スペースXの子会社であるスターリンク・サービスは、低軌道を飛行する1万基以上の衛星で構成されるネットワークによってインターネット接続を可能にしているが、このスターリンク通信を妨害する電子戦装置のボルナ・クポル・ガラントをロシアは8月初めに公開していた。このシステムは特定の地域にサービスを提供する衛星に向け、地上アンテナから送信される信号を妨害する能力がある。 タスによると、そのシステムの量産が開始された
という。
スペースXを創設、CEOを務めるイーロン・マスクはロシア上空でのスターリンクの使用を禁止しているとしているものの、ハッキングを容認し、ウクライナ軍の長距離攻撃用ドローンへの搭載を許可している。ロシア深奥部への攻撃もスターリンクがなければできない。
スターリンクは軍民両用とされているが、使用開始は2022年2月。ロシア軍がウクライナ軍部隊、軍事施設、生物化学兵器の研究開発施設などに対する攻撃を始めた直後だ。
この年の3月にNATOはウクライナを利用し、反クーデター軍の拠点であるドンバス(ドネツクとルガンスク)を攻撃しようと計画していたことが回収されたウクライナ軍の機密文書から判明している。ロシア軍が攻撃を始めた直後にスターリンクが始動できたのはそのためだろう。 スペインのエル・ムンド紙によると、すでにロシア軍はこのシステムを使い、スターリンクを使用できなくしているという 。その効果を見て量産体制に入ったのかもしれない。
スターリンクはウクライナ軍が対ロシア戦争に使うだけでなく、アメリカやイスラエルはイランに対する攻撃でも使っている。ドナルド・トランプ米政権は 昨年12月28日、イランの通貨リアルを暴落させて経済を混乱させ、その混乱を利用して反政府デモを演出した。
そのデモをコントロールするため、アメリカは約5万台のスターリンク端末をイランへ密輸、政権転覆工作のために編成したグループに資金と共に渡したとされている。スターリンクのシステムを通じ、アメリカやイスラエルの情報機関は反政府デモのリーダーたちに対してイランの治安部隊がどのように動いているかを知らせ、どのように動くべきかを指示していた。イラン政府はスターリンクを遮断することに成功して事態は沈静化させたが、密輸品は押収しきれていないようだ。
イランでスターリンクを遮断するためにボルナ・クポル・ガラントは使われていないようだが、対イラン攻撃をまだ諦めていないアメリカやイスラエルとしては、このシステムがイランの手に渡ることを阻止したいだろう。
経済的にも軍事的にも強まっているロシア、中国、イランの連携を阻止することはできそうにないが、この3カ国だけでなく、このシステムに関心を持つ世界中の国々に提供される可能性もある。
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【 Sakurai’s Substack 】
【 櫻井ジャーナル(note) 】