Flatのガンプラ製作日記

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2021.03.16
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カテゴリ: 本の感想
書籍の感想です。
今回は「新世界」です。


新世界 (角川文庫) [ 柳広司 ]

原子爆弾を作った科学者たちをメインにしたドキュメンタリータッチの
小説です。
私はこの辺知識がないので、どこまでが史実でどこまでが創作かわかりませんが、
原子爆弾の開発を主導したロバート・オッペンハイマー。物語はその友人の視点から
描かれています。

その事件についてはミステリーっぽい雰囲気で話は進むのですが、こちらは種も
大したことはないので、ミステリーと思って読むとがっかりすると思います。

メインは、原子爆弾を作ってしまった科学者、エノラ・ゲイを操縦して、原子爆弾を
投下したパイロットの高揚感と苦悩という二面性を描いている部分です。

当時、核分裂反応を発見されたことを確認したアメリカは「これを使ってナチスが
原子爆弾を作ったら世界は終わりだ」と半ばパニックになります。
戦争を一刻も早く終わらせることも重要ですが、科学者にできることは研究することです。
そこで、街を1個新しく作り、そこで原子爆弾の開発を進めます。

そして、初めて小型の原子爆弾の実験に成功した時、その時にはすでにドイツは降伏していて
しかも原子爆弾の開発などしていないことが分かっていました。
しかし、アメリカは原子爆弾の開発を中止しなかったのです。

ドイツを、ナチスを、言い訳にして、とんでもない兵器を作っていたわけなのに、
その理由がなくなっても開発を続けてしまった自分。
苦悩する自分と、科学者として新たなものを生み出したいという欲が交差したのでは
ないかと思います。
そして、日本に原子爆弾を使うにしても、無人島に投下して、その威力を見せつければ

結局、それでは日本は降伏しないという意見もあり、軍の意見に押される形で科学者たちも
広島、そして長崎への投下を容認してしまいます。

ここに描かれている科学者たちの苦悩が事実なのかどうかが私にはわかりません。
しかし、我々は世にも恐ろしい原子爆弾、そして、水素爆弾というものを発明してしまい、
それとともに何食わぬ顔をして暮らしているというのは改め考えてみれば恐ろしいことですね。

後半にパイロットがある行為に走ります。
これによりパイロットは気が狂ったとみなされ、病院送りとなってしまいます。
しかし、原子爆弾を開発する、それを罪もない子供もいる街に落とす、そして、その後の
世界で原子爆弾とともに生きる、ということができる人間たちとそれを糺そうとした人間、
果たしてどちらが「狂っている」のでしょうかね?

常に考え、問題意識を持ち続けないといけないのかなと思いました。
それが強すぎる力を知ってしまった人類の、被爆国である日本人の使命
なのだと思います。

なかなか考えさせられ作品でした。





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Last updated  2021.04.03 13:59:30
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