イスラム革命防衛隊(IRGC)がアメリカ海軍の空母とミサイル駆逐艦に対して弾道ミサイルを発射したと同隊は9月5日に発表した。イラン側によると、アメリカの空母と駆逐艦は損傷を受けて撤退したという。同時にIRGCはホルムズ海峡の「非認可ルート」を航行していた石油タンカー3隻攻撃とアメリカに関連する別の3隻を攻撃したしたという。それに対し、CENTCOM(アメリカ中央軍)は同日、イランの原油タンカー3隻を攻撃したと発表した。
CENTCOMはタンカーに対する攻撃について空母と駆逐艦に対する攻撃への報復だとしているが、その前、8月30日にアメリカ軍はドローンでララク島を攻撃している。
イランはオマーンと3週間にわたってホルムズ海峡の通航管理を誰が担うかについて水面下で交渉、航行の管理や通航船舶からのデータ収集を行う「共同調整センター」の設置について両国は合意に近い段階にあったとされているが、その管理システムにおいてララク島は中心的な役割を果たすことになっていた。そのララク島をCENTCOMは攻撃したのだ。
それ以外にイラン人を怒らせる攻撃をアメリカは実行した。アメリカ軍は8月30日に結婚式場を爆撃、式に参加していた市民のうち少なくとも5名が殺され、70人以上が負傷したと報じられている。目撃者によると、結婚式に参加するため数十人の住民が集まっていた。
IRGCによるのアメリカ海軍の空母やミ駆逐艦に対する攻撃はそうしたアメリカ軍による攻撃を受けて実行されたわけで、報復だと言える。イランの原油タンカーに対する攻撃に対する報復も不可避だ。
アメリカの政府や軍は強硬発言を繰り返しているが、口先だけだ。少し前、空母「エイブラハム・リンカーン」の劣悪な食事や生活環境が問題になったが、これは西アジアに派遣されているアメリカの艦船全般に言えること。艦船のシャワーはカビだらけで、トイレは壊れ、洗濯機は故障、お湯が出ないうえに食事は悲惨な状態だ。石鹸も脱臭剤も歯磨き粉もないという。その結果、乗組員5000人の精神衛生も悪化、海への飛び込む人が少なくないとされている。その原因はアメリカ軍の兵站拠点の崩壊にある。
2月28日にアメリカ軍はイスラエル軍と共同でイランを騙し討ちにして最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師を含むイランの要人を殺害したのだが、それでもイランの体制は倒れず、すぐに イスラエルの主要都市や西アジアにあるアメリカ軍基地に対する 報復攻撃が開始された。
イランの 標的にはアメリカ軍が使っている カタールのアル・ウデイド空軍基地、クウェートのアル・サレム基地、アラブ首長国連邦のアル・ダフラ空軍基地、バーレーンのアメリカ軍第5艦隊基地、サウジアラビアのリヤドにあるプリンス・スルタン空軍基地、ヨルダンのムワファク・アル・サルティ空軍基地、クウェートにあるふたつの基地などが含まれる。 イスラエルのテルアビブやハイファ、ディモナにあるシモン・ペレス・ネゲブ原子力研究センター(ディモナ原子炉)近辺なども攻撃された。
バーレーンの第5艦隊基地はアメリカ海軍の艦船にミサイルや食糧を補給する重要な場所で、アメリカの艦船は補給が困難になった。今ではミサイルや食糧を補給するため、インド洋の中央部にあるディエゴガルシア基地やシンガポールまで行く必要がある。
アメリカ軍はイラン軍との戦争で劣勢にあること明白だが、「無敵のアメリカ」を演出したいドナルド・トランプ大統領は攻撃とプロパガンダで乗り切ろうとしているが難しそうだ。そうした演出はアメリカの置かれた状況をさらに悪化させている。
アメリカのシオニストは責任をイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に負わせて逃げようとしているが難しそうで、トランプ大統領の周辺には「戦術核」を選択肢と考える人びとがいると伝えれている。いうまでもなく、「戦術核」という概念には意味がない。核兵器を使えば容易に「戦略核」へエスカレートする。
トランプ政権はウクライナでも窮地に陥っている。すでにウクライナのクーデター体制は崩壊状態にあり、NATOが前面に出つつある。アメリカ政府の特使であるスティーブ・ウィトコフとジャレッド・クシュナーはモスクワからキエフへ向かったが、一旦ポーランドのジェシュフへ向かい、そこで航空機から列車に乗り換えてキエフ入りしている。NATOがウクライナへ軍事物資を運ぼうとしていたことからロシア軍がキエフの空港を爆撃、損傷していたからだとも言われている。
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【 櫻井ジャーナル(note) 】