Laub🍃

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2011.05.28
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カテゴリ: .1次メモ
アヲノは、昔傷付けられたことについてトラウマが蘇ることがある。

だけどそれは接している相手に根本の原因が由来するわけじゃない。

だから、防御反応も距離を取ることも、そうして対処することが役に立たない。

同じ相手、同じ条件なら正解になりうるけど、そうでなければ当てはまらないこともある。

だからアヲノは今日も、友人の白音にうまく接することが出来ない。

解放できない鬱屈が、解決できない問題が、昇華できない感情が、アヲノにずっと溜まっていく。





「てかさあ…アヲノのああいう、もじもじってした様子見ると、どうすればいいのか分かんなくなるんだよねー。ああいうの、男子には受けいいのかもしんないけどさあ」

あははと白音は笑う。



たまにわけもなく狂気に近い笑気が出てきて、ふざけて、悪乗りで、相手を考慮せずに傷付けてしまうこともある。
一度やってみたかった好奇心を抑えられないことでほかの人に迷惑をかけてしまうこともある。
ここは一発かまさないとだめだと思ってやり過ぎることもある。

その後はすごく自己嫌悪する。

またそういうことになりそうなのを、前に失敗したでしょうがと押さえつける。

「ちょっと白音言い過ぎー」

だけど、もしかしたら前に失敗したでしょうがと自分に言う為に失敗している節もあるのかもしれない。


(ほかの人もそういうことあるのかなあ)

だとしたら、笑気や好奇心や一発かまさないとという気持ちで、白音のトラウマとなっているあの時あの人たちはああいうことを言ったりやったりしたのかもしれない。

そうして、それは罪悪感か、もしくは白音への嫌悪という形でトラウマとして、あの人達の中に残っているのかもしれない。
だとしたらお互い様なのかもしれない。



「もう少し気楽に生きればいいのにね」
「白音ほど無神経なのがもう一人増えたらやだけど」
「ひっどー」
「どっちがよ」

自分も、アヲノも、あの人達も。








そんな彼女が、白音達の会話を聴いていることも知らずに。





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最終更新日  2018.03.02 00:33:32
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