わたしのこだわりブログ(仮)

わたしのこだわりブログ(仮)

2010年12月20日
XML

サグラダ・ファミリア 6 (天井の立体幾何学模様)

サグラダ・ファミリア(Sagrada Familia) Part 6
聖堂を支える柱、天井 2 

ガウディの没後100年の2026年に完成させるべく、今工事は急ピッチで進められています

後、何百年かかるか解らない・・とされていた 工期がはっきり見えてきた理由 は、おそらく金銭的な問題が無くなった事? は大きいでしょうが、それ以前に 工事、工法が現代的に様変わりした事が上げられる と思います。

石工達から建築業者に工事はシフト
現在サグラダ・ファミリアで専任彫刻家をしている外尾氏の著によればサグラダ・ファミリア建築当初は ルネッサンス以前の教会建築の時と同じ ように、模型を作って石工達がその模型に従い建築を進める・・と言うようなやり方だったようです。

ガウディの場合は、さらにその模型も絶えず修正が加えられて変化して行ったようですが、 彼は石工達と常に対話し、サジェストし、彼らによりよい物を作らせながら教会の建築を進めていた のだそうです。

それは、ガウディが事故に会う前、職人達に最後に残した言葉によっても解ります。
「諸君、明日はもっと良い物を作ろう。」

写真左が、東、降誕のファサードの入り口 祭壇は左奥
サグラダ・ファミリア 31
聖堂内部は柱が林立。

コンクリートの導入
1980年代に入って 、財政的な問題からついに工事の仕方を変える決断があったそうです。
それが、 石からコンクリートへのシフト です。
建築の大部分は石からコンクリートに変えられて 、彫刻やオブジェまでコンクリートで・・と言う案まで出ていたようです。

セクションが出来て、人も増え、現代の大型機械が導入された事により、この教会の完成が計算上は見えてきた・・。
しかし、
石工達を無視したコンクリートへのシフトは苦しい決断 であったろうな・・と思います。

さらに、 没後100年に会わせるように完成 を急がせる・・。
果たしてガウディはそれを喜ぶだろうか? 
ガウディが後世に託した想いに我々は応えているのだろうか?   
と思うのです。

二重の側廊

側廊はたいていの場合一つですが、ここは 2重(図は1つ)の側廊になっているので、柱の林立したバシリカになっています

1914年頃の横断面図
サグラダ・ファミリア 38
中心が身廊で、そのサイドが側廊部分。

従来のゴシック建築と壁をささえる構造が決定的に異なり、今までの問題点がすんなり解決 されている。
フライング・バットレス(Flyng Buttress)がない のだ。
フライング・バットレスについては、2009年10月、「ノートル・ダム寺院 7 (東聖堂側とゴシック建築の特徴) 」の中で少し紹介しています。

写真の中と右が側廊部
サグラダ・ファミリア 36

柱も普通の柱ではありません。天井の方でまるで森の木のように枝分かれしています。
サグラダ・ファミリア 32
これは逆さづり実験の成果でもありますが、 枝分かれした円柱が天井ヴォールトを支えています
天井は差し込む光がうまく拡散するように考慮された になっています。

しかしそれだけではありません。何かに見えませんか?

私は、 森の中で天を仰いだ時の景色を連想 しました。
サグラダ・ファミリ 35
木漏れ日が枝葉の間だから漏れてくる・・。

ガウディ自身がやはりそう設計していたようです。
つまり 聖堂内は森林をデザイン していたようです。
サグラダ・ファミリア 33
ゴシック建築を目指しながら、コシックを批判し、さらにゴシックの構造上の問題点をクリアして研究? 探求? をした結果、 彼が行き着いたのは植物的自然主義 だったようです。

もしかしたらスピーカーかもしれない。
ライトや福音書記者の飾りなど、形を同じくさせて統一感を出しています。
サグラダ・ファミリア 34
植物的自然主義・・・と言いながらアールヌーボー的な自然でなく、 幾何学的象徴、曲面の徹底的研究によって生まれたのが、この立体アール・デコ調の天井 のようです。

モデルニスモ(アールヌーボー)の時代に始まったサグラダ・ファミリアですが、 全体の構成が決まってきたのは1905年以降

ガウディの建築にムデハル的な幾何学は外せませんが、ちょうど時代も アールデコの流行のあった頃 です。
こだわりの幾何学を発展させて、この天井の構想ができたのかもしれません。

もちろん アーチと柱の構造、支柱の傾斜角度、樹枝構造の三次元展開等の技術的問題の解決・・があったからなのでしょう

しかし、彼は満足はしていなかった。決まった後も何度も修正、変更を加えて、より良い物を造ろうとしていました。
彼が、もう少し長生きしていたら、この天井は違った物になっていたかもしれません。

聖堂の内陣近くの両サイドに階段とエレベーターが設置されています。
サグラダ・ファミリア 37
エレベーターがおさまっているとは思えない。しかも合理的に設置されています。

よくよく見ると左右は階段の巻き方が反対のようです。
サグラダ・ファミリア39
現在一般人は立ち入り禁止区域です。

エレベーターとその先に続く後陣の天井
サグラダ・ファミリア 40

Back number
リンク ​ サグラダ・ファミリア 1 (未完の世界遺産)
リンク ​ サグラダ・ファミリア 2 (降誕のファサード)
リンク ​ サグラダ・ファミリア 3 (生命の木)
リンク ​ サグラダ・ファミリア 4 (未完の理由 と主祭壇)
リンク ​ サグラダ・ファミリア 5 (天井と福音書記者の柱)
サグラダ・ファミリア 6 (天井の立体幾何学模様)
リンク ​ サグラダ・ファミリア 7 (ステンドグラス)
リンク ​ サグラダ・ファミリア 8  (受難のファサード)
リンク ​ サグラダ・ファミリア 9 (鐘楼のバルコニーから)
リンク ​ サグラダ・ファミリア 10 (教会建設)






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2021年10月31日 02時59分30秒
コメント(0) | コメントを書く
[建造物・教会・墓地・墓石・遺物] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: