January 13, 2009
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友人曰く「先輩も優しいし全然練習も厳しくないよ、それに運動部に入らないと恐怖の“応援団”に入れられるよ、それくらいなら“楽”な卓球部にでも入った方が絶対に良いよ」といつもへらへら顔の彼が真顔で言うので、運動部なんて考えてもいなかったわたくしもダイエットを兼ねて「そうだな、まぁ卓球くらいなら丁度良い運動だな」と友人に付き添われて軽い気持ちで体育館に体験入部に伺ったのです。
その時の先輩が実に優しい先輩で(大学卒業後海外青年何とかで卓球指導で外国に行っておりました。)昼食に「カツ丼」をご馳走してくれたのでした。外食とかに免疫のないわたくしはその“餌”に感動してうかつにも“がっぷり”と釣り針ごと喰いついてしまったのです。まぁ泳げたいやき君みたいなものですね…

当時士別高校は、インターハイ9年連続北海道大会出場を達成しており、この年を10年目の節目として頑張っていたようです。3年生には前年度インターハイ北海道ダブルス3位と硬式ジュニアでシングルスもランキング入りしている先輩もいました。この年も地区では優勝候補筆頭と言われていたそうですが…そんな事はわたくしの知るところではありません。インターハイ?ランキング?何それ?と言った感じでした。
それよりも嬉しかったのは髪を伸ばしても良いということでした。先輩も坊主ではなくその中の1人は長髪で、鉢巻き(この頃はバンダナなんて言葉は存在しておりません)をして練習をしていました。中学時代の担任は悪さをするとすぐ坊主にする先生で、掃除当番中に「たわしホッケー」をしたり、授業中に「F1プラモデル」を作ったりしていたわたくしは、野球部や柔道部でもないのに年中坊主で通しておりましたので、人一倍嬉しかったのです。
しかし、地区予選の始まる1週間前にその長髪で話の分かる先輩の頭がスポーツ刈りに変わっておりました。他の先輩も同じように短くなっております。しかしわたくし達には「刈ってこい」と通達がありません。「やはり良かったなぁ~自分の意志で短くしたりするだけなんだ」と胸をなで下ろした新一年生の群れ達なのでした。

しかしそんな美味しい話があるはずもありませんね。その喜びはほんの二ヶ月の事でしかありませんでした。インターハイ予選は予想を覆され士別高校は準決勝で敗退…10年連続全道出場の夢は破れてわたくし達は真っ暗なムードで稚内から長い時間を掛けて汽車で(電車ではありませんよ、ディーゼルですので)士別に帰りました。

次の日の練習は優しい先輩達から引退の言葉で始まりました。昨日まであんなに優しかった先輩達から出た言葉は「俺たちは昨日負けてしまったので今日で一応は引退となり受験勉強に入る事になる。良いかでも士高が負けたのは、お前達1年生の応援がしっかりとしていなかったからだ!気合いを入れるために今から神社まで走れ!着いたら境内の坂をダッシュだ!!!」(わたくし達はラケットを振るどころか、大会期間中たったの一度もボールに触れてもいないのに理不尽な話でありますね)
驚きながらも神社まで走り、倒れるほどダッシュしている頃やっと歩いて来た先輩達が神社に着きました。正座で横一列に整列させられたわたくし達に浴びせられた言葉は…

「士高では全道でベスト4に入らないと坊主にする掟がある。ここまで言えばもうわかると思うが今から俺たちの手で、たるんだお前達一年生の頭を伝統のバリカンで五厘坊主に苅る。これが士高卓球部の伝統だ!文句はないな!さあ一人ずつ前に出ろっ!あ~っはっはっはっはっざまぁ~見ろっ!!!この日を二年間待ちわびたぞ~」

ですって…次の朝、1年生卓球部員のいる教室が“大爆笑”に包まれたことは皆さんのご想像の通りであります。
後で聞きますと、長い士別高校卓球部の歴史上、全道二位と三位が一回ずつ“だけ”あったそうです。そうですね、ただ後輩の頭をバリカンで刈るために作ったルールとしか思えませんね…

そうしてわたくしはこの日“二年後一年生の頭を刈り上げるまでは絶対に卓球部を辞めない!”そうしっかりと心に誓ったのでした!!!

…こんな事で一生懸命になってるからベスト4に入る事なんて到底無理なわけですね…だってベスト4に入ったら一年生の頭刈れないもの…








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Last updated  January 13, 2009 02:19:21 PM


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