hongming漫筆

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2004.09.08
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 今は文庫しか出ていないらしいが、単行本で読んだ。
 財政破綻状態にあり、藩を返上してはどうかという話まで出ている状態で、養子として迎えられ十七歳で藩主になった上杉治憲が、家臣の心をつかみ、藩を立て直していく過程が描かれている。
 文章は読みやすくわかりやすい。
 しかし、読んでいて、「はたしてこういうのを小説というのか」という気持ちが起こってくる。もちろん小説であることに間違いはない。しかし、登場人物が何かするたびに、それにいちいち現代的な意味を持たせるのが気になる。
 例えば、「農政の専門家を核にして、それぞれところを得させた特別作業班《プロジェクト・チーム》を発足させようというのである。」(p27)、「いまの経営行動のパターンに合わせれば、……」(p47)という具合。
 治憲が取り立てた改革チームと、頑迷な守旧派の対立、改革の象徴である炭火が広がっていくさまなど、わかりやすいことこの上ない。みすずと佐藤文四郎の恋もお約束。
 おそらく、これを読む人は現代のビジネス社会を生き抜くのに役に立つと思って読むのだろう。作者も明らかにそれを意図している。
 作者は長く東京都の職員として行政に携わった人だそうだ。「組織」というものについてはいろいろな経験を積んでいることだろう。しかし、この小説が現代において、実利的な面で役に立つのか、というと疑問を感じる。作者もまた、現在の東京都の経済的破綻を招いたうちの一人であるはず。

 表現で気になったところ。
 「隗《かい》(いいだした人)より実行せよ」(p47)。誤りではないが、本来の意味とはずれがある。
 「ことばが的を得ていることを告げた。」(p137)。「的を射る」の誤り。
 NHKでドラマ化されたもののビデオ が出ている。






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Last updated  2004.11.12 15:59:41
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