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2004.08.18
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カテゴリ: その他の読書録
私の美の世界(著者: 森茉莉 | 出版社: 新潮社・新潮文庫)

 森茉莉が、何を好み何を嫌うかについて書いた文章を集めたもの。
 こまごまとした日常生活にかかわる事柄もあれば、「反ヒュウマニズム礼讃」のような、社会批評の文章もある。フランスでの生活を懐かしむ余りか、西欧に較べると日本はダメだ、という論調が目につくが、少なくとも自分の頭で考え、自分の感性に基づいて判断している。
 例えば、「事故死をした人間の遺族は、すべてジャアナリズムの演出通りに動いているので、水で死んだ人々の遺族が最後に船の上から花束を投げて、悲しげな表情で、水面を見つめる、という、どこか拵えもののような光景がその度に展開する。」(P167)などは、報道の本質をついている。
 金が入ったらそろえたいものの中に、半七捕物帖があったが、やはり本物、という気がするのだろう。岡本綺堂の書いた芝居も好きらしい。
 意外に感じたが、長谷川時雨から絵葉書をもらったことがあるという。与謝野晶子について書いた文章の中に、「やはり偉物(えらもの)だった長谷川時雨(しぐれ)」と表現してある。鴎外の交際範囲に長谷川時雨もいたわけだ。
 森茉莉のように、一人で、自分の思いのままに(経済的には思いのままではないようだが)暮らしていると、自分の世界の中で生きることができる。それで彼女の感性を損なわれずにいたのだろう。
 「貧乏サヴァラン」の「マリアの幻は、現実以上の現実なのだ」(P37)という文章に、森茉莉の生活が凝縮されている。





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Last updated  2005.04.01 16:44:04
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