花と野菜とクラシック音楽と...~松江市の農家より
2024
2023
2022
2021
2020
2019
2018
2017
2016
2015
2014
2013
2012
2011
2010
2009
2008
2007
2006
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
全1件 (1件中 1-1件目)
1
以前から読みたいと思っていた、『子育ての経済学』 ジョシュア・ガンズ著 松田和也訳 解説:吉本佳生 を図書館で発見しました。何ともうすい字の表紙で見つけにくかったのですが、子育て中の親にはいろいろ参考になる内容だと思いました。 原題はParentonomicsAn Economist Dad Looks at Parenting 『子育ての経済学ー経済学者の父から観た子育て』といったところでしょうか。~の経済学とか言うと、とっつきにくい感じですが、あるオーストラリア人の子育てといった内容でした。もちろん経済学者らしく、最近はやりのハーバード白熱教室にも登場した、ジョン・ロールズの『正義論』などどいった言葉も出てきます。 昔から「子育てに正解はない」と言われますが、著者の3人の子供もそれぞれ違うやり方で育てられているのがわかります。 ただ一つ、注意点があるとすれば、子育て経験のない人が読んでマネしたりすると危険かな、と思う部分もあったことです。 以下、いくつか興味深い内容を抜粋します。 経済学を使えば処罰の問題は単純なものとなるーつまり、処罰とは価格のようなものだと考えればよい。問題行動を抑止するためには、それに十分な価格を設定すればよい。違反者がこれを理解すれば、処罰の可能性があるがゆえに問題行動を控えるので、実際には処罰は行われない。処罰が問題行動を抑止するに十分なものであれば、何度も繰り返す必要はないというわけだ。 (中略) 体罰はあくまでも最後の手段でなければならない。もう一つ、聞いた話だが、「体でわからせるしかない」という意見を突きつめると、馬鹿げたことになる。例えば、言葉の通じない外国人旅行者に何かを教えるには、殴るしか方法がないということなのか! この原理ー反復は失敗を意味するーは、体罰のみならず、あらゆる処罰に通じる。僕みたいに、罰としての肉体的苦痛を断固拒否する親ですら、子供を傷つけている可能性はある。どなりつけたり閉じ込めたりすることだって、精神的苦痛という面では暴力に勝るとも劣らないかもしれぬ。しかもそれを繰り返せば、その悪影響は体罰と同様だろう。 子供というのはインセンティブがある時とない時を見分ける達人であるー全く同じ行動に関してだ。これに気づいたのは、長女が3年生の時の保護者面談。「おたくのお子さんは、大変優秀だと言わざるを得ません。」「本当に?」「はい。言われたことは何でもします。授業が始まる前にはいつもきちんと席について、ノートも出しています。課題にはいつも真剣に取り組みます。それに掃除も手伝ってくれます。」「えーと先生、うちはガンズですよ、G・A・N・S。ちょっと確認してくださいな。別のお子さんの間違いじゃありませんか?」 だが、どうやらわれわれの話題が同一の娘のことを指しているのは間違いないらしかった。(中略) 逆に、家では従順なのに学校では問題児なんてことになったら、目も当てられない。実際、家では好き勝手やらせているお陰で、こうして先生にほめられたのだ。 でもちょっと興味がわいた。なぜこんなに違いが生じるのか?本人に問いただした。「もちろん、お行儀良くしてるわよ。もうかるんだもの。」「何だって?」「おカネがもらえるのよ。もちろん、本当のおカネじゃないけど。ボーナスマネーよ。あたし、クラスで一番もらってるのよ。」 ア痛タッ!まさにこの親にしてこの子ありだ。学校では、家にはない何らかのインセンティブがあるというわけだ。彼女はその違いを理解し、それに従って行動している。とは言うものの、家でのやり方を変えるつもりはない。そんなことをしたら、学校での申し分ない状況が台なしになってしまうかもしれないし。
2011年01月06日
コメント(2)