日本橋三越にて ― シニア世代が教えてくれた
“愉しむ買い物”の本質
久しぶりに、日本橋三越に足を運びました。
フロアに一歩入った瞬間、空気がふっと変わります。
上質で、落ち着いていて、どこか懐かしい。
お客様の多くは 推定 70
〜 80
才代
。
杖をつきながらも、おしゃれを忘れないご婦人方。
ゆっくりと歩調を合わせるご夫婦連れ。
その姿は、歳を重ねた人生の“美しさそのもの”でした。
什器のラインナップも、完全にシニア向け。
新宿伊勢丹や高島屋とは、ターゲットがまったく違います。
若い世代を追わない潔さ、そして
「この年代の方に真正面から寄り添う」
――三越の覚悟と哲学が、売場から滲み出ていました。
そんな中、すれ違った 70
代後半と思われるご夫婦。
奥様がふっと漏らした一言が心に残りました。
「デパートは、やはり疲れるわねぇ…」
その言葉の奥にあるのは、
“疲れるけれど、来たい場所”という想い。
長年の習慣であり、人生の楽しみであり、
夫婦の大切な時間なのでしょう。
ここで、私はふと思いました。
伎芸『ぎげい』型おもてなし商売道が目指すのは、
「買い物」ではなく「愉しむ時間の提供」だ――と。
年齢を重ねるほど、
“買い物の目的”は商品ではなく、
体験・会話・安心・心の温度
へと変わっていきます。
伎芸型おもてなしでは、
・急がせない
・押しつけない
・疲れさせない
・さりげなく寄り添う
この「間合い」と「ゆとり」を大切にします。
商品を売る前に、
まずお客様の“心の速度”に合わせる。
これこそが、シニア世代にもっとも響く
五感のおもてなし
です。
今日の三越で見た光景は、
ロコレディの未来のお客様像とも重なりました。
ゆっくり歩くご夫妻の背中から学ぶことは、
実はたくさんあります。
「愉しむお買い物を、そっと演出する」
これが、伎芸『ぎげい』型おもてなし商売道が
次の時代に果たす役割だと確信しました。
参考になれば、嬉しいです。
