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仙台市大沢市民センター主催の「地域の自然再発見! ~大沢を取り巻く山の風景~」市民講座の2回目は、「蒲沢山」である。
権現森の場合と同様に、この里山は「 里山ねっと赤坂
」という赤坂地区住民の有志の市民団体が「林道を整備したり標識を作るなどの活動」をしているところで、本日の講師を担当していただくのである。
「赤坂集会所」に集合、受付、班編成などの後に、そこに車を置いて、まず「1号公園」まで赤坂の住宅地を歩く。この団地の北面の道沿いは桜並木になっていて、そこから泉ヶ岳、北泉ヶ岳が望める。
まもなく1号公園というところで、車のリーフにGARMIN・GPSmapを載せたままで忘れてきたことに気づいた。最初のGPS信号検出に多少の時間がかかるために、いつもの山歩きでの習慣なのである。それが、「はい、出発しますよ!」という合図で皆に合わせて歩くことに気を取られて、すっかり忘れてしまったのだ。一人歩きばっかりやっているので、こういう失敗をする。
急いで戻って、公園までの道は車を使って追いついた。公園で出発前のトイレタイムを取る予定だったことで助けられたのである。
赤坂団地の西端から蒲沢山国有林に入る。林に入ってすぐ「あそ歩」と書かれた大きな板看板が木にかけられていて、子供たちを対象にした遊歩道や森林の整備が図られていることが分かる。また、その周辺の林は団地内の川前小学校の学校林になっているとのことだった。
Photo A
「里山ねっと赤坂」が建てたツリーハウス。 (2012/10/5 10:15)
林の中を5,6分歩くとツリーハースが見えてくる。建設ほやほやで、つい最近、完成記念の集まりを持ったということだ。
参加者は2班に分かれ、私たちの班の講師は、蒲沢山に植生する草木に関する部厚い図鑑を一人で作ったという森啓祐さんである。歩き始めてすぐ、まず最初に、「オクモミジハグマ」と「キッコウハグマ」と「オヤリハグマ」の区別を教えていただいた。つぎに、タムラソウの花とその見分け方を。私には、ずっとアザミとの違いがよく分からなかった花である。現場で現物を教えてもらうというのは、じつに効率的である(忘れなければ、という条件付きだが)。
また、「ギンリョウソウ」によく似た「シャクジョウソウ」の枯れ残った姿を教えてもらった。季節は違うので、ギンリョウソウもシャクジョウソウも花を見ることはできないので、森さんが作った図鑑の写真を見せていただいた。
シャクジョウソウはギンリョウソウとそっくりであるが、ギンリョウソウほど透明感はなくやや黄色みを帯びているということだった。シャクジョウソウはまったく知らなかった。たぶん、ギンリョウソウと区別しないで眺めていたのだろう。来年の山歩きの一つのテーマとして楽しめそうだ。
Photo B
遊歩道の切れ目から見える笹倉山を含む北方の山なみ。 (2012/10/5 10:53)
道は低い稜線の尾根を辿っていく。突然、部分的に林が切れて北の眺望が開ける。ここのあたりからは七ツ森は見えないだろうと思い込んでいたのだが、写真中央右手の山は笹倉山だった。右手の中腹が切れ落ちてコブが出ているところが「眺子ノ石展望台」があるところだと気づく。
Photo C
見晴台からの南の眺望。 (2012/10/5 10:58)
そこから1分足らずで「見晴台」に着く。尾根に建てられた送電線鉄塔の周囲が刈り払われていて格好の展望台になっている。送電線に沿って北と南に眺望が開けている。写真は南側の眺望で、雲がなければ蔵王連峰(左端に不忘山、右端に雁戸山)がすっぽりと嵌って見えるのだそうである。今日は雲のせいで不忘山の山裾のゆったりした斜面がかすかに見えるだけである。
北の眺望は、Photo B
のさらに東の部分で、天気のいい日には北上山地から牡鹿半島まで見えるとのことだった。
全体に緩やかでよく整備された林道が続くが、樺沢三角点を過ぎたあたりからやや傾斜がきつくなる。右手の麓の方に小さな民間飛行場が見えてくる。頂上台地らしいところまで上がると、右は林。左はススキの草原となる。日当たりのよい道脇の草地にはワレモコウや野菊がたくさん咲いている。この野菊も大問題である。野菊として括ってしまっているが、明らかに何種類もあるのだ。「ノコンギク」と「ユウガギク」を教えてもらったが、これはまったく自信がない。
Photo D
目的地の三叉路。 (2012/10/5 12:26)
左のススキの草原の向こうの丘に牧草地が見え、さらにそのはるか遠くに奥州山地(中心は蔵王連峰)の眺望が広がる道を少し行くと、今日の目的地の三叉路に出る。蒲沢山の頂上はここから少し北東の所に位置していて、三角点はないとのことだった。三叉路はちょっとした広場になっていて、ここで三々五々散らばって昼食である。
講師の森さんの傍で昼食弁当を開いたが、そこでも図鑑を開いていろいろ教えていただいた。なかでも、モリアオガエルが産卵する沼がこの山中にあること、水苔が群生する湿地があることなど、とても興味深かった。低い里山も丁寧に探索すれば、豊かな生態が観察されるということだろう。ただ、前の権現森もこの蒲沢山も国有林で開発の手が入っていないということが重要な条件にはなっていると思うが。
左:タムラソウ。右:ワレモコウ。
12時30分までの昼食休憩が終わり、同じ道を引き返すことになる。帰り道では講師の先生が交代して、今度はキノコのプロの松崎良太さんという方である。始めにキノコの各パーツの呼び方から始まり、見分け方の基本などの話で、学術的というか体系的なのである。
今年はこの時期でも秋キノコが出ていなくて、まだまだ夏キノコが生えているという。これは近年の傾向で、秋キノコの出る時期が少しずつ遅れていて、地球温暖化の影響ではないか、という。たしかにキノコは環境にきわめて敏感で、ちょっとした天候の変化で豊作だったり不作だったりするほど変化が激しい。もしかしたら、他の草木よりも地球温暖化の影響を敏感に反応している可能性もあるだろう。
そして、「キノコを食べるときは自己責任」でと話され、つまり毒性についての判断は慎重にかつ自分の責任で、ということである。また、最近の東電福島第1原発事故によるキノコの放射性物質による汚染についても触れられた。放射能汚染したキノコまで「自己責任」でよいのかは、放射線被曝の影響をどれほど知識として持っているかによるので、簡単な話ではない。
私は山歩きの一つとして茸狩りが大好きだが、一方で、大学院修士課程まで原子力工学を専攻した人間として、昨年から茸狩りはやっていない。自分の責任で放射能汚染キノコを食べる人を止める権限はないが、けっして人には勧めない。これは、政府が決めた規制値以上であるとか規制値以下であるとかは関係ない。もともと、政府が定めた数値に科学的根拠があるわけではない(だからこそ、規制値がころころ変わるのである)。
Photo E
気分のよいススキ原の道。 (2012/10/5 12:56)
ずっとキノコを探して山を歩いていたので、講師の先生の話はとても参考になって面白い。しかし、茸狩りを禁じている身には若干複雑である。それでもいつかは普通に茸狩りができるようになることを信じて、一所懸命、話を聞き、質問もした。いつか役に立つだろう、ということである。
ツリーハウスに全員集合、ここでひと休みして記念写真を撮る。ここからはひたすら赤坂集会場まで歩くだけである
Photo F
まもなく林の出口の最終地点。 (2012/10/5 14:10)
出がけに忘れ物をした私だけが森を出てすぐ車に乗って集会所1番乗りと思ったら、帰り道の講師だった松崎さんがもう着いていた。そういえば、松崎さんは先に山に入って見本にするキノコを取っているということだった。そのため、林の入口付近に駐車していたらしい。
予定通り、ほぼ14:30の解散となった。私は急いで帰って歯科医院に行かねばならないのだった。
Map 蒲沢山。 A
~ E
は写真撮影ポイント。地図のベースは、
「プロアトラスSV4」、 歩行軌跡は、 「GARMIN GPSMAP60CSx」
によるGPSトラックデータによる。
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