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カテゴリ: 本の話
この本、最近私の知人の間で、すさまじい勢いで読みつがれ、絶賛の嵐を浴びているのです。

タイトル通り、高校卒業を機に名古屋から上京した主人公の男の子が、東京で過ごす日常を数年間にわたって断片的に描写した、短編の連作集です。

「1980/12/9」
「1978/4/4」
「1989/11/10」

この日付を見ただけでは、何のことだか?という印象ですが、それぞれ
「ジョン・レノンが暗殺された日」
「キャンディーズの解散コンサートがあった日」

と言われれば、ああそうか…と記憶が鮮やかによみがえる方も、多いと思います。そして、その時自分がどんな風に過ごしていたか、ということも。

そんな風に、時代の中の大きなイベントを横目に見ながら、主人公の久雄が、ある時は予備校入学を前に上京したばかりだったり、ある時は大学の演劇部で青春を謳歌していたり、そして物語の終盤では、すでに崩壊の予兆を孕んだバブル景気の真っ只中で、広告業界に身を置きながら拝金主義の荒波にもまれていく姿が、そろぞれ味わいぶかい「ある日」の物語として、描き出されていきます。

よく考えてみたら、メールで「俺も読んだ」「私も読んだ」「あれ、いいよね~!読んでないならおすすめ!」と興奮気味に語っているのは、主人公(昭和34年生まれの設定)とほぼ同年代の、会社の先輩たちでした。
彼らよりほぼ十歳若い私にも、「聖子ちゃんの“青い珊瑚礁”」「深川通り魔殺人事件」「アルマーニのダブルのスーツを着た男たち」「松田優作の死」…などなど、わかりやすく時代の空気を思い出させてくれる記号によって、「あの頃」の気分を感じとることが出来、とても面白かった。
でも、同時代に、いちばん感受性の豊かで、いちばん悩みも多くて、わけのわからない十代から二十代の人生を生きた人には、一味違う感慨を呼び起こす小説なのだと思います。

ちなみに、著者の奥田氏は、今年で45歳だそうです。
「東京物語」 奥田英朗著 集英社文庫

実は、そのうち治るとタカをくくっていた風邪が、悪化して気管支炎にまでこじれてしまいました。
通っている教習所では、あと一歩で第一段階終了というのに、お医者様から外出を控えるように言われ…幸か不幸か?自宅で「読書の秋」を楽しんでいます。
でも、運転教本もちゃんと読まないと、せっかく覚えたことを忘れてしまいそうです…風邪気味のときは、早めにしっかり治さないといけませんね。





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最終更新日  2004.11.11 13:13:01
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