2011.08.21
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朝突然黒い雲に覆われ、強い風が吹き…空気が入れ替り…一瞬で涼しくなり、今週夏の終わりが訪れた千葉でした。お店での試飲を温かいこーひーに替えました。試飲がホットこーひーになりました…と、言うと…お客様がニコッと笑顔になります。まずは、新着の「グアテマラ・アゾテァ」を淹れていますが…グアテマラ・アンティグアの魅力がよく出ていて…みなさん甘いフローラルな香りと余韻を楽しまれています。

で、達郎のニューアルバム「Ray Of Hope」が発売されて、ヘビロテで聴いていますが、インタビューで…「最近はアラサーの連中と交流があって、話をしてみると、彼らの考えている事は自分の30歳の時とそんなに変わらないんですよ」…年取ると決まって言ってしまう…「最近の若いヤツの考えはよくわからない」ではなく 「人間が考える事の本質はいつの時代も一緒」…と、必ずインタビューで言っています。

この辺…とっても共感しています。さかもとこーひーは、おゆみ野店に移転して、この秋で3年になりますが…この辺の住宅地は、リタイア世代の方々から…僕と同世代の50代…そして、ひと世代若い40代の家族が多いのですが(以前は、ここまでの世代の家族のみなさんがさかもとこーひーのお客様でした。)…さらに、最近は30代の若い家族も増え続けているんです。(18年前開店した当時は、まだ子供だった世代ですね。)

30前後のまだお子さんがいないご夫婦、赤ちゃん生まれたばっかりのご夫婦、幼稚園小学校のお子さんがいるご夫婦と…気軽に来店してくれて…毎日、色々なお話しをしています。土曜日だとお夫婦で来られることも多いですが…やっぱり奥さんだけの来店が多いですね。

すると、うちの長男とそう変わらない年齢なんですが…けっこうフレンドリーにお話ししてくれるんで…有り難いと言いますか…嬉しいです。そんなアラサーのみなさんの暮らしを感じることから…これからのさかもとこーひーの魅力を探ってみたいと思ってます。

そんなこんなで…夏休みに「女子の古本屋」(ちくま文庫 )を読んでいました。高校と浪人の時、予備校さぼっては、神保町から水道橋の本屋さんをぶらぶらして…その後、紅茶の店タカノに修行に入ってからは、職場が神田神保町になって…当然、毎日通い、働き、暇をみつけては古書店に入り…帳場の旦那のプレッシャーにどきどきしながら、書棚を眺めていたものです。

内容も分からないような古書の並ぶ棚を眺めていると…なんか落ち着くんですね。すると、棚のどこに何があるか憶えてきて…新しい本が入ると、それだけが目に飛び込んでくるようになって、楽しいです。今は、行きつけの何件かの本屋さんの棚が頭に入っていますから…棚の前に立ってずーっと見ると…新しい本だけ見つけられるので、便利です。まぁ、最近はアマゾンで買うことがほとんどなんですが…やっぱり本屋さん行かないと出会えない本があります。

そうそう…それで、「女子の古本屋」です…とっても面白かったのですが…「はじめに」に…女性が経営する古書店を取材していった、と…で、女性古書店を連載を始めた際、多くの人から…一年連載できるほどそんなに女性の古本屋さんがあるのか?…と、驚きの反応があったようです。

一般に古書店の帳場に座るのは、圧倒的に男性で…たまに女性が座っていても、アルバイトだったり、店主の夫人が店番をしているというケースがほとんど、ということです。そりゃーそうだと思います。まさに、神保町の古書店のイメージですね。



そこへ、21世紀に入る頃から…古本屋は女性に向いた職業として、女性古書店主の台頭、それに伴う女性客の増加があったそうです。

「これまで、男性の目でしか見てこなかった古本世界に、女性の目が加わる事で、別次元の扉が開かれることになった女性による古本新大陸の発見である。」…と、あります。

当然、女性であるがゆえのハンデもあるようです。本はまとまると重いですし…町の古本屋が日々の生活をしていくための日銭稼ぎとなるエロ本の販売が難しくなります。すれっからしの男性客は女性店主を甘く見る傾向がありますし…いいことばかりではありません。

しかし…ここに登場している女性店主達は、他業種でもまれ、経験を積み…女性らしいセンスを武器に、古本という素材で自分を生かしている…それは「表現」というにふさわしいやり方だと…。

ようするに、これは「編集」ですね。その店主の価値感や好みによって…古書やそれらにまつわるものを独自の編集をして…相性の良いお客さんに届けるわけです。

この本には、13店の女性店主の古書店が紹介されていますが…それぞれの個性が伝わって来て、そのお店のお客様の楽しそうな様子が伝わって来て…思わず足を運んでみたくなりました。遠くのお店には旅行がてら訪ねることも多いようです。

この「女子の古本屋」を読みながら…あぁ!これって、コーヒーの世界と一緒だぁー!と思ってました。

伝統的な自家焙煎珈琲店は…茶色の店内…煙草の煙…セラーメイトの硝子瓶…100gの量り売り…拘りの怖い男性店主…年中変わらない品揃え…お客さんは通と言われるお父さん…手挽きミル…ネルドリップ、抽出の拘り…深煎り珈琲…もう完成された世界です。

しかし、さかもとこーひーのファンが増えているアラサーの若い夫婦、奥さんにはは全く視界に入っていません…と、言いますか…彼ら彼女らにとっては、自分が近づいてはいけない店という存在になっているようです。それは、それで、全く問題無いのですが…スペシャルティコーヒーになると、問題だと思ってます。

この10年でスペシャルティコーヒーの素晴らしい素材が恵まれた流通環境になってきました。10年前だったら自分達で輸入する覚悟が必要だったものですが…今はいくつものルートで仕入れが可能です。

でも、業界を眺めると…その後の焙煎やブレンドのスキルは進んでいるように思えません。相変わらず素材自慢ばかりが目立っています。



さかもとこーひーの常連さんは、女性が6割7割で、普段の暮らしの中で親しまれていますが…その女性のみなさんがどんどん成熟した暮らしになっていますから…昭和の自家焙煎店とは全く違った店が必要とされていると思います。(素材がスペシャルティコーヒーになり、ドリップがエスプレッソに変わっただけでは、同じだと思ってます。)

「女子の古本屋」には…それぞれの店主のみなさんの魅力も素晴らしいですが…その文章から、それぞれのお客様の好みや喜びが伝わってきたんですね。

そんなこんなで…30代のみなさんの暮らしを見続けていこうと思ってます。


震災をきっかけにして、Twitterはじめています。こーひーの話しをメインにぽつぽつやってます。
http://twitter.com/sakamotocoffee

「この味を知ることができて幸せです。」…お客様にそう言ってもらえるようなこーひーをお届けしたいと思っています。





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Last updated  2011.08.21 17:21:20
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