ふたり暮らしの手帖

ふたり暮らしの手帖

PR

プロフィール

サリィ斉藤

サリィ斉藤

バックナンバー

2025.11
2025.10
2025.09
2025.08
2025.07
2025.06
2025.05
2025.04
2008.03.24
XML
カテゴリ: 映画の話
*「ポリリズム」を歌っているカワイイ3人組のことではありません(笑)

perfume.jpg


タイトルは、正しくは「パフューム ~ある人殺しの物語」。

牢に繋がれた香水調合師の男が、民衆の怒号が渦巻く広場に引きずり出される場面から、映画が始まります。
公衆の面前で、彼に言い渡される刑は、十字架に磔とし、鉄の棒で体中の骨を折ってから絞首刑にするという、残酷なもの…

それほどまでに重い、彼の犯した罪とは、一体どのようなものだったのか?
そして、なぜ彼はそうせざるを得なかったのか…

一転、物語は時を遡り、主人公の男が魚市場の片隅で産み落とされる場面に切り替わります。

それから映し出される、人間離れした嗅覚を持った彼、ジャン=バティストが歩む数奇な人生…
トム・ティクヴァ(「 ラン・ローラ・ラン 「ヘヴン」 の監督)は、独特の『間合い』を持った美しい映像・演出を見事に織りなし、ベルフィン・フィルが奏でる荘重な音楽がぴたりと嵌まって、この“怪人”の一代記、ぐわわーっとのめりこんで観てしまいました。

原作からして、すでに世界的ベストセラーな訳ですが、この映画も本当に面白かったです。

ジャン=バティストが求め続けたものは、一貫して変わらない。それなのに(だからこそ?)彼自身は、腕利きの調合師から殺人者へと変容してしまう。

絢爛豪華な味わいの中に、猟奇的なムードが漂い、何ともいえぬ倒錯的なイメージがあって…

美女が次々と狙われ、殺人の餌食になっていくにつれ、この感じは何だか既視感がある、この物語のテイストを私はすでに知っている…と、考えていてハッと思いつきました。
そうだ、江戸川乱歩だ!!と。

常人にはとても理解の及ばぬ、歪んだ論理で犯罪にその身を捧げる主人公に、いつしか屋根裏の散歩者や、悪女黒蜥蜴をだぶらせて観てしまいました。
この映画で描かれる犯罪の全容、今は亡き乱歩先生も、きっとこの着想はお気に召したはずと思うのですが。

18世紀の、悪臭に満ちたパリの描写。香水産業の要地として、花々と自然に囲まれたグラースの美しさなど、文章とはまた違う、映像ならではの表現が堪能できる、という点でも見事です。
闇の中から影が滲み出てくるように、主人公が姿を現すシーン…その不気味で、かつ美しいこと!
(ちなみにそれは、映画の中で明かされる彼の特異な体質を表現するものでもあります)

)のクライマックスから、呆気にとられるほど哀しいラストまで…

つくりごと、絵空事の面白さ、愉しさを満喫できた作品でした。うーん、映画館で観なかったのが悔やまれます…


パフューム ある人殺しの物語 スタンダード・エディション

(主人公に香水の調合を教える雇い主役に、ダスティン・ホフマン。好演でしたが、やっぱりこれ、鼻の大きさがキャスティングの決め手だったのだろうか・笑)





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2008.03.24 17:07:39
コメント(7) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X

Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: