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その2
あの大震災のあと、文化面では、まず音楽が復興し、ついで文学、芸術の分野が復活した。
曽祖父の愛読書が発行されたのは、震災から5年が経過した、2075年の秋だった。
「本屋の看板娘」
これが曽祖父の愛読書である。
この小説が発刊されたのは、2069年、つまり、あの大震災の前年にあたる。
翌年に起きた大震災を予言していた、と言ってもおかしくない程の内容が
話題となったのだが・・・
曽祖父がこの本を、とても大事にしていた理由は
震災の予言書という評判を知っていたからではなかった。
もちろん、そういう噂があったことは知っていたが買うことに決めた
その訳は、そんな噂とは、なんの関わりは無かった。
では何故か、と、問われたなら、「ただ、惹かれたから」
そうとしか答えられなかった。
そして、彼は、その大事な本を、あの大震災の時に失くしてしまっていたのだ。
日記を読んで、そのことを知ったぼくは、ずっと探していた。
それが、今、ぼくの手の中にある、紙媒体の小説だ。
この本が出版された頃の資源は、21世紀初頭とは比較にならないほど乏しかった。
特に生活必需品以外に使用される天然資源は大変高価だった。
石油製品などはその頂点だったのは当然のことである。
つまり、プラスティック製のものは生活基盤となるものばかりで、
ゲーム機やパチンコ等の復活はまだ先のことだった。
一般庶民の楽しみと言えば、
仕事の帰り、学校の帰りに立ち寄る本屋さんで新刊の小説を手に取り、
それを手に入れるために、やっとの思いで貯めたお金を手にして
大震災以前のように大規模でしゃれた造りではなく、頑丈第一の小さな書店の
カウンターのレジ前に並ぶこと。そんな時代があったのだ。
応援を頂けたら幸いです。
どちらも、一日一回有効です。
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