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2004.02.25
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カテゴリ: その他の読書録

物語の体操 みるみる小説が書ける6つのレッスン



 副題の通り、小説を書けるようになるための具体的なレッスン。
 専門学校で教えた体験などをもとに、非常に具体的に書かれている。
 ただし、読めば書けるようになると言うものではない。「示された方法にしたがって本人がちゃんとヒンズースクワットなり素振りナリをやってくれなくては小説のための「体力」は身につかない」(p156)
 たとえば、「カードを使って〈おはなし〉のプロットを100個作」る(p41)というトレーニングをしなくてはならないのである。
 専門学校では、途中で脱落する学生が多かったそうだ。
 ところで、小説の書き方を教えるためには、そもそも小説とは何か、ということを理解していなくてはならない。この本は、「小説とは何か」「物語とは何か」ということを解明する本でもある。
 途中で、著者は大学で民俗学を学んだと述べている。それで、「なるほどそうだったのか」と理解できた。
 たとえば、昔話の研究をするなら、類話との比較検討などで、物語の構造に目を向ける必要が出てくる。もともと、物語の構造に目を向ける勉強をした人なのだ。
 例えば、「彼ら(=梶原一輝の主人公たちは)は物語の構造に破れた主人公たちだったとさえ言えるでしょう」(p94)などという表現に、それが現れている。

 例えば、まんがを描く才能が五つぐらいに分裂してきている、という話で、その中の一つに、「物語世界の設定やバックグラウンドのディテールを構築し、埋めていく技術」というのを挙げている。(p123)
 ほんとうにこういう人がいるのだ。「設定」ばかりを細かく作り上げ、肝心の物語作りまでいかない。
 また、「創作する読者、創作する受け手」の大量発生を予感していたというようなことも書いている。(p209)
 まさにそうなのだ。数多くの小説サイトがあることからもわかるように、世の中、「読みたい人」より、「書きたい人」の方が多いのではないかとおもうくらいだ。
 同じページに「ある文芸誌が休刊した時、その雑誌の最後の新人賞の応募作がその雑誌の実売数を上回っていて」という噂が紹介されているが、おそらく事実だろう。
 二年前に、ある出版社の人と話した時に、「読みたい人より書きたい人の方が多いのでは」と言ったら、その通りだと言われたことがある。「本を出したい」という人が多いだけでなく、出せば売れるものだと思いこんでいるそうだ。
 自分は人の書いたものは読まないし買わないが、自分の書いたものは読んで欲しい買って欲しいという人ばかりが増えているのでは、本が売れるわけはない。
 と、小説の書き方から離れたことまで考えさせる本だった。





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Last updated  2005.04.01 21:23:44
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