Laub🍃

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2011.03.31
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当たり前の幸せは誰にとっての幸せなのか、とか思う。
満たされればどんどん欲張りになる人も居るだろうし、
いつかの幸せを忘れられない人も居るだろう。
幸せすぎて逆に息が詰まる人だって居るだろう。
ある日価値観がひっくり返ってそれまでの幸せが全部不幸せになることだってあるのかも。

幸せってなんなのさ。




だけどわたしにとっての幸せは当たり前の幸せだった。





不老不死をはじめに考えた者は愚かだ。
生あるものはいずれ死ぬ。

その終焉を迎えられないのならこの世はひたすらに退屈だ。

一度しかないであろう機会も二度三度繰り返せば飽きる。

それに、不老不死でない者と年齢のずれを悲しむのならまだ平気だったけれど、自分は不老不死の力を与えられるのに、自分を拒む者には耐えられなかった。

神様とあがめないで。
同じような存在として扱って。

そう思うのに皆私に様をつけて呼ぶ。


そんな中、わたしを呼び捨てにしてくれる少女は希少だった。

わたしよりはるかに幼くて、それでも凛々しくて。

時に弱ってわたしに縋りついて泣く事もあったけれど、それでも一晩たてば立ち直っている強さを持っていて、どうしようもなく惹かれた。

ゆえにわたしは彼女を全面的に助けようと決めた。

彼女はいつもその気の強さゆえに失敗を繰り返しているらしく、外で一時的にうまくいっても、結局私のところに戻ってきて泣きつくのだから放っておけなかった。


外で彼女が傷付かないか。わたしは傷付いた彼女をちゃんといやせるのだろうか。
「あなたなんて外に出てない癖にあたしの何が分かるの」
と、以前一度言った言葉をわたしはまだ忘れられない。

そんな時だった。

『カナタ』と名乗るその人は、彼女ー晴とわたしを『ジッケン』に使いたいのだと言い出した。



晴は少し傷付きにくくなった。
わたしは少し外に出られるようになった。

ついでに晴は少し混乱しているらしく、わたしのことを姉だと勘違いしはじめた。
星羅という名はきっと、晴の本当の姉だ。

ここに来る前、外の世界で一緒に居た姉。
晴を探しに来ない姉。


わたしなら晴が居なくなったら心配するのに。


その名前で呼ばれることは少し嫌だったけど、でも晴に『姉は良いもの』との印象を与えられるわたしはきっと幸せ者なのだと思った。

だからわたしは今日も晴と一緒に、晴れた夜空の下をさまよい歩く。


いくあてもなく、外の世界をひたすらに楽しんでいく。





最終更新日 2011.04.30 23:29:23

to be continued... ?





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最終更新日  2017.05.16 22:13:35
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