アメリカ軍と韓国軍は8月17日、朝鮮半島での戦争を想定した合同軍事演習「乙支自由の盾」を開始した。ドローンへの対応、GPS妨害、サイバー攻撃への対策に重点を置いていると言われていたが、ドナルド・トランプ米大統領はドナルド・トランプ米大統領は8月16日、「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、この年次演習へアメリカが参加することに不満を表明、演習を完全に中止するには時期が遅すぎるので「大幅に縮小」するようにピート・ヘグセス国防長官へ指示したと述べている。
トランプが投稿する前日の15日、韓国の李在明は朝鮮やその他の関係者に対し、対話を呼びかけた。「互いに威嚇し合うのをやめ、当事者として、この長期にわたる戦争の終結に向けた協議を始めようではありませんか」というのだ。朝鮮戦争は休戦協定で戦闘が止まっているのだが、それを恒久的な平和体制へと置き換えようというわけである。
それに対し、朝鮮の金正恩総書記は統一政策を放棄し、韓国を「最大の敵対国」と規定、最前線での軍事力強化を指示した。さらに韓国の原子力潜水艦導入計画を批判、アメリカと韓国の「乙支自由の盾」を挑発行為だと非難し、アメリカ、韓国、日本の軍事協力拡大が朝鮮半島の安全保障上の緊張を悪化させていると警告している。この反発にアメリカ政府は驚いたようだ。
朝鮮が主張している安全保障上の懸念をロシアも共有、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相によると、ロシアは朝鮮半島の非核化を求める呼びかけを支持しないという。
そのロシアで大統領を務めるウラジミル・プーチンはロシア太平洋艦隊が軍事演習を行っていたサハリン島に続き、8月13日に択捉島を訪問した。日本の反ロシア政策に対する警告だ。
本ブログでも繰り返し書いてきたが、戦後日本は「ポツダム宣言」の受諾から始まる。その宣言には「カイロ宣言の条項は、履行せらるべく、又日本国の主権は、本州、北海道、九州及四国並に吾等の決定する諸小島に局限せらるべし」とある。確定している日本の領土は本州、北海道、九州、四国だけであり、残りの領土は連合国が決めることになっているわけだ。言うまでもなく、「吾等」とは連合国を意味する。
連合国の中にはロシアも含まれるのだが、日本はアメリカに従属することでポツダム宣言の制約を受けないと考えているようだ。そして日本はアメリカの戦略に従い、ロシアや中国との戦争へ向かう。
日本を支配しているアメリカやイギリスは強大な私的権力に支配されているが、その私的権力の軍隊として機能しているのがNATO。ソ連が消滅した直後からNATOの東方への拡大が始まったが、これはナチ時代のドイツ軍が実行したソ連への軍事侵攻作戦「バルバロッサ」の再現にほかならない。いわば「新バルバロッサ」だ。そして2014年2月、ウクライナに到達した。その段階でロシア軍が動かなかったことを批判する西側の元政府高官もいたが、おそらくロシア軍は準備ができていなかったのだろう。
ロシアや中国にとってNATOは侵略軍にほかならないのだが、 日本は2025年1月、NATO日本政府代表部を開設 した。対中露戦争へ日本も加わると思われても仕方がない。何しろNATOは米英の侵略軍だ。
2023年初めにNATOの事務総長だったイェンス・ストルテンベルグが来日したが、そのタイミングでNATOが2024年までに日本に連絡事務所を開設することを検討していると伝えられた。この計画は中国が反発し、計画は立ち消えになったものの、駐日デンマーク大使館がその役割を担っているようだ。
日本とNATOの関係は田中角栄がロッキード事件で失脚した頃から始まる。その頃、日本はNATOの「域外パートナー」になり、2014年に日本とNATOは共同軍事演習を実施、2018年に日本は在ブリュッセル日本大使館内にNATO担当部署を設置している。
アメリカの国防総省はソ連が消滅した直後の19 92年2月にDPG(国防計画指針)草案を作成した。作成の中心は 国防次官を務めていたポール・ウォルフォウィッツだったことから「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。
このドクトリン は世界征服計画にほかならないが、その中には ドイツと日本をアメリカ主導の集団安全保障体制に統合し、民主的な「平和地帯」を創設するとも書かれている。要するにドイツと日本をアメリカの戦争マシーンに組み込み、アメリカの支配地域を広げ、西ヨーロッパ、東アジア、そしてエネルギー資源のある西南アジアが成長することを許さないと宣言しているのだ。
当初、日本側はアメリカの戦争マシーン組み込まれることを拒否していたが、1995年に屈服した。これは本ブログで繰り返し書いてきた。そして2001年4月に小泉純一郎政権が成立、政治経済面では新自由主義を導入、軍事面では好戦的な政策を進める。そうした政策を後押しすることになるのが2001年9月11日の出来事、つまりニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)への攻撃だ。
2022年の4月にアメリカ国防総省系シンクタンク「RANDコーポレーション」が明らかにしている が、アメリカ軍はGBIRM(地上配備中距離弾道ミサイル)で中国を包囲するという計画を立てていた。その計画にしたがい、自衛隊は2016年に与那国島でミサイル発射施設を建設、19年には奄美大島と宮古島、そして23年には石垣島でも施設を完成させた。
南西諸島にミサイル発射基地が建設されつつあった2017年11月、アメリカはオーストラリア、インド、日本とクワドの復活を協議。2020年6月にNATO(北大西洋条約機構)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長はオーストラリア、ニュージーランド、韓国、日本をメンバーにするプロジェクト「NATO2030」を開始すると宣言し、21年9月にはアメリカ、イギリス、オーストラリアのアングロ・サクソン3カ国が太平洋でAUKUSなる軍事同盟を創設したとする発表があった。
与那国島にミサイル発射施設を建設する前年、2015年の6月、総理大臣だった故安倍晋三は赤坂の「赤坂飯店」で開かれた官邸記者クラブのキャップによる懇親会で、「安保法制は、南シナ海の中国が相手なの」と口にしたと報道 されている。安倍首相は南シナ海における中国との軍事衝突を見通していた。
岸田文雄政権は2022年12月16日に「国家安全保障戦略(NSS)」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」の軍事関連3文書を閣議決定、2023年度から5年間の軍事費を現行計画の1.5倍以上にあたる43兆円に増額して「敵基地攻撃能力」を保有することを明らかにしている。
2022年10月には、「日本政府が、米国製の巡航ミサイル「トマホーク」の購入を米政府に打診している」とする報道 があった。亜音速で飛行する巡航ミサイルを日本政府は購入する意向で、アメリカ政府も応じる姿勢を示しているというのだ。
NATOはロシアとの戦争を声高に叫んでいたが、ここにきてロシアがウクライナでの戦争を外交的に解決することを断念、「特別軍事作戦」から「戦争」へステージを進めて攻撃を強化、オデッサを含む南部の港湾を封鎖、NATO軍の将兵や施設も容赦なく攻撃するようになった。ロシアは反撃しないと高を括っていたNATO諸国は慌てているが手遅れ。日本はそうした状況の中へ飛び込もうとしている。トランプ政権もロシアの動きを見て軌道修正を図っているようだが、日本は「無敵のアメリカ」に従属することしか考えていないのではないだろうか。

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