営業って、数字を追いかける仕事だと思っていませんか?
もちろん、結果は大切。でも、それだけじゃない。
心を動かす仕事でもあるんです。
そんなことを、ある40代半ばのセールス・レディから教えてもらいました。
彼女が初めて私のもとに来たとき、悩みを抱えていました。
「思うように数字が伸びません。営業の心構えを教えてください」
そう言って、仕事のことだけでなく、プライベートな悩みまで打ち明けてくれました。
私なりにアドバイスをすると、彼女は晴れやかな笑顔でこう言いました。
「はとみさんに相談してよかった。源氣(げんき)が出てきました。
相手を見て“この人”と思ったら、これからも、相談していきたいと思います」
その言葉が、今でも心に残っています。
🌿数年後、彼女は人材関係の会社で活躍するセールス・レディに成長。
「ロコレディさんに一番に新商品を紹介したいと思うようになったんです。
店長さんの役に立つ情報を届けたい、と考えるようになりました」
彼女の営業スタイルは、変わっていました。
“売る”よりも“届ける”という気持ち。
それが、自然と数字にもつながっていったのです。
もう一つ、印象的なエピソードがあります。
彼女が洋服を買ったときの話。
「買うつもりはなかったのに、気づいたら5万円分も買っていたんです。
理由は、“落ち着く”から。あたたかくて、家族みたいで、居心地がよかった」
その“感覚”を、今の営業に生かしていると彼女は言います。
営業とは、“感じる力”の仕事。
テクニックだけでは、人の心には届かない。
でも、感じる力があれば、営業はもっと自然体でできる。
営業が上手な人は、構えて勉強するタイプではありません。
日常の中で気づいたことを素直に受け取り、自分の血肉にしていく人。そして、仕事が終わっても同じ道を帰るのではなく、
時には道を変えて、新しい風を感じてみる。
その“道の変化”が、心の気づきを生むのです。
感じる力が、売れる力になる。
営業とは、相手の心にそっと寄り添う「伎芸(ぎげい)」のような仕事。
彼女の姿が、それを教えてくれました。