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cozycoach @ Re:徳川忠長 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇(感想)(11/20) いつも興味深い書物のまとめ・ご意見など…
2012.01.17
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 市場経済はいかにして驚異的な経済成長を可能にするのでしょうか。

 社会が豊かになっても貧富の格差が拡大するのはなぜでしょうか。

 資本主義が不可避的にバブルや不況を繰り返す原因はどこにあるのでしょうか。

 などなど。

 古典は、それぞれの時代の経済問題に真っ直ぐ対峙することで生まれたものですが、直面する現下の危機を考えるうえで参考になる知見に満ちています。

 ”経済学の名著30 ”(2009年10月 筑摩書房刊 松原 隆一郎著)を読みました。

 スミスから、マルクス、ケインズ、センまで、厳選30冊の核心を解説し経済学が本質的にどのようなものなのかを教えてくれるガイドブックです。

 松原隆一郎さんは、1956年神戸市生まれ、東京大学工学部卒業、同大学大学院経済学研究科博士課程修了、東京大学大学院総合文化研究科教授、専攻は社会経済学、相関社会科学です。

 古典的著作のうち、現在の主流派経済学に受け継がれた部分のみを切り離して紹介するのではなく、その経済学者が生きていた具体的な時代状況の中で何を意図して書かれた著作なのかを辿りながら思考の本質を探っています。



 経済とは貨幣と商品の交換の連鎖ですが、その連鎖を商品が商品と交換されるように見るのが市場経済であり、貨幣がより多くの貨幣を心たらすように見るのが資本生義です。

 市場経済という見方においては、商品やそれとかかかる技術や欲望が主役であって貨幣はあまり強調されず、資本生義という見方では貨幣や資産が中心に据えられて商品は背後に退いていきます。

 市場経済はヒューム、スミス、リカードから新占典派々ハイエクによって論じられました。

 技術や欲望の革新を扱ったシュンペーターやヴェブレン、ボードリヤール、個人ではなく集団に注目したリストやマーシャルもこの系列に置くことができます。

 このグループは、多くの場合、金融市場を実物経済と両立しうるものとみなしてきました。

 資本主義は、スチュアートからマルクス、ケインズのように、貨幣そのものを蓄積しようとする人間の性向を重視した人々によって論じられました。

 貨幣を使うに際しての個人の自己決定が不可能になってしまうような不確実性や不安に注目したという点では、ナイトやポラニーもこの一団に含められるかもしれません。

 この一団は、資本主義と市場社会の間に矛盾が横たわっており、資本主義を、ときに市場経済に襲いかかるものとしてとらえてきました。

 実物経済をも侵す今次の金融危機は、20世紀前半の大恐慌に続く資本主義の市場経済に対する逆襲です。

 混沌として見える経済の現在を少しでもよく理解し、闇としか思えぬ未来に一歩踏み出すために、古典は考えるヒントを与えてくれるに違いありません。

1 ロック「統治論」、ヒューム「経済論集」、スミス「道徳感情論」、スチュアート「経済の原理」、スミス「国富論」、リカード「経済学および課税の原理」、リスト「経済学の国民的体系」、JSミル「経済学原理」

3 バーリ=ミーンズ「近代株式会社と私有財産」、ケインズ「雇用・利子および貨幣の一般理論」、ポラニー「大転換」、サムエルソン「経済分析の基礎」、ケインズ「若き日の信条」、ハイエク「科学による反革命」、ガルブレイズ「ゆたかな社会」、ハイエク「自由の条件」、フリードマン「資本主義と自由」、ドラッカー「断絶の時代」、ボードリヤール「消費社会の神話と構造」、ロールズ「正義論」、セン「不平等の再検討」






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Last updated  2012.01.17 19:33:55
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