きょういく ユースフル! ~ 僕は触媒になりたい ~

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2020.12.07
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​​​​ 人権週間です。

以前も「 全校生への人権講話「ウイルスによる不安からくる差別に気をつけよう」 」という日記を書きましたが、今日も人権について考えたいと思います。

僕が巡回で毎週訪問している小学校に、次の本がありました。


『パパは女子高生だった
 女の子だったパパが最高裁で逆転勝訴してつかんだ家族のカタチ』

(前田 良、明石書店、2019、税別1500円)


著者の前田良さんはその学校で参観日に講演をされる予定でしたが、コロナが流行ってきたので非常に残念なことに中止になってしまいました。

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「性別変更した夫を父親として認める」という画期的な決定を最高裁で手にした家族の物語。
(本のオビより)
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男性・女性という観念は世の中に強固にはびこっていて、性別で分けることを当たり前とする考え方の前に、非常に生きづらさを感じている方がいらっしゃいます。

社会全体がマジョリティ(大多数の構成者)中心になっていて、たとえ人権感覚のある人だったとしても、マイノリティ(少数派)の気持ちや苦労は、こういった当事者の本や講演等を通じて知っていかなければ、なかなか分かるものではありません。

ボクのパパは、女子高生だった。 」(p12)という一文から始まります。

明石書店の本書公式サイト ​に詳細が掲載されています。
そこから、第1章の目次を転載します。
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第1章 パパは女子高生だった
 ○パパは「男の子になりたかった」
 ○パパは武装した! バレたくなかった!
 ○パパ、女子校に行く
 ○あっ、ここ女子校じゃん! 恋多き「男」、パラダイスを生きる!
 ○男子トイレに入ってやったぞ!
 ○僕はコレだ! やっと自分が「何か」がわかる
 ○パパ、言っちゃった。勇気を出した
 ○パパは生き方を考えた
 ○やっとコイツともおさらばだ!
 ○あっ! この人と結婚したい!
 ○何で「親不孝者」?
 ○結婚するには、まだ問題があったんだ
 ○初めての海外! 初めてのタイで手術!
 ○ついに結婚したぞぉ!
 ○パパのウキウキ新婚生活
 ○パパは子どもがほしい
 ○ボク、来たよ!
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どうですか?めっちゃ、読んでみたくなりません?
全く堅苦しくない本なので、いろんな人がいるということを知るためにも、ぜひ読んでほしいと思います。

ただ、章タイトルこそ興味を引くものですが、読んでいくと、当事者のつらさや悲しさを強く感じる場面もあり、心を締め付けられるような気持ちになります。

例えば、著者の高校生生活を描いた場面では、次のような記述があります。

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・あんまり嘘ばかりつき続けていたから、どれが本当の気持ちなのか、自分でもわからなくなる時もあった。
・「このまま生きているなら死んだ方が楽。自分が自分じゃない」と考えるようになってしまった。
・誰にも言えないって、本当に苦しいこと。

(p24より)
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​こういった記述を読むと、やはり、知っていくこと、知られていくことの重要性を感じます。

この本には、前田良さんの妻からの寄稿もまるまる1章掲載されています。
前田良さんと一緒に、当たり前の権利を求めて運動をされてきました。
しかし、その胸中は決して落ち着いたものではありませんでした。

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・「普通の家族に」
 「当たり前の幸せを」
 そう訴えるたびに、自分たちは「普通じゃない」「当たり前じゃない」のだと思い知らされる。


(p141より)
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​他の当事者運動の方々も、同じ気持ちでいらっしゃるのではないか、と思います。
ただ、他のみんなと同じように、当たり前の生活をしたいだけなのに・・・。

前田さんのご家族の場合は、前田さんが法律改正により男性になることは認められたにもかかわらず、法整備が追いついていなくて、父親になることは認められていませんでした。

同じようなことが、他の方の場合でもあるのだろうと思います。​



ちなみに前田良さんがご自身が「性同一性障害」だとはっきり自覚されたのは、TBSドラマ「3年B組金八先生」の中で取り上げられていたから。この番組は僕も大好きでよく見ていましたが、マイノリティのことを世間に知らせ、考えさせるきっかけを作った素晴らしい番組だったと思います。​​​番組の初期シリーズでの超有名なフレーズが「腐ったミカン」というものでした。腐ったミカンがあると他のミカンまで腐ってしまうから排除するという論理を中学校の生徒にも適用するという「排除の論理」です。ドラマの原作者であり脚本も担当された小山内美江子さんは、ドラマの中で、そういった「排除の論理」を真っ向から批難されました。

日本は「共生社会」を目指しています。
排除とは全く逆の方向性です。


この本を読んで、学校の中で男女で分けられているいろいろな場面について、「それは本当に必要なことか?」「性別に違和感を感じている子どもたちを追い詰めていることになっていないか?」と考えさせられました。

実際、前田良さんが職員研修でお話をされた学校では、卒業式で 「男子○名、女子○名、計○名」 と言っていた慣例を見直し、言わなくしたということなどがあったようです。(p181)

学校は、変えていける。
社会も、変えていける。






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Last updated  2020.12.07 20:00:07
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