2007年04月30日
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カテゴリ: シリーズ幕末史


長州軍総勢およそ1800名は、京に向け周防三田尻を進発しました。
「尊王攘夷」「討薩賊会奸」をスローガンに、
これをのぼりに掲げての進軍です。

総大将は毛利元徳。
三軍に分けた各隊の指揮官は、譜代家老の福原越後・益田右衛門介・国司信濃の3名。
来島又兵衛は先鋒隊長、真木和泉が軍師をつとめます。

6月24日頃から、順次京に到着。
山崎・伏見・嵯峨天竜寺に分かれて布陣しました。
しかし、すぐに京の市中を攻撃せず、陳情の文書を朝廷に送り、
今回の上洛の理由・長州藩の真情の説明を行い、
これまでの処分は冤罪である旨を訴え続けました。
しかし、交渉はまとまる事なく、
7月18日、ついに交戦状態に入ります。

迎え撃つ朝廷側は、すでに臨戦態勢が出来上がっていました。
山崎には、宮津・大和郡山の軍。
伏見には、会津・桑名・新撰組の軍。
嵯峨天竜寺には、薩摩軍。
がそれぞれ中心となり陣を構えています。
御所の周りにも、各藩の兵が配置され、
まさに、全国の諸藩から兵が集められているといった状態でした。
朝廷側の総司令官は、一橋慶喜がつとめます。

長州軍は、この重層なる敵陣の中へと突撃していきました。

嵯峨天竜寺の一軍で、
国司信濃が総指揮。
来島又兵衛が隊を率い、猛烈な勢いで市中の敵兵を蹴散らしながら、一気に蛤御門まで迫りました。
ここを守るは、会津と一橋。
又兵衛の巧みな用兵もあって、戦局はむしろ長州側が優勢となっていきます。

この戦局を一変させたのが、薩摩軍の総大将・西郷隆盛率いる軍勢の加勢でした。
嵯峨天竜寺方面に向っていたところ、”蛤御門危うし”の報を受けて
駆けつけて来たのです。
決死の戦いを繰り広げている長州軍の様子を見た西郷は、
来島又兵衛に注目しました。
西郷は又兵衛を狙撃するように指示を出します。
やがて、銃弾が又兵衛の胸を直撃し、又兵衛は落馬。
観念した又兵衛は、激戦の中、ついに自害して果てました。

又兵衛の死により、長州軍は雪崩れを打ったように潰走を始めます。
大勢は決しました。

ところで、山崎と伏見の長州軍はどうしていたかと言うと・・

まず、山崎の軍。
益田右衛門介が総指揮で、ここには、久坂玄瑞・真木和泉がいました。

久坂玄瑞は、来島又兵衛などの出兵論に対し、最後まで反対し続けていた一人でした。
しかし、事態がここに至るにおよび、玄端は最後の賭けに出ようとしました。
天皇への直訴と集団諫死による訴えです。
そのため、兵600を率いて御所を目指しました。

ところが、その進軍は難渋し、淀川のぬかるみに足をとられたりして出遅れました。
御所に辿り着いた時は、又兵衛が死んだ後で、戦いは、ほぼ終わっていました。
玄端は鷹司邸に入り、天皇に直訴する機会を伺いますが、かないません。
天皇に取り次いでもらいたいと懇願しますが、これも拒絶されました。

この時、鷹司邸のまわりは、すでに諸藩の兵に取り囲まれ、
多くの長州兵が屋敷の内外で戦い、戦死していきました。
そんな中、玄端は、他の藩士には退却を命じ、彼は同志とともに自害します。
同窓の寺島忠三郎と並び、共に切腹して果てたのです。

また、天王山でも、真木和泉が同士十数名とともに自決しています。

一方、伏見の軍。
福原越後が総指揮。
こちらも、大垣藩の軍と交戦して敗退。
結局、御所まで辿り着くことが出来ませんでした。早々と大阪方面へ退却しています。

そして、桂小五郎。
一人で、孝明天皇が御所から避難する所を直訴に及ぼうと待っていましたが、かないませんでした。
燃える鷹司邸を背に、激闘の中を一人で切り抜けます。
この後は、幾松などの助けを借りながら、姿をくらまし、京の町での潜伏生活に入ることになります。

蛤御門の変。
これにより、長州・尊王攘夷派の中心人物のほとんどが落命。
尊王攘夷派の勢力は壊滅しました。
この翌日。幕府は朝廷より、長州藩追討の詔勅を受けます。
御所に兵を向けた事により、長州は「朝敵」となったのです。

この後、長州にとっては、さらに追い打ちをかけるように試練が続きます。
この同じ時期、米英仏蘭四ヶ国の連合艦隊が、下関に向けて進撃を開始していたのです。





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最終更新日  2007年04月30日 18時01分19秒
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