ふたり暮らしの手帖

ふたり暮らしの手帖

PR

プロフィール

サリィ斉藤

サリィ斉藤

バックナンバー

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07
2025.06
2025.05
2025.04
2008.03.21
XML
カテゴリ: 本の話
昨日は冷たい雨が降り続く休日となり、結局、ずっと家の中で過ごしました。
熱々のミルクティーや玄米茶をとっかえひっかえ、たまにお茶菓子をつまみながら…

たまたま、図書館で借りてきていたこの本があったので、一気に読んで、あっという間に時間が経ってしまいました。

こういう、「午後いっぱい」くらいがちょうどよい分量の、読み応えがあって余韻も心地良い小説があると、雨の日も何ともいえず贅沢な過ごし方ができますね。



木曜組曲



彼女が遺した家「うぐいす館」に、今年も時子に縁の深い女たちが集まった。
それぞれ、文章を書くことに関わって生きている、5人の女性。
時子を偲ぶ宴が進む中、彼女たちの会話は思わぬ方向へと発展していく。重松時子の死は自殺なのか、他殺だったのか??


「うぐいす館」に集まり、思いもよらぬ謎解きゲームに巻き込まれていく女性たちのキャラクター描写が鮮やかで、年齢も性格も異なる、それぞれの人間の色合いが見事なコントラストを描いています。

そして『描写の妙』といえばもう一つ。この小説、とにかく食べるもの、飲むものに関する記述が次々と出てきて、それが読んでいて本当に楽しい。

タイトルのとおり、とある木曜日を挟んだ三日間の物語なのですが、その間、うぐいす館で彼女たちが囲む食卓のおいしそうなこと!

ほうれん草のキッシュ、ブロッコリーと木綿豆腐のあんかけ、鯛すき鍋、夜中のおつまみにするポトフ、朝食のパンケーキ…
食事以外にも、朝から紅茶が続いたから日本茶を淹れよう、という場面。そしてお茶菓子にするのは「しろたえ」のチーズケーキ、とか。


読んでいて、現実にも、こんな細やかな心配りでもてなしたい、もてなされたい…と思わずにはいられません。

恩田さん自身、料理がお得意なのかは知りませんが(笑)
他人に台所を任せて、与えられるものをそのまま口に入れているような人には、逆立ちしてもこういう文章は書けまい、と思うのです。

ちなみにこの作品は5年前に 映画化 されていて、私は公開時に観ました。
その時、映画館で買ったパンフレットには、小説に忠実に再現されたお料理のレシピが載っていて、うれしかったです。(ちゃんと、実際に作ったかどうかは…内緒!)
映画館を出たあと、友達と「お腹すいた、お腹すいた」と言いながら有楽町の街を歩いたものでした。

登場人物それぞれが、胸に秘めていた告白や記憶の澱をさらけ出していく3日間。
物語の終盤、まるでサイコロの面がバタンバタンと転がるように、次々と明らかになる事の真相。
その展開の面白さは、映画でストーリーを知っていた私にも十二分に味わうことができました。

書物を題材にしたミステリーとしては、著者には「 三月は深き紅の淵を

ちなみに、時子の死の真実。
実は、映画と原作では少し異なるストーリーとなっているのですが、私には映画版の方が好みでした。
それはおそらく、重松時子という女性を演じた浅丘ルリ子さんの存在感が、映画で描かれた顛末に説得力を持たせていたからかな?と、思います。

【空腹時にはおすすめ出来ない映画です(笑)うぐいす館の佇まいも素敵!】

木曜組曲





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008.03.21 17:58:58
コメント(2) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: