山行・水行・書筺 (小野寺秀也)

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2020.03.01
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テーマ: 山歩き(381)
カテゴリ: 山歩き

ホームページを閉じるにあたり、20119年11月21日に掲載したものを転載した】



Photo A 駐車場から見た黒伏山(右)、左は沢渡黒伏山と言うらしい。
(2009/9/18 6:13)


 黒伏山に登るきっかけは、船形山登山である。あるとき、また船形山に登りたいと思った。仙台に住む私は、宮後県側の(夕日沢コースを除く)4つの登山口それぞれから登ったことがあり、違ったコースを歩きたいと思って決めたのが、山形県黒伏高原から登る観音寺コースだったのである。ここの登山口までは、国道48号線、関山峠を越えればあっという間であり、長い林道を走らなければならない県内の大滝キャンプ場登山口などよりは近いのである。

 国道48号線から黒伏高原に向かう道に入り、間木野(山形県東根市)という集落を通りかかると、蕎麦屋の看板を見かけた。下山後には是非寄ってみようと、蕎麦好きは考えたのだった。船形山から登山口に帰り着いたのは12時30分、昼食はざる蕎麦だ、と車を走らせたら定休日だったのである。
 リベンジはそれから3ヶ月後、同じ登山口から白髭山、前白髭山、戸立山を経て奥寒風山まで歩き、そこから引き返してきて、やっと果たされた。本山葵をすり下ろして、「辛みが出るまでもう少し待って」と言われつつ食べた蕎麦は、リベンジ戦という思い入れがあったにせよ、ほんとにおいしかったのだ。
 「あの蕎麦をもう一度」と思って決めたのが、4日後の黒伏山登山だったのである。蕎麦と登山をくっつけなくともよいようなものだが、蕎麦だけで県境を越えるのは何となく遠慮だったのである(もちろん、妻に)。「山登りの帰りに蕎麦屋さんがあったので寄ってきた」というのはごくごく自然で、感覚的にすんなりといくように思えた。
 もちろん、蕎麦だけが目的ではない。黒伏高原にせり出すように偉容をみせるこの山はそれだけで十分魅力的で、4日前には白髪山からもしみじみとその山容を眺めてきたのである。
 黒伏山のような絶壁がそそり立つ山の上には、異界に心引かれるのに似た魅力がある。宮城県の大東岳の麓、二口渓谷には磐司岩という絶壁があって、観光スポットになっている。若いころ、地元の人の案内で磐司岩の上に上がったことがある。磐司岩の東端近いところで木によじ登ってから岩に取りつくと、上には道があるのだった。「クマオトシ」とその人が言ったように記憶するが、太い木々と一抱えもあるいくつかの石でできたクマ捕獲用の罠の痕跡がいくつもあって、少し前まではこんな絶壁の上もまた山人の生活空間だったのだ、と感動したのだった。

 けっして蕎麦だけではない山の魅力に引かれての黒伏山山行は、2009年9月18日であった。



Map A  黒伏山周辺と2009年9月18日のコース。
地図のベースは、「プロアトラスSV4」、 歩行軌跡は、
「GARMIN GPSMAP60CSx」によるGPSトラックデータによる。



Map B Map A の拡大図。A~Sは写真撮影ポイント。



Photo B 村山野川にかかる橋。橋を渡って右へ。(2009/9/18 6:15)


 黒伏高原スキー場を右手に見ながら進むと、スキー場の東端の道向かいに、駐車場と登山口の案内看板(と入山届け箱)がある。車は村山野川のそばまで入れたが、駐車スペースが充分ではないので、スキー場向かいの駐車場に引き返して、そこから出発した。
J
 村山野川には鉄パイプ製の橋が架かっていた。工事中の仮橋だと思っていたが、工事前もやはり鉄パイプ製だったらしい。この橋を渡ってすぐ右の沢を越えて、「柴倉コース」に入る。稜線上の道は木の根と石が混じってしっかりしており、針葉樹の多い林の下をくぐってゆく。
 沢を渡ってから20数分で雑木だけの緩やかな尾根筋(Photo C)に出る。この道は適当に尾根からはずれ、左手にこれから周回する山々が見えたり、また尾根に戻ると、目のまえに当面の目標の福禄山が見えたり、右手が開けて柴倉山が見えたり、と変化がある。Photo D は右手が切れ落ちている尾根の部分である。Photo C の林のなかの道から、Photo D の細尾根への変化は数分でである。



Photo C 上りはじめの坂が終わると、緩やかな尾根筋の道が続く。
(2009/9/18 7:11)



Photo D 右が切れ落ちている道。(2009/9/18 7:15)


 Photo D の付近から右手には、白髪山から黒伏高原スキー場までの展望が開ける。道はまもなく柴倉山と福禄山のあいだの鞍部に向かってやや急な上りになる(Photo E)。比較的小さな山では、頂上手前ですこし傾斜がきつくなって、ひょいと頂上に出るということが多く、連れ(イオ)はそれが分かっていて、頂上近くでは私より必ず先行して急ぐのである。Photo E はまもなく頂上だと誤解したイオが張り切りはじめた瞬間である。
 実際は、それから20分ほどかかって鞍部尾根のやや下にある柴倉山と福禄山の分岐点に出るのである。



Photo E このやや急な道を上り、20分ほどで福禄山-柴倉山の分岐
に出る。(2009/9/18 7:45)


 柴倉山は、いずれ「南御所山縦走コース」を辿ってみたいと思っているので、左へ折れ、福禄山へ向かう。分岐標識板は小さいけれど、鮮明なブルーの地に赤い矢印で描かれたよく目立つ立派なものである。標識には「福禄山0.5m」と書いてあってちょっとクスッとした。
 福禄山の頂上はコースから少し入ったところである。コースからの眺望はあるが、頂上そのものは、灌木がちょうど目の高さくらいでそんなに眺望は良くない。ここで朝食とする。秋の朝の気持ちの良い陽ざしがあたる場所に座をつくって、一人と一匹は弁当を食べる。こういうときには登山者が来ないことを期待する。こういう食餌の場所に人が近づくと、イオは極端に怒るのである。仮設営のテリトリーを守ろうとするらしい。

Photo F 最初の頂上、福禄山。(2009/9/18 8:19)



上:マイヅルソウの実、中:ツバメオモトの実、
下:これはなに? ゴゼンタチバナと思って写真を撮ったが、
4枚葉に花は咲かないし、色も、咲く季節も違うし、その実
でもない。ヨツバムグラの仲間でもない。



Photo G 眺望の良い尾根道に出る。右、銭山、左、白森の頂きが見える。
(2009/9/18 9:00)


 福禄山から銭山に向かう。はじめは背丈以上の灌木の曲り道で、見通しが悪い。イオは見通しの良い道では、私の前を歩いて、私を先導するふりをする。見通しの悪い曲り道では、必ず私の後ろへ回ってしまう。
 私はイオを「熊よけ」と考えているのだが、イオは私を運転手で、弁当運びで、そして熊よけもするボディーガードだと考えているらしいのである。


わが背後ひそとつけくるものあれば山の木の葉は色づきはじむ
                          永井陽子 [1]


 イオが不安そうに後を付いてくる見通しが悪い道も、その沿道は、木々の紅葉ばかりではなく、足もとのマイヅルソウの実の赤さ、ツバメオモトの実の青さに彩られていて飽きない。
 それもすぐに眺望の良い、どちらかといえば崖沿いの道と呼べるような、稜線となる。こういう道になると、イオは私の前にさっと出て、得意そうに私を引いていくのである(Photo G)。
 この道はアップダウンも少なく快適なコースだが、途中、崖の崩落が道の際まで進んでいるところがあり、雨の日や暗い時間帯にはだいぶ危険そうである。


[1] 「永井陽子全歌集」(青幻社 2005年) p. 140。


【続く】









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Last updated  2020.03.01 12:10:48
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