Follow the Dream 療法士の夢

2005.05.10
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カテゴリ: 私の意見
日本人であることを意識するようになったのはいつ?と考えると、20代半ばころだということに気が付いた。


まわりで音楽家の卵たちがだんだんと留学し始めた時期だ。


歌の人たちが人数的にはとても多くて、多くはイタリア、ドイツ、そしてフランスも何人かいた。


クラシックの人たちはやはりヨーロッパが多い。最近は良い先生が皆、アメリカに引っ張られているらしいが、それでもヨーロッパに行く人が後を絶たない。歴史が違うからだ。歴史の中で育まれてきたものは大きい。


長期で行く人や短期で行く人、それらの人たちとたまに仕事が一緒になるといろいろと面白い海外の話が聞ける。


その時に聞いた話で印象に残っているのが、「日本人なのに」という内容のものだ。


西洋音楽、オペラや歌曲を勉強しに行った彼女ら日本人に対して、向こうの人たちはこう聞くのだという。


「どうして西洋音楽をするの?」「日本の音楽は歌えるの?」


20代半ばくらいだと、まだまだ西洋音楽にばかり憧れの気持ちが向いていて、ある人は日本の歌を全然知らずに行ったりするらしい。すると彼らは不思議がる。





この話を聞いた時、正直、え~っと思った。私にもまだ、自分が日本人というはっきりした自覚が無かったからだ。


この後、確かカウンターテナーの米良さんが、同じようなことを言っていた。彼は家の関係で民謡など歌えるから、留学してそれらを堂々と披露したのだそうだ。


それからしばらくたって、私は茶道を習い始めた。それは別に、興味があったから始めたわけだが、その時に、私は日本文化の奥深さに感動してしまった。


日本人って、なんて繊細で素敵な芸術を創り上げてきたのだろう!


静かな和室で、窓から光を一杯受けて光る緑を眺めながら、こぽこぽ・・・と湯が釜の中で沸く音を聴く。釜から柄杓で湯を汲んで茶碗に落とすときにも、とぽとぽ・・・という音を楽しむ。掛け軸の中の作者の想いを読み取り、その側に寂しく生けられている茶花を楽しむ。見えるものから見えないものまで、全て芸術として働いているのだ。表に見えないところにも美を見出そうとするこだわりの精神。素晴らしいと感動した。


今、留学するに当たって着物の着付けを習っているけれど、着物の色っぽさも回を重ねるごとに分かってくるし、好きになってくる。ドレスとは正反対の見せ方により、女の色気を表す。


世阿弥が「秘すれば花」といったが、この隠れている部分を見つける楽しさを日本人は発見していたのだろう。そしてそれを少しだけ見せて、後は隠しておくというところに、各々が発見したときの喜びが増すようにしたのだろう。


海外にでて、日本を軽蔑している”日本人の”若い子たちに会うことがあるが、自分の生まれ育ったところの良さを見つけることを怠っているのだったら、外国の良さもそう簡単には分からないよ。浅いところしか、見れないよ。


人間のものの見方って、その人についてまわるものだからね。


自分はそうならないようにしようと、本当に思っている。


今は和風ブームだけど、それを外国文化との比較の中できちんと捉えたいな。そして、西洋文化と日本文化は、方向性が全く違うということ、それぞれがいいのだ、ということを自分でよく把握して、海外で日本を上手に紹介できるといいな、と思うのでした。







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Last updated  2005.05.11 01:28:07
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