重信川の岸辺から

重信川の岸辺から

PR

×

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

小説「木挽町のあだ… New! 天地 はるなさん

Welcome to Ichiro’s… Ichiro_Kishimiさん
沖縄でウエディング… 上等沖縄司会屋さん
2009/01/22
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 まど・みちおさんの詩は、虫から宇宙まで、ことばあそびから童謡までと多様で溢れるような豊かさをもっている。全詩集を読み終えて、気に入った詩がずいぶんたくさんあったが、その中から、人の労働にかかわる詩三編を紹介しよう。

   水道のせん

 水道のせんをひねると 水がでる
 水道のせんさえあれば
 いつ どんなところででも
 きれいな水が出るものだというように

 とおい谷間の取り入れ口も
 山のむこうの浄水池も
 山の上の配水池も

 はいめぐっているパイプも
 それらすべてを つくった人も
 いっさい関係ないように

 牛乳びんさえあれば
 牛乳がやってくるかのように
 電灯のたまさえあれば
 電灯がともるかのように
 水道のせんをひねると 水が出る



   あの橋をつくったのは

 りっぱな橋ができあがった
 三年かかって なん万人の人が働いて…

 「あの橋をつくったのは私だ!」と
 大臣がいった
 大臣の部下のえらい役人がいった
 設計した人がいった
 下しらべをした人がいった

 材木や金物を組立てた人がいった
 砂利や砂やセメントを運んだ人がいった
 土を掘った人がいった
 クレーンを動かした人がいった

 大工さんと左官やさんがいった
 石やさんとポンプやさんと
 電気やさんとペンキやさんがいった
 なん万人の人が残らずいった
 自分ひとりがつくったかのように
 「あの橋をつくったのは私だ!」と
 自分の家で 料理屋で
 とこやで ふろやで バスの中で
 「あの橋をつくったのは私だ!」と

 ほんとに橋をつくっている
 自然の法則と材料たちと
 ほんとに金を出している国民と
 三年間の時間だけは だまっていた



   バキュームカー

 みんなが顔をそむけ
 何やら遠回りして通りすぎる!
 と思ったら
 そこに とまって
 バキュームカーが仕事をしているのだ

 ぼくには なかった!
 こんないやな仕事を こんなに黙々と
 世のため人のためした ためしが
 そしてそのために世から人から
 こんなに嫌われたためしが
 生まれて今日まで ただの一ども!

 と思った しゅんかん
 まぶしく照らし出されたような気がした
 生まれて今日までの十幾年の毎日毎日を
 ただ人から 物から
 お世話になりっぱなしだったぼくの姿が


…人は細菌も虫も草も木も動物も物も人も地球も宇宙もすべてのものに支えられているとまどさんは思っていらっしゃるようだ。人は水道や牛乳のようにそれを忘れて暮らしている。「水道のせん」はそんな私の日常に気付かせてくれる。「あの橋をつくったのは」は、働いた人すべてのその後ろで支えているものがいることを。「バキュームカー」は、人の営みの深さと多様とを気付かせてくれる。人も物も互いに差さえあって生かされているのだ。

 このような詩を読むと人や物という「存在の輝き」というものを感じる。


 『まど・みちお全詩集』(理論社)を読み終えて、厳選十数編を一度打ち終えたときエラーで全部消えたので、打ち直した。疲れたので三つにしたが、紹介したい詩はもっともっとあるのです。ぜひ、詩集を手にしてください。









お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2009/01/22 05:38:51 PM


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: