そうした構図を生み出しているのは19世紀にイギリスで作成された世界制覇戦略だ。 ところが、その戦略が大きく揺らいでいる。ウクライナでは金融資本の手先であるネオ・ナチ体制軍の敗北が決定的。ロシア軍は敵の要塞線を突破し、西へ進んでいる。 イギリスのベン・ウォレス前国防相は昨年10月1日、戦場で戦うウクライナ兵の平均年齢は40歳を超えているとテレグラフ紙に寄稿した記事の中で指摘している。前線で戦う兵士の平均年齢は42歳だと言われていたので、この話は正しかったのだろうが、今の状況はさらに悪化しているはずだ。 ガザではイスラエル軍が建物を破壊、住民を虐殺している。アメリカやイスラエルが「建国」する際に行なったようなことを繰り返しているのだが、ハマスとの戦闘は苦戦しているようだ。ウクライナに軍事支援してウラジミル・プーチン政権を倒し、ガザを原爆が投下された長崎や広島のようにして早く軍事作戦を終わらせろとアメリカのティム・ウォルバーグ下院議員は言っている。それだけ苛立っているのだろう。 アメリカやイスラエルは先住民を虐殺したり追放した後、自分たちの「国」を建設した。パレスチナに「ユダヤ人の国」をでっち上げたイギリスはアイルランドやスコットランドなどでも住民を虐殺している。 例えば、ピューリタン革命で実権を握ったオリバー・クロムウェルはアイルランドに軍事侵攻しているが、侵攻前の1641年には147万人だった人口が侵攻後の52年には62万人に減少している。50万人以上が殺され、残りは「年季奉公」や「召使い」、事実上の奴隷としてアメリカなどに売られたと言われている。 ピューリタンは1620年にメイフラワー号でアメリカへ渡った。この人たちはピルグリム(巡礼者)・ファーザーズと呼ばれているが、北アメリカでイギリスが植民した地域でピューリタンは「新イスラエル」を建設していると信じていたという。 ピューリタンの前からヨーロッパ人はアメリカ大陸へ移民している。1492年にはイタリアのジェノバに生まれたクリストバル・コロン(コロンブス)がカリブ海に現れ、グアナハニ島に上陸したが、その当時、北アメリカには100万人とも1800万人とも言われる先住民が住んでいたと推測されている。これだけ数字に幅があるのは、ヨーロッパからの移住者が先住民を何人殺したかが不明だからだ。1890年にウーンデット・ニー・クリークで先住民の女性や子供がアメリカ陸軍第7騎兵隊に虐殺された時には約25万人に減少、生き残った先住民は「保留地」と名づけらた地域に押し込められた。それを「合法化」するため、「強制移住法」が施行されている。 その間、1776年に「独立宣言」、そして81年に「建国」が宣言された。独立宣言では「すべての人間は生まれながらにして平等であり、その創造主によって、生命、自由、および幸福の追求を含む不可侵の権利を与えられている」と謳っているが、先住民について「年齢・性別・身分を問わない無差別の破壊を戦いの規則とすることで知られる、情け容赦のない野蛮なインディアン」と表現、アメリカ・インディアン虐殺が始まる。 勿論、先住民でけでなく奴隷も人間として扱われていない。奴隷というとアフリカ系を連想する人が多いだろうが、アイルランドなどから売られてきた奴隷もいる。中国から連れてこられた「苦力」も一種の奴隷だ。アメリカの「民主主義」はその程度の代物だということである。 アメリカを「建国」していた人びとが敵視していたイギリスの支配層も似たようなもの。19世紀後半のイギリスを動かしていたのは金融の世界に君臨していたナサニエル・ロスチャイルド、その資金を使って南部アフリカを侵略し、ダイヤモンドや金を手にしたセシル・ローズ、そのほかウィリアム・ステッド、レジナルド・ブレット(エシャー卿)、アルフレッド・ミルナー(ミルナー卿)たちだ。 この中で世界支配の戦略を立てたのはローズだと言われているが、この人物は1877年にオックスフォード大学を拠点とする秘密結社「アポロ・ユニバーシティ・ロッジNo.357」へ入会、その直後に「信仰告白」を書いている。 それによると、ローズはアングロ・サクソンが「世界で最も優れた種族」だと主張、そのアングロ・サクソンが住む地域が広ければ広いほど人類にとって良いことだとし、そうした戦略を実現するために秘密結社は必要だとしている。ローズは大英帝国を拡大させ、アングロ・サクソンをひとつの帝国にまとめたいと考え、その目標を実現するためにアメリカも支配したかったのだ。おそらく、その帝国の中にイスラエルも含まれている。
2024.04.02
小林製薬の「紅麹コレステヘルプ」によって「尿細管間質性腎炎」が引き起こされたのではないかとマスコミは大騒ぎしている。騒ぎは日本大学医学部の阿部雅紀医師がその疑いを表明したところから始まった。阿部医師が製造メーカーに連絡したのは今年2月上旬だという。 70代の女性と50代の女性2人が腎機能の異常で入院したのだが、同医師によると、3名に「共通するのは同じサプリメントを摂取していたことのみ」だとしている。つまり、その3名は「COVID-19ワクチン」を接種していなかったということなのだろう。万一、その3名がこの「ワクチン」を接種していたなら、「虚偽情報の流布」と言われても仕方がない。 これに対し、「ニコニコ」で「JPSikaDoctor」は「COVID-19ワクチン」が腎機能障害を引き起こした可能性があるとする報告の存在を指摘していた。 長崎大学病院の鳥越健太助教らのグループは「COVID-19ワクチン」が腎機能障害を引き起こしたと考えられる66歳男性の症例を報告する論文を今年1月26日に公表している。その患者は来院前1年以内に尿検査での異常や腎機能障害はなかったが、3回目と4回目の「COVID-19ワクチン」接種後に肉眼で血尿が認められ、腎病理検査でIgANと間質性腎炎が確認されたという。 この「COVID-19ワクチン」は本来のワクチンではなく、実際は遺伝子導入剤。つまり未知の薬剤なのだが、安全性の確認が不十分のまま世界規模で接種、すでに深刻な副作用や死亡が報告され、未曾有の薬害だする人もいる。この副作用は全身で炎症を引き起こすが、腎臓も例外ではない。 言うまでもなく、鳥越健太らの報告は阿部雅紀の場合に比べ、医学的な重みが違う。鳥越らの報告を無視、阿部の話を重視するなら、それなりの根拠を示す必要があるだろう・・・もし、マスコミが情報を生業とする人たちならば。 本ブログでは繰り返し書いてきたが、「COVID-19ワクチン」はアメリカ国防総省が進めている軍事プロジェクトである可能性が高い。サーシャ・ラティポワによると、COVID-19騒動はアメリカ国防総省がバラク・オバマ政権の時代に始めた作戦。彼女は情報公開法によって入手した文書を分析、この結論に至ったという。 その軍事作戦でウクライナが重要な役割を果たしてきた。生物化学兵器の研究開発施設を建設するだけでなく、医薬品メーカーを巻き込んで人体実験を行なっていたのである。 しかし、2022年2月24日にロシア軍がドンバスへ軍事侵攻しようとしていたウクライナ軍を攻撃、その際にアメリカの生物兵器研究開発施設も破壊した。ウクライナにはアメリカ国防総省のDTRA(国防脅威削減局)にコントロールされた研究施設が約30カ所あったと言われている。 ロシア政府はアメリカ軍がロシアとの国境に近いウクライナ領内で生物化学兵器の研究開発を行っていることを以前から知っていた。ウクライナでクーデターが始まった2013年、アメリカ国防総省がハリコフ周辺にレベル3のバイオ研究施設を作ろうとしていると訴えるリーフレットがまかれ、実際、建設されている。ディリヤナ・ゲイタンジエワによると、ドニプロ、ミコライフ、リビフ、ウジホロド、テルノポリ、ビンニツヤ、キエフにも施設があり、各研究所は2010年から13年の間に建設されたという。 ロシア軍は施設を破壊しただけでなく、機密文書を回収している。そうした文書の分析でアメリカが「万能生物兵器」を開発していたことが判明したと2023年4月に発表された。アメリカは人間だけでなく動物や農作物にも感染させることができる普遍的な遺伝子操作生物兵器の開発を目指していたというのだ。生態系を破壊し、大規模で取り返しのつかない経済的損害を与える遺伝子組換え生物兵器を開発していたというわけである。 大量破壊兵器を保有しているロシアや中国のような国と軍事的な直接対決が避けられない場合、そうした「万能生物兵器」を秘密裏に使用、アメリカ軍が優位になる状況を作ろうというわけだ。ロシア側の判断では、こうした生物兵器の生産は平和目的の製品であるかのように偽装し、さまざまな企業に分散させることができる。局所的な攻撃では天然痘、炭疽菌、野兎病、ペストなどを利用することもありえる。 ウクライナでアメリカ/NATO軍がロシア軍に敗北したことから、アメリカは生物兵器の研究開発拠点をポーランド、バルト3国、中央アジアなどに移しつつあるようだ。ビジネスやアカデミーの分野をアメリカに支配されている中国でもそうした施設が存在していた。 中国でアメリカの手先として動いていたのはオックスフォード大学に留学していた疾病預防控制中心主任の高福だろうが、COVID-19騒動が始まると軍の陳薇が主導権を握った。今、高福が中国でどの程度力を保持しているかは不明だ。 日本も移転先に含まれている可能性がある。そうした視点から「レプリコン・ワクチン(自己増幅型COVIDワクチン)」や福島県南相馬市に建設されたmRNA技術を利用した製品の製造工場を考えなければならない。日本政府が強引に生体実験もどきの「COVID-19ワクチン」接種を続けているのは、アメリカ国防総省からの命令があるからではないのだろうか。
2024.04.01
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