山行・水行・書筺 (小野寺秀也)

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2013.04.25
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テーマ: 山歩き(381)
カテゴリ: 山歩き

(続き) 

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     Photo G   蕃山開山堂、倒壊した石灯籠と石碑。(2013/4/25 8:47)

  展望所から「栗生経由国道48号(落合橋)」への分岐を過ぎて頂上へは3分もかからない。蕃山開山堂は、雲居禅師が開山である大梅寺の奥の院でもある。由来記によれば、雲居禅師は松島瑞巌寺の開山で、後にこの地で庵を結び、没後蕃山頂上に葬られた。墓石は建てられなかったが、伊達綱村(4代仙台藩主)によって墓の上にお堂が建てられ「常寂光塔」と名付けられたという。つまり、このお堂は、雲居禅師の墓でもあるということらしい。
  お堂の前には、一対の石灯籠と寺の由来を刻んだ(らしい)古い石碑があるが、とも倒壊している。3・11大地震の爪痕がここにもある。

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      Photo H  蕃山頂上からの眺め、仙台市南部(太白区、若林区)の
            向こうに太平洋。 (2013/4/25 8:47)

  蕃山頂上は南東の1部の眺望が開けている。春霞で判然としないが、遠く太平洋まで眺められる。春はハイキングにはいい季節だが、遠望という点では秋や冬にはかなわない。低山の雑木林は冬がふさわしいかもしれない。吉野弘の詩の感じも強くするだろうし、見通しの良い林は山の地肌の直感的な把握に適している。「山は冬に歩け」とは、若いころ奥深い山里に住む人に教えられたことだ。山の地理を頭にたたき込む必要のある人の必須事項なのである。

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             左:センボンヤリ。右:フデリンドウ。

  蕃山からその先、西風蕃山へ向かう、西風は「ならえ」という、などと偉そうなことは言えない。ずっと、「ならい」と思い込んでいたのだ。蕃山頂上から狭い尾根筋を辿っていくと小さなピークに送電鉄塔が立っていて、その近くの道標に「西風蕃山に至る 0.33K」という道標があって、そこに「ならえ」というふりがながあった。それで、今日初めて正しい呼び名を知ったのだ。

  尾根筋には、カタクリ、ショウジョウバカマ、イワウチワなどが咲いていた。急斜面に咲いているショウジョウバカマとイワウチワをまとめて写したが、斜面に逆さになるような姿勢で写したせいか、まるっきりのピンぼけだった。
  たった一つ見つけた小さいセンボンヤリがとても美しく思えるのも、花が少ないせいだろうか。フデリンドウも写真のものを一つ見ただけである。このフデリンドウは葉に黄色の斑が入っている。フデリンドウは2年草らしいので、斑入りの葉を持続するのは難しいだろう。多年草や宿根草のように栄養繁殖ができるのなら園芸品として珍重されるかもしれない。我が家の庭には、白覆輪の葉を持つチゴユリが生えている。30年以上も前に雑木林で見つけたものがずっと育っているのである。

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    Photo I  二つの電波塔の間に小さな西風蕃山頂上標。 (2013/4/25 9:16)

  西風蕃山の頂上は、二つの大きな電波塔のあいだにひっそりとある。東の電波塔は建てたばかりらしく、周囲は裸地になっていて50cmくらいの苗木が1面に植えられていた。何の苗か全部見たわけではないが、少なくとも数本は桜も木のように見えた。

 さて、西風蕃山から蛇台蕃山へ行きたいのだが、蛇台蕃山の名がある案内表示はない。西風蕃山の頂上にいるつもりなのだが「西風蕃山を経て栗生に至る」という表示板がある。もうひとつ「白滝不動尊に至る(戸内)」という表示があったので、その途中に蛇台蕃山があるのだろうと思って歩き出した。ところが、地図で見当を付けた蛇台蕃山の峰から逸れていく。Mapにみえるループ状の軌跡は、間違いに気付いて別の道を戻った跡である。なんとか、目で見える蛇台蕃山に向かうとおぼしき尾根道が見つかった。

  尾根筋を辿っていくと道は急坂になって、そこが頂上だろうと張り切ったのだが、それは偽ピークで道はまだ続くのだった。どうも蛇台蕃山の名の由来は、西風蕃山からいくつかの小ピークをうねりながら連ねている山体にあるらしい。
  頂上に着くと「蛇台山」の頂上標がある。これまでのほとんどの道標は仙台市が設置したものである。どうも、蛇台山は仙台市が考える「蕃山ハイキングコース」には含まれていないらしい。頂上には手製の矢印道標があって「黒滝不動 弥勒寺へ」とある。

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        Photo J  蛇台蕃山山頂。 (2012/9/7 9:31)

  大梅寺口から蕃山まで1.86 km、蕃山から西風蕃山まで1.06 km、西風蕃山から蛇台蕃山までの距離表示はなかったが地図からはおおよそ400 mと推定できる。全体で3.3 km、1時間45分の行程だった。あとはひたすら引き返すのである。

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     Map蕃山 A J は写真撮影ポイント。地図のベースは、「プロアトラスSV7」、
       歩行軌跡は、「GARMIN GPSMAP60CSx」によるGPSトラックデータ。

[1] 『吉野弘詩集 幻・方法』(飯塚書店 1959年)p. 45。[2] 『日本の古典54 芭蕉句集』(小学館 昭和59年)p. 47。






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Last updated  2013.04.26 16:16:06
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