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AMAZONの売れ筋DVDランキングをみると「時をかける少女」が1位になっている。 TV放送されたら話題になるだろうとは思っていたのですがTVで観て良かったのでDVD購入、という感じなんでしょうか? まあ何にせよファンからすると喜ばしいことであります。 「時をかける少女」は非常に優れたコメディであり切ない情感のあふれる青春映画であるのに疑問の余地はないのだが実は時間ものとしては非常に大きな欠陥がある。 以下はストーリーを割ることになるのでアニメ「時をかける少女」を未見の方はこのような駄文はほっておいてすぐにDVDをレンタル、または購入して映画本編を観ていただきたい。充実した素晴らしい時間を過ごすことができるはずだ・・・ それでは本作のタイムパラドックスに関わる疑問点を上げてみたい。 まずひとつめ。 真琴がタイムリープの残りを0回だと思いこんでいた点について。 真琴、最初に踏切につく。何事も起こらず・・A ↓ 坂道を登る真琴。千昭の言葉に動揺、「(真琴の)最後のタイムリープ能力」を使う ↓ 功介の事故。目の当たりにして真琴、踏切の前で傷だらけで泣き叫ぶ。・・・B ↓ そこに千昭がやってきて事情を察して「(千昭の)最後のタイムリープ能力」を使う。 ↓ 真琴が踏切に最初についたシーンに戻る。・・・A’ 千昭はあらかじめ功介が自転車に乗らないように過去を変えて真琴の前に現れる。 真琴はこの時点では最後のタイムリープ能力をつかっていない ※ここで重要なことは千昭のタイムリープによってAという時間はなくなってA’というのが現在になっいるということだ。 この次点での真琴はまだ「最後の1回」をつかっておらずまた功介の事故(B)を今後経験することもない。 つまりここでの真琴は功介の事故が発生した事は無論、タイムリープが0回になったという経験もしていないのである。 千昭は時間旅行者の規則に従い姿を消す。 真琴は傷心の時を過ごすがふとしたことでまだ1回タイムリープ能力がのこっていることに気気づく。 真琴は「そうか・・あの時千昭が時間を戻したから・・」というがこの真琴は上記の通り「能力が0回になったこと」を経験していないのでこの台詞は本来意味をなさないのである。 千昭はA’の時点で功介が未来Bで事故にあったのを真琴に説明しているので動転していた真琴がタイムリープ能力をつかってしまったと勘違いしたと解釈することもできるが・・かなり苦しい。 上記の矛盾点は1回目に映画をみているときにはやや気付きにくいだろう。 この真琴の台詞は観客への説明のため、驚きと感動を共有するためにあえて矛盾を承知で付け加えられたと思しい。 ふたつめ。ラストにおいて功介と果穂が付き合っいてないように過去が改変されている点。 この改変の可能性としては ・千昭が功介に自転車にのせないために行った最後のタイムリープ ・真琴の最後のタイムリープ どちらかによるものなのだが真琴が踏切に功介たちより早くついている上記Aのシーンは「功介と果穂が真琴の壊れた自転車に乗って坂の下の踏切に向かっている」という前提がなければ存在しないシーンであるのでこの時点では千昭による改変ではない。 また真琴が最後のタイムリープでたどりつく土曜日の実験室のシーンは真琴が功介と果穂をくつつけたあとのシーンなのでこの2回のタイムリープでは功介と果穂がまだつきあうようになっていない過去に戻ることは不可能なのだ。 と長く、わかりにくい説明を書いたのだけれど・・如何であろうか。 私自身もよくわからないところがあるのでお分かりの方は説明していただけると嬉しい。 そんな弱点があれど「時をかける少女」が優れた青春映画であるのは疑いのないところだろう。 ラスト夕焼けの土手のシーンの美しさ、切なさはアニメ映画の歴史に残るものだと思う。
2007.07.22
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交通事故で子供を庇って死んだ大家族の主婦日ノ出サユリはサーペント星人と合体することで生き返る。直木賞作家朱川湊人のメビウス脚本第二作。日ノ出サユリ大家族を抱えて奮闘する母ちゃんを演じたのは80年代のにっかつを代表するロマンポルノのアイドル女優だった美保純。同時代人としては日清焼きそばUFOのCMや「男はつらいよ」のタコ社長の娘役の健康的で明朗快活な姿で忘れられない女優である。それだけにリュウにGUYSのかあさんとかおばちゃんと呼ばれるのはちょっとイヤだなあと思いつつ最後の車をもちあげ・・・の活躍ぶりまでは嬉しい。サーペント星人サユリを利用しようとした宇宙人。憑依のシーンは「帰ってきたウルトラマン」のオマージュ。ボーグ星人っぽい装甲の硬さを誇る星人の意外な弱点は結構面白かった。サユリを中心に据えた家族の物語、宇宙人になってしまった悲しみ、宇宙人の力を得てドタバタコメディみたいになる部分もどれも中途半端にしか描かれなかった感がある。のため朱川脚本、美保純がゲストという期待からすると凡庸な出来映えに思える。最後のアレは賛否が分かれるところだろうが私的には悪くないのだが。
2007.01.13
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「ドカベンスーパースターズ編」も13年目のシーズンを迎えた。 単行本でいえばドカベン全48巻、大甲子園全26巻、プロ野球編全52巻にスーパースターズ編が既刊17巻・・・。 山田の高校時代とプロ野球時代では実は既にプロ野球の方が長い(ドカベンの10巻位までは中学生なので)というのは改めて驚きではないだろうか。 昨年のシーズンオフからドカベン世界ではにわかに結婚ブームと記録達成ラッシュになっている。 殿馬はマドンナと入籍、里中は山田の妹サチ子にプロポーズ、岩鬼は夏子はんと復縁、山田も新しい出会いが・・・とかはまあどうでもいい事なのだがこの山田世代の12年目を終えての通算成績にはちょっと・・まあいいや、ですませられない問題がある・・というかなんというか・・全くもう・・・。 以下12年目までの通算成績を列挙する 山田 1999本安打、500本塁打 岩鬼 450本塁打 殿馬 2200本安打 微笑 325本塁打 不知火 200勝 土門 180勝 里中 149勝 とても12年目の成績には思えないトンデモナイ成績である。 殿馬の2200本安打は・・同じく95-06年のイチローの安打数2382本(メジャーは年間20試合も多いことを考慮すればイチローと比べても殿馬の数字には遜色がない)、パの年度別最多安打者のトータルが2162本ということから考えてありえない数字・・・殿馬はこの数字を残しながら首位打者獲得は1回だけなのだ。 この辺り水島新司らしい記録へのこだわりのなさ鷹揚さが伺える。 山田と岩鬼の本塁打数には王の12年目までの本塁打数が447本また清原の12年目までの成績が1468安打の361本塁打だったことを書いておく。 不知火の12年目の200勝だが・・・これはこの12年間のパ年度別最多勝利の総計194勝を越え最後の300勝投手鈴木の217勝に肉薄する数字である。 打高投低の時代においてこれがどの位凄いのかは野茂英雄の12年目までの通算勝利数が139勝であることからも推し量れると思う。 長々と書いてきたのはこれらの破天荒な数字を見ていると悲しい気持ちになるためだ。 これら山田世代の度を越えたバケモノのような成績に反してドカベンで紡がれる物語のなんとつまらないことか。 私が読みたかったのは野球を描く中で描かれる人生のドラマだったはずでありそれは小さな身体故プロの壁に苦悶する里中であって12年目で楽々と150勝する里中ではなかったのである。 近年の水島作品に共通するツマラナさはそういう行き過ぎた超人志向にある・・・というのは今更いっても始まらないのかもしれないが昔からのファンからすると悲しいことである・・。
2007.04.07
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ウルトラマンメビウスでヤプールが復活ということで「ウルトラマンエース」1話からの分を補足していくことにします。超獣の王、ベロクロン「ウルトラマンエース」はベロクロンの禍々しい体表のアップから始まります。福山市を破壊、地球防衛軍を壊滅させ北斗と南の命を奪った・・第一話の超獣として申し分ない暴れぶりといえるベロクロン・・。口からの火炎放射、さらには全身と突き出した両腕からのミサイル攻撃、口からの大型ミサイル発射。改造された生体兵器である超獣らしい描写としては十分なものいえると思います。またエースとの対決では手から光線を発射、リング状の光線でエースを拘束、さらに指からも光線と非常に多種多様な武器を装備しています。これほど多彩な攻撃兵器を持つ怪獣は珍しい・・流石はヤプールの尖兵にして超獣の王・・といったところでしょうか・・。北斗と南の出会い北斗はパン屋(ではなく)パン屋の運転手、一方南夕子は「若く健康な白衣の天使」として車椅子を押しての登場。ふたりは孤児のホームの前で出会い、無謀な(無意味で危険な)北斗のタンクローリーによる特攻で死んでしまいます。ここの描写、タンクローリーで北斗が爆発した場所と夕子のいた場所はかなり離れているのですが、その後のシーンでは二人は仲良く瓦礫に倒れている・・・。この描き方だと北斗が死なずにすんだかもしれない南夕子を巻き添えにしたようで寝覚めが悪くて嫌な描写です・・。ある意味、軽率で他人に理解されない北斗を象徴してるよなあ。ウルトラ兄弟赤と緑の球が空からあらわれます。「ウルトラマン」の1話と39話を彷彿とさせる登場するウルトラ5兄弟。それぞれが必殺のポーズをみせる兄弟。兄弟の間から厳かに登場するエース「私はウルトラ兄弟の五番目ウルトラマンエースだ(偉そう)」「うるとらまんえーす!(声をあわせて弟を称える兄弟たち・・なんか情けない)」「銀河連邦の一員たるを示すウルトラリングをお前たちに与えた(偉そう)そのリングが光るときお前たちは私の与えた大いなる力を知るだろう(偉そう)」・・人をお前呼ばわりする偉そうなエースの声は名優・納谷悟郎。いうまでもなくショッカーの首領である・・。こうして北斗と南夕子は悪の組織ショッカーの一員となった・・。(違う!!)しかし・・銀河連邦の一員であることを示すウルトラリング・・他の話では全くみかけないなあ。指輪を合わせたら・・というと「大魔王シャザーン(声小林清志)」を嫌でも思い出すんだけど・・。※余談だが「大魔王シャザーン」、吹き替えでは魔王が下僕らしい喋り方らしいがオリジナルでは魔王は偉そうな喋り方らしい。ひょっとしてエースはその真似を・・(そんな事ない)TACの面々全滅した地球防衛軍に変わって組織されたのが超獣専門の組織がTAC。基本的にウルトラシリーズは前作との繋がりを意識していない。とはいえ後に「決戦!エース対郷秀樹」でMATの存在も言及されたりするのでややこしい。ここでは怪獣がでなくなったのでMATが解散し(解散MAT)、地球防衛軍という組織に改編されていたと解釈しておきましょうか。パン屋(の運転手)と看護婦はTACに入隊する(早!)。このあたりベロクロン登場からのどれ位の期間があったのだろうか。ここで竜隊長から各隊員の紹介。射撃の名手、宇宙生物の生き字引、ロケット工学のオーソリティとか紹介される中、美川隊員は・・・なんの説明もなしかい!「よろしく!(なぜかVサイン)」・・美川隊員がTACに選ばれた理由が知りたい・・。今回、北斗はトイレに行きたいという今野を置き去りにして出撃。多分このことが以降の北斗苛めの原因と思われる。ベロクロンに撃墜されたあと竜隊長のもとにかけつける山中の台詞。「あのくらいじゃへこたれませんよ、ハハハ」・・戦闘機をおしゃかにした人間の台詞とはおもえません。反省の色なさすぎだよ山中。異次元人ヤプール初登場の異次元の支配者。「ゆけーっベロクロン、我等異次元人の力をみせてやれ!」注目したいのはこの画面のおそらく喋っているヤプール。その自信のあらわれか文字通り激しいブリッジと見間違うばかりのそっくりかえっりぶりです。ベロクロン、東京タワーと学校と再度登場したベロクロン。登場した時点で既に東京タワーのすぐ横・・。東京タワーにはTACの通信網がありそこをやられたら・・と出撃するTAC・・あっさり倒壊です・・。しかし・・でかいなベロクロン・・250mの特別展望台位置よりでかかったので300m近く身長ありそうだな・・。北斗の攻撃で白い煙を吹くベロクロン・・。「命中したぞざまみろい!」ベロクロンは攻撃を火炎放射に切り替えただけでした「ちきしょうあいつは不死身だぜ」ベロクロンはこんどは小学校を狙います。「やめろー!学校まで!大きな力って何だ!くれるなら今くれー!」・・しかし北斗・・どこまでも下品だな・・ガミラスなら処刑されるくらいに・・。撃墜された北斗と南が校庭でジャンプ!高い、高い、校庭よりも高いフライングタッチ・・・これではエース変身ごっこはできません・・。エース登場。エースはベロクロンのミサイルを仁王立ちで受けて頑丈さをアピール。ジャンプで翻弄されたベロクロンは無様にひっくり返ることに・・。しかしベロクロンも強い。前述の通りかませ犬とはいわせない多彩な攻撃でエースを翻弄します。しかし・・パンチレーザーはものともしなかったベロクロンもリフティングされ投げられたあとメタリウム光線をまともにくらい・・この後長い間があって・・痙攣した後・・手を差し上げて倒れます・・。超獣の王の最期・・。倒れたところは・・・学校でした・・・・。見事に下敷きだし・・。リュウがみてたら。。。「何も守れてねえじゃねえか!」なウルトラマンエースのデビューの一戦でした・・。
2006.09.14
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「仮面ライダーSPIRITS」のおかげで以前のエントリーがよく読まれているので補足と再度のまとめを。・デルザー軍団にはジェットコンドルという劇中未登場怪人がいる。・ジェットコンドル自体はデザイン画がありこれは「仮面ライダー激闘ファイル」で確認可能。・アメリカから来日する途中に爆死した(出典不明)。・テレビマガジン掲載の成井紀郎の漫画版に鳥のデルザー怪人が登場する。・「仮面ライダーSPIRITS」においてデルザーの13人目として登場する。敗退後に変身。「仮面ライダーSPIRITS」では過去にもデザイン画だけのバダン怪人を漫画で活躍させたこともあり尚且つ巧いやり方であれを絡めて13人問題も解決してしまったことになる。で上記はテレビマガジン75年11月号に掲載された追加組のデルザー軍団情報イラスト。ああ、ここでジェットコンドルは既にデザイン画から漫画化されてたわけですね・・・。
2015.10.10
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金の卵・銀の卵工事現場から出土した約2mの銀の卵が土木作業員を呑む込む。仲間の作業員がそれを目撃するも信じて貰えない。(卵に呑まれる作業員は畠山麦。キレンジャーでした。)その後、北斗は空飛ぶ金の卵(「国籍不明です」って・・国籍のわかる卵って一体・・)を撃墜するが、卵は実は健在で旅客機を墜落させる・・。最終的に金と銀の2つの卵は合体し超獣カメレキングとなるのでした・・。信じてもらえない北斗「ウルトラマンエース」のひとつのパターンに仲間がいうことを信用してくれない・・というパターンがあります。基本的には山中が人の言うこと、特に非現実的な出来事を全く信用せず大声を出し、今野がその尻馬に乗るというパターン。大体、超獣とか異次元人とかを相手にしていながらこの頑迷な現実主義と他人のいうことをことごとく嘘と決め付ける態度は何なのだろう。山中は射撃の名人とよく言われるがこういう協調性のない人格に欠陥のある人間を置いているTACは困った組織だなあ・・。ただ・・こういう特殊な能力値があればあるだけ協調性に欠けてしまうという大人の世界を描きたかったのだとしたら・・別の意味で凄いなあと。今野「お前、パーティに出たくてチャランポランでおっぽらかしてきたんだろう」(下手な「一週間の唄の踊り」なんか見る為にそんなことしないって!)山中「お前も大人なら卑怯な言い訳をするな!」ひどい・・ひどすぎです。隊長もこの卵撃破の際オシログラフを確認していたわけでこの二人の言葉、いいがかり以外のなんものでもない・・。北斗は結局謹慎処分に。謹慎TACのの歴史がここに始まってしまいました・・・。「畜生、隊長も俺がミスしたと思ってんだ・・」アトランティスを滅ぼした超獣と卵の中身の映像遂に金と銀の卵はひとつの金銀まだらの卵になります。「あの物体はカメレキングの卵だと思われます。実はこのエジプトの古文書に・・」「アトランティスを襲う超獣カメレキング・・・か」え?超獣がアトランティスを?しかも古文書に?その古文書の絵は・・どうみても小学二年生あたりに描かれた超獣カメレキング暴れる、にしか見えないぞ。次に卵を透視した連続写真・・・だんだん成長してカメレキングの形に・・といってますがどうみてもロールシャッハ・テストみたいだし・・。これが怪獣に見えるとか言うと心の病が指摘されそうでイヤだなあ。古代超獣カメレキングどうして古代カメレオンと宇宙翼竜の合体したものによってアトランティスが滅ぼされたのかわからぬままカメレキング登場。龍隊長は何故かその弱点が舌と断定、決死のワンポイント攻撃・・しかし・・機体が故障・・・あーっ!ライダータッチでエースが登場します。カメレキングはその羽根で暴風を巻き起こし、口からガスを吐きます。後は羽根を使った空からの攻撃くらいでしょうか。特徴的な腹の棘はガイガンのように回転・・しません羽根を空から右から左から回りこまれてもがれ、飛行できなくなったところにメタリウム光線で文字通り粉微塵・・。前回のベロクロンの強さとは比較にならないあっけない最期でした・・。竜隊長今回、「お調子者め・・」「お前は道楽飛行してるんじゃない」などと北斗を暖かく(?)父親のように見守った竜隊長。「北斗・・私をたすけてくれたのはウルトラマンエースだったな・・・だが私には君がたすけてくれたように思えた・・。」何と第2話にして正体バレ・・・迂闊すぎ・・北斗と南!おまけ・・TACの「一週間の唄」月曜日は射撃の訓練火曜日はアローで飛ぶよ水曜日はパンサーで出動木曜日は超獣退治金曜日は隊長が怒鳴り土曜日も徹夜の勤務ちゅらちゅらちゅらちゅらちゅらちゅららちゅらちゅらちゅらちゅーらら。
2006.09.15
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コロコロコミックはゴジラ(84)を含む平成VSシリーズの全てをコミカライズしている。 「ゴジラVSキングギドラ」以降の5作品を手掛けたのが坂井孝行。 坂井の描くコミカライズは最初のキングギドラこそ比較的映画に近いものであったがモスラを恋愛ものにアレンジしたことを皮切りに以降の作品をいずれも大幅なアレンジを加えてコミカライズ化している。 それらはいずれもストーリーについていうならば「映画よりも面白い」作品になっていたと思う。 最早主人公すら別の人物になった「ゴジラVSデストロイア」(95)を最後にゴジラシリーズは一旦終息する。 あまり知られていないがその後の「モスラ」3部作も引き続き坂井孝行の手でコミカライズ化されている。 コロコロコミックの平成ゴジラのコミカライズ作品は全て単行本になっているがこのモスラは何故か単行本化されていない。(注1) 内容的にゴジラ5部作に比べて内容的にひけをとるかとうと決してそんなことはない。このままうもれさせておくのは勿体ない怪獣ジュブナイル漫画の傑作といってよいと思う。 以下に「モスラ3部作」のコミカライズを映画と比較しつつ簡単に紹介してみたい。「モスラ」(96) コロコロコミックSPECIAL96年10月号、12月号掲載 ともに65ページの合計130ページ 6500万年前モスラ軍団対宇宙怪獣デスギドラの凄絶極まる戦いから始まる。 モスラ軍団はデスギドラを封印するがデスギドラは最後に6500万年後の復活を宣言。 デスギドラの不敵な預言が響く地上は勇敢に戦い斃れたモスラたちの数えきれないほどの死体、死体、死体。 1997年、東京。正義漢の少年後藤大樹はエリアス族の妖精モルとロラに出会う。 同じく妖精のベルベラは封印を破壊され復活したデスギドラを家来にして地球を支配しようと企むのだった。 映画版の親子・兄妹の愛情をモスラ母子の愛情、に重ねる展開をあえて外しており登場する人間は大樹少年だけ。 親モスラの眼が見えなくなりそれでも子の幼虫を守るために戦い最後にはデスギドラを蒔き込んで爆死してしまう。デスギドラは冒頭でしゃべるように高い知能を有していて自分を子分扱いにして利用しようとしたベルベラを逆に裏切り使い捨てる狡猾さをみせたりする。そのようなコミカライズの一番の楽しみどころというべきアレンジが多く楽しい。最も大きな違いは北海道がデスギドラのために沈没してしまいドロの海になっているという点であろう。 デスギドラを牛耳るためのエリアスの楯が件のドロの海に沈んでしまったのを大樹が潜ってさがしに行くのが大詰めの見せ場。この後に映画とはさらに異なる展開の壮大なラストが待っている。 大幅なアレンジをゴジラシリーズで見せた坂井にしてはアレンジは控えめだがデスギドラを巡る導入部とラストは むしろ漫画の方が映像以上に派手な見せ場である。特にラストでのデスギドラの最期の描写は映像での封印ではなくデスギドラそのものが巨大な樹木と化してしまう。これは映画のテーマである自然再生を描いた優れた表現になっているのではないだろうか。 「モスラ2 海底の大決戦」 コロコロコミックSPECIAL97年12月号、98年2月号掲載 前篇表紙扉込み64ページ、後編63ページの合計127ページ 映画の「モスラ2」は石垣島の少女・汐里(今をときめく映画女優である満島ひかりがまだ子役時代に出演)と少年達の3人が 海底から浮上したピラミッドの中でニライカナイの秘宝を探す、という冒険活劇もの。ベルベラに唆された密漁者2人(というところがちょっと貧弱だね)に追いかけながらの大冒険とニライカナイを滅ぼしたダガーラとモスラの戦いが絡んでいく。 コミカライズは前作ではアレンジが大人しめだったのに対して色んな点で大幅なアレンジが加えられている。 子供の主人公は汐里が登場せず劇中ではメガネをかけていてやや地味ないたずら好きな渡久地航平が明るくふるまいながらも心の隙間を埋められない少年として主人公に。また密漁者の長瀬淳一は海上警備のバイトをしている大学生に変更されている。 大きな改変は「ニライカナイの秘宝」を巡る少年の叶えたい望みの存在、であろう。映画では子供たちは別に叶えたい願いがあるわけでもなくニライカナイの使い、ゴーゴを巡って事件に巻き込まれていく様とゴーゴへの親愛の情に主眼がおかれているが漫画では航平の願いにこそ主眼がおかれている。 航平の切なく激しい願い。友情を交わしたモスラが傷つき倒れる中で少年は何を願うのか、が物語の肝、であるが未読の方のためにあえて書かないでおこう。 またもうひとつが坂井孝行がゴジラシリーズでも描いていた怪獣に対して人間が抱く感情である。ベルベラが人間を信用しないという理由は映画では明らかにされていない。 しかしコミカライズではダガーラは何故そう呼ばれているかで激しい感情をみせる。映画では3部作を通して明らかにならないベルベラの真意だがここでの彼女の心情は怪獣への慈しみの情に溢れていて哀しい。 かくしてベルベラと航平、どちらが正しかったのかはここでは書かないでおきたい。映画「モスラ2」はどちらかというと傑作とは言い難い作品 であるがコミック版「モスラ2」は傑作揃いの坂井孝行の東宝怪獣コミカライズの中で最も胸を打つ作品であることは間違いないだろう。 ニライカナイがみせる心優しい秘宝の奇跡には誰もが涙するのではないか。機会があれば是非手にして頂きたい少年向けコミカライズの傑作である。 「モスラ3 キングギドラ来襲」 コロコロコミックSPECIAL98年12月号、99年2月号掲載 前篇表紙扉込み63ページ、後編63ページの合計126ページ モスラ3部作の完結編。映画は3人きょうだいと両親、5人家族の長男で登校拒否の少年翔太とエリアスたちの関わり、そして2億年生きて強大な力を得たキングギドラ(子供をエネルギー体に変えてドームに集め食糧としてストックする能力を持つ)との戦いを描いたもの。モスラが強大でかなわないキングギドラを倒すため1億3千年前の白亜紀まで時間遡行しまだ若いキングギドラを倒しに行く、とうアイディアは「ゴジラVSキングギドラ」を思わせるもだがタイムパラドックスの生む歴史変革の描写がアバウトで弱い。モスラの前作までとは違う着ぐるみの表現やシャープな鎧モスラには一見の価値があるかもしれない。 「モスラ3」のコミカライズはどうかというとここでも大きな改変が加えられている。弱虫の少年・翔太は二人暮らしの父親の命が残り僅かであることを知る。翔太は白亜紀へタイムリープして視力を喪ったモスラの眼の代わりになり戦う。映画ではキングギドラが過去の戦いの進行状況で現代で苦しんだり果ては目の前で消滅するというやや問題のある描写なのだがコミカライズ版は並行描写をなくし矛盾を解消している。これによるエリアス三姉妹の劇的な変化がみられてここは特に面白い。「モスラ2」の面白さや感動には及ばないがオリジナルな描写である少年と父親の絆をきっちり描いている部分はとても好ましい。 坂井版「モスラ」3部作がこのまま日の目をみないままなのは勿体なくてならない。何らかの形で読めるような状況にしてほしいのだが・・。 注1)コロコロコミックの単行本としては98年になぜかてんとう虫コミックスから「とんでもとんでモスラ」(ひかわ博一)が発売されている。発売時期は「モスラ3」公開の98年12月。こちらは1~3の期間に相当する3年分のギャグ漫画作品が収録されている。
2011.06.19
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70年代前半の第二期怪獣ブーム(変身ブーム)の作品のひとつ「サンダーマスク」は手塚治虫がコミカライズした(原作ではない)ということで非常に有名でありながら何故かDVD化されない作品です。さて今回の本題は「サンダーマスク発狂」です。なんて危険なタイトルなんでしょうか。しかしサンダーマスクが本当に発狂するわけでなく最初から最後までシンナーマンが一人でらりっているだけなんですけどね。場面は公園。昼日中、シンナーを吸って必要以上にトリップして騒いでいる若者たち。(あまりこんなことはないと思うけど・・)そんな彼らを美人婦警がパトカーでシンナー中毒を治すと称して連行するも婦警の正体は魔王デカンダで・・。「 シンナーに侵された狂った人間の脳味噌がお前には何より必要なのだ。吸うがよい、食べるがよい」シンナー中毒の若者たちは シンナー漬けの脳味噌をシンナーマンによってチュウチュウ吸われてしまうのでした・・。このときのシンナーマンが頭に刺すのがコントみたいな巨大なストローで全然怖くない・・・。いろいろと極めて不自然な展開を経てサンダーマスクはシンナーマンと脳味交換手術をされてしまいます。なんの意味があるのかはよくわかりません。婦警デカンダの「まあ、きれいこれがサンダー星人の脳味噌なのですね」というセリフもいかがなものかと思うのですが手術が3秒で終わるところがまたすごい。でこのあと町に出たシンナーマンの脳味噌の入った命光一はうーうーとうなりながらごみばこを蹴り道行く女につかみかかりラーメンの出前をひっくり返す・・わけですが・・・・。一方デカンダは光一の脳の入ったシンナーマンに襲われ「しまったあ」と間抜けさ全開です。いろいろあってシンナーマンと光一の脳は元通り(やはり3秒)。シンナーマンはこれまで食べたシンナー脳味噌の力で巨大化します(なんだかなあ)。支離滅裂にシンナーガスを吐き散らすシンナーマンの攻撃はシンナー中毒の怪獣がまともな攻撃できるわけないよなあなわけで巨大な脳がサンダーシュートでぱっくりわれるというイヤな結末に。飛び散った脳を執拗に焼くサンダーマスクの姿に「人類は自分で自分を滅ぼすようなシンンナーをあやまってついかってはならない。それは人類自らが魔王デカンダに味方することのいなるのだ・・・。」シンナーとデカンダの因果関係がよくわからないナレーションの流れる中フェイドアウトしてゆきます。サンダーマスクと怪獣の脳と替えるという意味不明の展開と手がかかるわりにただのシンナー中毒で役に立たないシンナーマンの姿が泣かせる困ったお話なのでした・・。でもかなり面白いですね・・いろんな意味で。
2006.04.25
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シルバー仮面の等身大宇宙人です。とあるイベントのために作って没になったものの一部紹介します。夜道に会いたくない最悪な面子がそろいました。不気味という意味ではこの宇宙人もかなりなものかと宇宙人研究の文献に載ってましたね。有名なのか?ザダムのように分離可能です。怖いです。でもなんか美味しそうです。シルバー仮面の宇宙人は後半のジャンボ星人シリーズでも個性的な存在が多いのでいつの日かコンプリートしたいと思っています。残りの等身大宇宙人は次回改めて・・。
2007.04.01
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デルザー軍団は「仮面ライダーストロンガー」の敵の組織・・なんてことを今さらいってもしょうがないかもしれませんが念のため。デルザー軍団は13人の改造魔人(あるいは半機械人)からなるヒエラルヒーの存在しない組織でした。ストロンガーを倒した者が組織の頂点に立つという横並びの実力者集団だったのです。しかしヘビ女はシャドウの愛人(?)だったり後半ではマシーン大元帥が指揮権を握ったり最終的には岩石大首領という今までの悪の組織全てを操っていたボスが登場するのでそれも完遂されたわけではありませんが・・・。でここで問題になるのがデルザー軍団は13人いないということです。ジェネラルシャドウ鋼鉄参謀荒ワシ師団長ドクターケイトドクロ少佐オオカミ長官隊長ブランク岩石男爵ヘビ女磁石団長ヨロイ騎士マシーン大元帥以上12人。バンダイのHGでこの間コンプリートになりましたが12人ですね。13人目はしばしば岩石大首領だとかベルトがデルザーな特番に出演した暗黒大将軍ではないかといわれるのですが定かではありません。さらに「デルサー復活」の際の新怪人カニ奇戒人もデルザー・・13人目はカニ??ここでひとつの未確認情報があります。デルザー軍団のジェットコンドルはアメリカから来る途中事故で死んだ・・・。このジェットコンドルとは何者なのでしょうか。「別冊テレビマガジン」掲載の成井紀郎版のコミック「7人ライダー最後の大決戦!」(角川書店刊「決死戦七人ライダー」に収録)には岩に激突して死ぬ鳥類系のデルザー怪人の姿をみることが出来ますが・・・。いつ頃からこの情報が流れたのかはさだかではありませんが実際双葉社から出ている「仮面ライダー激闘ファイル」にはこのジェットコンドルと貝のようなデルザー怪人のデザイン画が掲載されています。この立体物はデザイン画を元に怪人のスーツ風に知人に作っていただいたものです。一応HGサイズなのでシャドウとマシーン大元帥と並んでいただきました。 どなたかジェットコンドルの事についてご存知の方ご教示お願いします・・・。あとデルザー軍団といえば「仮面ライダーSPIRITS」には全く出てきていませんが・・村枝氏がその辺考えていないわけがないので・・・実はかなり期待しています・・。
2006.08.09
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ベムスターが地球へ接近。合わせて前々回のオオシマ彗星のB群が地球へ接近する。ヒカリが帰ったことで地球を独りで守らなくてはならないと意気込んだミライ=メビウスは彗星をひとりで破壊するが、リュウはメビウスを「俺たちを虚仮にしやがった。人間の気持ちなんて理解しちゃいねえ。メビウスは所詮宇宙人だ。あんな奴仲間じゃねえ」と罵るのだった・・。●ベムスター出現●何はさておきベムスター。カメラ映像が捕らえたベムスターを見たテッペイの過剰な反応は「思ったとおりの反応」でしたね。地上に降りたベムスターを見たリュウの反応「よくみりゃ可愛い顔してるじゃねえか」いやいや全くごもっとも。今回の作戦はブラスター(トリモチ)によりベムスターの最大の脅威、なんでも食らう腹部を封鎖するというもの。まだそんな中で今回の最大の見所はマリナ機がベムスターに食われそうになる件り。捕らえられたマリナ機の目前に不気味にうごめき次第に開いていくベムスターの腹部の口。この辺りグロテスクな画でみている方も不快さと恐怖を共有しています。正真正銘、絶対絶命の危機。まるでシルバーブルーメに食われるMACステーション・・。気丈なマリナが焦り死の恐怖に怯えやがて絶望し涙を流す・・・。この一連の描写がベムスターを強敵の中の強敵たらしめています。またベムスター自身は笑っているような声やしぐさがリュウが言うとおり非常に可愛いらしく邪気がなくみえます。実際メビウスにマリナ機をとられた時のごちそうを取り上られがっかりした子供のような仕草は非常に可愛い。しかし本能の赴くまま、その邪気のなさ故怪獣は怖ろしいというのを証明しています・・。自らの腕までもが食われかかり最強の武器メビュームシュートまで吸収されたメビウスは遂にメビウスブレイブへと変身を遂げる・・。しゃべれないベムスターの言葉を代弁してひとこと言わせていただけるなら「あれはあんまりだ・・・」まだ最終回じゃないし・・。イデオンソードの快傑ゾロ仕様って・・・。あんまりです・・。●メビウスはひとりではないんです●メビウスを自分の感情のまま口汚く罵るリュウにミライが食ってかかるという非常に珍しいシーンがみられます。リュウの気持ちもわからないではない・・・いやオトナげない話です。「信頼というのは築きあげてゆくのは難しいけれどそれが崩れるのは怖いくらい簡単なんだ」サコミズ隊長はそういいますが・・、まあ、リュウのオトナげなさは今に始まったことではないので。ミライはコノミと一緒に子供たちと交流する中で自分が一人でないことを悟るというのが今回のお話になります。ラストの「息があってるのはあたりまえでしょう。だって俺たちとメビウスは大親友じゃん」・・・んーこの変節許しがたし。せめて「大親友」を「心の友」に変えてくれたら少しは溜飲が下がるんですけど。あとコノミが「また作戦失敗しちゃったよ」というテッペイの頭ををなでなでしていたのが・・・凄く気になったのですが・・。
2006.08.07
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というわけでスヘクトルマン対三つ首ネスバードンです。ネズバードンじゃなくてミドロンの首みっつ・・?公害でパワーアップしたのでしょうか?正義のヒーローが怪獣に馬乗り・・。チョップを食らわす瞬間?・・・・・・。いや絶対違うよこの人怪獣に乗って楽しそうだもの。「わーい」って歓喜の声が聞こえてきそう。怪獣好きなへんなおっさんだよ。というわけでぱちもん怪獣です。スペクトルマン・・顔が銀色で角の突起もない、というか磨り減った・・・ひょっとしてジェットジャガー・・・な方がキングギドラはいったネズバードンというかミドロンみたいのにまたがってます。昔、ほりのぶゆき先生が描いたぱちものヒーロー?裏面に走行ギミックが着いていてチョロQ(とはちょっと違うなあ)みたいにして走ります。ついでに火(というか火花)を吐きます・・。んー。昔これのステゴザウルス版をみたような気がしますが・・・。いずれにしても嬉しくないぱちもん怪獣だなあ・・。
2006.05.04
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円盤生物ロベルガー二世を追って地球にやって来た80。メビウスは80と協力してロベルガー二世を倒す。・・・桜ヶ丘中学校は取り壊しが決まっていた。そんな折、教師の塚本はかっての旧友の「落語」と「スーパー」に再会する・・。思い出の先生ここ3回程私としては辛い話の続いたメビウス。「誓いのフォーメーション」以来の「ウルトラマン80」とのリンクはいわゆる「教師編」に登場した教え子たちの同窓会、となった登場するのは塚本(第二話「先生の秘密」で登校拒否をしていた。今は教師)落語(メイン4人組。今は銀行員)スーパー(メイン4人組。スーパーの跡継ぎ)博士(メイン4人組。大学で研究をつづけている)ファッション(メイン4人組。子持ちの主婦)真一(第三話「泣くな初恋怪獣」でホーを発生させた)の6人。80が地球にいることを知り彼らがクラス会を主催し先生を呼び出そうとするのが話の骨子である。彼らが矢的先生は80であるという言葉をそのまま受け入れてしまう展開はやや難があるが80の人間の可能性に関する言葉やミライの悩む姿(「板ばさみって辛いですよね」がおかしい)、悩むミライにサコミズがかける言葉(「出会い別れ喜び悲しみ・・・人間って面倒くさい生き物なんだ。でもね、時がくればそれは思い出に変わる。その思い出がないことが人間にとって一番悲しいことだ」)など見所が多い。またホーの使い方、及びその後の生徒たちが80に語りかけるシーン(仰げば尊し・・はやややり過ぎか)まで感銘深いエピソードになっている。「俺たちのウルトラマンだ」という台詞は80ファンにとっては感極まる台詞だったのではないだろうか。硫酸怪獣ホー今回のメインの戦闘は冒頭のロベルガー二世であろうがそれ以上に印象的なのは後半マイナスエネルギーから生まれた怪獣の代表として出現するのが80第3話に登場したホーである。取り壊される校舎と同窓会に集まったかっての子どもたちの気持ちを代弁するかのように登場したホーは以前と同じく耳を動かし、硫酸の涙を流す。80をまるで待っていたかのように出迎え、手を広げて浄化されることを受け入れるその姿はマイナスエネルギーの産物、というにはあまりに優しく思える。どちらかというと先生に会いたいという思いをもうすぐなくなる学校が受け入れてマイナスエネルギーの力を使って出現せしめたと解釈したい。次回予告いよいよ佳境に入るメビウス。タケナカ(参謀、ではない)の登場、多々良島に出現するゴモラとレッドキング、謎の黒衣の男、そして宇宙でかって何があったのか・・・。全編見所になりそうな次回を待て。蛇足・ゴモラとレッドキングこの組み合わせは80の再登場怪獣コンビでもあり、「小さな英雄」の脚本上の登場怪獣コンビでもある。ウルトラ怪獣史上高い人気を誇るこの二匹の登場は(前回のメビウスからの流用か?)楽しみですね。
2007.01.27
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突然ですが「ウルトラマンマックス」の最終回です。 宇宙空間での宇宙怪獣との戦い。サータンやルナチクス、ケンドロスなどのマイナー怪獣の登場も嬉しいかも。ウルトラマンゼノンとウルトラ兄弟の競演、しかもこのパノラマ風の画面作り・・。内山まもる作品を思わせる懐かしい昭和ティストですねー。地球にグドンとバードンも登場します。最強の機械獣の登場、さらに驚愕の展開が・・・。「ウルトラマンマックス」はM78星雲からきたという設定ながらウルトラ兄弟のいる世界とはパラレルな関係になっています。そこがいいところでもありもどかしいところであったわけですが・・・。この漫画ではそこを大胆にアレンジしウルトラシリーズをひとつの繋がった作品として扱っています。こうしてみると凄い展開だなあ・・。勿論映像作品はあれで文句なしなのですがこういうのが観たかったとも思わせる作品ですね。なんとこの「ウルトラマンマックス」にツルク星人も登場します。残酷ティスト溢れる描写、ミズキ隊員がツルク星人に斬られる描写は残酷でありながらエロティシズムが感じられます。このあたり往年の冒険王版すがやみつる「仮面ライダー」や桜多吾作「マジンガー」シリーズに通じているのかと。この物語はさらに見所満載だったりするのですが・・。時間切れなので・・この項続く・・(えーっ)
2006.10.07
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前作「ゴジラVSメカゴジラ」で終わるはずだった平成ゴジラシリーズ。アメリカ版製作の遅れで続けることになった中、何を描いたらよいのかその迷いがそのまま作品になったもの、それが94年の「ゴジラVSスペースゴジラ」である。本作は宇宙に運ばれたゴジラ細胞が結晶生物と合体して戻ってくるというビオランテの要素にメカゴジラの後継機モゲラの登場、さらにはモスラと小美人コスモスまで登場とこれまでのシリーズの要素を大量にとりこんでいる。しかしながら・宇宙から来た謎の生物スペースゴジラと死の結晶フィールドの戦い・スペースゴジラにリトルを結晶化されたゴジラの復讐戦・落ちこぼれのGフォース隊員新城と佐藤の物語・三枝未希を巡る行き過ぎた超能力プロジェクトと未希の初恋・ゴジラへの復讐に執着する男とその男を慕う女の物語・進退窮まるGフォース司令官の苦悩・・・・・などのストーリーが羅列されてるだけで交わることなく中途半端でどれもあまり面白くない。中心であるべき新城功二は実際主役らしい役どころを与えられておらず他のアクの強い人物に食われている。結局スペースゴジラ、ゴジラ、モゲラの福岡怪獣決戦以外には観る所がない困った作品なのである。ハードボイルド脚本家柏原寛司の描く権藤が千夏にライターを渡すシーンが感動に結実しないのはそこを納得させるだけのドラマが構築されていないからだろう。ただ、当時リアルタイムでみた子どもたちには異常に人気が高い作品であるのもみのがせない事実である。坂井版のコミック版ゴジラシリーズは毎回登場人物を絞ってきたがついに今回、主人公が登場しない。映画版の主要キャストは以下の通り新城功二(Gフォース隊員、橋爪淳 )佐藤清志(Gフォース隊員、米山善吉 )三枝未希(G研究所サイキックセンター主任小高恵美 )結城晃(元自衛隊隊員、柄本明 )権藤千夏(G研究所生物工学教授、吉川十和子 )麻生孝昭(Gフォース司令官、中尾彬 )兵頭巌(Gフォース武器開発責任者、副司令上田耕一)大久保晋(G対策協議会進化生物学博士、斉藤洋介 )コスモス (地球先住民の小美人、今村恵子 、大沢さやか)このうち本作に登場するのはコスモスを除けば主要人物はふたりだけである。これにおなじみの黒木翔が脇役として加わる。他に「ゴジラVSビオランテ」から冒頭で廃墟をレポートしていたCCNのレポーター、スーザン・ハーン、それにスーパーX2のオペレーターをしていた女性(鈴木京香)と思しき人物などが登場している(坂井氏がいかに「ゴジラVSビオランテ」がお気に入りかはこの辺の渋いキャスティングからもわかるだろう)そして・・権藤吾郎・・・本作の重要なキーパーソンである。探査機は結晶化した死の星とその原因たるゴジラらしき生物の映像を地球に送ってくる・・。一方Gフォース本部からは最新兵器であるモゲラが強奪される。犯人は元自衛隊員の結城晃。モゲラを追うのはメカゴジラ二号機(前作のデザインを踏襲)しかし能力差はいかんともしがたく撃破。しかし爆発の寸前女性パイロットがモゲラに乗り移っていたのだ。このあとは結城とGフォースの女性パイロットが喧嘩しながらゴジラを倒すためにバース島へ向かう。しかしスペースゴジラの出現によりモゲラは制御不能に。スペースゴジラは現れたゴジラを翻弄、リトルを結晶化するも光エネルギー確保のため福岡タワーへ移動。結晶フィールドを張り誰も近づけない光の王国を築こうとする・・。ゴジラは脚に巨大な結晶をうちこまれたまま福岡に上陸。フィールドは・・もはや人間の入れる場所ではなくなった・・黒木が叫ぶ。「ただ突き進んでいるのか同じ細胞が呼びあっているのかわからんが・・頼むゴジラ、スペースゴジラを倒してくれ」結城はモゲラでゴジラを撃つためフィールド突入を目論むも、女性隊員により強制分離される・・。このあたりまでの展開は映画の超能力開発シーンなどを省き結城の復讐と福岡決戦にのみ話を絞ることでスピードと緊張感のある展開でぐいぐい読者を引きずりまわす。実は映画はここまででもう最終決戦で終局だがここまでで漫画は約半分なのである。ここからは結城の夢による回想が始まる。「隊長の権藤一佐はふざけた奴で気に入らなかった・・」富士の樹海にバイオメジャーの隠したゴジラ細胞を探して入った調査隊は結城の失敗により死者まで出してしまう。瀕死の結城を背負った権藤は4日間かかって生還を果たす「恩ってなあ、売られるより売るに限るからなあ」と笑う権藤。・・権藤吾郎はその責任からか国土庁特殊災害会議Gルームへ実質的左遷となった・・。次は大阪ビジネスセンタービルのANBを使った作戦。権藤は結城を召還し作戦に参加させる。ANBは権藤と結城の2発が当たるも権藤はさらに2発目をゴジラの口に打ち込み3発目を撃たんとしたその時、帰らぬ人となった・・・。 「ゴジラVSスペースゴジラ」の骨頂はここにある。権藤吾郎の背中・・。いちども振り返らず恐怖に耐えた背中・・「権藤さんは安全のため部下に撤退命令を出しておいて自分はANBの次弾をセットしていた。ゴジラに背をむけたまま!トラックでも電車でもいい簡単に自分が殺せるモノが確実に自分の方へ迫ってきているときに、その音が確かにに届いているのに、自分の仕事(やるべきこと)をつづけられるか?ただの一度もふりかえらずに・・」「おれは永遠に借りをかえせなくなった・・」結城の行動理由は非常にわかり易い。ストレートな理由が非常に感動的だ。 ゴジラはスペースゴジラを葬る。巨大な脚の結晶がスペースゴジラの腹を突き破る。落下した福岡タワーの尖頭が咽を貫く。モゲラは合体・・ゴジラに最終決戦を挑む・・・。ここまででも十分面白いのだが・・さらにこのあとがある・・。戦いは長引きすぎていたのだ。登った朝日によりスペースゴジラが復活した・・・結晶フィールドがさらに巨大化し空へそびえる塔と化すのだった・・。ゴジラは?そして結城は復讐をはたせるのか?「ゴジラVSスペースゴジラ」の映画版は何故面白くないのだろうか?特撮に頼った作劇、中心のないエピソードの羅列、ドラマを担うことのない登場人物たち。超能力開発や超能力少女三枝未希とGフォース隊員の恋は結局の所物語と重なることもなく結城は不完全燃焼のまま退場を余儀なくされる・・。麻生が結城にモゲラに乗るのを強制するとか前述したライターのシーンは好きなのだがそれは映画の面白さとして結実することはなかったのである・・・。平成ゴジラをキングギドラ以降、自分の作品として描き続けた坂井には怪獣バトルしか見せ場のなくなってゆく映画に対する不満があったはずで、大量に投げ出された未消化な題材の幾つかの中から自分に合った題材、権藤吾郎への鎮魂歌を選び出した。「VSビオランテ」を愛する坂井氏であるが故にそのの思い入れが上手く昇華されよい方向に作品が導かれた・・・のである。本作の回想シーンにおける権藤は非常に魅力的な人物である。樹海でみせる笑顔もその背中も。あの背中に追いつきたい・・。それは結城の、男にとっての夢であり生きていくことそのものなのである。ドラマに隠れてはいるがゴジラとスペースゴジラの戦いはかなり激しい。脚に刺さった巨大な水晶体をつかったゴジラの逆襲は凄絶だし結晶化し砕けたスペースゴジラの顔面が突き立ったシーンはこれこそ映画でみたかった画といえるだろう。ただ理想の自分へと想いを馳せる男、男を思い続けながらもその背中を見守り無事を祈るしかない女・・・そんな不器用な男と女の「想い」の物語・・・。ラスト近くのやり取りが感動させるのはそれが人の想いとして結実しているせいではないだろうか・・。「ゴジラVSビオランテ」が好きな人、「ゴジラVSスペースゴジラ」に不満を感じた人、そして全てのゴジラファンに・・・是非とも自分の目で結末を確認していただきたい。最後に今ひとりの・・「ゴジラVSビオランテ」の登場人物の言葉でしめくくることにしたい。「・・・自分もあの大阪ビジネスパークの作戦に参加し権藤一佐のあの背中を見せていただいたものです。・・・自分は悲劇とは思いません。あのとき見せていただいたのは権藤一佐の死に様ではなく生き様だったと思っています・・そして、これが結城の生き様なんです。こうしなければ、やつは生きているとは感じられない人間なのだと思います!」※坂井孝行版「ゴジラVSスペースゴジラ」小学館、てんとう虫コミックスA5判1994年12月発売絶版ですが今ならamazonなどでも中古で購入可能みたいです・・・。特報!!「ゴジラ死す」ゴジラ最期の日迫る!!最強最悪のバイオ怪獣デストロイアの誕生。ジュニアの死に咆哮するゴジラ。メルトダウンするゴジラが日本を、世界を滅ぼす!青木が!佐々木隊長が!結城が戦う!破滅を食い止められるのは・・・奴しかいない・・世界の運命は黒木翔の手に委ねられた・・・。次回、完全オリジナルで贈る坂井孝行版「ゴジラVSデストロイア」にご期待ください!!
2006.09.14
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