ボランティアキャリアコンサルティング

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キャリアコンサルタントひろくん

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2025.08.08
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カテゴリ: ADHD
ADHDを持っている・いないに限らず、全ての人は失敗するものです。そして問題が解決されない場合や大きくなってしまう場合によく生じていることは、
・問題の原因をはっきり把握していない
・問題の原因を解消・緩和する為の方法・工夫を知らない(考えていない)
・方法や工夫を実行できていない
という3つのパターンだと言えます。 ADHDがある方は一般的に衝動性が高く、思ったこと・感じたことをすぐに実行に移してしまう傾向 があります。しかし実は この個性(能力)には長所と短所があります。
 ADHDを有する場合、例えば迅速に専門的な役割を果たす仕事(例:外科医、看護師、弁理士、消防士、整備士、警察官​)、短期的に人当たりの良さが必要となる仕事(例:営業、販売、コールセンター員)、業務サイクルが比較的に短く情熱が必要な仕事(例:アーティスト、クリエイター、ライター)、特別な知識や技術、集中力が必要な仕事(例:建築士、研究者)において、活躍しやすい※と言われています。
※(杉山崇 神奈川大学人間科学部教授 1級キャリアコンサルタント 臨床心理士)
※『ハーバード式 大人のADHDパーフェクトガイド』 法研

 しかしADHDに伴いがちな症状。例えば 不注意、多動性、衝動性などがマイナスに働いて、職場やチームに溶け込む際の支障になるケースもあり得ます。 繰り返しますが、それらの個性はマイナスだけでなく、プラスにも働く可能性があります。ですから 本人のもつ個性・強みと、職業のニーズが合っている状態(マッチングといいます)を創り出せた場合、むしろADHDを有する人は活躍できる わけです。それでも、 そうした活躍できる場が広く一般的に広まっていないのも、恐らく事実 だと思われます。
 ですので今回は、ADHDを有する方々が、ADHDによって足を引っ張られてきたと感じている場合、 その状況を改善・修正していくための方法を助言することが目的 となります。ではさっそく具体的な方法を確認していきましょう。

1.「トリプル・ループ学習」的な視点をもって振り返る
 トリプルループとは 「私の価値観や信念は何か?それはこの組織に合っていたか?」という視点で、問題が生じた状況を振り返ってみる ことです。 上司や組織の価値観と、自分の価値観・スタイルとの“ミスマッチ”に気づくために有効です。ADHDを有する方は、得意不得意が共に極端でハッキリしている傾向があると言えます。ですからもしも就労環境が「不得意ばかりある環境」であると判明したならば、その環境を何かしら変えていく行動・工夫も大切になるわけです。 職場への合理的配慮を求めたり、転職などが具体策の一例 と言えましょう。
2.「メタ認知」:自分の“反応パターン”を客観視してみる
 あなたは次のようなケースでどのように対応しましたか?
「指導者の感情的な態度に、どう反応していたか?」
「相手の顔色を読みすぎていた?それとも読み取るのが難しかった?」
「自分の言動が、どう誤解される可能性があるか?」
つまり どのような過程を経て過去に失敗したのか? あるいは、どのような過程を経て失敗しそうなのか? 双方について、具体的な場面を思い浮かべながら振り返る(想像する) のです。その際は、
【いつ】どんな状況で
【なにを】自分はした/言ったか
【どう】相手は反応したか
【どうする】それを踏まえて、今後どうするか?
ワークシート 的に記録(≒学習の為に振り返る)するとよいでしょう。

3.
自分の「トリガーパターン」を知る
 「メタ認知」の視点で自分の言動を振り返る作業と、とても似ている作業になります。
自分がトラブルになりやすい状況・行動のパターンを把握することが目的です。トリガーポイントをひいてしまう場面で共通して言えることは 善意での行動が誤解されやすい」 点です。例えば
・相手の為に!よりよい結果を求めて!
話に割り込む (興奮して話しすぎる)
・相手の成長や安全を願って! コミュニケーション上の表現がストレート(言い方が鋭くなる)
場の空気より「正しさ・道徳・効率性等」を優先 してしまう
こうした 自分の他人へのかかわり方を、日頃の活動で把握するようにして、無理なく修正し続けていくことが大切 でしょう。

4. 誤解されにくい「ソーシャル表現」を身につける
ソーシャルスキルを少しずつ確実に高めていくことは、 ADHDの特性を悪く目立たせず、円滑にコミュニケーションできるようになる上で、極めて効果的 です。日頃から(といっても、毎日やると大変なので、週末の1日の30分とかを振り返る時間にあてましょう)メタ認知やトリガーポイントの研究を行いながら、さらには具体的な対応方法も学び、研究して、試してみるわけです。
 あなたに信頼できる人がいて、その人が一定のソーシャルスキルを持っているならば、自分の特性を踏まえ 「感情的な人との関わり方」や「指示の受け止め方」をロールプレイ(要は場面を想定して寸劇してみる)することが有効 でしょう。
ストレートな発言で苦労している人は、アサーションスキル等を学んでクッション言葉で包むことで、印象を随分と変えることが可能です。例えば 「これは効率悪いですよ」ではなく、「これはちょっと私には難しかったのですが、このやり方の強みを教えて頂けますか?」などと言えば、あなた自身が気づかけなかった利点を把握出来たり、相手に非効率性を考える機会を与えることができうるわけです。
 メタ認知やトリガーポイント研究が進むと 、相手に不興を買いがちな「いつもの悪いパターンの自分の言動」がつかめてくる 「衝突しやすい表現」を、「相手に配慮した表現」に変換する練習をする とよいでしょう。手順はまず 書き換え例を10パターン程度作文して作っておきます。次に 音読しながら口癖として定着させるとよいでしょう。つまり一人でロールプレイングをするわけです。しかもあなたが日頃使っているあなたらしい表現になるでしょうから、自然さが増すことも期待できます。

5.適切な「自己開示」の技術を身につける
 この技術の目的は、自分の特性を説明し、配慮を得るとともに、お互いの信頼を築くことにあります。 自己開示の際は「共感を呼ぶ形」で行うと、むしろ関係が深まりやすくなるでしょう。なお自己開示とは、自分に関する情報や感情などを相手に意図的につたえることです。
【基本的なステップ①~④】
①相手に誠実な面がありそうか。あなたを部分的にでも受け入れる面がありそうかを見定める。(挨拶、ちょっとした雑談への反応で判断する。最低でも一週間以上は観察する。)
②上記の様子見で大丈夫そうな場合に、自分の
​特性を正直に伝えてみる( ADHD という 障害名 ではありません。あくまで「特性」です。ADHDで生まれやすい個性の部分を伝えます )​
③そのせいで迷惑をかける可能性があることも伝えてみる
④どう配慮してもらえると助かるかを簡潔に伝える
例えば次のようになるでしょう。
「私は集中力の波が大きく、最初はやや空回りすることがあります。ただ、ご指摘をいただければすぐに修正しますので、お気づきのことがあれば遠慮なく教えていただけると助かります。」
6.最初の「信頼貯金」の作り方
 この方法の目的は、 加入後、早い段階で“感じのいい人”と思ってもらうための方法です。あたらしい組織・ チームに入った際は、 まずは「聴く力」と「感謝の表現」を徹底するのが最も効果的 です。 ADHDの方は「発信力」はあるが「聴く力」を意識的に使う必要があります。 最初の3日間は、“自分の話”を2割以下に、“相手の話”を8割以上聴くことを目標にしましょう。
 その後の一週間は自分の話を3割程度にあげても良いでしょう。そして 最初から数えて10日間は、自分の衝動性を抑えると同時に 、先ほどの5で大切になった部分「
相手に誠実な面がありそうか。あなたを部分的にでも受け入れる面がありそうかを見定める。」 観察の期間にもあてましょう。
 相手の話を聴く為のトレーニング方法としては、聴いた内容を3点メモする習慣をつける(話の要点・感情・背景)と良いでしょう。こうすれば、自然とあなたからの発話を抑えることができます。聴いている最中に質問したくもなるでしょうが、質問は最後にまとめて行うとよいでしょう。
 相手に感謝するトレーニング方法としては、例えば「○○さんのおかげで助かりました」と具体的な感謝を伝える練習をするとよいでしょう。これも一人ロールプレイングが行えます。感謝の表現を10個ぐらい考え出して(あなたらしさが出る表現が望ましい)、口に出して「さらっと自然に言える」と良いでしょう。軽く微笑むことができると、なおよいでしょう(なお無理して微笑しなくても、次第にできるようになります)

7.信頼を取り戻す「リカバリー技法」を学んでおこう
 この方法の目的は、 失敗してしまった時に、信頼を修復する方法を学ぶ ことです。私は冒頭でも皆様にお伝えしました。人は必ず何かしらを失敗します。それは人らしさであり、当たり前すぎることです。特に ADHDの特性上、失敗や誤解はゼロにはできません。 だからこそ「失敗時の対応力」が重要 になるのです。「リカバリー技法」の ポイントは、 「言い訳」ではなく「共感」「責任」「改善」の3つの要素を入れた表現を行う ことです。
 では3つの要素を取り込んだ謝罪の際の具体例を確認してみましょう。
「先ほどは、自分でも言いすぎたと反省しています。ご不快にさせたなら本当にすみません。今後は確認してから発言するよう気をつけます。」
8.信頼できる第三者との「自己覚知」
 もしもあなたに信頼できるスーパーバイザーやカウンセラーがいるのであれば、 「自分を責める」のではなく「自分を知る(自己覚知)」時間を持ちましょう。 彼らと共に、 「私はここで何を学んだか?」「次に同じことが起きたとき、どう対応するか?」といった振り返りをおこなうわけです。それらをこなすことができたら、必ず次の成長につながることでしょう。


補足:非民主的・トップダウン型組織で、あなたはどう対応していけばいいのか?

 普通の組織・チームに溶け込むことでも難しいあなたにとって、もしも非民主的・極端なトップダウン型組織で活動しないといけなくなったらどうするのか。本来だったら、転職や合理的配慮の相談などによる環境変化に働きかけることが大切になります。しかしこうした組織・チームでは、いつも以上に相談などは難しくなってしまいます。そうした際に 、次の3点を頭の片隅においておき、いざというときに対応策を考え出して実行する 助けにして頂けたら幸いです。

①上司の指示の「裏の意図」まで読む力
 上司の言っていることを真に受けてはいけません。真に受けない為には、周囲の人たちがどのような姿勢で上司と接しているのか? どのような言動で業務に取り組んでいるのか? 朗らかな会話が上司とあるか? 安心感が漂っているのか?緊張感が漂っているのか? そうした「上司の言動以外の言葉にならない情報」に注目することが有効です。

②自己主張と協調のバランス(アサーティブネス)
 確かにその組織・チームでは自己主張はしにくく、過度に協調を求められることでしょう。しかし、どこかで「譲れない一線」を自分で設けておくことは重要です。その一線は、あなたが自分自身に対してはっきりと説明できるもので、あなたの価値観を反映したものであることが望ましく、威力も発揮することでしょう。

③「反対意見」を“否定”と受け取られずに表現する工夫
 こうした組織・チームでは別の意見を言うことですら、反抗的とみなされるリスクがあります。ですから、相手の機嫌を損ねない表現を日ごろから研究しておくことが大切でしょう。

工夫その1:「共感・尊重」を前置きする
例:「○○さんのご意見、とても勉強になりました。そのうえで、少し異なる視点をお伝えしてもよろしいでしょうか?」
〇〇さんの立場や意見を尊重していることを明確に伝えることで、防御的に受け取られにくくなります。
工夫その2:「“確認”や“補足”として」伝える
例:「確認させていただきたい点があります」
「補足の観点として、こういった可能性もあるかと思いました」
 異論を対立ではなく“視野を広げる一助”として表現することで、建設的な対話になります。
工夫その3:「問いかけ」の形で伝える
例:「もしこういった場合には、どのように考えられるでしょうか?」
意見の違いを“質問”として出すことで、否定的な印象を減らすことができます。(私はこれをよく使います
工夫その4:「立場や前提の違い」を説明する
例:「私は○○という立場でお話しすることになりますので、少し違う視点かもしれませんが…」
 意見の違いを「背景の違い」として提示することで、ぶつかりを和らげられます。
工夫その5:「言葉を柔らかく」言い換える ストレート→柔らかい表現へ
「違います」→「少し解釈が異なるかもしれません」
「それはおかしいです」→「別の可能性も考えられるかもしれません」
​​​「反対です」→「他の視点から見ると、こういう見方もできると思いました」

【終わりに】
 今回は(も?)長い情報提供になってしまいました。こうした 対策の実行では「理論と実践(実行)」が両方とも大切 です。それが 一番効率よく対応でき、あなたを成長させる ことでしょう。辛いことや大変なことも多いかもしれません。でも ​あなたなりに乗り越えられることを願っています。私はあなたの味方・応援者です。そして私以外に、身近に味方がいれば、あなたの困難や苦痛はさらにやわらぐことでしょう。あなたの成功と成長を願っています。​ ​​​
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Last updated  2025.08.08 16:32:01
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