2014/11/19
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テーマ: 社交ダンス(9412)
カテゴリ: 旅行記
<三人の女>

今回の旅で印象に残っている3人のドレスデン女性をご紹介します。

一人は市庁舎広場に立つ瓦礫女〈Trümmerfrau〉。


瓦礫女.jpg


観光バスの日本語ガイドで説明が流れたとき、瓦礫女(がれきおんな)なんて凄い名前だなと思いました。

1945年の爆撃で瓦礫と化した街を、何とか生活出来るレベルまで持って行くのに日夜ひたすら瓦礫を片付けたのはそこに住む女性たちでした。

私はここドレスデンで初めて存在を知ったんですが、ドイツ中いろんな都市に復興のシンボルとして瓦礫女の像は建っているそうです。

ヴッパタールに立っていたミナさん 同様、苦境に負けない強い精神力を持っているドイツの女性は理想とされているようで、日本の大和撫子に通じるものがあるなあと思いました。





二人目は個人的な思い出なんですが、毎朝オムレツを焼いてくれたホテルのコックさん。

ビール樽のようなお腹の巨漢で年の頃は60代。



白い帽子からは白髪の巻き毛がはみ出し、細い銀縁の眼鏡のなかにはアクアマリンのように澄んだ小さな水色の瞳が輝いていました。





ハム,マッシュルーム,玉ネギ、チーズ、トマト、青ネギなどの具材が選べて、それを炒めてからお玉いっぱいの溶き卵をかけてオムレツにしてくれます。

静岡のホテルで食べたような フワトロの美しいオムレツ ではなく、フライパンの形のままの、粉もん混ぜてソースかけたらお好み焼きみたいなオムレツ。





もの凄く美味しいとか言う訳ではありません。

ただ、それを渡してくれる時の蚊の鳴くような小さな声と、はにかんだような優しい笑顔が巨漢の見た目と凄いギャップで心に焼き付いています。


『ビッテ・シェーン(はい、どうぞ)』


きっとこの人も旧東ドイツの厳しい時代を生き抜いて来たんだろうなあとか、黒い服着せたら映画『サウンド・オブ・ミュージック』の修道院長みたいな感じになるだろうなあとか、オムレツが焼けるのを待ちながら毎朝勝手な想像をめぐらしていました。

オムレツ焼いてるのは世を忍ぶ仮の姿で実は凄腕のスパイだったりして、とか。





チェックアウトする日の朝、やはりいつものようにオムレツを焼いてもらいながらもうこの人に会うことは一生ないかもしれないと急に寂しい気持ちがこみ上げて来たんです。

あんまりいろいろ想像し過ぎて自分のなかでキャラが出来上がり、長年の知り合いだったような気さえしていました。



皆さんはそんな経験ありませんか?





三人目はメロンチョコさんたちと4人で ルイゼンホフ に行った時のことです。

山の上でバスを降りたもののどちらに行けば眺めのいいレストランに行き着けるのか分からなかった日本人4人組は何となく前を歩いてたフランス人らしきカップルに着いて行って信号待ちをしていました。

横断歩道には日本と同じで 歩行者用信号

私はてっきり先に行ったフランス人が押してくれたと思って適当なおしゃべりをしながらぼんやり信号が変わってくれるのを待っていたんですが、どうも押してなかったみたい。

道路の向こうのバスを待っていたミセスダウトみたいな女性がささっと移動してポンと押しボタンを押し、何食わぬ顔でまたバス停に戻って行きました。





間もなく信号が変わってみんなで横断歩道を渡ります。

ミセスダウトは知らんぷりして立ってましたが、通り過ぎるとき私が『ダンケ・シェーン(ありがとうございます)』というとニコーっと笑って私を見て小さくうなずきました。

きっと家で夕食を囲むとき、今日出会ったアホな観光客たちの話題が上るんだろうなあと思うと何だか自然に笑いがこみ上げて来ました。

大将は全然気が付いてなかったみたい。

『へー、そんなことあったの。』

と言ってました。

ドレスデンで出会った三人の女性。きっといつまでも私の心の片隅で生き続けて行くことと思います。







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Last updated  2014/11/20 08:34:27 AM
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