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2019.07.03
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カテゴリ: 大分の歴史
でたらめ小説

江戸時代の佐伯人が定年退職前から書き始めた大友興廃記

 人間 老後に入ると自分史というものを書きたくなるようです
 バブルで金が余っていた時代には自分の一生を自費出版して自分のすばらしさを語り、他人や図書館に寄贈して古本屋で発見するという悲しくもおかしい光景が見られました。
 自分史って当時の風俗とかわかって資料価値はあるんですけど、興味の無い人には邪魔なのも現実なんですよね。
 ただ、 どうせ書くなら多くの人に楽しんで欲しいし、執筆で副収入が欲しいというのが人情
 そうなると自分家より、九州半分を統治した大名を書いた方が知名度が高いというものと気が着いた方がいました。
 その名は杉谷重茂氏。
 彼が有名人を看板に、こっそり自分史を入れた軍記物。それが大友興廃記です。

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 この本は大分県郷土資料集成という本で500P以上ある大作で、
大友宗麟について知りたかったら一度は目を通しといた方がよい本 です。
 ですが、 今まで読破したという人間は筆者以外に見たことがありません

 なぜかというと原因は2つです。

1つは、文章の脱線が多すぎること。
 書いた人は読書家だったようで、何かあるとこの自業自得な物語は仏教説話の~に書かれていて~とか、この話は平安時代にあって~とか引用脱線が多すぎるんじゃぁ!!!(いちいち確認して削除した人間の魂の叫び)
 このよけいな文書を割愛した結果、 500Pの内容の本を200Pに削減することに成功しました
 あれ?何の話してましたっけ。
 ああ、あともう一つ読みにくい理由は「文辞の卑しきを省みず」と作者が謙遜している通り、 文章が下手で回りくどい表現が多いから です。
 こう書いて「先人に対する敬意が足りない」と憤った方へ 原文と翻訳分の添削をお願いしたところ10Pで「文章が下手」と認めてくれました ので、興味のある方は挑戦してみると貴重な人生の暇つぶしになるかもしれません。
 筆者は4ヶ月をどぶにたたき込むことで、この苦行を全世界の大友家研究家の肩代わりする気持ちで書き上げました。




 ただ、内容に関しては最初の5巻まではでたらめが多いのですが、これ以降に 作者は定年退職して佐伯に戻ったのか 現地の言い伝えとかの記述が増え、実際の書状を書き移したりして内容の精度が上がっていきます。
 特に佐伯の殿様の実家だった竹田と佐伯の記述は120人の名前が列挙されたり、18カ所の当時の小地名が登場して竹田の観光協会の方に「この地名はどこを指すのか」と問い合わせたほど、細かいけど正確な地名が記録されてました。
 どこかの でたらめ小説 にも見習ってほしい位の緻密さです。
 こうした濃い内容が20年かけて書かれ、当時の最新情報を添えて最終回となります。
 ここまで濃密で膨大な資料が書けたのも隠居生活で趣味に没頭できる余裕ができたからでしょう。

 なお、この本、大友~と名が付いてますが1巻は自分の殿様である佐伯氏の話が半分ですし、 2巻は自分の祖先の活躍をこっそり入れています
 おまけに別巻の剣の巻という話で佐伯氏が最終的に伊勢に移住したことなどが書かれており、 大友宗麟という看板をつけてこっそり自分の家を語ることに成功しています

 400年前の郷土の先人が書いた 売れる自分史の書き方 、歴史に興味のある方は良かったら読んでみてください。
 そして、その策士っぷりと「あまりにマニアックな内容にし過ぎると有名人の話でも読者は離れていくんだな」と策士が策におぼれる様を執筆する前に感じていただければ幸いです。

 なおこちらの本も赤神諒先生の「大友落月記」と「戦神」にて参考文献として使用して頂きました。

大友落月記 [ 赤神 諒 ] ​ 1556年の小原鑑元と戸次道雪の戦いを描いた傑作

戦神 [ 赤神諒 ]

 またこの本には刀剣乱舞に登場する骨喰藤四郎という刀も登場します。(ほんの数pですが)

 筆者的には、この本を翻訳するという苦行を達成したことで後生の郷土史家から感謝されてもいいんじゃないかと思ってます。






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最終更新日  2019.07.03 15:41:03
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