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2002年05月20日
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空2


目も見えない,耳も聞こえない,声を出すことが出来ない。
その上,重度の脳障害により,手足の神経が弱い。
しかし,産まれて数ヶ月すると目や耳や声・脳障害もなくなった。
そのことについて,どれだけ母が喜んだことだろう。
しかし,完全に。そして全ての障害が完治したわけではない。
耳は聞こえても,極端に聴力が低い。
だから,特殊な機械を耳に付けておかなくてはならない。
一見目立たないが,それを見つけると大抵の人は不思議がる。


小学校に,私が入学してから。
父や母が私を叱らない日はなかった。
毎日毎日,私は泣きながら家に帰ってきた。
ピカピカの筈のランドセルも,服も汚して帰ってきた。
でも,決して両親はそのことについて叱ったわけではない。
ただただ,私が,いじめられても,何も出来ず,泣いて帰ってくることを叱ったのだ。
単純なこと。
父「また泣かされて帰ってきたのか?毎日毎日,何度言ったら分かるんだ?やられたら,やり返せ。相手が参るくらいやり返せ。男の子に負けない女の子になれ岐織(本名(汗)。そのくらい強くなくちゃ,1人で生きていくことは出来ないぞ!!」
「男の子に負けない女の子」
私には,その意味がよく分からなかった。
母「他の女の子に負けない,強い女の子になりなさい」

そして,「優しくて強い人間になるんだ」と。


耳の障害を助けるために作られた,例の機械を3階のベランダから投げられたとき。機械は丈夫だったため,壊れるまでは至らなかったが,機械を引ったくられた瞬間から,みんなの声は全く聞こえなくなった。微かに,音がするが,何を言っているのかさっぱり分からない。慌てて機械を取りに走った。
チャイムの音が聞こえなくて,授業が始まったことにも気付かず。
先生が,ベランダから私の名前を呼んでいるのにも気が付かなかった。
何も聞こえなくて,何も言えない自分が悔しくて,涙が流れてくる。

なんで,自分はこんなに弱いんだろう。
なんで,自分はこんなに弱いんだろう・・・。

いじめっ子が憎いわけでもナイ。
自分の弱さが憎いんだ。
強くなれない自分が憎いんだ。
自分を守ることもできない自分が嫌なんだ。


その日,またしても泣きながら家に帰った。
が,
今日は,いつも私を叱る父も母もいなかった。
留守番テープに,
「お父さんとお母さんが乗っていた車が交通事故にあったの。伯母さんは今,病院で手術が終わるのを待ってるから。岐織ちゃんはお家で大人しくしてるんだよ」

お父さんも,お母さんも,結局。
二度と,うちへは帰ってこなかった。
二度と,私を叱ってはくれなかった。

「櫻井!!御前ん家の親死んだんだって?!全く。御前も馬鹿なら親も馬鹿なんじゃないの?!」
「ダッセーよな!?」

「・・・うっさいんだよ!あんた達!私の親は馬鹿じゃないもん!!」
それが,最初で最後の反発の言葉だった。
それ以来,いじめをする人もいないし,第一話しかける人もいなかった。
中学校は,みんなとは違う中学校に通うことにした。
伯母さんの家へ移り住んで,その家の近くの中学校に,今通っている。
新しい人生。
友達も沢山いる。
でも,親はいない。


「男の子に負けない女の子」に,「優しく強い」人に,私は成りますよ。
お父さんを超えるくらい強く,お母さんを超えるくらい優しく。私は生きたいと思う。







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最終更新日  2012年04月07日 18時15分55秒
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