hongming漫筆

hongming漫筆

PR

Comments

背番号のないエース0829 @ 松谷みよ子】(04/22) 「私のアンネ = フランク」に、上記の内…
hongming @ Re:ブルーレイが再生できない(11/30) 随分遅くなりましたが、やっと試しました…

Keyword Search

▼キーワード検索

2004.06.30
XML






 忠臣蔵もののもはや古典的小説。
 単純に、吉良を悪とし、恨みを晴らすというのではなく、武士が武士らしくなくなり、権力ばかりがものをいうようになってきた社会に対して異議を唱えるのが討ち入りの目的となっている。
 「亡君が御一個として天下に示そうとなされた御異議を、一団体を作って全身全力を挙げて叩《たた》き付けるのである。」「われわれの存在そのものが、天下、御公儀に向けての反抗、大異議だからである」(下巻)という内蔵助の言葉がそれを物語っているが、あまりにもあからさまな書き方だ。
 刃傷沙汰の直接の原因は、吉良が、賄賂の少ないのを恨んで内匠頭に非道な仕打ちをしたためということになっていて、強いて言えば吉良が悪役なのだが、上杉家の千坂、色部といった人物はお家を守るために身命を賭した人物として描かれ、善悪の対立というだけの話にはなっていない。
 本筋と平行したところに、蜘蛛の陣十郎、堀田隼人、お仙という人物も登場させて話をふくらませ、武士同士の争いなど知ったことではないという価値観も描いているのだが、どうもそのせいで焦点がぼやけてしまっているように見える。
 気になる寺坂吉右衛門は、吉良家へいく途中で姿を消した、と吉田忠左衛門が説明するだけ。この小説の中ではそれだけで済まされている。
 書かれたのは1927年から翌年にかけてだそうで、おそらく新鮮な忠臣蔵だったのだろうが、今日から見ると、特に目新しいところはない。この小説をきっかけに新しい忠臣蔵がどんどん書かれ、世界が広がっているからだろう。

 断絶騒動の時期に、堀部安兵衛が赤穂にいたように書かれているが、彼は江戸藩邸で働いたことしかなかったのでは。
 武林唯七を「この支那人の子孫は無謀なくらい勇敢だった」(下巻)とある。彼が中国人の孫であることは、昔から有名だったらしい。 


 「骨灰である」粉みじんという意味。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2005.04.01 16:53:17
コメントを書く
[時代小説・歴史小説] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: