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追記・・デスマスクは地下の博物館に保存。
ここは問題のあるファサードです。
なぜなら、ガウディの意図したものとは全然姿も彫刻も変わってしまっているからです。
サグラダ・ファミリア 8 (受難のファサード)
サグラダ・ファミリア(Sagrada Familia) Part 8
(ガウディの作品とは言い難い)受難のファサード
降誕のファサードの反対側 、西側の翼には受難のファサード
、別名「死のファサード」があります。
「受難」とは、文字通り、聖書に書かれているキリスト磔刑を中心とする受難の物語が表現されたファサード となっています。
最初にガウディの原案の絵から紹介。
各ファサードには4本の鐘楼が付くのは一緒です。全体に見ると装飾はシンプルですが、降誕のファサードと同じように三扉口構成で天にそびえるような構成になっています。
1911年から1917年のガウディの最終案
原案では(上の写真中央下)ファサード入り口正面にに磔刑にされたキリスト。その足下に聖母マリアと弟子ヨハネの像が来る予定でした。
3つの入り口は、やはり左から信仰、慈愛、希望を表現。
東の植物がからむような自然主義の壁とは異なり、こちらは死と悲しみを表現すべく無装飾で、幾何学的なデザインが採用
されたと言います。
無装飾・・とは言え、ガウディの最終案が作られた時期はカサ・バトリョやカサ・ミラ、グエル公園の建設に重なるのでただのシンプルだけでガウディの案ができているとは思えません。
石の素材による表現やタイルなどによる幾何学のデザインが組み込まれた美しい壁になっていただろうと予測
できます。
しかし、 現在建築中の受難のファサードは、全く趣が違います
。
屋根の上に元のデザインの柵のようなのが追加されるのかは不明。

建築中故にまだこれから多少の装飾は付くはずですが、全くもってつまらないファサードになっています。
問題の一つは、石ではなく、鉄筋コンクリート仕立てで出来ている事
もあります。
コンクリートの無機質出まくりで、本当に味の無さを感じます。
例えば、グエル公園の陸橋のプロムナードにみられるように、石の組み上げ方による面白さ、味・・とか言うものが見られれば別ですが、 コンクリートのなめらかさからは何も生まれてこない
のです。
そして何よりも 自然の素材を自然の形にこだわったたガウディの発想からは最っともかけ離れたもの
なのです。
前にも紹介しましたが、金銭的な問題もあり、責任者がコンクリートに踏み切るには重い決断があったようです。
かってにデザイン変更された受難のファサード
石彫は彫刻家ジョセブ・マリア・スキラッティ氏
によるものらしいです。
しかし、 ガウディの意志を継ぐ・・と言うよりは、完全に氏のオリジナル作風を全面に出した彫刻になっている
のです。
味気ないつまらない入り口はどっかの市民ホールのよう
降誕のファサードからのサグラダファミリアの印象をもつ人は、これが同一の教会のものとは思えないはず。
しかも建物の変更のみならず、彫刻の配置も周囲の反対も聞かずにジョセブ・マリア・スキラッティ氏は ガウディの原案をかってに自分のオリジナルに変えてしまった
ようです。
見てもわかるようにガウディぽくない現代建築になったファサードは ジョセブ・マリア・スキラッティ氏のファサードであってもはやガウディの作品ではなくなっている
のです。
変更については、外尾氏も「なぜ変えなければならないのだ。」とさんざん抗議し続けたと言い、変更は「大きな過ちだ。」と、残念な事・・として本に記されています。

ゴルゴダの丘で磔刑にされたキリストと嘆く聖母マリアと弟子たち。
自分が磔にされる十字架を背負うキリスト
写真中央は聖骸布を持つベロニカ
キリストの亡骸を岩窟の墓に納める弟子達
現代的な斬新な・・と言えば言えますが、そもそも 彫刻自体も、おそらくガウデイの意図する作風ではないのでは?
と私は思います。
特に彫刻に対してはこだわりがあり、人間の骨格標本から筋肉組織や動きを研究してリアルをも追求していたガウディです。
申し訳ないですが、この彫刻はあり得ないと思います。
特に磔刑のキリスト像は酷すぎる。
祈る気が全くしない。ありがたみが全くわかない。信仰が感じられない。
それはただのオブジェにしか見えないからです。
唯一ガウディらしいのが外に張り出した支柱です。
受難のファサードの評判はすこぶる悪い。
降誕のファサードに関しては2005年に建築途中ながら、バルセロナにある他のガウディの作品と共にユネスコの世界文化遺産に登録されましたが、こちらは外れています。
ガウディのデスマスク
納棺の直前に親友ロレンソ・マタマラの息子にして彫刻家のジョアン・マタマラが写し取り作成した物です。
ガウディの墓所はサグラダファミリア地下の礼拝堂にあり、デスマスクは、サグラダファミリアの地下にある博物館に保存されています
デスマスクは、17世紀頃より、故人の彫像作成の為や思い出の為に作られていたようで、日本でも明治期に文豪など著名人もとっていたようです。
素材は蝋や石膏だそうですが、近年は写真が普及したので作られる事はほとんどなくなったようです。
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リンク サグラダ・ファミリア 1 (未完の世界遺産)
リンク サグラダ・ファミリア 2 (降誕のファサード)
リンク サグラダ・ファミリア 3 (生命の木)
リンク サグラダ・ファミリア 4 (未完の理由 と主祭壇)
リンク サグラダ・ファミリア 5 (天井と福音書記者の柱)
リンク サグラダ・ファミリア 6 (天井の立体幾何学模様)
リンク サグラダ・ファミリア 7 (ステンドグラス)
サグラダ・ファミリア 8 (受難のファサード)
リンク サグラダ・ファミリア 9 (鐘楼のバルコニーから)
リンク サグラダ・ファミリア 10 (教会建設)
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