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キャリアコンサルタントひろくん

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2025.04.26
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カテゴリ: アルコール依存症
<飲酒量の単位>
 飲んだ酒の量ではなく 、摂取した純アルコール量が基準 となります。酒に含まれる純アルコール量を知っていれば、飲んだ酒の影響や分解時間などを推定できます。つまり自分が好きなお酒の適度な飲酒量を知ることができるのです。
酒のラベルには、中に含まれるアルコールの度数が書かれています。この度数は、体積パーセント(%)を意味します。例えばアルコールが5%(度数5)のビールとは、ビール100ml中に純アルコールが5ml含まれていることを意味します。ですから摂取した純アルコール量は、500(mL) × 0.05 × 0.8 = 20(g)と計算できるのです。公式にすると 「酒の量(ml) × 度数または% / 100 × アルコールの比重0.8 = 純アルコール量(g)」 となります。

<アルコールの吸収と分解>
 体内に摂取されたアルコールは、胃にあるうちはゆっくりと吸収され、小腸に入ると速やかに吸収されます。飲酒後の血中アルコール濃度は、食事の有無やアルコール飲料の種類と飲み方、体格や肝臓の大きさなどによって異なります。アルコールの代謝のほとんどは肝臓で行われ、その人の持つ酵素の遺伝子型や飲酒習慣が深く関わっています。
 同じ量の純アルコールでも、食事しながらビールを飲むより、空腹時に高濃度少容量のウイスキーや焼酎をストレートで飲むほうが血中アルコール濃度はかなり高くなります。このような理由から、 アルコールは食べながら飲むことや薄めて飲むことが望ましいのです。
 なお、汗をたくさんかいたり、水をたくさん飲んだりすると、アルコールが速くぬけると勘違いしている人もいますが、 代謝のほとんどは肝臓で行われるので、効果は薄いと言えます。
 アルコールはアルコール脱水素酵素(ADH)とミクロゾームエタノール酸化系(MEOS)によってアセトアルデヒドになり、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)によって酢酸になります。ADHはアルコール代謝の主役ですが、遅い代謝のADH1Bがあると、多量に飲酒した翌日もアルコールが長時間残って酒臭いことが多く、アルコール依存症になりやすい体質となります。
 MEOSでは、習慣的な飲酒を続けていると、特にチトクロームP4502E1(CYP2E1)と呼ばれる酵素が増えてきます。習慣的に飲んでいるとアルコールに強くなって飲めるようになる主な理由は、脳での耐性が進んでアルコールが効かなくなるためですが、もう一つの理由がこのCYP2E1が増えてアルコール代謝が速くなるためとされています。
 一般的には1時間で分解できるアルコールの量は「体重×0.1g程度」とされていますが、酵素の遺伝子型に加えて飲酒習慣によっても代謝速度は大きく異なるので、酒好きの人の代謝速度は予測困難です。他にもアルコールの吸収や分解には多くの要因が関係しており、飲酒濃度にも影響されることもあります。

<アルコールの作用>
◆血管への影響
 適度のアルコール摂取は、血圧に影響を及ぼさないか、むしろ血圧を下げる作用があるといわれている。しかし、1日36g(例:ビール小ビン3本)以上のアルコール摂取は、高血圧の危険因子となります。一方、中等量の飲酒は脳梗塞や虚血性心疾患に予防的に作用するといわれています。しかし、アルコールによる全身的で多臓器的な障害の発生やアルコールによる精神・心理面の影響、さらにアルコール依存症の発症の可能性を考えると、飲酒が脳梗塞や虚血性心疾患の望ましい予防法とは言えません。

◆中枢神経系への影響
中枢神経系に対して抑制的に作用するので、酩酊(めいてい)をもたらします。酩酊は知覚機能、運動機能、精神機能に障害を生じさせ、障害の程度は血中濃度に左右されます。アルコールは高次脳機能を抑制し、少量の飲酒では大脳前頭葉皮質の機能低下に基づく脱抑制により多幸感、多弁、ほろ酔い気分が生じます。また、頭頂葉、後頭葉、側頭葉の皮質の機能低下により痛覚、視覚、臭覚、味覚などの感覚が鈍麻します。 抑制は徐々に下位の中枢神経系へ広がり、大脳辺縁系の抑制によって情動行動の失調や自発性の低下が生じ、小脳の抑制によって運動障害や歩行障害が生じます。そして脳幹部が抑制されると、昏睡状態から呼吸停止、さらに死に至ります。一気飲みや飲酒の強要は、絶対にしてはいけません。
アルコールの中枢神経系に対する作用は、可逆的(元に戻れること)で脳細胞に器質的な障害を残さないとされていますが、慢性的に大量のアルコール摂取は、大脳、小脳、脳幹部、脊髄、末梢神経への障害を生じ、その多くは不可逆的変化(元に戻れない)となります。 また、大量のアルコール摂取に伴うビタミン欠乏状態(摂取不足、吸収障害、消費の増大による)を引き起こし、ウェルニッケ・コルサコフ脳症やペラグラ脳症(手足や顔などに皮膚炎が起こり、脳機能障害が起こり、進行すると認知症になったり、死に至ったりします)などを生じさせます。
<参考情報>
『健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~』
樋口 進 ひぐち すすむ:独立行政法人 国立病院機構 久里浜医療センター 名誉院長・顧問
横山 顕 よこやま あきら:独立行政法人 国立病院機構 久里浜医療センター 臨床研究部部長

(2025/4/29時点)





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Last updated  2025.04.29 11:26:25
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