「旅の恥はかき捨て」という言葉、
みなさんもご存知ですよね。知らない土地では、いつもの自分とは違う、
少し大胆なことをしてしまっても、気にしなくていい。
誰にも見られていないから、恥ずかしくない。そ
んな意味合いで使われます。
けれど、私が働く「道の駅常総」では、ちょっと違うんです。
ここに来る人たちは、まるでタガが外れたかのように、言いたいことを遠慮なく口にする。私のことは、ボクシングのサンドバッグか何かだと思っているみたいで、時にはグチや不満のシャワーを浴びせられることもあります。
でも、不思議なことに、話し終わった後にはみんな笑顔でこう言うんです。
「あー、スッキリした!楽しくおしゃべりできたよ!」
その言葉を聞くたびに、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じます。言葉のシャワーを浴びているはずなのに、それが私にとって、かけがえのない学びの時間になっていることに気づくからです。
出会いがくれる、心に刻まれる宝物
この半年間を振り返ると、本当にたくさんのご縁をいただきました。道の駅常総だけじゃない。つくば市のわんわんランドや、街のイベント、スーパーの店頭、さらにはアパレル店舗まで。思いがけない場所で、様々な人たちと出会い、対話が生まれたんです。
家族連れ、カップル、ご夫婦、地元の人、観光客 …
。話される内容は、介護の悩み、子育てや学校の問題、時には政治のことまで。どれも、その人の暮らしに根ざした「リアル」な話ばかり。
その一つひとつが、私の心に深く刻まれる宝物になりました。
「聞くこと」が、人と人をつなぐ糸になる
接客というと、「物を売ること」が目的だと思われがちです。でも、私がこの半年で学んだのは、そうじゃない。「聞くこと」「受け止めること」こそが、本当の「おもてなし」なんだということです。
愚痴や不満、笑い話、時には誰にも言えずに胸の内に秘めてきた真剣な思い。それらを受け止め、共感し、一緒に笑い合う。そうすると、お客様は心の中が軽くなり、また日常へと戻っていく。
私はサンドバッグなんかじゃない。そうか、私は「糸」なんだ。
お客様が残していく一つひとつの言葉が、人と人との心を結ぶ、細くても決して切れない「糸」になっていたんだ、そう気づいた時、目の前がにじんで、涙がこぼれそうになりました。
旅の出会いは「宝物」
「旅の恥はかき捨て」なんてとんでもない。「旅の出会いは宝物」だ。この半年間は、そう言葉を変えたくなるくらい、たくさんの学びと感動で満たされていました。
道の駅で、街角で、アパレル店舗で。お客様が置いていってくれた言葉の数々は、まるで光る宝石のように、私の胸の中で今も輝き続けています。
また新しい宝物に出会えることを楽しみに、私は今日も店頭に立っています。
もしよかったら、あなたにとっての「旅の出会い」について
ぜひ、ぜひ
聞かせていただけませんか?