劇場通いの芝居のはなし

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2019.07.19
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カテゴリ: 演出ノート(3)
わたしはいわゆる「小劇場系」「若手劇団系」の芝居は、肌合いが違う感じがして、演出しません。ですが、この作品はなぜか気に入って上演しています。「シアター生駒」のワークショップと、「劇団いかるが」の小公演、あわせて二回、上演しました。

成井豊作のこの作品は、『銀河旋律』とともに、劇団の「ハーフタイムシアター」として企画されました。45分で上演できる芝居、という意味です。ともにSF仕立てで、『銀河旋律』はタイムスリップ『広くてすてきな宇宙じゃないか』はアンドロイドが登場します。『銀河旋律』は、国語教師であった作者らしく、和歌がプロットの中で重要な働きをしています。『広くてすてきな宇宙じゃないか』はその続編という形で、主要な登場人物に重なりがありますが、まったく別のプロットをもちます。

『広くて素敵な宇宙じゃないか』は、アメリカのファンタジーSFの大作家である、レイ・ブラッドベリの短編、『歌おう、感電するほどの喜びを』(原題は"I sing the body electric!")を下敷きにしています。
母親を亡くした子ども達の所に万能アンドロイドのおばあちゃんがやってくる。
末の娘はおばあちゃんに反感をもつ、それは「いつまでも一緒にいる」と約束したのに、自分を残して母親は死んでしまった、おばあちゃんもやっぱり自分を残して居なくなってしまうのではないかと不安だから。
やがて老人になった子どもたちは、孤独な生活の中で、もう一度「おばあちゃん」を必要として、来て欲しいと強く願う。
原作から、こうした設定を借りています。しかし芝居の進行は、SFアクション活劇になっています。そして、アンドロイドは人間と本当に共感し合えるのかという問いかけが、なされます。

非常に分かりやすく、夢があり、おかしく、テンポ良く運ばれるので、観客に喜ばれる芝居です。難しい演技もいりません。ただ、舞台を素早く動き回れる体力が必要です。
アンドロイドのおばあちゃんというキャラクターが、なかなかに生きています。それ以外の登場人物たちも、演技次第でかなり魅力的になります。発展途上の演技者にとって、よい勉強になる芝居だと思い、取り上げました。

「シアター生駒」での上演は、若い人たちを集めるという目的でした。思い入れをせずに、事件の展開を主に、どんどん芝居を進行してゆく、という演出をしました。発表場所が、大きな会議室のような場所で、装置や照明効果が使えないと分かっていましたので、主に無対称演技で場面を表し、出入りを素早くすることで、場面転換を印象づけました。
移動式のパネルを何枚も使って背景とし、これを動かしてドアやエレベーターを表現しました。
by 神澤和明





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Last updated  2019.07.19 09:00:10
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